海外ビジネス・新規事業を考える、越境ベンチャーズ第1弾『RISE香港2019ツアー』リポート

海外ビジネス・新規事業を考える、越境ベンチャーズ第1弾『RISE香港2019ツアー』リポート

記事更新日: 2019/08/16

執筆: 小松孝之

企業で新規事業・海外事業に関わる方や、海外展開を視野に入れるスタートアップ経営者を対象として、海外テックイベント視察やネットワーキングを行う「越境ベンチャーズ」の第1弾として、『RISE香港2019ツアー』を2019年7月8日から7月12日の日程で行いました(RISE Hong Kongは7月9日~11日まで開催)。

この記事では、ツアーの様子のリポートします。

香港到着

香港は、九龍半島と香港島で構成される1,106(km2)(東京都の約半分)に人口700万人以上が集まっています。

歴史的には、1997年にイギリスから領土返還された後、「一国二制度」の体制のもと特別行政区として運営。

金融や物流等の中心地として世界全域から企業が集まる国際都市・香港は活気にあふれています。

世界最大級のテックイベントをポルトガル・リスボンで運営する『Web Summit』が、そのアジア版であるRISEの開催地として選んだのが香港で、今年5回目の開催を迎えました。

「越境ベンチャーズ・ツアー」一行は香港国際空港の到着ロビーで集合し、香港島の中心部・ワンチャイ(Wan Chai/湾仔)へ向かいます。

『RISE Hong Kong 2019』はワンチャイ駅から九龍湾方面に車で5~10分程の場所にあるHong Kong Convention and Exhibition Centre (HKCEC/香港コンベンション&エキシビジョンセンター)で開催されるので、今回はワンチャイ駅近くのホテルに滞在します。

ワンチャイの西側には高層ビルが立ち並ぶ金融街のCentral(中環)や繁華街のランカイフォン(Lan Kwai Fong/蘭桂坊)と近接しており、東側にはショッピング街のCauseway Bay(銅鑼湾)があります。

ワンチャイ自体、徒歩圏内にローカルフードからお洒落なレストラン、夜景を望むルーフトップバーまで多数存在する便利なエリアです。

1. アジア最大級のテックイベント 『RISE Hong Kong 2019』へ

受付・入場

7月9日朝、全員で集合して会場へ。

グラウンドフロア(余談ですが、香港では地上階をGF、日本でいうところの2階を1Fと呼ぶ欧州式)の入口から入り、エスカレーターで3階へ。

まずRegistration(受付)を済ませます。

参加者は事前にRISE公式アプリをインストールしておき、受付でアプリに表示されるチケットと身分証明書(パスポート)を見せます。

リストバンドと首から下げるネームバッジを受け取って入場するのですが、公式サイトによれば「片方無くすとUSD100、両方無くすとUSD1,629(!)」の再発行手数料がかかるそうなので注意した方が良さそうです。

入場したら、会場の全体像を確認。

センターステージ、ベンチャーステージ、テーマ別ステージの他、ピッチ会場、スタートアップ展示スペース、投資家ラウンジ、メディアラウンジ、パートナーラウンジ等にエリアが分かれています。

「越境ベンチャーズ・ツアー」では、主催者に実施していただいた個別ガイドツアーで、説明を受けながら会場を見て回りました。

RISE期間中、各ステージや展示会場は同時進行でプログラムが行われるので、参加者は各自スケジュール表を見ながら行動計画を立てていきます。

RISEの必需品・公式アプリ

受付からアプリを使ったように、RISE Hong Kongにおいてアプリは必需品です。

「このアプリこそが一つの価値ではないか」という人もいるように、便利な機能が多くあります。

まず、基本的にRISEのスケジュールはアプリで管理していきます。

全ステージのスケジュールと内容が閲覧可能で、自分が参加予定のセッションをMy schedule(RISE期間中のカレンダー機能)に追加することでオリジナルのタイムスケジュールが出来上がります。

また、ネットワーキング志向のイベントということもあり、スピーカーを含めた参加者のプロフィールが閲覧可能で、技術的には全員とチャットが可能です。

プロフィールには職種・会社名・ポジション・関心のある分野を登録するので、例えば「他の国で同業の状況はどうか?」といったトピックについて会場内の参加者と連絡を取り合ったり、実際に会って議論することも出来ます。

参加者同士がオンライン・オフラインで繋がる設計がなされています。

世界各国のCXOが集まる豪華なスピーカー

主催者発表によると、今年のRISEのスピーカーは総勢385人で、世界の著名企業のCEOを始め、多くのCXOが登壇しました。

日本からは、7月9日に資生堂の代表取締役社長兼CEO魚谷氏がセンターステージに登壇、7月10日にはLINE Financialの代表取締役社長CEO齋藤氏が登壇されました。

Air Asia CEO Tony Fernandes氏、UBER CTO Thuan Pham氏、カールスバーグのChief Commercial Officer Jessica Spence氏、等様々なセッションが行われました。

