【例文あり】目標管理シートの書き方を職種別で解説!

【例文あり】目標管理シートの書き方を職種別で解説!

記事更新日: 2024/04/25

執筆: 高浪健司

日本でもMBO(目標管理制度)の導入が進み、今や目標管理シートの作成は欠かせないものとなっています。

しかし、目標管理シートが何のためにあるのかわからない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、目標管理シートの目的やメリット、具体的な職種別の目標管理シートの書き方を紹介します。

目標管理シートを効果的に活用したい方はぜひチェックしてください。

 

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目標管理シートとは

目標管理シートの作成は、より公平で納得のいく評価にもつながります。

まずは効果的な目標管理シートを作成するために、目標管理シートの定義と目的を解説します。

目標管理シートとは何か

目標管理シートは、マネジメントで有名なピーター・ドラッカーが提唱した目標管理制度(MBO:Management By Objectives)の手法に基づいています。

MBOでは、組織や個人が達成すべき目標を明らかにし、目標達成のための具体的なアクションを計画、実行することが重視されます。

目標管理シートは、このMBOの手法に基づいて、目標の設定、進捗状況の確認、評価などをするためのツールとして活用されます。

目標管理シートは、Excelやスプレッドシートで作成できますが、目標設定機能や目標管理に特化した目標管理ツールを使うと便利かもしれません。

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目標管理シートを使う目的

目標管理シートを何のために書くのかがわかれば、目標管理シート作成の意欲も高まるでしょう。

目標管理シートを使う目的はおもに3つあります。

  • 目標を具体的にする
  • 自身の現状を把握する
  • 自身の成果を確認する

目標を具体的にする

目標管理シートは、目標を具体的な行動や数値に落とし込むサポートをしてくれます。

抽象的な目標を具体的な行動やタスクにすることで、目標達成までのプロセスがはっきりします。

自身の現状を把握する

目標管理シートに現状や進捗を記録すると自身を客観視でき、目標達成に向けた次のステップを考えられます。

自身の成果を確認する

目標を明確にしておけば、何が目標を達成できて、何ができなかったかが一目でわかります。

よい結果はそのまま評価につながりますし、たとえ結果が出なかったとしても今後の改善点や学びを見つけられます。

目標管理シートを使う目的

目標管理シートを使う目的は、従業員1人ひとりが目標を設定し、達成までのプロセスを客観的に管理するためです。 

目標管理シートを使うことで、以下の効果が期待できます。

  • 業務に関する進捗状況が把握しやすくなる
  • 組織の方向性と従業員の目標を一致させることができる
  • 目標の達成度やそれに至るまでのプロセスを正当に評価することができる
  • 目標を明言することで自発的な行動を促すことができ、業務効率化やモチベーションの維持向上につなげられる


設定した目標の意識づけや、業務の進捗状況を適切に把握・管理するためには、目標管理シートの導入が有効です。

目標設定に使えるフレームワーク

では、実際にどのような目標をどのように設定すればいいのでしょう。

ここでは、スムーズに目標管理シートを作成できる目標設定に効果的な3つのフレームワークを紹介します。

ベーシック法

ベーシック法は、わかりやすい基本となる目標設定の方法です。

以下の4つのステップで具体的な目標を立てます。

  • STEP1 目標を設定する
  • STEP2 目標達成の基準を具体化する
  • STEP3 目標を達成する期限を決める
  • STEP4 目標達成までのプロセスを言語化する

