MBO(目標管理制度)とは|基礎知識・メリット・運用方法・OKRとの違いなど

MBO(目標管理制度)とは|基礎知識・メリット・運用方法・OKRとの違いなど

記事更新日: 2020/09/04

執筆: 西 郁哉

皆さんはMBOという用語をご存知でしょうか。

コーポレート・ガバナンスの文脈で使われるとManagement Buy-Outの略となりますが、ここでは、目標管理制度としてのMBOManagement By Objectiveをご紹介します。

MBOは、日本では比較的馴染みのある目標管理制度ですが、その本質的な意味や目的、運用方法までは理解できていない方が数多くいらっしゃいます。

確かに、MBOは企業の業績向上に対して非常に効果的なツールではありますが、正しく運用しなければ、むしろ社員のパフォーマンスが低下する可能性すらあるのです。

ですので、この記事を読んで、是非とも正しくMBOの運用をしていただければと思います。

MBOとは何か?

MBOの意味

MBOとは、先ほど書いた通り、Management By Objectiveの略で、直訳すると「目標による管理」となり、一般には目標管理制度と呼ばれます。

一見すると、単なるノルマ管理制度のような印象を与えますが、実際にはそうではありません。

MBOの重要なポイントは、社員一人一人が自分の目標を自主的に決定するという点です。

当然、全社的な目標との擦り合わせは行いますが、基本的にはボトムアップでの目標設定を行うため、トップダウンで各社員にノルマを割り当てるようなノルマ管理のあり方とは大きく異なります。

この特徴によって、社員の「やらされてる感」が軽減し、組織やプロジェクトへの参加意識が高まることで、一人一人の意欲的な働きが期待できるのです。

つまり、ノルマで社員を管理するのではなく、社員の自律性を生かしてモチベーションを引き出すことがMBOの本質と言えます。

MBOの起源

MBOは、日本でも著名な経営学者のピーター・ドラッカーが、1954年に刊行された著書『現代の経営』で、「Management By Objectives and Self Control(目標と自己統制による管理)」として初めて紹介されました。

ドラッカー曰く、「目標管理の最大の利点は、支配によるマネジメントを自己管理によるマネジメントに置き換えることにある」とのことで、やはり目標をボトムアップで設定することを重視していることがわかります。

そのようにすることで、部下のモチベーションを高め、生産性を向上させられると考えられたのです。

その後、1960年代頃から日本にも入ってきたMBOですが、特に現在の日本においては、MBOが単なる社員の成績評価ツールとしてしか捉えられていない傾向があります。

そうではなくて、そもそもは、社員の自律性を刺激することで生産性を高めることを志向した制度であることは認識しておくべきでしょう。

MBOの3つの目的

 

MBOは、人事評価制度であると同時に、課題達成を目指すツールであり、その上で、組織の生産性を向上させることが志向されます。

そのため、MBOを運用する際には、これらの3つの目的をどれだけ重く見るかのバランスをとることが非常に重要です。

それぞれどのようなポイントに気をつけるべきなのか、確認しておきましょう。

目的1:社員のモチベーション向上

これは、ここまで述べてきた通りで、どれだけ社員に寄り添ってやる気を引き出すのかということです。

このベクトルを強くするためには、社員にどんな意思があり、どんなキャリアプランを持っているのかなどを把握し、個人の目標と組織の目標を近づける努力が必要です。

そうなると当然、社員との密なコミュニケーションが求められるので、これによる多大なコミュニケーションコストと社員のモチベーション向上がトレードオフの関係にあることは理解しなければなりません。

また、個人の希望を重く見すぎると、組織の目標との整合性がとりにくくなるケースもあるので、そこも注意が必要です。

一方で、現場はそういった企業が多い気がしますが、上司と部下のコミュニケーションが不十分になると、MBOは単なるノルマ管理制度に成り下がるということは、忘れてはなりません。