地元香港ベースの企業では、キャセイ・パシフィックのChief Customer & Commercial OfficerであるPaul Loo氏や、香港発のユニコーン・スタートアップ GOGOVANのCo-founder & CEO Steven Lam氏等が登壇。人気セッションでは多くの立ち見が出、またセッション入れ替わりの際には急いで席を取ろうとする人も多数でした。

お目当てのセッションをどうしても前方の席で聴きたい場合には、前のセッションから着席しておくのも一手かもしれません。

ピッチイベント

ピッチイベントは、Alphaプログラム等に参加するスタートアップの中から約10~20%が選出され、RISEのピッチに登壇します。

7月9日にピッチステージにてグループラウンドが1~7まで行われた後、10日にセミファイナル、11日に決勝がセンターステージで行われました。

ピッチは持ち時間3分間+審査員の質疑応答。

参加者の出身国も様々で、アジア中から集まる起業家の熱の入ったスピーチはもちろん、各国における社会的課題とスタートアップならではのソリューションは見ものです。

スタートアップ展示会場

スタートアップ展示会場についても触れておきたいと思います。

今年は777社のスタートアップRISEに参加。

スタートアップと一括にしましたが、RISE Hong Kongでは、企業のステージによりALPHA、BETA、GROWTHにカテゴリー分けしています。

ALPHAはearly-stage、BETAはexpansion-stage、GROWTHはgrowth-stageでユニコーンのような大規模な企業も含まれます。

かつてはUBER やStripeもこのALPHAから始まり世界に羽ばたいたそうです。

RISE会場の昼食・休憩事情

食事はどうするのか、気になった方もいるかもしれません。

会場のセッションは朝から夕方まで休むことなく続きますので、参加者は自分のタイミングで昼食や休憩を取ります。

ちょっとしたコーヒーブレイクであればRISE会場内のカフェスペースで取ることが可能ですし、食事は下のフロアに飲食コーナーがあります。

少し落ち着いて昼食を取りたい場合は、会場のHKCECを出ると、徒歩5~10分の距離に多くの飲食店があるので、そちらもおすすめです。

ナイトサミット(Night Summit)

RISE期間中、夜にはナイトサミットが開催されます。

ナイトサミットも、イベント会場とは異なる雰囲気の中コミュニケーションが取れるネットワーキング場として重宝されます。

主催者によるRISE貸切会場の他、フェリーパーティー等のネットワーキングイベントが各地で行われ、盛り上がりを見せていました。

RISE Hong Kong 2019 データ

RISE Hong Kongは今年で5回目を迎え、年々規模を拡大しています。

公式発表によると、今年は114ヵ国から16,000人以上の参加があり、メディアも828社訪れたということです。

なお、RISE参加者の国別データおよび業種別データは以下の通りです。※

Top 20 countries represented at RISE (in alphabetical order)

・ Australia
・ Brazil
・ Canada
・ China
・ Germany
・ Hong Kong
・ India
・ Indonesia
・ Ireland
・ Japan
・Korea (Republic of)
・ Malaysia
・ Philippines
・ Russia
・Singapore
・ Spain
・ Thailand
・ United Kingdom
・United States of America
・ Vietnam 

Top industries represented at RISE

・Fintech
・ Advertising, content & marketing
・Venture capital & private equity
・ Enterprise software solutions
・ Ecommerce & retail
・ Travel & hospitalit
・ AI & machine learning
・Entertainment & media
・Education
・ Big data & analytics

※RISE conf. blog https://riseconf.com/blog/rise-2019-numbersより引用, 2019/08/01

2. 香港イノベーション拠点の視察

7月10日、 越境ベンチャーズ一行は、香港のスタートアップ事情を視察するため、イノベーション推進の拠点である「Hong Kong Science and Technology Park」(HKSTP/香港科技園、以下サイエンスパーク) とCyberport(数碼港、以下サイバーポート)という2箇所の施設を訪問しました。

サイエンスパーク(Hong Kong Science and Technology Park)

サイエンスパークは半島側にあり、中心部から車で北方へ30分ほど走ったところに位置し、広大な敷地に建物が並んでいます。

サイエンスパークは2001年に香港政府主導で設立されたイノベーションハブであり、330,000㎡の敷地に700以上のテック関連企業が入居、約13,000人が働いています。

重点領域は、生物工学、情報・通信技術、グリーンテクノロジー、精密工学、エレクトロニクスという5つのクラスターであるとのこと。

施設の運営は民間同様、自前の収入で賄われているという点を強調されていました。

会議室で行った個別説明会では、独自のインキュベーションプログラムが紹介され、資金調達やオフィス支援の他、メンター制度/CEOへのコーチング、コンサルティング、ビジネスマッチング機会の提供といった、スタートアップとって心強い支援体制がステージ別に複数あるとのこと。

一例を挙げると、サイエンスパークが世界各国の大企業とパートナーシップを組んでスタートアップ支援を行う「Global Acceleration Academy (GAA)」というプログラムでは、対象となる8領域(Travel & Hospitality / Real Estate / Finance & Insurance / Logistics / Healthcare / Consumer / Education / Smart City)に関わるスタートアップであれば応募することが可能で、日本を含む海外スタートアップにとっては個別メンタリングやトレーニングに加えて資金やビジネスの様々な面で香港進出の支援を得るチャンスがある一方、日本の大企業にとってもパートナーに加わることで、世界のスタートアップと協業する機会を模索することが可能です。