たとえば、次のような目標を立てることができます。

目標項目:新規顧客獲得数の増加

達成基準:前月の新規顧客獲得数を10%以上増やす

期限:次の四半期の終わりまでに目標を達成する

達成計画:ウェブサイトの改善とSEO対策を実施し、新しいリードジェネレーションキャンペーンを展開する

このように、ベーシック法はとてもシンプルですが、複雑な目標には対応しにくいのがデメリットです。

ランクアップ法

ランクアップ法は、背伸びをしてがんばらないと手の届かない「ストレッチ目標」を設定するための方法です。

目標の切り口は以下の6つです。

  • 改善:現状の問題や課題を改善する目標
  • 代行:自分よりも能力やスキルがある人の仕事を代行する目標
  • 研究:新しいあるテーマについて研究する目標
  • 多能化:新たなスキルや知識の習得する目標
  • ノウハウの普及:自身のスキルをほかの人に伝える目標
  • プロ化:自身のスキルや知識をプロレベルにする目標

ランクアップ法はベーシック法と組み合わせることで、よりクオリティの高い目標を立てられます。

SMARTの法則

SMARTの法則はジョージ・T・ドランが提唱した法則で、5つの単語の頭文字を取ったものです。

次の5つの切り口から目標を細分化し、効果的で実現できる可能性の高い目標を設定する方法です。

  • Specific(具体的な)
  • Measurable(測定可能な)
  • Assignable(実現可能な)
  • Realistic(現実的な)
  • Time-bound(期限が明確な)

