投資家・急成長スタートアップが注目、「梅小路クリエイティブタウン」が熱い

投資家・急成長スタートアップが注目、「梅小路クリエイティブタウン」が熱い

記事更新日: 2024/06/06

執筆: 宮林有紀

2022年9月7日に京都リサーチパークで、「京都でイノベーションを加速させる」ことをテーマにしたトークセッションが行われました。

ファシリテーターは、早稲田大学ビジネススクール教授の⼊⼭章栄先生。

お招きしたのは、ゲスト(アドバイザー)として京都市外でメディア運営、スタートアップ、VCをされている方3名、登壇者として京都市内でプロジェクトを進めている方3名です。

また、オブザーバーとして、京都市の職員や企業の担当者など、様々な方が参加されました。

【ファシリテーター】
⼊⼭ 章栄先生(早稲⽥⼤学ビジネススクール教授)

【ゲスト】
池田 将様(BRIDGE 共同創業者兼シニアエディタ)
吉田 圭汰様(matsuri technologies 株式会社 代表取締役CEO)
中村 忠嗣様(ライトアップベンチャーズ 代表パートナー)

【登壇者】
足立 毅様(京都リサーチパーク㈱ブランディング統括理事 地域開発部長)
牧野 成将様(株式会社Monozukuri Ventures 代表取締役)
北林 功様(COS KYOTO株式会社代表取締役、一般社団法人Design Week Kyoto実行委員会 代表理事

【プロジェクトパートナー】
前川 英麿(プロトスター株式会社 代表取締役)

このページの目次

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京都は可能性の宝庫 

『KYOTO Innovation Studio』とは?

入山:僕は京都こそ潜在性があると思っていて、京都の人と交流する中で、ビジネスとかイノベーションの分野で「京都のイケてるところ」があまり知られていないことに気づいたんですね。

たとえば、今日の会場である京都リサーチパークはとても素晴らしいところ。

僕は京都が大好きでよく来ていて、それなのに京都リサーチパークの存在を知らなかった。

午前中、この梅小路エリア界隈を案内してもらったんですが、ここもめちゃくちゃ面白いところ。

それで、京都の隠れた魅力を日本はもちろん世界中の人に届けられれば面白いことが起こるんじゃないかと思ったのが、このプロジェクトを始めたきっかけの1つです

もう1つの理由は、京都の中でも繋がりが少ないことです。

京都は素晴らしいことや面白いことをされている方がたくさんいるのに、お互いが知っているようで知らない

だから、京都へのいろんな思いがある方や面白いことをしている方が集まる場所をつくって、そこがイノベーションを起こす基盤になると思いKYOTO Innovation Studioを始めました。

パートナー企業の紹介

入山:このプロジェクトは、プロトスターという組織にパートナーとして伴走いただいています。

前川:きっかけは、「京都に仕事で行けるだけでも楽しいな」と思ったことですが、それ自体が京都の魅力だと感じています。

京都市と入山先生と共にKYOTO Innovation Studioを盛り上げていきたいと思っているので、よろしくお願いいたします。

ゲストの自己紹介

スタートアップ情報を国内外に発信『BRIDGE 共同創業者兼シニアエディタ』池田将さま

池田:『BRIDGE』の共同創業者兼シニアエディタの池田です。

日本や海外のスタートアップに関する情報を日本語と英語で発信する『BRIDGE』というサイトを約10年運営していて、海外の投資家から「日本のスタートアップを紹介してほしい」と時々言われていましたし、事実いろんな国や街のスタートアップを見てきました

入山:情報を海外に発信するために『BRIDGE』は本当に重要なメディアです。 

京都のスタートアップをBRIDGEで取り上げてもらって、英語で発信してもらえば世界中の投資家から見てもらえますね。

テクノロジーで空き家問題を解決に導く『matsuri technologies 株式会社 代表取締役CEO』吉田圭汰さま

吉田:matsuri technologies株式会社の吉田です。

私は学生起業家として21歳で最初の起業をして売却し、23歳で今の会社を創業しています。

その際にこういったイベントで皆さまのような方々の支援をいただいて成長してきた経緯があるので、その時のお話ができたら嬉しいです。

私が行っているのは空き家問題を解決するためのインバウンドと空き家をマッチングするサービスで、無人で管理できるツールを使うことでオペレーションコストを56%削減できます。

