リテンションマネジメントとは?人材流出を防ぐ方法と必要性を解説!

リテンションマネジメントとは?人材流出を防ぐ方法と必要性を解説!

記事更新日: 2021/04/27

執筆: 編集部

優秀な人材の流出を防ぐためのリテンションマネジメントは、コロナ禍の今、企業にとってますます重要な取り組みになっています。

リテンションマネジメントとは何か、具体的に誰にどんな施策を行うべきなのか、「新入社員」「若手社員」「リーダ層」の階層別にマトリクスを見ながら効果的な施策をご紹介します!

リテンションマネジメントの導入方法は?

リテンションマネジメントとは

リテンションマネジメントとは、「能力の高い社員を企業に長く定着させ、継続してその能力を発揮することができるようにするための具体的な取り組みのこと」を指します。

少子高齢化、終身雇用の崩壊と共に転職という概念が定着し離職率が高まる日本において、リテンションマネジメントは、人材の流出を防ぐ有効な手段として、様々な企業で導入が進められています。

リテンションマネジメントはそのものが独立した施策として存在しているのではなく、給与・労働環境・教育研修といった様々な側面からなる施策を組み合わせ、社員を長く定着させるという目標を達成していく取り組みになります。

リテンションマネジメントの具体的な施策

では、リテンションマネジメントには、具体的にどのような取り組みがあり、どのように導入すれば効果的なのでしょうか。

2016年に人材大手エンジャパンが、243名の人事担当者に実際に行ったアンケートによれば、リテンションマネジメントとして、以下のような取り組みを行っているという回答を得ています。

リテンションマネジメントとして、社内コミュニケーションの活性化・待遇改善に関する施策を実施している企業が8割、次いで能力開発・教育制度に関する施策を実施している企業が5割という回答となりました。

この結果から、離職を防ぐには社内でのコミュニケーションが必要だと感じている人事が多いことが分かります。

また、その導入した結果、効果を感じた施策に関しては、以下のような回答を得ています。

最も効果的だと感じた施策は、社内コミュニケーションの活性化・待遇改善で約6割、次いで能力開発・教育制度に関しては3割という結果になっています。

上記のアンケート結果からも、リテンションマネジメントは、単純に給与や労働条件を改善することだけではなく、従業員間のコミュニケーションや目指すべきキャリアデザインなど、社員のモチベーションにつながる要素が重要であることがわかります。

参照:第110回 「人材のリテンションについて」|人事、採用、労務の情報ならエン人事のミカタ (en-japan.com)

リテンションマネジメントの導入手順

それでは、具体的にどのようにリテンションマネジメントを導入すればよいのでしょうか。

ステップ1 現状の課題を把握する

まずは、自社の現状を正確に把握し、問題点はどこにあるのかを認識しましょう。

現状把握には、実際の離職率の算出や、社員満足度などのアンケートや個別面談を通して社員の生の声を知ること、また実際に離職した(する)社員からの正確な離職理由のヒアリングなども、有効な手段と言えます。

一般的に、企業で採用されている離職率の計算方法は、一定期間に退職した人数を、起算日に在籍していた人数で割るという方法が取られていますが、その数値は、業界や職種によっても、一概に高い低いとは言えません。

ある程度の目安として参考にすると良いでしょう。
 

ステップ2 課題を可視化し、全社員の共通のミッションとして認識させる

課題が見えてきたら、それを全社員に共有し、改善するための具体的なビジョンを共有します。

会社に対する帰属意識や忠誠心は、そのビジョンに共感してこそ生まれます。

具体的に、それぞれの階層で、今抱えている問題はどんなことか、会社としてその問題にどう取り組んでいこうと思っているかを、明確に示すことにより、社員のモチベーションに大きな変化をもたらすでしょう。

ステップ3 階層別に具体的なリテンションマネジメント施策を実行しよう

それぞれの階層により、抱える悩みや問題は異なります。

以下のマトリクスには、どの会社にもよくある課題を挙げてみました。

どのようなリテンションマネジメントが必要かは、各階層により、共通するものもあれば、異なるものもあります。

たとえば、給与や労働環境の整備は、どの階層にも共通してより現実に根ざしたものを用意する必要があります。

一方各階層ごとに必要とする研修などは異なってきます。

きちんと整理した上で、階層にあった施策に取り組むことでより効果的なリテンションマネジメントを行うことが出来ます。

<階層別リテンションマネジメント>

 

ステップ4 施策導入後の効果測定を行う(社員満足度調査など)

