CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を知っていますか?
事業会社がベンチャー企業とのシナジーを求めて投資を行うために設立したVCのことを言います。
近年、このCVCの数が激増しているんです!資金調達や事業提携に困ることの多い起業家にとって、嬉しいニュースですよね!
今回は、CVCとはなにか?という基礎知識から、数多くあるCVCを一覧でまとめ、おすすめをご紹介します!
このページの目次
CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)とは、事業会社が自社の戦略目的のために投資を行うVC(ベンチャーキャピタル)のことです。なお、投資子会社を設立している場合が多いです。
投資先の企業と、自社の企業で事業シナジーを積極的に生み出す「オープンイノベーション」を目的とした投資が行われています。
通常のVCでは、銀行や投資家などから広く資金を集めてファンドを組成し、ベンチャー投資を行っています。そのため、投資先が成長することによる純粋なキャピタルゲインを狙うことが一般的です。
それに対してCVCは、主に自社資金を使って投資を行う他、他の出資者やファンドにも積極的に介入します。投資先企業とのシナジーによって、自社事業を活性化させることで利益を生み出そうという意図があるためです。
CVCの数は近年急増しており、事業シナジーを生み出せるベンチャー企業にとっては有力な資金調達候補となります!
画像出典元:「フーチャーベンチャーキャピタル」公式HP
通常のVCの一覧は以下にまとめてありますので、こちらの記事も参考にしてください。
自社に合ったVC・投資家を効率的に見つけませんか?
起業ログを運営するプロトスター会社は、起業家が最適な投資家探しをしたいというニーズに応え、国内最大級の起業家・投資家検索サービスStartupList(スタートアップリスト)を提供しています。
StartupListでは、投資家の投資レンジや評価基準、過去の経歴等から自社に合った投資家を検索可能。StartupList上で、見つけた投資家とそのままコンタクトをとることもできます。
現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
上述した通りにCVCの数は年々増加しており、その数は既に200社を超えています!ここでは、おすすめのCVCを厳選しご紹介いたします。
画像出典元:「日本郵政キャピタル株式会社」公式HP
日本郵政キャピタル株式会社は、日本郵政株式会社が100%出資する子会社であり、主にスタートアップへの投資業務を行っています。
日本郵政グループのネットワークと郵便・物流、金融、不動産などの事業アセットを活用し、出資先企業の成長を支援するとともに、郵政グループのサービスの付加価値向上を目指しています。
投資領域は、グループ戦略に基づくシード・アーリーステージから、日本郵政グループが本業とする郵便物流、金融、保険事業をベースに、ロジスティクス、フィンテック、ヘルスケアなどのミドルステージ以降の事業まで幅広く出資しています。
また、米国や英国などの海外スタートアップにも投資を行っています。
日本郵政キャピタル株式会社は、日本郵政グループとのシナジー創出を特徴とするCVCです。
出資先との対話を通じて、日本郵政グループのリソースを活用し、出資先のステージやニーズに応じた幅広い対応を行っています。
日本郵政キャピタル株式会社は、2017年の設立以来、2024年3月までに累計で80件391億円のベンチャー出資を行ってきました。
2024年3月には、総額200億円のファンド(日本郵政キャピタル1号投資事業有限責任組合)を立ち上げ、今後も協力関係を基にした投資を積極的に進める予定です。
主な投資先には、株式会社ACSL、株式会社ACROVE、株式会社アリススタイル、matsuri technologies株式会社などがあります。
2023年12月には、知能ロボットを中核に産業オートメーション事業を手掛ける株式会社Mujinに20億円を超える金額を出資しています。
また、Exit済の投資先として株式会社メルカリ、Sansan株式会社、株式会社ABEJAなどがあります。
画像出典元:「伊藤忠テクノロジーベンチャーズ」公式HP
「本物のVC」「頼りになるVC」「日本No.1VC」を掲げており、投資だけでなく、伊藤忠グループの強力なネットワークと経営ノウハウを活かした支援を行っています。
また、「グローバルに勝負できるVC」として投資地域も国内にとどまらず、米国、イスラエル、中国、アジア地域などに広く展開しています。