SMARTの法則は目標設定の要素を細分化するため、市場環境や顧客のニーズがめまぐるしく変化する時代に古い手法との声もあります。

しかし、現実的に達成できる目標を立てることで、従業員のモチベーションアップが期待できます。

目標管理シートの書き方5ステップ

目標管理シートの書き方に関しては、企業によってさまざまです。 

作成する際は、Excel、Word、Webツールなど、形式は問いません。 

以下は、目標管理シートに記載すべき基本的事項です。 

シートを作成する際に盛り込むと良いでしょう。

1.具体的な業務目標

まず達成すべき目標を記載します。 

目標の設定は、目標管理シートを作成するうえで、もっとも重要な項目です。 

目標を記載する際は、言葉にくわえて具体的な数値を明記すると、より明確化されブレにくくなります。 

目標は複数記入しても良いですが、複数ある場合は3つ程度にするのが望ましいです。 

あまり多すぎると、どの目標も達成できないなど、中途半端になってしまう可能性が高くなります。

2.目標達成までの計画

次に、目標を達成するための具体的なプロセスを記載します。 

達成に向けてどのような行動をし、いつまでに達成するかを明確に記載しましょう。 

達成期間の設定は、長すぎず短すぎず、「数ヵ月もしくは1年間」とするのがポイントです。

3.評価基準

目標の達成につなげるためには、評価基準を設けることも重要です。 

評価基準が明確に定められていると、目標達成の原動力を与える効果があるほか、評価するための材料にもなります。 

評価基準は、設定した目標に対して「A・B・C・D」など、段階にわけると評価しやすいでしょう。

たとえば、「新規受注獲得件数/半年で100件」といった目標設定にした場合を例にあげます。

  • 半年で獲得数150件の場合:A
  • 半年で獲得数100件の場合:B
  • 半年で獲得数50件以下の場合:C

といった具合に、評価基準をランク形式にすると良いでしょう。

4.振り返り

設定した目標に対し、どのくらい達成できたのか、評価基準をもとに評価し、結果を記入します。

このとき、達成結果だけを記入するのではなく、結果にいたるまでの具体的なプロセス(振り返り)についても記入するようにしましょう。 

自身の行動を振り返ることで、改善すべき問題点が明確になり、次の業務へと生かせます。 

目標が達成できなかった場合は、達成できなかった理由にくわえ、達成のためにどのような行動をすべきか、自身の考えを記入しましょう。 

設定した目標に対する「振り返り」はとても大切です。

5.フィードバック

最後に、上長が自由にフィードバックができる欄を用意しましょう。 

上長からのフィードバックは、客観的意見として次の目標設定に生かすことができます。 

またモチベーションやパフォーマンスの維持向上、人材育成などにも有効です。 

フィードバックの質は、業務の質に大きく関係します。

的はずれにならないよう、数値だけにたよらず、経験や数値に反映されない部分も把握し、適切なフィードバックを心がけましょう。

【職種別】目標管理シートの書き方例

業種によって目標を設定するポイントは異なるので、代表的な6つの業種を例に挙げて書き方の見本を紹介していきます。

慣れるまでに時間がかかるかもしれませんが、書き方のポイントがわかれば難しくありません。

営業

営業職は、毎月の売上や成約件数、成約率などを数値目標にできる職種です。

何をどのようにすれば数値目標を達成できるかを考え、行動目標を具体的にしましょう。

数値目標 具体的な行動目標
前月比で売上を10%増加させる 1日の商談件数を3件から5件に増やす
成約率を5%向上させる 週1回、チームミーティングを行い、提案資料やプレゼンテーションの品質を向上させる
月に新規顧客を5件獲得する 毎日30分、新規顧客リストの追加と営業戦略を立てるための情報を収集する

 事務

事務職では、営業職と違って数値目標を立てにくい職種ですが、業務効率を向上させるための具体的な取り組みを目標に行動計画を立てるとよいでしょう。

具体的な目標 具体的な行動目標
特定の業務の処理時間を前年比10%短縮する 毎朝、チームメンバーとタスクを共有・分担する
書類を整理し、保管スペースを30%削減する 1日に15分、可能な書類はスキャンしてデジタル化する
業務に必要なスキルや知識を習得する 月に1回のペースでチームの勉強会を開く

技術職(ITエンジニア職)

エンジニア職は、数値目標が設定しにくい職種ですが、代わりにスキル向上やプロジェクトへの貢献度、工数削減などで、より具体的で達成可能な目標を立てるとよいでしょう。

具体的な目標 具体的な行動目標
新しいプログラミング言語を習得する 毎日1時間のプログラミング学習を行う
バグの発生率を10%にとどめる エラーチェックを3ヶ月ごとに行う
プロジェクトの工数を現在の20%削減する 週1回のミーティングで作業の中断や待ち時間を減らす

企画・マーケティング職

企画・マーケティング職も営業職と同じで、売上やユーザーの反応などを数値目標にしやすい職種です。

SNSの運用を目標にする場合は、自社が掲げる目標と照らし合わせて適切な目標設定を行いましょう。

具体的な目標 具体的な行動目標
Instagramのフォロワー数を半年で1万人から2万人にする ・毎週新しいコンテンツを投稿する
・インフルエンサーとのコラボを開始する
ウェブサイトからの購入率を現状から20%増やす 3ヶ月以内に商品ページやカートページのレイアウトやデザインを最適化する
LINEの友だち登録を月に50人増やす 無料スタンププレゼントなどのキャンペーンを隔月で行う

サービス職

サービス職の目標管理シートでは、顧客の満足度やサービス品質の向上、問い合わせやクレームといった問題解決能力の向上などを具体的な目標として設定します。

具体的な目標 具体的な行動目標
顧客からのクレーム件数を50%減らす サービス提供の質を向上させるためのトレーニングを月に1回行う
サービス品質アンケートの回答「とてもよい・よい」を全体の80%にする アンケート結果を定期的に分析し、改善点についてのミーティングを毎月行う
顧客からの問い合わせやクレーム解決までの時間を50%短縮する 顧客対応のマニュアルを1ヶ月以内に見直し、より効果的なプロセスを整備する

管理職

管理職の目標管理シートでは、チームのモチベーションや業績の向上などを具体的な目標として設定します。

個人よりもチームや部署全体で目標をどのように達成するかを判断基準にするとよいでしょう。

数値目標 具体的な行動目標
チームメンバーの満足度を向上させる 月に1回30分の1on1ミーティングで、コミュニケーションを取る
前年比売上を10%増やす 毎朝10分、メンバーの進捗確認を行い、営業活動をフォローする
部署内での情報共有と協力関係を促進する 月1回のペースで部署内で情報交換ミーティングを行い、ノウハウを共有する

 