階層別に様々な施策を取り入れたら終わりではありません。

実際に導入した施策は、社員からどのような評価を受けたのか、効果を十分に発揮できているのか、社員満足度調査を通して正確に把握する必要があります

そしてその結果を踏まえ、現在のリテンションマネジメントの問題点は何か、改善すべきところはどこか、再び考察が必要です。

この繰り返しを絶えず行うことで、現状に根ざしたリテンションマネジメントを行うことが可能になります。

リテンションマネジメント事例

企業によってそれぞれ、直面する課題も様々ですが、成功事例をみると、どの会社にも取り入れることが出来そうなものが多くあります。

以下いくつかの成功事例をご紹介したいと思います。

事例1:新入社員向け研修

【業種・企業規模】ITサービス企業・社員900名

【課題】新入社員の3年以内の離職率が高い

【要因】横の繋がりが薄く悩みの共有や一体感がない

【施策】3か月だった新人研修を6か月に延長し、さらにフォローアップ研修として3年間研修を行った

【効果】3年以内の離職が新入社員4,50名に対し3~4名に低下、バラツキのあった能力開発も底上げされた

事例2:社内部活動

【業種・企業規模】グループウェア開発会社・社員650名

【課題】コミュニケーションが著しく低く、離職率も高い

【要因】関わる部署が限定的で接点が少ない

【施策】異なる部署からなる5名以上を部員構成とする社内部活動を発足。年数回の活動報告書の提出など基準をクリアすれば、補助金などが会社から支給される仕組みとした。

【効果】縦横斜めの部署を越えた交流が出来、部署間の円滑な連携を生み出したことにより、離職率が28%から4%に低下し、業務効率も上がった。

事例3:ジョブローテーション制度、定期的な面談制度

【業種・企業規模】IT系ベンチャー・社員100名

【課題】社内調査の結果最も多かった声が「社内の不公平感」。それぞれ目指したいキャリアはあるものの、個人の意思が全く聞き入れてもらえない。

【要因】個々のキャリアプランをヒアリング出来ておらず、キャリアップの機会もなかった。

【施策】定期的な個別面談制度や、ジョブローテーション制度を設け、社員がどのようなキャリアを望むのか、どのようなスキルを構築したいのかを詳細にヒアリングした。

【効果】よりマッチした業務への配置が出来、前年度より2割程度離職率が低下した。

リテンションマネジメントに使えるツール

ここでは、リテンションマネジメントに使えるツールをいくつかご紹介したいと思います。

新入社員向け

・playse. eラーニング(プレイスイーラーニング)

playse. eラーニングは、オンラインで3,000ものレッスンが見放題、新入社員に必要なビジネスマナーやコンプライアンスなどを選んで研修を受講できます。

また、自社教材を使用することも可能で、企業ごとに適した内容にカスタマイズ出来ることも魅力です。

受講状況や受講時間、テスト結果などの一括管理でき、リモートワークの中で研修を行う上でも、非常に利便性が高いものになっています。

有効ID数分の利用料金を支払う形になるので、費用もその都度必要な分だけを支払うことが出来ます。

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若手社員向け

・Well

Wellは、従業員の客観的行動データから組織や従業員のコンディションを可視化するエンプロイサクセスプラットフォームです。

多くの企業で導入されているSlackやTeamsなどのチャットツールと連携可能で、導入が非常に簡単で最短翌日から利用が出来ることもメリットのひとつです。

チャットツールの利用状況などのデータを分析し、個々の抱える問題点などを明らかにし、ソリューションを提供します。

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リーダー層向け

・HR OnBoard

人材大手エンジャパンによる入社者の離職リスク可視化ツールです。

6000社以上の導入実績があり、過去3000社以上で蓄積したデータから退職予兆を分析。

それを基に月1回行う独自のアンケートから、離職リスクを正しく認識し、その後に取るべき推奨アクションも提案してもらえます。

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各階層、各職種、抱える課題は様々で、何か一つの研修を導入することで、全てが解決することはありません。

ご紹介したツールのように、最近ではICTを導入しながら、課題を可視化したり、社員一人一人のスキルと課題を一元管理したり、またシステムを通して双方向のコミュニケーションを取ったりと、より効果的で実用性の高いリテンションマネジメントが必要になっています。

まとめ

会社にとって人材の流出は、コスト面だけでなく、他の社員のモチベーションや業績にまで影響する非常に重要な問題です。

終身雇用制度の崩壊、コロナによって急速に浸透したリモートワークなど、現代の労働環境では、社員のモチベーションやロイヤリティを継続させるのが、益々難しくなっています。

このような環境下で、優秀な人材の流出を防ぎ、長期的に自社へ利益を生み出してもらうためには、リテンションマネジメントの強化はどの企業にとっても急務と言えます。

何か特別な研修を設けたり、莫大な費用をかけて改善しなければならないというよりも、自社の人材の抱える課題を正確に把握し、適切に課題解決に取り組もうとするその姿勢が社員に可視化されていることが重要です。

人材=人財という言葉通り、社員そのものの価値を高めることが、会社の発展にも繋がります。

是非参考にして積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

画像出典元:o-dan

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