投資領域はIT事業やITを活用した新事業領域を中心とした投資を行っています。
投資ステージごとの投資規模を以下のように提示しています。
出典:伊藤忠テクノロジーベンチャーズ公式HP
主な投資先は、メルカリ、PeaTix、クラウドワークス、などが挙げられます。
2014年3月には、グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタル・パートナーズ、GMOベンチャーパートナーズ等と共同し、第三者割当増資によって、株式会社メルカリに総額14.5億円の投資を行っています。
当時のメルカリはアプリリリースから約8か月ほどでありながら、流通総額は月額数億円に達しており、この資金調達によってアメリカでの子会社設立を行いました。
2018年6月には、YJキャピタル、みずほキャピタル、グリーンベンチャーズ、コロプラネクスト、The Venture Reality Fundと共同し、第三者割当増資によって、InstaVR株式会社に総額5.2億円を投資しています。
InstaVR株式会社は、VRコンテンツの制作・配信・分析プラットフォーム「InstaVR」を提供するスタートアップ企業です。
画像出典元:「サイバーエージェントベンチャーズ」公式HP
インターネットビジネスに特化すること、シードからアーリーステージの企業に対しての事業立ち上げ支援を行っていることが特徴です。次の事業ステージにおける資金調達の支援なども行っています。
投資地域はアジアを中心に展開しており、アジアに9拠点、米国に1拠点を構えています。
また、様々なイベントを行っているといった特色もあります。「RISING EXPO」は、国内最大級の資金調達・事業提携イベントであり、選考を通過したベンチャー企業が、国内外の有力VCや関連事業会社などに対してプレゼンテーションを行うことができます。
主な投資先は、コードキャンプ、クラウドワークス、VAZ、POLなどが挙げられます。
2018年8月には、ジェネシア・ベンチャーズ、コロプラネクスト3号ファンド、F Ventures、複数の個人投資家らの共同で、第三者割当増資により、ワークシェアサービス「タイミー」を提供する株式会社タイミーに総額5,600万円を投資しています。
クラウドワークスへの投資は非常に早く積極的で、クラウドワークス設立の次月2011年12月に行なっています。2013年には総額11億円をDGインキュベーション、電通デジタル・ファンドと共同での第三者割当増資により投資しており、2015年には約5億円を単独での第三者割当増資で投資しています。
クラウドワークスの事例から、事業立ち上げ期から継続的に投資を行う姿勢を見て取ることができます。
画像出典元:「GREE Venturs」公式HP
事業の立ち上げ前の状態からヒアリングと創業支援を行い、ビジネスとしてスタートする段階で投資をするというような、手厚いスタートアップ支援が特徴です。
投資地域として、日本、東南アジア、インドに積極的な展開をしており、1社あたりで5000万円から3億円ほどの投資を行っていると提示しています。
主な投資先は、Retty、チケットストリート、ランサーズ、などが挙げられます。
2018年6月には、みずほキャピタル、オー・エル・エム・ベンチャーズ、個人投資家として千葉功太郎氏と共同で、第三者割当増資により、カバー株式会社に約2億円を投資しています。カバー株式会社はバーチャルYouTuber「ときのそら」などが所属する配信サービス「ホロライブ」の運営をしています。
この増資のリードを務めたGREE Venturesの堤達生氏は、カバー株式会社の社外取締役に就任しています。
バーチャルYouTuber(VTuber)事業に関しては、2018年4月に総額40億円の投資プロジェクト「VTuberファンド」を開始し、VTuberのクリエイターやスタートアップ企業を支援すると発表しています。
画像出典元:「GMO Venture Partners」公式HP
スマホゲーム、ネット証券、決済、広告、インフラなど、多様なインターネット事業を行っているGMOグループのベンチャー投資部門です。
投資領域はGMOグループの強みを活かせるIT系ベンチャーとしています。特に、運用ファンドの「Global Payment Fund」は東南アジアでの決済サービスに特化しています。また、グローバル・フィンテック分野への重点投資を目的としてた新ファンド「GMO Global Fintech Fund」を設立し、2018年6月より投資を開始しています。
