ステマとは?今さら人に聞けない意味や手法、事例や規制を徹底解説!

ステマとは?今さら人に聞けない意味や手法、事例や規制を徹底解説!

記事更新日: 2020/01/20

執筆: 浜田みか

ステマ(ステルスマーケティングの略)は、さまざまなマーケティング手法の一つです。マーケティングの知識のない方でも、おそらく聞いたことがあるのではないでしょうか。

最近も、SNSでのステマが問題視されて取り上げられたばかり。

しかし、ステマとは何か?と聞かれても、なんとなくはわかっていても、説明しろといわれるとわからない人も多いかもしれませんね。

そこで今回は、ステマの意味や手法、日本と海外における規制の違い、日本と海外それぞれでのステマ事例までを徹底解説します。

これさえ読めば「ステマとは何か」がわかります。

ステマの概要

ステマとは、ステルスマーケティング(Stealth Marketing)の略称です。ステルス(stealth)とは、“対象から見つかることを避ける”という意味を持つ単語です。

では、ステルスマーケティングとはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか? そして、ステマはどんなものなのでしょうか。

ここでは、ステマの意味や手法、ステマを行うことのメリットとデメリットといったステマとは何かについて解説しています。

ステマの意味

ステマ(ステルスマーケティング)とは、消費者やユーザーに悟られないように策が練られたマーケティング手法です。

新商品や新製品、あるいは新サービスなどを宣伝や広報として気づかれないように行う活動を指します。

このような覆面的な活動形態から、別名「アンダーカバーマーケティング(Undercover Marketing)」ともいわれています。

ステマは、その手法から問題視されており、消費者やユーザーからは嫌悪の対象にすらなっています。

ステマの手法

ステマの手法は、消費者やユーザーを騙す「やらせ」や「サクラ」に類似した形で展開されます。

新商品や新サービスを宣伝・PRする際、インフルエンサーや芸能人、一般人に依頼することがあります。

このとき、宣伝やPRであることを明言せずに行ったり、金銭の授受によって意図的に高い評価をつけたりするのです。

金銭を受けて本来の評価とは異なる評価をするようなステマでは、場合によっては詐欺行為に当たることもあります。

どんなケースが詐欺行為に当たるのかについては、「ステマの事例」でご紹介しています。

具体的には、次のような手法がステマと呼ばれます。

例1. 

ユーザーを装って、口コミサイトに掲載された特定の店舗に対して意図的に高評価をつけ、ランキングを操作する。

これは、「通常ステマ」と呼ばれるものです。レビューに高評価をつけることで、ランキングを上げて集客や売り上げ増を狙う手法です。

例2. 

金銭と引き換えに、インターネット通販サイトで販売されている商品に対して、本来の評価とは異なる評価を書き込んで他のユーザーの購買意思に影響を与える。

高評価を付けた場合は「通常ステマ」に当たります。反対に、低評価を付けて競合相手の評判を下げて相対的に自社の評価を上げる手法を取った場合、「逆ステマ」と呼ばれます。

例3.

芸能人やインフルエンサーが発信しているかのように装って商品などを勧めるコメントを記載し、ユーザーの購買意思に影響を与える。

この手法と同じく、自社の競合に当たる有名な商品やサービスに対してのレビューで、自社商品をの宣伝・PRをさりげなく割り込ませて誘導する手法もあります。それは「割り込みステマ」と呼ばれます。

ステマの3つのメリット

ステマが行われる背景には、通常の宣伝・PR以上のメリットがあるからです。

1. 低コスト

通常、商品やサービスを宣伝・PRする場合、多くは広告出稿を行います。

しかし、これらには高いコストがかかります。コストに対する効果はコントロールできるものではありませんから、受動的なマーケティング活動になりがちです。

その一方、ステルスマーケティングは能動的なマーケティング活動といえます。

消費者やユーザーの評価を主導的にコントロールしながら露出をしていくため、コストを安く抑えることが可能です。

とはいえ、それはあくまでも一般ユーザーを巻き込んで行う場合です。芸能人やトップインフルエンサーなどのような有名人に依頼して行われるケースでは、コストも高くなりがちです。

