eコマースとはどのようなものなのでしょうか。インターネット上で買い物をするときに利用するeコマース。eコマースの市場規模や動向はどうなっているのでしょうか。
そのeコマースをするメリットやデメリットについて、簡単にお店を開くことができる方法などについても解説していきます。
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eコマースとは、電子商取引の事を指し、インターネット上で扱われる商品などの取引・決済のことを表します。つまり、簡単に表すとeコマースとはネットショッピングの事を表します。
eコマースには取引する相手によって種類が変わります。インターネット上における企業同士の取引の場合には、BtoB(Business to Business)と言います。
そして、ネットショップなど企業と一般消費者との間での取引をBtoC(Business to Consumer)と言います。
最後に、ネットオークションやフリマアプリなど消費者同士による取引をCtoC(Consumer to Consumer)と言います。
eコマースにはこの3種類の言い方がありますが、一般的にはeコマースと言うとBtoCを指すことが多いです。
eコマースとEDIとは混同しがちですが、EDIとは企業間の商取引で使われる規格やツールの事を指します。そのためネットショッピングを表すeコマースとは根本的に違うものになるのです。
EDIとは、商取引効率化ツールのことを指し、eコマースとはネットショッピングのことを指していると捉えると分かりやすいでしょう。
実店舗を持つ必要が無く、スタッフも用意しなくていいため日本のeコマース市場は増加傾向にあります。経済産業省の調査によれば、2015年には市場規模が13.8億円で前年比7.6%増となっています。
世界における日本のeコマース市場規模は、ここ数年で4位となっています。
経済産業省の資料「平成30年度 電子商取引に関する市場調査」によると、順位は、1位が中国、2位がアメリカ、3位イギリス、5位韓国、6位ドイツ、7位フランスとなっています。
1位の中国の市場規模は15,267億米ドルとダントツで、2位のアメリカ(5,232億米ドル)と大きな開きがあります。日本は1,093億米ドルとなっています。
引用:経済産業省「平成30年度 電子商取引に関する市場調査」
eコマースの市場規模を見ていくと、2018年のBtoCの市場規模は17兆9,845億円で、前年度に比べて8.96%増となっています。
さらには、2018年のBtoCの市場における物販の市場規模は9兆2,992億円となっています。そのうちのスマートフォン経由での市場規模が 3兆6,552億円となっており、こちらも前年よりも増加しています。
BtoCにおけるスマートフォン経由の割合は3割程度で、特に衣類・服飾雑貨、医薬品などの流通が多くなっています。
そして、2018年のBtoBの市場規模は、344兆2,300億円にもなっています。
日本のeコマースの中で有名な企業の売り上げについて見ていきましょう。
まずは楽天のIRの説明資料から2016年の流通総額は合計で3兆円になります。続いて、Yahoo!ショッピングとアスクルを合計した2016年の流通総額は、9,562億円となっています。
また、Amazonの流通総額は公表していないため正確な数字は分かりません。しかし、アメリカの決算報告書の中の日本の売上高は公表されているのでそこから見ると、1.8兆円の流通総額になります。
最後に、ZOZOTWONの売上高は、2019年3月期通期連結業績予想で1,180億円となっています。ここまで見て、楽天がいかに大きな規模の流通を担っているかが分かります。
一言にeコマースと言っても様々な形態があります。現在は、オンライン上に様々な店舗の出店・開店のための選択肢は増えてきています。
どのような個人や事業者でも思い通りの形態で展開していくことが可能になっています。
eコマースを始める形態としては、出店するか開店するかという種類があります。
まず出店するというのは、楽天やAmazon、ヤフーショッピングなどのショッピングモールにお店を出すというものです。実店舗でいうと、百貨店にお店を出すというイメージになります。
ショッピングモールに出店する場合には、既に人が集まるところに出店するため集客のための費用が少なくなります。その代わり、ECプラットフォームに対して売り上げの一部を支払う必要があります。
自社ブランドの店舗をインターネット上に開設することもできます。実店舗で言うと、路面店を開店するというイメージになります。インターネット上に自社ブランドのホームページを作成し、SEOやSNSを使って集客をしていきます。
場所代が少なく済み、売り上げが全て自分のところに入るというメリットがあります。一方で、集客に関するコストは高くなる傾向にあります。
売り手と買い手が自由に取引できるマーケットプレイスは出店するのではなく、単体で出品する形態になります。代表的なものとして、Amazonマーケットプレイス、メルカリ・ヤフオク・Amazonマーケットプレイスなどがあります。
いわゆる個人個人取引CtoCの形態になります。メルカリやAmazonなどが個人間取引のプラットフォームを提供してくれるので、簡単に商品を売買することができます。
