親子上場とは?問題点とデメリット・具体的な企業事例を紹介

親子上場とは?問題点とデメリット・具体的な企業事例を紹介

記事更新日: 2021/10/26

執筆: 編集部

親子上場とは親会社と子会社が共に上場していることを言います。これは、海外などではあまりみられない日本独特のものです。

親子上場には問題点があるという指摘や、投資家にあまり良く思われていないとも言われていますが、その理由はなんなのでしょうか。

この記事では、親子上場とは何か、また、問題点やメリット・デメリット、具体的な企業事例を紹介します。

親子上場とは

親子上場とは、親会社と子会社のそれぞれが上場している状態のことを言います。

親会社とは

株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう(会社法第2条第4号)

子会社とは

会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社が経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう(会社法第2条第3号)

と、それぞれ会社法に記載されていおり、基本的には子会社の過半数の株式を保有している会社が親会社だと認識しておけば大丈夫です。

親子上場をしている有名な例を挙げると、NTTとNTTドコモがそれにあたります。

このように日本では誰でも知っているような有名な企業同士が親子上場であるケースは少なくありません。

親子上場の問題点

親子上場は、2007年に東京証券取引所から公表された「親会社を有する会社の上場に対する当取引所の考え方について」でも言われているように、一般的に問題点があると言われています。一部を抜粋します。

子会社上場には独自の弊害があることが指摘されています。例えば、親会社と子会社の他の株主の間には潜在的な利益相反の関係があると考えられますので、親会社により不利な事業調整や不利な条件による取引等を強いられる、資金需要のある親会社が子会社から調達資金を吸い上げる、上場後短期間で非公開化するなど、子会社の株主の権利や利益を損なう企業行動がとられるおそれが指摘されています。


まとめると、親子上場の問題点としては以下の3つが挙げられます。

1. 親会社が自らの利益を優先させることで子会社の少数株主の利益を損なう

親会社が企業グループとしての利益を最優先することで、子会社に不利益になるような経営となる場合でも、少数株主がその決定を覆すことは難しくなります。

例えば、子会社の株式を現在の株価の2倍の価格で購入したいという投資家が現れたとしても、親会社がその申し出を断ってしまえば、子会社の少数株主は高く株式を売却できるチャンスを逃してしまいます。

2. 資金の二重取り

親会社が子会社も含めた企業価値を裏づけに上場時に資金を集め、さらに子会社が上場した際にも再び資金を得るという

資金の二重取りが行われる可能性があります。

3. 子会社利益の外部流出

当たり前ですが、親会社だけでなく子会社にも株主がいますので、子会社の株主の意向が子会社経営に反映され、子会社が獲得した利益の一部が流出することで、グループ全体の利益が外部に配当流出してしまうという懸念があります。

親子上場をしている企業

日本は親子上場している有名企業が多くあります。

ソフトバンクグループ
  • ソフトバンク
  • ヤフー

日立製作所 
  • 日立金属
  • 日立建機

キヤノン
  • キヤノン電子
  • キヤノンマーケティングジャパン

日本郵政
  • かんぽ生命保険
  • ゆうちょ銀行


日本ほど多くはありませんが、海外でも親子上場している企業はあります。

特に欧州でよく見られます。

ポルシェ・オートモービル・ホールディング(ポルシェAH)
  • フォルクスワーゲン

ハイネケン・ホールディング
  • ハイネケン

ウォルマート
  • ウォルマート・デ・メヒコ

シーメンス
  • シーメンス・ヘルシニア


日本の親子上場はここ数年減少傾向にあるようです。

また、2000年以降からは親子上場を廃止する企業が増加しています。

親子上場を廃止する背景としては、親子上場を継続するための「コスト」がかかることや、

上場子会社に対するガバナンスの難しさなどがあるようです。

親子上場を廃止した企業


イトーヨーカ堂
  • セブン-イレブン・ジャパン、デニーズジャパン

松下電器産業
  • 松下寿電子工業、九州松下電器、松下通信工業、松下精工、松下電送システム

MUFG
  • 三菱UFJニコス

パナソニック
  • 三洋電機

MUFG
  • 三菱UFJ証券

トヨタ自動車
  • ダイハツ工業

ソニー
  • SME、ソニーケミカル、SPT

みずほFG
  • みずほ信託銀行

 

親子上場のメリット

このようにみると、親子上場はあまり良いイメージがないように感じますが、もちろんデメリットばかりではありません。

ここからは、親子上場のメリット、デメリットについて説明していきます。

まずはメリットです。

親会社にとってのメリット

資金調達がしやすくなる

子会社を市場で売却し資金を得ることで、親会社自身が新たな事業に投資することが可能になる

子会社株式の市場価値向上

子会社が市場に出ることで子会社の価値が上がると同時に、親会社の価値も向上する

管理費用の負担軽減

子会社の信用力向上により、子会社に対する資金や人材の調達がしやすくなる

 

子会社にとってのメリット

経営の裁量が増える

親会社から独立することで、経営の自由度が増す

従業員のモチベーションの向上

上場することにより上場企業としてのステータスが上がり、従業員のモチベーションアップにつながる

 

親子上場のデメリット

親会社にとってのデメリット

子会社に対する支配力が弱まる

グループ企業としての経営判断が遅れたり、経営判断がぶれる可能性がある

子会社の上場による情報開示

子会社の独立に伴い、これまでより詳細な情報開示が必要になる

 

子会社にとってのデメリット

営業力の低下や管理コストの負担

上場企業として高いレベルでのガバナンスが要求され、内部管理体制のコストが増える可能性がある

子会社の少数株主の利益が不当に阻害される

親会社がグループ全体の利益を最優先することで、子会社が犠牲となった結果、子会社の少数株主の利益が侵害されるという問題が発生する懸念がある

子会社が親会社にとって不要な人材の受け皿になる可能性

親会社にとってイメージダウンになるリストラを避け、親会社から子会社への出向や転籍を行う形にすることで、子会社側で不要な人材を受け入れなければならなくなる


また、少数株主にとって不利益になるような経営判断や資本取引が行われる可能性があり、これは投資家にとってデメリットとなります。

具体的にどういうことかというと、親会社の業績が良くなかった場合、子会社の利益を親会社に付け替えることで子会社の株主が損をしてしまうということです。

まとめ

これまでご説明した通り、親子上場は親会社が筆頭株主であるため、親会社の利益が優先されやすいというガバナンス上の問題があることは否めません。

しかし、売買や配当で利益を得たい個人の投資家であれば、必ずしもデメリットだけではなく、投資機会が増えると考えることもできますので、メリット、デメリットをきちんと理解した上で正しい判断力をもって投資をされることをおすすめします。

画像出典元:pixabay

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