Global Fintech Fundの第一号投資案件としては、インドネシアの急成長後払い決済事業者、FinAccel Pte Ltd(本社:シンガポール CEO:Ashkay Garg)への出資が公表されています。
主な投資先は、メルカリ、マネーフォワード、ラクスル、ChatWorkなどが挙げられます。
2018年6月には、ニッセイキャピタルおよび複数の個人投資家と共同での第三者割当増資により、TradFit株式会社へ総額7,300万円の投資をしています。
TradFit株式会社はニッセイ・キャピタルが運営するアクセラレーション・プログラム「50M PROGRAM ニッセイアクセラレーション」の継続支援先として採択された、音声データプラットフォームを構築する企業です。
2015年4月には、単独での第三者割当増資により、ChatWork株式会社へ3億円の投資をしています。
画像出典元:「NTTドコモベンチャーズ」公式HP
言わずと知れたNTTドコモのCVCです。NTTグループの「スタートアップ・ベンチャーコミュニティとの総合窓口」という役割を持っており、ベンチャー企業との協力環境や体制づくりをしています。
投資領域はFintech、IoT、ヘルスケアなど、ドコモとシナジーが期待できるITテクノロジーを活かした事業への投資が行われています。
また、「イノベーションビレッジ」というプログラムを実施しており、事業成長の支援やコミュニティ、イベントの提供を行っている点が特徴です。
主な投資先は、GA Technologies、ジモティー、トレタ、電脳交通などが挙げられます。
2018年6月には、JapanTaxi株式会社、株式会社ブロードバンドタワーと共同での第三者割当増資により、株式会社電脳交通へ約1.5億円の投資をしています。
電脳交通は、「クラウド型タクシー配車システム」を開発・提供している会社です。NTTドコモは地方公共交通事業を、電脳交通と協業で取り組んでいくと公表しています。
画像出典元:「Salesforce Ventures」公式HP
SaaSビジネスに関する圧倒的なノウハウを持っており、それを活かした支援が最大の強みと言えます。SaaSビジネスに取り組む企業であれば、的確なアドバイスやSalesforceとの連携が得られることは大きなメリットとなるでしょう。
2017年には新たに1億ドル規模のSalesforce Platform Fundが設立され、投資活動の拡大が進んでいます。
主な投資先は、ウフル、SanSan、freee、チームスピリット、などが挙げられます。
2018年8月1日には、ソフトバンク、NECと共同での第三者割当増資によって、株式会社ウフルへの投資をしています。日経新聞によれば、総調達額は10億円強とされかなりの大型投資であったと予想されます。
株式会社ウフルは2006年設立、資本金10億円を超えるIoTオーケストレーションサービス「enebular」を開発する企業です。2018年6月にはソフトバンクとの資本・業務提携が発表されました。現在は非上場です。
画像出典元:「31VENTURES」公式HP
グローバルブレインの運営するファンドを組成しており、三井不動産グループとのシナジーが高い事業の発掘・育成・支援を行っています。
三井不動産との協業が見込める企業に対しては、三井不動産が直接投資へ発展する場合もあります。
投資領域としては、インターネット技術と不動産などのリアルなサービスをつなぐ事業への投資が多い傾向にあります。対象ステージはレートステージが中心となっています。
主な投資先は、クリューシステムズ、リビングスタイル、ライフロボティクス、などが挙げられます。
2018年8月には、グローバル・ブレインの運用で、楽天ベンチャーズ、YJ キャピタル、みずほキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルと共同で、株式会社おかんへ総額7億円の投資に参加しています。
なお、グローバル・ブレインについてはグローバル・ブレイン単独ファンド(6号投資事業有限責任組合)と31VENTURES Global Innovation Fund 1号からそれぞれ出資をしています。
※外部サイトのStartupListに飛びます
これだけ多くのCVCがあることからも分かるように、投資家探しは起業家にとって大きな負担になります。
そこで、最適な投資家探しにはスタートアップリスト(Startup List)を開発しました。スタートアップリスト(Startup List)は国内最大の起業家・投資家のコミュニケーションプラットフォームです。より平たくいえば、日本版エンジェルリストです。
