在庫管理システムとは商品の入出庫の数量や単価をシステムに取り込み、リアルタイムで把握することができるものですが、そもそも在庫管理とは何か、なぜリアルタイムの在庫管理が経営に必要なのかということから、在庫管理システムとは何か詳しく解説します
また在庫管理システムのメリット・デメリットをふまえ、導入の際のポイントも分かりやすく解説します。
このページの目次
「在庫管理」とは、仕入れた商品や材料が得意先に販売される前、社内に滞留している状態(在庫)のものを会社の資産として管理することです。
住宅や車のようなオーダーメイドの商品は別として、得意先からの注文を見越してある程度余分な仕入れをし、常に手元に商品ストックを抱えている会社が多いのではないでしょうか?
この「在庫管理」が正確に行われないと、経営にも大きな影響を与えることとなります。
在庫を管理する上で一番の重要なポイントは、余剰在庫が出ないよう管理しながら在庫不足という事に陥らないよう適度な在庫を維持することです。
その他にも注意しなければならないポイントを紹介します。
会社の利益は「売上から仕入(費用)を差し引いた金額」で計算されると認識されがちですが、実際の損益は「在庫」を加味した状態で計算されます。
具体的には、在庫の資産価値を仕入高から引き算する必要があるのです。
仕入=経費ですから仕入から在庫の金額を引き算すれば当然経費は少なくなります。
つまり、利益が増えるわけです。
よく“節税対策として決算日直前に大量の仕入れをして経費を増やせば税金が安くなる”と考える方がいますが、その商品が社内に在庫として残っている限りは仕入高から引き算しなければなりませんので全く意味がありません。
また、毎月の損益計算の過程で在庫を外したのであれば単なる在庫計上漏れで済みますが、税務申告である決算で在庫を外して申告した場合は利益が少なく計算されますので、故意・過失を問わず脱税行為となります。
その他、在庫を正しく認識し、正確に計上しないことで生じるデメリットを列挙してみましょう。
粗利益率や在庫回転率といった重要な経営指標を正しく計算することができない |
経営指標を正しく計算するためには、売上高に対応した適切な仕入原価を計算する必要があります。 |
社内に滞留している在庫量が適切なのかを把握できない |
在庫とは別な言い方をすれば「運転資金が在庫として眠っている」ということです。 |
期間損益の比較が困難になる |
在庫は翌期の損益にも影響します。 |
以上のように、在庫管理というのは税金の計算のみならず会社の経営にも重大な影響を及ぼす要素の一つなのです。
在庫管理の基本は「なに」が「いくつ」「どこに」あるかなど、データ(情報)とモノ(物)の状態を一致させること=「情物一致」です。
現場で「把握」した在庫状況(現物管理)を紙やエクセル、または専用のシステムを利用して「記録」しデータに反映させて管理するという、仕組みとしてはいたってシンプルな作業ではありますが、実際は「把握」「記録」という作業に、多くの会社が悩みを抱えています。
商品を仕入れてそのままの形状で販売する小売業や、取り扱うアイテム数が少なければ在庫管理も比較的容易ですが、アイテムが数百点、数千点という数になりますと数量を把握するだけでも大変な作業になります。
在庫の入出庫は常に動いており、実地棚卸で数えている間にも変化しているからです。
また、製造業の場合は材料→仕掛品(半製品)→完成品(製品)というように物が形を変えていきますので小売業よりも管理項目が大幅に増えます。
このような煩雑な業務の中で、起こる「数量の数え間違い」や「入力ミス」の人的ミス、返品や破棄等のトラブルに加え、「一つくらいの数え間違えは誤差のうち…」といったような在庫管理関する意識の低さ、そもそもの管理体制が不十分といった要因が在庫管理をさらに難しくさせています。
よって、従来のアナログ的な在庫管理では要する人的コストが会社にとって大きな負担となる他、在庫不足による販売機会損失のリスクも大きくなります。
そこで、在庫管理を効率化するため「在庫管理システム」を導入する会社が増えています。
在庫管理システムとは、商品の入出庫の数量や単価をバーコード等により全てシステムに取り込み、リアルタイムで把握することができるものです。
在庫管理システムを導入するメリットが大きい業種としては、仕入れするアイテム数が多い小売業、卸売業、製造業などです。
「いつ」「どこから」「何を」「いくらで」「いくつ」仕入・販売したか?
