10月24日(水)にASAC Batch 8 Demo Dayが開催されました。
ASAC(青山スタートアップアクセラレーションセンター)によるプログラムの第8期生となるベンチャー企業が、それぞれプレゼンを披露しました。
▲プログラムスケジュール(出典:ASACホームページ)
ASACでは社会課題の解決に取り組むシード期のベンチャー企業を対象に、5か月間のアクセラレーションプログラムをを行っています。
大企業やVCなどから構成される約100名のメンターによるアドバイスを受けられるほか、コワーキングスペースや宿泊室などを無料で利用することができます。
これまでにcotreeなど、8期生を含め約80の企業が卒業し、今なお活躍し続けています。
freecleではヒアラブルデバイス(補聴器)「αbleシリーズ」を展開しています。
珍しい症状のように感じる難聴ですが、実は9人に一人と多くの人が苦しんでいます。
しかしこれまでの補聴器は低機能、高コスト、低ユーザビリティという3つの問題から普及率は14%と低い水準でした。
そこでαbleシリーズでは、特定方向以外の音を除去する技術を開発し機能性を向上。にぎやかな場所でも会話に集中できるようになりました。
値段も通常9万円以上するところを、29,800円とお手頃です。
クアッガではパンのお取り寄せサイト「rebake」を運営しています。
食品ロスという問題に焦点を置き、なかでも10%が廃棄されるというパンに注目しました。
rebakeではパン屋から廃棄が出そうなタイミングで発送。
ユーザーには予約購入してもらうことで、お届け日がいつになるかわからない代わりに、少し安く提供しています。
現在、200のパン屋からパンを発送し、1.5万人のユーザーに提供しています。
今後は同じように廃棄が出る食品にも展開していくそうです。
ジーケアではIBD(炎症性腸疾患)、IBS(過敏性腸症候群)患者を対象としたオンラインコミュニティ「Gコミュニティ」を運営しています。
原因不明で完治が難しく、一生、食事やトイレへのストレスを抱えることから「長生きしたくない」と考える患者が多いこの病。
そこで前向きに充実した人生を歩めるよう、専門家や他の患者ともコミュニケーションが取れる環境を提供。
人によって最適な治療法や食事が異なる中で、正しい情報もすぐに入手できることから現在300人以上が登録しています。
Carstayでは、車を通じた旅や暮らしにより人生を豊かにする「VANLIFE」のプラットフォームを提供しています。
東京五輪が開催される2020年、宿泊難民は1000万人にも上ると予測されています。
そんな中、300万台もあるにもかかわらず、95%は使われていないというキャンピングカーをシェアすることでこの問題を解決しようとしています。
またゆくゆくは車を多方面に活用することで、ホテルや病院を不動産から「可動産」にしていきます。
LINKでは介護サポーターマッチングサービス「イチロウ」を運営しています。
介護事業を展開する企業は多く存在するものの、今まで「通院」のサポートはできていませんでした。
しかし通院を必要とする人は介護を受ける人の中の95%。これにより、介護離職は年間10万人にも上っていました。
そこでイチロウでは通院の付き添いを依頼したい家族と介護ヘルパーをマッチングしています。
介護ヘルパーの8割は資格を持っているほか、プロフィールも掲載されているため、ユーザーも安心です。
クルーズといえば富裕層のシニア向けという印象。
しかし1日当たりの旅費を見るとかなりコストパフォーマンスに優れた旅行スタイルです。
そこでクルーズ旅行の魅力を発信するべくwebプラットフォーム「Cruisemans」を運営。
口コミやクルーズ商品の比較・検索などを1か所で見ることができます。
2020年には日本にもクルーズ船のターミナルが開業予定。
さらなる事業拡大を進め、フライトやホテルの最適化にも展開していく予定です。
ブラック企業や過労死という言葉が広まり、今まで以上に従業員の健康管理は重要視されています。
しかしストレスには従業員本人でさえ無自覚なものも。
そこでMILOQSではセルフでストレスケアや耐性向上ができるMOODSWITCHシリーズを展開。
VRやスマホアプリによって自助力を高めていきます。