起業家は投資家の比較・検討・連絡に使うことができます。また、事業会社も多く登録されているので、連携・営業先の開拓にも利用することができます。
現在、登録済のベンチャー企業は2,600社、投資家数は900名以上にのぼります。
アクセラレーターとは、既にある企業の成長を「加速する」という名の通り、期間限定(3~6ヶ月)でのプログラムによって、ベンチャー企業の成長を一気に加速させる企業のことを言います。
事業会社の行うアクセラレータープログラムでは、事業会社のコア技術を活用したビジネスを募集していることが多くあります。
成果次第で、CVCからの出資を受けたり、事業提携に繋がっていく可能性があります。
画像出典元:「KDDI∞Labo」公式HP
KDDI∞Labo ( KDDIムゲンLabo )はKDDIの行っているアクセラレータープログラムです。採択後、様々な支援を受けながら約5ヶ月間かけて実証試験を行い、その結果を評価します。
評価によっては、KDDIとの事業提携や、KDDI Open Innovation Fundなどからの資金援助、場合によってはプログラムの延長などが検討されるそうです。
受けられる支援として、5G通信の実証試験環境や、各分野の専門家によるアドバイス、オフィススペースなどを得ることができます。
対象事業は、主に5G技術を活かした事業としており、ロボティクス、XR、IoT、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、ドローンなどを主な領域としています。
過去のプログラム採択企業として、エウレカ(Pairs)、BearTail(Dr. Wallet)、giftee、などが挙げれられます。
画像出典元:「東急アクセラレータープログラム」公式HP
東急アクセラレートプログラムは東急電鉄の行っているアクセラレータープログラムです。
審査を通過した企業は、東急グループのリソースを利用してテストマーケティングを行うことができます。その結果をもとに、業務提携や投資が判断されます。
対象領域は、交通、物流、不動産、建築、百貨店、広告、旅行、エンタメ、ヘルスケア、教育など、リアルビジネスが多い傾向にあります。
対象企業のステージは、テストマーケティングが出来るように原則サービスローンチ後となっています。
過去のプログラム採択企業として、リノベる、MAMORIO、IROYA、などが挙げられます。
なお、通常のVCに関しての一覧もまとめてありますので、こちらの記事も参考にしてください。
ご覧いただいたように現在は膨大な数のCVCが存在します。投資専門の通常のVCや、エンジェル投資家という選択肢もある中で、最適な投資家を探すためにはどうしたらよいのでしょうか?
投資家もまた膨大な起業家から投資先を探しています。そのため、信頼関係のある知り合いからの紹介は効果的なアプローチの1つです。
自身の事業を理解してくれる方ならば、最適な投資家を紹介してくれるでしょう。逆に、アプローチしたい投資家がいれば知り合いに紹介をお願いすることも有効です。
ピッチイベントやビジネスコンテストに登壇して、投資家に注目してもらうことも有効です。ただし、自身の事業をピッチする実力は不可欠ですし、狭き門であることも理解しなくてはなりません。
資金調達はタイミングも重要ですし、起業家にとっては時間は貴重ですから、時間をかけて準備したにも関わらず成果が出ないリスクを認識しましょう。
やるからには全力で臨み、大きな注目を獲得することを目指すべきです。
多忙を極める起業家の方々にとって、自社に最適な投資家を見つけ出し、比較・検討するのは大きな負担となります。
スタートアップリスト(Startup List)を利用すれば、VC、CVC、エンジェル投資家を含む投資家のリストを一覧で見ることが出来ます。
起業家が最小限の負担で資金調達を達成し、事業推進に注力するためのサービスです。
事業がある程度成功してさらなる規模拡大を考えた時、大企業の資金やネットワークは大きな助けとなります。
近年は爆発的にCVCが増えていますから、ご自身の事業領域に近い大企業が投資先を探していないかチェックしてみると良いと思います!
その際、当記事一覧をお役立てください。
また、事業会社のアクセラレータプログラムの中には、創業からビジネス拡大までを一気に加速させてくれるものもあります。
特にコア技術を持っている起業家の方などは歓迎されやすいですから、シナジーのありそうなCVC・アクセラレータとの接点を持ってみましょう!
▼参考記事:VCの仕組み・ビジネスモデル
画像出典元:Pexels