「何が」「いくつ」「いくつ」あるのか?
在庫管理システムで一元管理することにより、正確性や作業効率が格段に向上し、人件費削減・生産性のアップに繋がります。
また、在庫の部品が欠品して工場のラインがストップする、販売機会損失というリスクも回避することができるでしょう。
しかし、在庫管理システムと一言でいってもシステムの内容は多種多様です。
製造業に欠かせない需要予測や生産計画ができる「生産管理システム」や、在庫が倉庫のどこにあるかを管理できる「倉庫管理システム」が含まれているもの、近年増加しているEC対応に特化したもの…などなど。
オーダーメイドやパッケージタイプ、オンプレミス型、クラウド型からスマホのアプリまであり、どのような在庫管理システムが自社に必要なのか?そもそも導入するべきか?迷うところではないでしょうか。
そして当然のことながら、導入にいたってはコストが必要になります。
導入コストはアプリやクラウド型で数千円から数万円と、比較的低コストで導入することができるものあれば、オーダーメイドやオンプレミス型で数十万から数百万、高いもの1,000万円以上のものまであり、応じて機能にもかなり幅があります。
在庫管理の方法は会社によって様々でありますから、一概に価格や売れ筋だけの情報で決めるのは危険です。
また、導入以降の運用コストも発生します。
運用コストに関しては、現在の在庫管理の状態と比較してみるのがよいでしょう。
例えば、
・実地棚卸にかかる時間と人件費
・在庫を検索、探す時間
・在庫を共有する時間
・エクセルや手書きの管理表へ入力する時間、及びミスがあった時の被害や対応時間
などです。
費用対効果を考え、しっかりと検討することをおすすめします。
では、在庫管理システムをうまく活用するために、導入時に考慮すべきポイントをいくつか列挙してみましょう。
実務とシステムの両方に精通する担当者を決める |
在庫の税務的な捉え方、考え方を理解し、その知識をシステムに反映させていくためにはどちらにも精通している担当者が不可欠です。 |
中小企業は将来の成長余地を予測し、柔軟性のあるシステムを選ぶ |
企業は絶えず変化していくものですので、将来的に、取り扱いアイテム数が飛躍的に増加する可能性もあります。 |
経営者の求めるところ、現場の従業員の求めるところに対するすり合わせ |
経営者が求めるものは「リアルタイムで」「正確な」在庫であり、在庫管理に携わる従業員の目指すところは「効率的で」「ミスのない」業務です。 |
無料のお試しサービスなどを利用し、実際に運用してみる |
業務の効率化や在庫の正確な数値を目指すには、自社の在庫管理にマッチしたシステム選びが重要になってきます。 |
スマート在庫管理(ZAICO)はクラウド型のため、初期コストを抑えることができ、安価に在庫管理ができるアプリです。他にもfreeeと連携することで、在庫管理がワンステップで完了するのも便利なポイントです。
flam(フラム)は、販売・仕入れ・在庫業務の連携が簡単にできるクラウド販売管理システム。扱いやすいユーザビリティやクラウド利用のため、導入しやすいのが特徴です。
ロジクラは出荷作業をiPhoneで行うことができるため、手入力による人為的なミスを削減することができます。また、スマホでの情報はクラウドで一元管理されるため、運用フローも今までより楽になります。
※別途、入力機器としてiPhoneが必要です。
在庫というは、会社の利益のみならず経営分析や経営指標、人件費や生産にまで影響を及ぼすものであり、ある意味「会社の生命線」であるといっても過言ではありません。
多少のコストはかかっても「在庫管理」をしっかり行ない、会社の現状について正しい情報を常に手に入れるよう心がけましょう。
画像出典元:o-dan