サイエンスパークは、香港一の高層ビル「Sky100」で行われるエレベーターピッチ・コンペも運営。

予選は実際にエレベーターで行われ、決勝戦の会場は100階だそうです。

説明会の後は、施設内に設置されている無人店舗(unmanned shop)の実験店や、宅配便の自動受付/保管システム(smart warehousing system)、自動運転の試運転場等を視察しました。

サイバーポート(Cyberport)

移動・昼食を挟んで訪れたのが、サイエンスパークと並ぶ香港のイノベーション推進拠点・サイバーポート。

サイバーポートは香港島の南西側にあり、海岸近くのロケーションです。

ここでもプレゼンテーションを聴き、参加者による情報交換を行った後、施設内を視察しました。サイエンスパークがディープ・テック寄りなのに対して、サイバーポートはデジタル・テック領域にフォーカスしています。

特にAI / Big Data、Blockchain、Cybersecurityがテクノロジーの重点領域で、産業別に見るとFintechをはじめSmart living、Digital Entertainment / E-sports分野が多いとのこと。

サイバーポートのDigital Community Members(企業数)は1,335社(On-site 658 / Off-site 677)で、国別に見ると中国本土19%の他、US16%、UK11%、フランス9%、オーストラリア6%、インド・日本・ロシア・カナダが各3%と世界中から集まっています。

サイバーポートでもデジタル・テック領域を中心に起業家を支援しており、アーリーステージにおける環境整備の他、ステージに応じた支援プログラムがあります。

また、香港中心部では地代家賃が高騰していますが、サイバーポートではスタートアップに格安でオフィスを提供しています。

入居企業が業務集中できるよう工夫が凝らされており、オフィスは勿論、お洒落な休憩スペースや、海の見えるカフェのようなコワーキングスペース、ピッチ会場に見立てた模擬練習場、会議室、リフレッシュのためのゲーム台やミニキッチンまで完備していました。

壁の随所に書かれたアツいメッセージにもモチベーションが上がりそうです。

3. 香港政府機関Invest Hong Kong本局訪問&個別セミナー

続いて、越境ベンチャーズ一行はInvest Hong Kong本局を訪問しました。

Invest Hong Kongは香港政府機関の一つで各国から香港への投資・企業進出を支援する組織です。

香港のビジネス環境やスタートアップ支援制度についてのプレゼンテーションをいただき、意見交換。日本のスタートアップや企業が現地展開(または香港をハブとして各国へ事業展開)するための進出支援はもちろん、今後大企業が現地企業と協業したい場合や現地企業にアクセラレーター等として投資したいケース等も相談ができます。

Invest Hong Kongによれば、香港では、

1. 中国が推進するBelt & Road(一帯一路)政策により、中国以西のアジアからアフリカや欧州に至る経済圏にアクセスが可能。

2. ASEANと協定を結び、東南アジアへもアクセスできる。

3. Greater Bay Area(香港・マカオ・深センを含む広東州による湾岸経済圏)構想という新しい経済圏構築の計画が進行中で、域内の更なる発展が期待される。

とのことで、香港進出企業には多くの機会が存在するとのこと。

サイエンスパーク、サイバーポート、Invest Hong Kongを通じて感じたのは、国をあげてスタートアップ支援やエコシステムの構築に力を入れているということです。

香港には、ビジネスの諸要素に関する総合的なサポートを意識した支援プログラムが多くあるので、少しでも関心を持たれた方がいましたら、話を聞いてみてはいかがでしょうか。

4. 経営者による香港ビジネスセミナー

今回のツアーでは、2つの個別セミナーを開催しました。

1つは、香港を拠点に活躍する経営者James Kwan氏によるレクチャー。

James氏は、アジアを中心に世界各国で起業家ライフスタイルに関するフリーペーパー「JUMPSTART」を発行するJumpstart Media社のCEOです。

香港ビジネスの実情についてお話を伺いました。

もう一つは、日系総合PR企業の現地法人であるVector Group International Limited社によるセミナー。

オフィスを訪問し、香港董事長 松本 仁氏のマーケティングセミナーを聴講しました。

香港におけるマーケティングの潮流や国によるPR手法の相違点等について学びました。

両セッションの後、夕食を取りながらの交流会でも情報交換を行いました。

まとめ

RISEから始まり、イノベーション拠点や香港政府機関への訪問、経営者セミナー、その他現地ネットワーキングというプログラムでしたが、新たな人と繋がりビジネスを考える中で、現地の熱量を終始体感する5日間でした。

参加された皆様の目的が達成できましたら幸いです。

現在、より良いツアーを目指して越境ベンチャーズ・ツアー第2弾も計画中です。海外テックイベントツアーや現地でのネットワーキング、香港情報等についてご関心がある方はプロトスターにご連絡ください。

→問い合わせはこちらから。

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