目的2:人事評価

MBOは、人事的な評価基準としてのツールなので、期首に立てた目標の期末での達成率に応じて報酬が決定されることになります。

要するに成果主義的な人事制度を敷くことになるので、これによるメリット・デメリットが多くあることは押さえておくべきです。

特に、社員に目標達成への強烈なインセンティブが与えられることの効果は非常に大きく、例えば、社員が自らスキルアップに努めるようになることがある一方で、社員同士の友好的な協力が阻害される可能性も否めません。

ここ最近の日本では、伝統的な年功序列制度を非難し、成果主義的な人事制度を礼賛するような潮流がありますが、そのような欧米的な人事制度もまた一長一短なのです。

 

目的3:全社的目標の達成

MBOが社員一人一人の意向を汲む制度であるとはいえ、個人の目標が全社的な業績目標と一貫性を持つことは必要不可欠です。

なので、個人目標は全社的目標をブレイクダウンしたものである必要があります。

実際、先述のドラッカーは著書の中で、「目標は、上位部門(経営者・管理者)の目標をもとに設定しなければならない」としています。

いくら社員のモチベーション向上が目的にあるとはいえ、個人の働きが企業の利益に繋がっていないのでは話になりません。

そのような意味で、MBOがボトムアップとトップダウンの合わせ技になるという意識は持っておくべきでしょう。

MBOの運用方法

MBO運用の流れ

MBOの実際のおおまかな流れは以上のようになっています。

基本的には、一般的なPDCAサイクルと同様の流れを辿ることとなります。

普通のPDCAサイクルとの相違点としては、部下が立てた目標を、上司合意の下で文書化する必要があるということです。

例えば、営業マンの目標であれば、「売り上げ50万達成」「後輩を教育し売り上げ20万増加」など、期末に評価できるような目標を立て、上司が全社的目標と合致することを確認し、文書として残します。

また、個人目標は全社的目標と結びついているので、個人目標の達成度評価を踏まえ、全社的目標の達成度も確認し、再評価する必要があります。

後にも説明しますが、この辺りの構造はOKRとも非常に近いものがあると言えます。

MBO運用のポイント

まず、繰り返しになりますが、目標設定のフェーズでは、密なコミュニケーションを心がけ、組織の目標と個人の目標をしっかりとすり合わせることが肝要です。

MBOはルーティン化して単なるノルマ管理と化すことが非常に多いので、くれぐれも気をつけましょう。

また、目標設定の際には、SMARTという基本原則を守るように心がけましょう。

SMARTとは、以下の5条件のことを指します。

●Specific:具体的に

●Measurable:測定可能な

●Achievable:達成可能な

●Related:経営目標に関連した

●Time-bound:時間制約がある

これらを満たすことによって、自分ごととして意識しやすく、全社的目標にも繋がる、有効な個人目標が立てられます。

MBOのメリット

メリット1:社員のモチベーションが上がる

これはもう散々取り上げてきたことですが、やはり最大のメリットは、自主的に目標を定めることで、社員のモチベーションが高まることにあります。

実際、人間は自らの興味・関心に動機づけられているときの方が活動のパフォーマンスが高まるということが、心理学の実験によって証明されています。

実感から考えても、押し付けられたノルマより、自分で立てた目標の方がやる気が湧くことは言うまでもないでしょう。

メリット2:人材育成に効果がある

自分で目標を立てて、達成のために業務管理を自主的に行うことは、すなわちPDCAを回していくことに他なりません。

そのサイクルを回していく中で、仮説検証を繰り返し、その精度を高めていくことが成長につながることは多くの人が認めるところだと思います。

また、上司と密なコミュニケーションを取るという経験も成長に貢献します。

これらによって、「コミュニケーション力」「情報収集力」「課題発見力」「仮説設計力」「自己管理力」など、様々な能力が向上し、人材育成に繋がっていくのです。

メリット3:評価プロセスに透明性がある

MBOでは、自分で設定した目標に対する成果を評価されるため、人事評価の基準が明快なものとなります

また、押し付けられた目標ではないので、結果として与えられる報酬に納得感があるというのも、大きなメリットとなります。

MBOのデメリット

デメリット1:ノルマ管理に堕しやすい

これも繰り返しになりますが、上司と部下の密なコミュニケーションが失われればMBO上司が組織目標を細分化した個人目標を部下に押し付けるだけの、単なるノルマ管理に堕することになります。

