機関設計をやさしく解説!各機関の種類と役割

機関設計をやさしく解説!各機関の種類と役割

記事更新日: 2019/06/30

執筆: 編集部

機関設計は会社設立時などに決定します。一般的な機関といえば株主総会・取締役・代表取締役・取締役会ですが、他にも監査役・会計参与などの機関があります。これら全ての機関を設置する必要はなく、設置が必須となる機関、任意で設置する機関があります。今回は機関設計についてご紹介します。

株式会社の機関設計とは

機関設計とは会社法によって定められた機関を、どのように設置するか決定することです。

中小企業の多くが「経営者=会社のオーナー」となっており、経営者が株主になっていることが多いです。

しかし、株式会社には「会社を所有する株主と経営者は別々だ」という考え方があります。

会社の規模は様々で、会社が大きくなってくると利害関係者が増えてきます。そうなると、出資者と経営者だけで対外的な責任を果たすのは困難になってきます。

会社の組織バランスをとるためにも、会社法のルールに即した機関設計が必要になってきます。

10の機関の種類と役割

機関には各々の役割があります。まずは、機関の種類と役割について確認しましょう。

機関 役割
株主総会 会社に関する全てのことが決議できる機関
取締役 会社の業務執行を行う機関
代表取締役 取締役が複数いる場合、それを代表する機関
取締役会 業務執行に関する意思決定を行う機関
監査役 取締役の業務を監査する機関
監査役会 監査方針の決定や報告の作成を行う機関
委員会 指名委員会、監査委員会、報酬委員会などを設置する機関
執行役 委員会設置会社で、会社の業務を行う機関
会計監査人 計算書類についての監査を行う機関
会計参与 取締役や執行役と一緒に会計書類の作成を行う機関

会社は上記10の機関を設置することができますが、全ての会社が10つの機関を設置する必要はありません。詳しくは、後述します。

会社法で自由度の高い機関設計が可能


平成18年5月1日に会社法が施行され、自由度の高い機関設計が可能になりました。

従来の機関設計に比べて、変更になった主な点をご紹介します。

取締役会と監査役は任意の設置

今までの株式会社では「株主総会」「取締役会」「監査役」の設置は必須となっていました。

しかし株式譲渡制限会社では、取締役会と監査役の設置をしなくてもよくなりました。

株式譲渡制限会社は、定款で全ての株式の譲渡について会社の承認が必要であることを定めている株式会社です。

会社法の施行によって、株式譲渡制限会社は取締役会と監査役を設置する必要がなくなったため、1人でも会社の設立が可能です。

会計参与の設置

会計参与は聞きなれないかもしれませんが、取締役と一緒に決算書の作成・説明などをする機関です。

会計参与は監査役の業務に似ていますが違います。

監査役は決算書などの確認に対して、会計参与は取締役と共同して決算書の作成などをします。会計参与は監査役に比べて権限が上だとイメージするとわかりやすいです。

監査役に資格は必要ありませんが、会計参与は税理士・公認会計士などの専門家で構成されています。

監査等委員会設置会社の新設

平成26年の会社法改正により、新たな機関設計として監査等委員会を設置する監査等委員会設置会社が創設されました。

監査等委員会は3名以上の取締役、さらにそのうちの過半数は社外取締役となります。

監査等委員会は、取締役の業務を監査する立場にあります。

監査等委員会設置会社では、監査等委員会・取締役会・会計監査人の設置が必須となり、監査役は設置できません。

機関設計の組み合わせ

会社の機関設計は大会社に該当するか否か、公開会社に該当するか否かによって異なります。

大会社は資本金5億円以上又は負債200億円以上と会社法で定義されています。図にすると以下のようになります。

  大会社 非大会社
資本金の額 5億円以上 5億円未満
負債の額 200億円以上 200億円未満

株式譲渡制限会社以外は公開会社になります。株式譲渡制限会社は定款で株式の譲渡について会社の承認が必要であることが定められいます。

一部の株式だけでなく、全部の株式に対して譲渡制限がされている会社が株式譲渡制限会社です。

そのため、一部の譲渡制限や譲渡制限がない会社は公開会社になります。

大会社の機関設計

No 公開会社・非公開会社 機関設計
1 公開会社 取締役会+監査役会+会計監査人
2 公開会社 取締役会+委員会+会計監査人+執行役
3 非公開会社 取締役+監査役+会計監査人
4 非公開会社 取締役会+監査役+会計監査人
5 非公開会社 取締役会+監査役会+会計監査人
6 非公開会社 取締役会+委員会+会計監査人+執行役

※株主総会は全ての株式会社の必須機関。会計参与は全てのパターンで設置可能。

大会社以外の機関設計

No 公開会社・非公開会社 機関設計
1 公開会社 取締役会+監査役
2 公開会社 取締役会+監査役会
3 公開会社 取締役会+監査役+会計監査人
4 公開会社 取締役会+監査役会+会計監査人
5 公開会社 取締役会+委員会+会計監査人+執行役
6 非公開会社 取締役
7 非公開会社 取締役+監査役
8 非公開会社 取締役+監査役+会計監査人
9 非公開会社 取締役会+会計参与
10 非公開会社 取締役会+監査役
11 非公開会社 取締役会+監査役会
12 非公開会社 取締役会+監査役+会計監査人
13 非公開会社 取締役会+監査役会+会計監査人
14 非公開会社 取締役会+委員会+会計監査人+執行役

※株主総会は全ての株式会社の必須機関。会計参与は全てのパターンで設置可能。

一般的な機関設計

機関設計の組み合わせは先ほど確認したように様々です。

しかし、中小企業の一般的な機関設計はほぼ決まっており、創業時の人数によって異なります。

1人又は2人で起業する場合

1人又は2人で起業する場合の機関設計は「株主総会+取締役」となります。

「取締役会と監査役は?」思ってしまいますが、1人又は2人の場合、取締役会とは設置ができません。

取締役会は3人以上の取締役が必要になります。

「株主総会+取締役会」の機関設計にするためには、前提条件として中小会社かつ株式譲渡制限会社(非公開会社)であることが必要です。

3人以上で起業する場合

3人以上で起業する場合でも、「株主総会+取締役」の機関設計が可能です。

取締役会は3人以上の取締役が必要になりますが、取締役が3人以上になると取締役会の設置が必須になるわけではありません。

逆に取締役会を設置した場合、監査役や会計参与が必要になり3人では人が足りなくなってしまいます。

監査役は取締役を監査する立場にあるため、取締役と監査役の兼用はできません。

代表取締役を選任しないことが可能

取締役が2名以上の場合、どちらか1人を代表取締役に選任することが多いいですが、代表取締役を選任しないことも可能です。

代表取締役を選任しない場合、取締役が各々会社を代表することになります。

「経営者=会社のオーナー」であれば、特に問題はないかもしれません。

しかし、経営者が会社のオーナーではない場合、会社の重要事項の決定を株主総会で決議することになるため、オススメはしません。

まとめ

会社設立時に必要となる機関設計ですが、会社法施行以降は自由な機関設計が可能になっています。

機関が増えれば報酬が増えるため、会社設立時の機関設計は取締役会も設置しない「株主総会+取締役」のシンプルな機関設計をオススメします。

上場を目指す場合、必然的に公開会社になり「取締役会」「監査役」の設置が必要になりますが、設立当初から設置する必要はありません。

創業時の人数が複数人いる場合は、創業メンバーの処遇をはっきりとし、運営しやすい機関設計をしましょう。

画像出典元:写真AC 、O-DAN

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