筑波大学と共同研究していることから信頼度も高いこのサービス。
3月からはストレスケアなどを共有できるオンラインプラットフォームを開設する予定です。
「遠距離の彼女と一緒に映画を見たい」という代表、小島貴之さんの想いを実際にかなえたのがアプリ「ピカブル」です。
互いのスマートフォンを同期することで動画サービスやウェブメディアを同時に楽しむことができます。
一方でSNSの通知や検索履歴は相手には見えないなど、プライバシーも配慮されています。
口コミで話題を呼び、ローンチしてから2日間で1000ユーザーを超えました。
ゆくゆくは複数での消費をデータ化し、ピカブル内で決済ができるようにしていくとのこと。
9lioneは「医薬品の不良在庫」と呼ばれる院内残薬に着目しました。
院内残薬の廃棄には年間7700億以上の費用が掛かるともいわれており、これにより廃業に追い込まれる医療機関が後を絶ちません。
原因は手書きやエクセルで在庫を管理していたために生まれた過剰発注。
そこで9lioneではクラウドで在庫を自動管理し、最適な発注提案を行っています。現在152店舗と提携を結んでいます。
今後は薬以外の医薬品も販売し「医薬品のAmazon」を目指します。
連日、虐待事件が報じられているように、推計で500人の子供が毎年、虐待で命を落としています。
しかしこれを防ぐ児童相談所では、人手不足などの理由により判断の質が落ちている状況です。
そこでAiCANは自治体データを40万件ほど分析し、より効率的に、効果的に判断できるAIソリューションを開発しました。
三重県の自治体に試験導入したところ、自治体の45%から問い合わせが来るなど注目を集めています。
2027年までに虐待を0にすることが目標です。
今回のイベントでは過去に参加した企業からも2社登壇しました。
大手企業がAI人材に対し優遇した採用を行うなど、AIに注目が集まっています。
しかしAIシステムを使いこなせていない、または使おうとしない企業もいまだ多く存在しています。
STANDARDではそのような企業に対し、社内に推進力のあるチームをつくるための人材育成を行っています。
また東大早慶の学生を中心としたプラットフォーム「東大人工知能開発学生団体HAIT」を立ち上げ。
さまざまな角度から「ヒト起点のデジタル変革」を実現させようとしています。
日本は世界各国と比べても睡眠時間が短い国です。
健康に生きるために最低限必要な睡眠時間、7時間にも達していません。
しかし、睡眠不足は生活習慣病の最大要因である他、生産性低下にもつながり軽視できません。
従業員が休職・退職した際にかかるコストも企業には負担となります。
そこでO:は従業員向け睡眠改善アプリ「O:SLEEP」、管理者向け睡眠レポートアプリ「O:REPORT」を開発し、企業の働き方改革や健康経営を支援しています。
今回卒業する8期生の中から1社が選ばれ、サポーター企業賞(AWS、住友不動産、GMOペイメントゲートウェイ)とオーディエンス賞がそれぞれ授与されます。
AWS賞には虐待防止に取り組むAiCANが選ばれました。
社会課題とテクノロジーを組み合わせた事業展開を評価しました。
住友不動産賞には画面共有アプリを提供するピカブルが選ばれました。
複数消費に着目したことから、購入活動に大きな影響を及ぼすと予想。
また力強いピッチに対しても賞賛しました。
GMO PAYMENT GATEWAY賞には、またしてもピカブルが選ばれました。
決済も視野に入れていることから「ここしかないと思った」とコメントしました。
来場者180名の投票によって選ばれたのは、ここでもピカブル!
実際、筆者もプレゼンを見ている間、本当に開いた口がふさがりませんでした。
ピカブルの小島さんは「プログラムに参加した時は起業すらできていなかった。まだスタートしたばかり。今後も真剣に取り組んでいきたい」と話しました。
4つの賞のうち3つも授与されるなど、今後の展開が大きく期待されているピカブル。
もちろん他の企業のプレゼンも素晴らしいものばかりでした。
9期生へのプログラムは11月5日(火)に始動。
どんな成長を見せてくれるのか。次のDemo Dayも楽しみです!
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