また、今後働く人が足りないという問題も、無人で対応するICT技術が解決に役立つと思っています。

関⻄発のメガベンチャー創出を支援『ライトアップベンチャーズ パートナー 』中村忠嗣さま

中村:ライトアップベンチャーズの中村です。

私は今年VCを立ち上げたばかりで、これまではベンチャーキャピタルで投資活動をしてきました。

2019年からは関西担当のキャピタリストとして活動する中で、関西に新しいスタートアップが生まれてきていることを実感しています。

もっと自由度高く、かつシードの支援が必要だと感じて、ライトアップベンチャーズを設立しました。

関西のベンチャーに光をあてて、世界中の投資家の資金を関西のベンチャーに呼び込み、世界初の関西メガベンチャーを創出することに貢献できたらと思います。

【事例紹介1】京都リサーチパーク株式会社

全国初の民営による都市型リサーチパーク「KRP(※KyotoResearchParkの略称)」として誕生

足立:京都リサーチパークは大阪ガスのグループ会社ですが、KRP地区は昔、大阪ガスの工場があった場所です。

工場の跡地にサイエンスパークをつくることが決まり、1989年にKRP(京都リサーチパーク)ができました

民間でこれをしているのは国内唯一だと思いますし、海外でも少ないです。

KRP地区は京都駅から2駅、タクシーで10分のアクセスが良い場所で、京都駅の西部に位置します。

500社が集積、6,000人が就業 

足立:最初は入居企業31社からのスタートでしたが、今は500社になり、昼間の就業人口が6000人を超えてきました。 

入居企業の業種業態は多様で、規模もお1人でされている税理士さんから建物を一棟借りするような企業までかなり多様な場所になっています。

メイン事業はレンタルラボやオフィスなどの不動産賃貸、ベンチャー支援、ヘルスケア分野のピッチイベント等の企画開催です。

他にも起業家を目指す学生を集めて、起業の部活動(miyako起業部)を行ったり、各大学との連携の元に、大学と企業、学生と起業家のマッチングも行っています。

モノづくり・食・アートで新たなクリエイティブが生まれる京都のB面 梅小路エリア

足立:KRP地区を含むここ「梅小路エリア」は、「中央市場場外エリア」「島原エリア」「梅小路公園エリア」とそれぞれ個性のある3つの地域があり、梅小路エリアの可能性について若い世代と一緒に議論するプロジェクトを2018年から開始しました。

そこで、中央市場場外エリアとよく似ていると話題になったのが、ロンドン近郊の「Shoreditch」という街

産業が斜陽になって賃料が下がった時に若いアーティストや起業家が入ってきて、街がアーティスティックに良くなっていった場所です。

中央市場場外エリアのそういう風情がクリエイティブな若い子たちにとっては魅力的なんだと気づいたんですね。

それで、大人グループも一緒になって、交流拠点をつくる取り組みやエリア全体を周遊する事業などの活動を始めたところです。

その一号案件として「Umekouji MArKEt」という建物がオープンして、企業誘致の動きがここで始まっていきそうです。

あとは、ここGOCONCでは月に1回「KRP創発ライブ」をやったり、京都音博と連動した音楽で周遊するような仕掛けを仕込み中です。 

いわゆる京都らしい雰囲気がある市内中心部をA面とすると、梅小路エリアはB面というべきエリアで誰でも気軽に何かを始められる場所。

我々がやりたいのは梅小路エリアの各拠点に意味や文脈を付け加えていく作業なので、皆さんに気軽に梅小路エリアに来てもらって色々なところに触れてほしいと思います。

「京都をGoogle Campusがある街に!」

池田:お話にでてきた「Shoreditch」に行ったことがありますが、Googleが「Google Campus(スタートアップ向けのコワーキングスペース)」をつくった街なんですよね。 

そこに起業家がたまっているので、KRP地区も同じような場所になれば良いと思いました。

まだ日本にGoogle Campusがないんですが、重要なのは周囲に飲食店があることなんです。みんな仕事が終わった後に飲みたいので。ロンドンは角という角にすべてパブがあって、そこでみんなで立ち飲みしながら話せるので、ああいうカルチャーが日本にも欲しいですよね。

呼びたい起業家の種類は?梅小路エリアの3つの柱とは

吉田:我々の会社のCTO(京都大学出身)が「京都で働きたかったけど、京都にはITスタートアップが少なくて、東京に出ざるを得なかった」と言っていました。

明確な戦略があれば、京都の優秀な大学生を集積できるかと思うのですが、ITスタートアップの人達を呼びたいのか、それともモノづくりの人達を呼びたいのか、どちらですか?