eコマースは運営側にも買い手側にもメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。
運営側のメリットの一つ目は、世界中の市場に対して売買することができるということです。国内だけでなく海外においても、売買をすることが可能なのです。さらには、地理的に不便な場所や人が集まりにくい場所でも、eコマースを使えば、運営していくことができます。
次のメリットとしては、利用者の増加の恩恵を受けることができます。インターネットの普及、特にスマートフォンからの利用が増えることで、eコマースを利用する人が増えるのです。
さらに他のメリットとしては、店舗の費用を少なく抑えることができるというものです。実店舗でお店を持つと、光熱費や場所代、人件費などがかかってきますが、eコマースでの出店であれば少なく抑えることができます。
あまり経験の無い人でも、リスクを少なく出店することができるのです。
買い手側のメリットとしては、どこからでも買い物をすることができるというものです。インターネットに繋がれば、どこにいても、どんな状況だったとしてもeコマースを利用することができます。
小さな子供がいる主婦や、外に出ることが難しい高齢者や障害者の人でも、自由に買い物をすることができます。
その他のメリットとしては、安価に手に入れることができるというものです。eコマースを利用していることで、人件費や土地代などにかかるお金を抑えることができるため、実店舗に比べて安く売ることができるようになっています。
そのため、買い手側は安い値段で商品を手に入れることができるようになっています。さらには、買う商品が決まっていれば、複数のサイトを比べて、安いものを手にすることができるのです。
さらなるメリットとしては、自分好みのものをすぐに見つけることができるというものです。実店舗の場合には、実際に足を運んで自分の好きなものを見つける必要があります。しかし、eコマースであれば、検索をしてすぐに自分の好きなものを見つけることができるのです。
eコマースのデメリットについても、運営側・買い手側のデメリットがあります。
運営側のデメリットの一つ目は、ライバルが沢山いるというものです。実店舗でならば、その土地に他に同じような商品を販売しているところが無ければ、運営はスムーズに行きます。
しかしeコマースの場合には、沢山のライバルが存在するのです。Googleなどで「おしゃれな靴」と検索すると膨大な靴が出てきます。それら全てがライバルとなるのです。
楽天やAmazonなどの商品は検索上位に出てきます。そのように検索上位に来るようにするには、SEO対策をしたり、マーケティングが必要となってきます。
次のデメリットとしては、ECサイトへの集客が難しいというものです。実店舗であれば、店の前で呼び込みをしたり、チラシを配ったりなど、誰でもできるものです。しかしeコマースの場合には、SEO対策やリスティング広告を行うには専門の知識が必要になります。
いくら自社サイトを作ったとしても、うまく検索の上位に来なければ、集客が全くできないということがあるのです。
買い手側のデメリットは、実際に商品を触ったり見ることができないので、届いたものとイメージが違うことがあるというものです。
例えば、ファッションを買う際にも、実店舗であれば実際に手に取り感じることができ、試着をして似あう・似合わないということを試すことができます。しかし、eコマースの場合には、説明文や写真などだけから判断しなければならないのです。
こういったデメリットを改善するために、写真を多く掲載したり、ZOZOスーツのようにユーザーの体形を採寸するスーツが開発されたりしています。さらには、NIKEのECサイトでは1商品に1回までサイズや色による返品ができるようになっています。
その他のデメリットとしては、配送に時間がかかるというものです。実店舗であれば、購入したその場ですぐに手に入りますが、eコマースの場合には通常2日~4日くらいの時間がかかります。
そのデメリットの解消のために、Amazonプライムでは当日配送というサービスを打ち出しています。
eコマースを始めようと思うと開店するのがメインと感じてしまうことがありますが、開店や出店してからがやることが多いです。
店長業務としては、商品企画から商品写真の撮影・画像加工、商品情報の作成や登録、受発注対応、顧客対応、集客施策、SEO対策、各モールのセール対策など沢山のやることがあります。
起ち上げ当初は、そういった作業を一人か二人で行っていくのが一般的になっています。しかしそれらを実践していくのは大変です。そのために、そういった業務を支援するサービスもありますので、うまく使いながら行っていくといいでしょう。
商品情報の登録とは実店舗で言う所の品出しにあたります。店舗を開店しても商品を登録しなければ何も売ることはできないのです。商品登録をすることで、ユーザーが店舗に来て、商品を見て買うことができるようになるのです。
商品の登録は誰でもできる作業ですのでいかに効率化を計るかが大事になってきます。最近では、クラウドソーシングなどで商品登録をしてくるサービスもあります。