2. 通常の広告よりも効果を得やすい

一般的にも、知らない相手よりも信頼を寄せている相手から紹介されたほうが、その内容を信じやすいもの。これは宣伝・PRでもいえます。

あからさまな宣伝行為よりも、芸能人やインフルエンサーが自然な流れで紹介するほうがファンをはじめとしたユーザーからの信頼を得やすく、購買行動に繋がりやすいのです。

ステマがブログやSNSを中心に行われやすいのは、広告と悟られにくくするのにちょうどよいプラットフォームだからです。

3. 波及的に広がりやすい

ステマによる宣伝・PR情報は、波及的な広がりを見せます。これは、ステマが成功すれば、口コミによって情報が伝播されるからです。

SNSでのバズも、フォローしている人からフォロワーへと情報が広がり続けて、多くの人のもとに情報が届いた状態です。

ステルスマーケティングは、バズマーケティングを利用して宣伝・PR効果を得ようとする手法ともいえるのです。

多くの人が良いとするものは「良いものだ」と考える、人の心理を巧みに利用しています。

ステマの6つのデメリット

ステマが成功すれば、通常の広告出稿よりも企業が得られるメリットは、とても大きなものになります。

どんなものにもメリット・デメリットがあるように、ステマにもデメリットがあります。しかも、そのデメリットは企業生命すら脅かします。

1. 信頼を失う

意図的に高評価や虚偽の情報を流すことは、消費者やユーザーを騙すのと同じです。

その行為が原因で、対象となった商品あるいはサービスはもちろん、それを依頼した会社、ステマに関与した人物全員の、ユーザーから寄せられた信頼を失うことすらあります。

失われた信頼を取り戻すのは容易ではありません。純粋に信じていた相手から突然裏切られるのですから、誰でも相手に対して疑心暗鬼になるものです。

強引な利益追求は、企業生命を失わせる原因になります。

2. 今後の広報活動に悪影響を与える

ステマによって信頼を失えば、次回以降のプロモーションに影響が出ます。

最悪のケースでは、商品やサービスそのものの販売を停止あるいは回収、関連する広報活動にかけたコストも全て無駄になるなどして損害が膨らみます。

3. 損害賠償が発生するリスクもある

ステマによって名誉を傷つけられた関係者や企業・組織・団体があれば、場合によっては損害賠償が発生するケースもあります。その被害総額によっては、会社が倒産する事態になるかもしれません。

4. 批判の対象になり競争力を失う

企業にとってライバル企業と戦える力は、とても大切。競争力のない企業は、淘汰されてしまうからです。

ステマが見破られれば当然批判の対象になります。その結果、ライバル企業と戦う力を失い、競合他社に追いつけないほど差を付けられてしまうこともあるのです。

5. 業界全体の信頼を失う

企業が真摯に対応すれば、ステマによるトラブルを鎮火させることは可能です。

しかし、ここで対応を誤れば、否定的な目はさらに厳しくなります。いち企業だけで事態を収束させられなくなり、業界全体の信頼を失墜させることもあります。

6. 業界の負のスパイラルを生むキッカケになる

ステマが業界全体の手法とみなされてしまえば、最初に苦しむのは事業規模の小さな企業です。ステマに対する不買運動が起これば、その煽りを最初に受けるのが一番身近な小規模事業者です。

すると、次に小規模事業者を卸し先にしている企業が被害を受け、最終的に大手企業に影響が及びます。ステマは、このように業界全体の負のスパイラルを生むきっかけを作りかねません。

ステマの違法性は? 日本と海外での規制の違い

ステマは、虚偽の情報を消費者やユーザーに広める行為ですから、場合によっては詐欺や景品法違反に当たるケースもあります。

しかし、所変われば法律も異なるように、日本と海外ではステマに対する規制も異なります。

アメリカの場合

アメリカでは、2009年にステマの規制が明確化されました。

連邦取引員会(Federal Trade Commission)による「広告における推奨、及び証言の利用に関する指導(Guides Concerning the Use of Endorsements and Testimonials in Advertising)」というガイドラインで、「ブロガーや有名人などが金銭を受け取って広告活動をする場合には、その旨を開示しなければならない」と明記されたのです。

アメリカにおいての「口コミ」は、金銭の授受の有無、広告主との関係性などを明らかすることが義務になっています。

イギリスの場合

イギリスでは、アメリカより一足早い2008年に「不公正取引からの消費者保護に関する規正法(Consumer Protection from Unfair Trading Regulations 2008)」が施行されています。

この中で、ステマは違法として定められています。

日本の場合

日本では現在、ステマに対する明確な基準が定まっていない状況です。

しかし、内容によっては不正競争防止法、健康増進法、医療品医療機器等法(旧:薬事法)、医療法など多岐にわたる法律に抵触する可能性があります。

不当景品類及び不当表示防止法の条文には、「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定める」と明記されています。