 足立: IT企業は投資環境が良いという理由で東京に出る傾向があるんですよね。

京都に大手企業や大学があるバイオやモノづくりの分野、カルチャーに関する起業家なら京都に集積できると思います。

他には、企業が人材採用のための小さなブランチを京都につくるのが最近のトレンドです。

入山:KRPはあえて業種を特定せずにやられていて、それが良さだとおっしゃられていましたよね。

吉田さんは、業界を見据えたほうが良いと思われますか?

吉田:起業家は資本主義の中で生きているので、いるべき場所にいるのだと思っていて。

だから、そこにいるべき明確な理由がないと離れてしまう

そういう意味でいうと、尖らせた方が良いんじゃないのかと。

モノづくりで考えると、梅小路エリア、特に中央市場場外エリアは音が出せる街だというのがすごく魅力的なので、たとえば、その場所だけ規制緩和をするとか、そこまで振り切っちゃったほうがもっと集められそうですよね。

足立:それ面白いですね。音をだしても良い特区をつくるとか、条例の中でそのエリアだけゆるくするとか。

吉田:他の場所よりも圧倒的に実験しやすい環境だったら、京都に来ざるを得ない状態になりますよね。

牧野:『Monozukuri Ventures』の牧野です。

2017年から梅小路にいますが、ここには3つの軸があって、

1つ目は、モノづくりテックのスタートアップ

2つ目は、アーティストやクリエイター

3つ目は、市場があるということでフードテック関連のスタートアップです。

吉田:その3つの柱が発信されれば、モノづくりやアート、食に関係する人は梅小路に行かざるを得ないですね。

「グローバル展開時の支援は?」

中村:グローバル展開する時の支援はされていますか? 

足立:もともとKRP地区は中規模の国際会議が開かれたり、海外の方が京都メーカーズガレージに来ることが多かったので、グローバルな雰囲気がある場所

ここから海外に出ていく流れをつくっていきたいですね。

牧野:すでに海外のスタートアップと結構つながりがあって、何人かの海外のアーティストが京都で制作しています。

これからイノベーションを起こすためには日本人だけでは難しくて、海外の人達に来てもらって、そこが組み合わさることで新しいイノベーションが起こせるんじゃないか?という狙いです。

 【事例紹介2】株式会社Monozukuri Ventures

日本のモノづくりで製造業のイノベーションを起こす。スタートアップの「死の谷」とは?

牧野:『Monozukuri Ventures』は、日本と米国に拠点をもつハードテック特化型のベンチャーキャピタルで、製造業に関するイノベーション分野に投資をしています。