目標管理シート【テンプレート】

目標管理シートに盛り込むべき基本的な項目のテンプレートです。

以下のテンプレートを参考に、自社にあった目標管理シートを作成してみてください。

 

目標管理シート作成3つの失敗例

目標管理シートの作成は、やり方を間違えると失敗に終わってしまうことがあります。

ここでは、目標管理シートの作成でやってしまいがちな失敗例を3つ紹介しますので、作成する際、よく確認するようにしてください。

1.目標の数が多すぎる

目標の数が明らかに多いのは、失敗につながる可能性が高いといえます。 

前述のとおり、目標が多すぎるとすべてが中途半端になり、どの目標も達成できなくなる可能性があるからです。 

ほかにも、目標達成までのプロセスが煩雑化するという問題があります。 

目標は優先順位を決め、上位3つ程度に絞るようにしましょう。

2.方向性のすり合わせ不足

上長と部下との間で認識や方向性にズレが生じていると、モチベーションの低下につながります。 

モチベーションの低下は、目標達成を妨げる原因となるため、コミュニケーションをよく取り、互いの認識を一致させることが大切です。 

また実力に対して目標のハードルが高すぎる、あるいは低すぎる、こうした極端な目標設定も避けるべきでしょう。 

ハードルが高すぎるとモチベーションの低下につながり、逆に低すぎると成長につながりません。 

適切な目標設定を行うため、設定する目標の理由や背景など、十分に認識し合うことが重要です。

3.ノルマ化してしまう

目標管理がノルマ化してしまうのも、失敗する要因のひとつです。

部下の意見を尊重し成長につなげる

会社側が一方的に決めてしまうノルマは、義務感によるモチベーションの低下や、指示待ちの従業員を増やす可能性もあります。 

そもそも目標管理制度は、上長と協同しながら目標を設定し、目標達成に向けたプロセスを適切に管理するものです。 

部下の意見を尊重しながら、成長を実感できる目標設定を行いましょう。

人事評価に連動させすぎない

目標が人事評価に連動しすぎるのも良くありません。 

評価ばかり気にしてしまい、積極的に業務を行うことができなくなるからです。 

昇進・昇格・昇給など、人事評価に影響する部分をできるだけ減らし、モチベーションアップにつながる目標設定を心がけましょう。

目標管理シートを導入するメリット

有効な目標管理シートを有効に作成するイメージはつきましたか?

最後に、目標設定シートを導入するメリットを3つ紹介します。

モチベーションの向上

自らが設定した目標に向かって努力することで、やりがいや達成感を感じられるでしょう。

また、目標管理シートをもとにした人事評価は、公平かつ納得のいく評価が可能となり、従業員のモチベーションの向上にもつながります。

現状把握ができる

目標管理シートでは、どのような目標に取り組んでいるのか、進捗はどの程度かが一目でわかるため、目標に向かって計画的に行動ができるようになります。

評価をしやすくなる

評価者は、目標管理シートにある具体的な目標や達成度の記録によって、客観的な評価をしやすくなります。

また、従業員と評価者が目標や評価基準を共有できるため、従業員と評価者とのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。

人事評価制度について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

まとめ

目標管理シートは、目標管理制度(MBO)に基づき、従業員の目標や成果を管理するためのシートです。

目標管理シートを導入することで、おもに以下の効果が期待できます。

  • 目標達成における進捗状況の把握
  • 目標に対する会社と従業員の方向性を一致させる
  • 目標達成までのプロセスや達成度などに関する正当な評価
  • 業務効率化やモチベーションの維持向上


目標管理シートを単に作成するだけではなく、プロセスの進捗状況をこまめに確認し、PDCAサイクルを回し続けることが大切です。

目標を適切に設定し管理することは、従業員のモチベーション向上はもちろん、組織活性化につながるなど、企業にとっても大きなプラスとなります。

目標管理シートをうまく活用し、従業員と企業の成長につなげていきましょう。

画像出典元:O-dan、Unsplash

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