日々の業務に忙殺され、上司と部下のコミュニケーションが取りにくくなることは往々にしてありますが、そうすれば、お互いに納得感のない目標設定が行われる危険性があるのです。

しかし一方で、こうして評価者に大きな負担がかかってしまう点も、デメリットの一つとなってしまっています。

デメリット2:環境の変化などに対応しにくい

一般に、MBO半年か1年周期でサイクルを回すため、少なくともその間は一定の目標に対して取り組むことになります。

ですが、VUCAの時代と言われるこのご時世、環境の変化に合わせて柔軟に目標を変化させることが求められるため、MBOの目標更新速度では外部環境において行かれる危険性があります。

この点は、MBOが人事評価のツールであるゆえの弱点とも言えるでしょう。

ちなみに、後述しますが、この点もクリアしたのが、OKRという目標管理ツールです。

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デメリット3:個人主義が助長されチームワークが低下する

これは先述した、成果主義的な人事制度である故のデメリットです。

MBOの枠組みで各社員が目標を立てると、一人一人に別々の金銭的インセンティブが発生することになります。

これによって、人間尊重的な価値観が欠落し、組織としての活動に支障をきたすことがあるというのは、一般に指摘されるところです。

MBOとOKRの違い

MBOOKRの違いをまとめたのが上図です。

実はこの両者は、全社戦略を個人目標にブレイクダウンしたものであるという点ではほぼ共通しています。

ただ、大きく異なるのが、MBO本質的に人事評価制度ですが、OKRは人事評価には一切使わず、あくまで生産性向上のためのフレームワークであるという点です。

そのため、個人目標は報酬に直結していないので、一人一人の目標も全社的に共有されることとなります。

また、いちいち人事評価を下さないこともあり、OKRの方が見直す頻度も多くなります。

このように、OKRMBOが人事評価であるが故のデメリットを排除したものであると言えます。

さらに、MBOの場合、目標達成度が報酬に繋がるため、必然的に期待水準は100%になりますが、OKRはあくまで期待目標なので、個人目標にストレッチを効かせることができるのです。

これによって、まさに月面着陸のような偉大な功績、いわゆるムーンショットが達成されることとなります。

OKRについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。

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MBOとKPIの違い

MBOKPIは、そもそも根本的に違うので、横並びで比べられるものではありません。

MBOが本質的には人事評価制度なのに対し、KPI目標達成度を経過観察するための指標です。

例えば、営業マンがMBOの一貫で立てた目標が、売上に関するものだったとしましょう。

この時、目標の売上達成度を逐一確認するための指標として、テレアポの件数商談の成約率を指標として見ていくことになったとすれば、これらの継続的に参照する数字KPIに当たります。

マクロな視点で見れば、KGIを定め、KFSを選定し、KPIを立てるというプロセスの構造は、MBOやOKRと共通するところとも言えるでしょう。

KPIについて、詳しくは以下の記事をご参照ください。

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おすすめの目標管理ツール3選

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画像出典元:「HRBrain」公式HP

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2.  導入企業3,000社!『あしたのクラウド(旧コンピテンシークラウド)』

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料金プラン

導入費用・運用費用は導入環境や利用規模により異なります。無料資料をご参照ください。

 



3. 社員のパフォーマンスを1分で分析!『タレントパレット』

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料金プラン

利用料金は企業の規模により異なります。

 

 

今回紹介したサービス以外の目標管理ツールはこちらの記事で比較紹介しています。導入を検討されている方はこちらも参考にしてください。

 

まとめ

以上、MBOについて詳しくまとめてきました。

これまで見てきた通り、MBOは正しく運用されてこそ、その真価を発揮します。

みなさんも、密なコミュニケーションに基づいたMBOの実践に努めましょう。

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