年々増えている監査等委員会設置会社のメリットとデメリット

年々増えている監査等委員会設置会社のメリットとデメリット

記事更新日: 2019/09/09

執筆: 編集部

最近、上場企業の間で「監査等委員会設置会社」が増えています。監査等委員会設置会社は2014年6月の会社法改正によって導入された制度ですが、増えているということは監査等委員会設置会社に魅力があるということです。

今回は監査等委員会設置会社についてご紹介します。

監査等委員会設置会社とは

監査等委員会設置会社を一言で言うと株式会社のガバナンス形態の一つです。

監査等委員会設置会社は、2014年6月の会社法改正より導入された新制度で「監査役会設置会社」「委員会設置会社」につぐ株式会社の第三の機関設計として創設されました。


監査等委員会設置会社は大会社、公開会社は関係なく株式会社であれば設置が可能です。上記の図でわかるように「株主総会」「取締役会」「代表取締役」「監査等委員会」「会計監査人」の機関を設置する必要があり「監査役」「執行役」「指名委員会」「報酬委員会」は設置することができません。

監査等委員とは

監査等委員会設置会社は監査役を置かない代わりに、取締役を「監査等委員である取締役」と「監査等委員である取締役以外の取締役」に区別されます。

監査等委員とは、取締役をチェックする役割である取締役のことです。

監査等委員の任期は2年で、監査等委員以外の取締役の任期は1年となっています。

監査等委員は株主総会で、監査等委員以外の取締役の選任・解任・報酬などについて意見を言うことができます。

また、監査等委員は業務執行取締役との兼任はできません。

監査等委員会とは

監査等委員会は3名以上の監査等委員で構成され、その内の過半数が社外取締役である必要があります。

監査等委員会設置会社が500社を超えた

監査等委員会設置会社は会社法の改正以降年々増加傾向にあり2018年には500社を超えました。

監査役会設置会社の組織形態が多いですが、東証1部では全体の約1/4が監査等委員会設置会社になっています。


 
 

監査役会設置会社とは

監査役会設置会社は「監査役会設置会社」「委員会設置会社」「監査等委員会設置会社」の3つの機関設計の中で最もシンプルなガバナンスです。


監査役会設置会社は「株主総会」「取締役会」「代表取締役」「監査役(会)」で機関設計されている会社です。

監査役には取締役などから事業の報告を求める、取締役会の招集を請求できるなどの権限があります。

しかし、定款で監査役の監査の範囲を「会計に関するもの」に限定している場合は、たとえ監査役を設置していても監査役設置会社に該当しないので注意しましょう。

委員会設置会社とは

委員会設置会社は「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」の3つの委員会を置く会社です。


監査等委員会設置会社に「指名委員会」「報酬委員会」が増えたとイメージするとわかりやすいです。

指名委員会は取締役候補者の選定、報酬委員会は報酬を決定、監査委員会は監査をする立場です。

指名委員会・報酬委員会・監査委員会の各委員会の委員の過半数は社外取締役である必要があります。

そのため、取締役の選定・報酬の決定などを過半数以上の社外取締役に委ねる必要があり、3つの組織形態の中では一番少ない数になっています。

監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・委員会設置会社の比較

上場企業の間で増えている監査等委員会設置会社は、監査役会設置会社と委員会設置会社の中間の会社をイメージして下さい。

3つの会社をまとめると以下のようになります。

内容 監査役会設置会社 監査等委員会設置会社 委員会設置会社
監査 監査役(会) 監査等委員会 監査委員会
任期 4年 2年 1年
人数 3名以上 3名以上 3名以上
社外の有無 過半数は社外監査役 過半数は社外取締役 過半数は社外取締役
監査役の有無 設置できない 設置できない

 

監査等委員会設置会社のメリット

監査機能の強化

会社の監査といえば監査役が一般的ですが、監査役の監査機能には限界があります。

先ほどもお伝えしましたが、監査役には取締役などから事業の報告を求める、取締役会の招集を請求できるなどの権限があります。

しかし監査役は取締役ではないため、取締役会決議において議決権がありません。

そのため、監査役は取締役会の招集を請求できますが、取締役会決議において議決権がないため、代表取締役や業務執行者の選定・解職には限界がありました。

一方、監査等委員会設置会社における監査等委員は取締役であり、取締役会において議決権があるので監査機能が強化されたと言えるでしょう。

役員数の減少

役員が増えれば、それだけ報酬の金額も増加するので経費がかさみます。

そのため、経済的には役員数は少ない方がいいでしょう。

監査等委員会設置会社は監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、委員会設置会社の中で最も役員の数を少なくすることができます。

2015年6月に発表されたコーポレートガバナンス・コードによると「少なくとも2名以上の社外取締役を選任すべき」という規定が示されました。

そのため監査役会設置会社では社外取締役を含め最低7名以上の役員の選任が必要です。

しかし、監査等委員会設置会社は監査役を置かず監査等委員は取締役なので最低4名の役員の選任ですみます。

委員会設置会社は指名委員会・報酬委員会・監査委員会の3つの委員会で、各々3名以上の役員が必要になります。

各委員は兼任することができますが、現実に3つの委員を兼任することは難しいでしょう。

取締役自らが取締役の指名・報酬を決議

会社の業務執行と監督の分離、業務執行者の監査と監督機能を強化するために委員会等設置会社が設計されています。

そのため、委員会等設置会社は3つの委員会の設置や社外取締役の確保が必要になり負担が大きいです。

しかし、取締役の指名・報酬は指名委員会・報酬委員会が決定するため取締役自らが指名・報酬を決議することはできません。

一方、監査等委員会設置会社は指名委員会・報酬委員会を置く必要がないため、取締役自らが指名・報酬の決議に参加することができます。

監査等委員会設置会社のデメリット

コストの発生

監査等委員会設置会社は比較的に新しい制度です。既存の機関設計とは違うため、監査手法、組織体制などに変更が生じます。

この変更に伴い社内規程、テンプレート書類などの変更に時間とコストが発生します。

監査の質を保てるか

監査といえば監査役、監査委員会が一般的です。監査役、監査委員会は監査が主な業務です。

そして、監査等委員は従来の監査に加えて、取締役の指名・報酬についても評価することになります。

そのため、監査等委員は監査役、監査委員会に比べて監査以外の負担が増えます。そのため監査の質が保てなくなる可能性がでてきます。

まとめ

監査等委員会設置会社はメリットは大きく、導入を前向きに検討したい設置機関です。

監査等委員会設置会社制度が導入された当初は事例やテンプレートが少なかったですが、年々増加傾向にあるため、他者事例を踏まえて導入しやすくなっているのではないでしょうか。

監査等委員会設置会社のメリットだけに着目をして導入をした結果、ガバナンスがうまく機能しなくなっては意味がありません。

会社規模、人材、組織体制を十分検討して適切な機関設計をしましょう。

画像出典元:写真AC 、O-DAN

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