この分野にフォーカスした理由は、日本のモノづくりの力とスタートアップの力をかけ合わせることで製造業のイノベーションを起こせるのではないかと考えたからです。

牧野:今は3Dプリンターなどを使って簡単に試作品が作れる一方で、量産がなかなかうまくいかないのが現状です。

量産の前段階、量産設計や量産化試作で多くのスタートアップが苦労しています。

その壁が「死の谷」と呼ばれていますが、量産化にうまくつなげられるよう支援することが我々の目指すところです。

京都試作ネットは、年間1,000件くらいの問い合わせを受けるような、日本最大の試作グループ。

この京都試作ネットが持つネットワークを大企業だけでなくスタートアップも利用するために『Monozukuri Ventures』を立ち上げました。

モノづくりは簡単だ

牧野:私達は「モノづくりは簡単だ」というビジョンを掲げていて、モノづくりに簡単に挑戦できる社会をつくっていこうという意味です。

提供している主なサービスは「テクニカルコンサルティング」と「投資」です。 

「テクニカルコンサルサービス」は、中小試作企業とメーカーをつなげるサービス

「投資」面では京都の金融機関、信用金庫、さらには製造企業と連携してファンドをつくり、日米で50以上のスタートアップに投資しています。

また、最近、注力していることは米国のスタートアップと日本の製造企業との事業連携をつくり、オープンイノベーションを促進する取り組みです。

米国のスタートアップが日本の製造業と繋がりたいというニーズが高く、たとえば量産化ができず困っている米国企業と日本企業をつなげるサービスを提供しています。 

もう1つの事業はコミュニティ形成で、梅小路の中で製造業のイノベーションを実践したり発信する拠点を構築するサービスを行っています。

「京都を選んだ最大の理由は?」

入山:モノづくりは時間がかかるので資金の面で苦労する企業が多いのですが、まさにそこをサポートしているんですね。

前川:この事業内容は地域を選ばないと思ったのですが、あえて京都を選んだ理由が知りたいです。

牧野:一番の理由は、京都試作ネットという試作企業のコミュニティがあったからですね。

モノづくりは複雑なので一社だけの紹介では意味がなくて、いろいろな会社が集まってないといけない

そのためには京都試作ネットのある京都が最適でした。

「京都の投資先が少ない理由」

中村:素朴な疑問なのですが、京都の投資先が3社だけなのが少ないな、と。そこについての課題感をお聞きしたいです。

牧野:スタートアップを起こすためにはお金だけでなく、人など様々なものが必要になってきます。

私たちだけでは、それができない。

だからこそ、京大などの大学とも連携していて、その成果がでて投資実績が上がっています。

あとは京都府と連携して大企業のカーブアウトを促進するプログラムも行っています。

京都にはすごく面白い大企業があって面白い技術者がいたりシーズが眠っているけれど、外に出る仕組みがないので、そこを私たちがやろうと。 

入山:カーブアウトとは事業を切り出すことで、外に出してしまって、他の投資を入れて、独立した会社としてやってもらうことですね。

牧野:カーブアウトも私たち単独ではできないので、京都にある10社近いベンチャーキャピタルと連携しています。

 「町工場とスタートアップの関係は?」

池田:町工場が集まっているエリアだったら、モノづくり系のスタートアップと絡む機会がありそうですが、そういう事例がないのはどうしてでしょうか?

牧野:京都試作ネットさんに当時も同じような質問をしたことがありましたが、「スタートアップの試作をやりたかったのにできなかった」ということでした。

スタートアップとして成功可能性の高い企業を選びたいが、自分たちの目利き能力の観点からその自信がない、これが1つ目の理由です。

2つ目はスタートアップはお金がなくて、モノづくりは先にお金をかけて最後にお金を回収する仕組み。

回収できなかった時のことを考えると、リスクがありすぎてできない、となる。それで、そこを解決しようと思って私たちは会社を立ち上げました。

京都市職員から「発信力を高めたい!」

入山:京都市の西田さん、いかがでしたか?

西田:我々も京都の可能性についてちゃんと認識できてないことに気づく良い機会です。

何が足りないかを考えたとき、やっぱり発信力の部分が大きいと思っていて、京都のビジネス面での魅力や可能性を既存のメディアやキーとなるような人を通じて伝えていくことが大事だと感じています。

このKYOTO Innovation Studioを、そういう役割を果たす場にしていきたいですね。

【事例紹介3】COS KYOTO株式会社

京都のモノづくり現場を世界中の人に「DESIGN WEEK KYOTO」

北林:COS KYOTO株式会社代表取締役の北林です。

今回説明するのは「DESIGN WEEK KYOTO」という活動で、モノづくりの現場を世界中の人に訪ねてもらう場所にする取り組みです。

僕は、モノづくりの現場の人が培ってきた考え方や知恵を今の経済に取り込められたら、もっと京都発のビジネスが生まれていき500年後1,000年後に続く社会が構築できるのではないかと思ってCOS KYOTOを立ち上げました。

いろいろな場所を見に行きましたが、地域の人達がオープンマインドで交流し合ってる街であるほどいろんなスタートアップが生まれてくるし、ローカルの文化をベースとしたビジネスがたくさん生まれてくると感じました。