商品が売れた時に行う管理が必要になってきます。細かく見ると、梱包、発送、納品書作成、ピッキング、発送メールの送信などが必要になってきます。基本的には、会社のスタッフが行う業務になります。
インターネット上におけるマーケティングを行うことも必要です。販売促進をするだけでなく、店舗のブランド化やユーザーからの信頼度を上げるなどを目的に行われます。毎年沢山のマーケティング手法が出てきますが、大事なのは現状の課題を上げて、目的達成のためのマーケティングを選んでいくことです。
eコマースを簡単に始めることができるネットショップ作成サービスというものがあります。どんなものがあるのか見ていきましょう。
ASPの場合、多くの場合が管理画面から設定して作っていくものになります。例えば、カラーミーショップ、ショップサーブ、MakeShop等があります。
・カラーミーショップ(https://shop-pro.jp/)
・ショップサーブ(https://sps.estore.jp/)
・MakeShop(http://www.makeshop.jp/)
プログラムの知識が無くても作ることができますが、その分自由度は低く、ASPの機能により制限されるものになります。ASPサービスを利用するのは、コストパフォーマンスがいいのですが、機能に限界があるため成長をしていくことは難しいと言えます。
ASPで出来なそうなこととして以下のようなことがあるので、事前に確認をしておく必要があるでしょう。
・SEO対策をすることができないので上位表示することができない
・予約販売をしたくても機能として無いために、手間がかかる
・ブログの構築がeコマースと合わせて作ることができない
通常eコマースのネットショップ作成サービスを使うと初期費用と月額使用料がかかりますが、売れた商品の価格から一部支払うことで、初期費用と月額使用料をゼロにしてくれるサービスがあります。例えば、STORES.jp、BASEというものがあります。
・STORES.jp(https://stores.jp/)
・BASE(https://thebase.in/)
無料の作成サービスは、制限が多いため、「EC CUBE」や「ショッピングカートASPサービス」などを使って別での構築が必要になるかもしれません。
オープンソースのeコマース向けコンテンツマネージメントシステムになります。株式会社ロックオンが開発したコードをオープンソースとして無料で配布しています。
こちらのEC CUBEをベースにして仕様に基づいてカスタマイズして構築していきます。開発会社が構築していくことになります。
・EC CUBE(http://www.ec-cube.net/)
eコマースの闇というものがあります。巨大モールに出店している店舗の負担が増加しているのです。一つずつ見ていきましょう。
2019年8月に楽天が「3,980円以上を送料無料にする」と検討して、開始時期を2020年2月頃としています。この送料無料により、楽天側は売り上げ10%アップを見込んでいます。
しかし、店舗運営側に負担が来てしまうことになるのです。これまで、送料無料についてのラインは店舗側が自由に決めていました。
5,000円以上お買い上げの場合や、1万円以上購入の場合、送料無料などにしていたものが、「3,980円以上を送料無料にする」となると店側の負担が増えてしまうのです。3,980円では採算が合わない場合も出てくるのです。
さらに、楽天の送料無料については離島も含めて検討しています。今まで離島の場合には、送料に上乗せがあったのですが、今回、離島に関しても送料無料にするということになっているのです。
Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングのポイント付与負担を店舗側に負担させているのです。そのことにより公正取引委員会の実態調査が行われているのです。
商品購入の際に割り振られるポイントを出店者に負担させるというものです。
楽天は楽天市場を運営して、購入に対して1%のポイントを付与します。物販だけでなく旅行を扱う楽天トラベルなどでもポイントが付与されます。楽天の広報は、「しっかりと説明して理解をしてもらった上で出店してもらっている」と話しています。
ヤフーショッピングにおいても購入に対して、1%のポイントが付与されます。平成28年からは、出品者から販売額の2.5%を徴収して、還元キャンペーンを行う際の資金としています。
Amazonのポイントについても出店者の負担となっています。
eコマースについて様々な観点から見ていきました。eコマースの市場規模は増加傾向で、これからも増えていくことになるでしょう。スマートフォンからの購入が増えてくる中で、eコマース市場に入っていくことで利益を伸ばしていくことはできるかもしれません。
店舗運営についても、運営者の個性を出すことができます。どのような商品を扱っていくのか、どのような画像や説明をしていくのか。購入に関する付帯サービスは何があるのか、どうやってSEO対策をしていくのかなどやれることは沢山あります。
これから発展していくeコマースに今からでも参入するのは遅くないのではないでしょうか。
画像出典元:Pixabay
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