これをステマに当てはめると、一般消費者の選択に影響を及ぼす行為に該当するステマは禁止するとの解釈ができます。

その一方で、医療機関が関与していない口コミにおいては、ユーザー自身の実体験を基に綴られた口コミには広告としての誘因性がないとみなされているのです。

これらのことから、ステマは法律の抜け目を上手く利用した手法といわざるをえません。

日本で起きたステマ事例

ここでは、日本で起きたステマの事例を集めています。

ペニーオークション詐欺事件

おそらく聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。2012年にインターネットオークションサイト「ペニーオークション(以下、ペニオク)」で起きた、複数の芸能人が関与した詐欺事件です。

ペニオク参入した業者から金銭を受け取った芸能人が、実際には落札していない商品に対して「安価で落札した」といった嘘をブログに掲載し、閲覧したユーザーをペニオクに誘導。

業者はユーザーに入札のたびにかかる手数料をわざと支払わせ、手数料をだまし取るといったものでした。

芸能人は結果的に、犯罪に加担した形となってしまったのです。

芸能人が関わったことについては刑事事件として起訴には至らなかったものの、ペニオクを運営していた関係者からは詐欺事件として逮捕者も出ました。

食べログ・やらせ投稿事件

2012年、カカクコム運営のグルメサイト「食べログ」で発覚したステマ事案です。

登録されている飲食店に対して、意図的に好意的なレビューや評価を投稿し、ランキングを操作する対価として金銭を受け取った業者の存在が発覚。

この件から、ステマというものが世間に広く知られるようになりました。

業者の数は39社と多く、なかには悪質な業者もいたことから、省庁の調査対象にもなりました。

ディズニー映画「アナ雪2漫画」

いま最も記憶に新しいのが、2019年12月に起こったディズニー映画「アナと雪の女王2」のステマでしょう。

Twitterに、映画の感想を描いた漫画7本が、それぞれ別の人物によって投稿され、ステマ疑惑が浮上。その後、配給元のウォルト・ディズニー・ジャパンが謝罪するに至りました。

ステマの指示は、広告代理店の担当者によるもので、漫画を投稿した人物たちもそれぞれにTwitter上で謝罪しています。

関与した投稿者についてはウォルト・ディズニー・ジャパンの声明によって一件落着となっています。

海外で起きたステマ事例

ステマ規制が海外でもあるということは、当然ステマの事例も数多くあります。ここでは、比較的有名なステマ事例を挙げています。

携帯電話『ソニー・エリクソン』詐欺疑惑事案

『ソニー・エリクソン(Sony Ericsson)』によるステマは、世界でも最も有名な事例の一つでしょう。

雇われた60人もの俳優が10都市で嘘の観光客を装い、Sony Ecicssonから発売されたカメラ機能を搭載した携帯電話で通行人に写真を撮ってもらうよう頼むというものでした。

従来のカメラとは違う撮影に、好奇心が掻き立てられるのは自然なことです。

けれど、問題は、このカメラ機能付き携帯電話の好感度と購買意欲を上げるために、通行人を騙し、ユーザーの印象操作を行ったところにあります。

結果、この方法は「詐欺要素の強いもの」「詐欺ゲームだ」と批判を受けることになりました。

デビッド・マニング映画評ねつ造事件

映画好きな人なら知っている人も多いでしょう。

こちらは、アメリカの映画配給会社ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントが架空の映画評論家をでっちあげて、自社の映画を宣伝させていた詐欺事件です。

その映画評論家の名前が「デビッド・マニング(David manning)」だったので、デビッドマニング事件やデビッドマニングねつ造事件など、さまざまな呼び方がされています。

この事件はとても悪質だったため、最終的にデビッドマニングの映画評をきっかけに映画を観に行った観客に対して一人あたり5ドルの賠償金を支払うことになりました。

映画評をきっかけに映画を観に行くことはよくあることです。

しかし、配給元である企業が1年以上にわたって偽の映画評論家を通して消費者の意思を操作したことは、宣伝活動としてフェアではありません。

まとめ

ステマ(ステルスマーケティング)は、成功すれば大きな効果を得られるものとなります。

その反面、高いリスクを背負うことになります。マーケッターがキャンペーンを打つ際には、そのリスクを背負ってまでやる必要があるかどうかを十分に考えるべきでしょう。

また、ユーザーがステマに騙されないためには、情報を安易に鵜呑みにせずに自分で調べる・試すといった検証が大切です。

画像出典元:Unsplash、Pixabay

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