京都のモノづくりの現場は全然オープンではなく「良いもの作ってれば売れるでしょ」という考え方が残っているけれど、「そうじゃない!」と言いたい。

日本の中小・零細の製造業の営業利益率は3%ですが、工芸の人が製品や素材を納めているハイブランドは15%から高いところだと30%くらいあって、5〜10倍の違いがある

その理由は、地域ならではの精神性や文化、哲学を発信できてないから。

この課題を解決するための試みが「DESIGN WEEK KYOTO」です。

想いを伝えて理解し合う

北林:DESIGN WEEK KYOTOでは、「工場見学」ではなく「オープンハウス」をしています。

工場見学は技術を見せることがメインですが、オープンハウスは自分たちの哲学を伝えて、お互いのことを理解し合う、人間関係をつくることが特徴です。

参加している事業者同士のコラボもあって、金属製品の加工会社と漆工房とコントラバスをつくるメーカーがコラボして、ネックの部分にアルミの部品を使い本体に漆と螺鈿を施した特別な分解できるコントラバスを制作しました。

あとは子供たちにモノづくりの現場に来てもらって、モノづくりの楽しさを伝えるイベントを開催していて、10年後の職人さんを育てようという企画です。

哲学を発信しないと共感は生まれない

北林:発信の部分で大事になってくるのが、どんなものをどこでどうやって作っているかだけでなくて、「どんな人がどんな想いでどんな目的のために作っているか」を知らせることです。

機能が高いとか言っているだけではダメで、哲学を発信しないと共感を生まないし良いチームにもなりません

モノづくりの現場の人にこの点を考えてもらうワークショップに今年はかなり力を入れていて、コーディネーターとして異分野・異文化の人への通訳をしてくれる人を地域で育成しようという取り組みも展開しています。

目標は、単に技術をコラボしにくるだけではなく、地域の人たちがもっている叡智を学ぶために京都に人が訪れるようになること。

100年、500年、1,000年単位のモノを受け継いで、その知恵が詰まっている現場が今も息づいているといえるのは僕の知る限り世界中で京都だけだと思うんですよね。

そういう現場を見える化して、ツーリズムなどで訪れた人と交流する場をつくり、「京都にくると、これからの世界で必要なビジネスが考えられるぞ!」と思えるような場所を今後もつくっていきたいです。

プロセスエコノミーの重要性

入山:これはプロセスエコノミーですよね。これからの製品は最終段階では差別化できない。

だから、作るプロセスそのものをお客さんやステークホルダーに見てもらったり参加してもらうことで、ストーリーや哲学に共感してもらえるし、そこにとても価値がでる

北林:良いものを生み出している過程を掘り下げて世界の人が感動するようなストーリーや哲学に仕上げることが京都の役割の1つなのかなと。

日本の製造業の営業利益率を3%から15%に 

吉田:営業利益率を3%のままにしたいのか、30%まで引き上げたいのか、ここらへんはいかがですか?

北林:最低でも15%くらいにしたいですね。

職人さん向けの経営塾もやっていますが、そこでも営業利益率15%から逆算して計算してくださいと伝えています。

吉田:職人さん自らが適正な価格をつけるのか、それとも売る専門家が価格決めを行って職人さんの利益率が担保されるのか、どちらの未来を想定していますか?

北林:僕は後者だと思っていて、職人さんはつくる専門家なので伝える専門家は別にいて、チームとして良いチームさえできればいいんじゃないかなと。

中村:経営を手がける会社を強引に一社つくって、成功事例をつくればものすごく波及効果がありそうですよね。

北林:そういうことをした時に、叩かないで欲しいんです。

「アイツは伝統を守っていない」と批判することがイノベーションを妨げるので。

「おもろいことしてんな」っていうのも京都の文化だと思うので、ぜひ”みんなで面白がる文化“をもう一回京都に根付かせたいですね。

 入山:まだまだ議論は尽きないのですが、時間になりましたので、これで終わりにしたいと思います。

とにかく、京都のB面、梅小路エリア、めちゃくちゃ面白いしポテンシャルがすごいです!是非、皆さんにチェックしていただきたいと思います。 

今日は皆さまありがとうございました。

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