委員会設置会社とは?メリット・デメリットを丁寧に解説

委員会設置会社とは?メリット・デメリットを丁寧に解説

記事更新日: 2019/06/28

執筆: 編集部

上場企業の間で委員会設置会社が徐々に増えています。ニュースなどで委員会設置会社を耳にする日もあります。

委員会設置会社は3つの委員会が設置されている会社で、報酬や人事の透明性を高めることが目的とされています。今回はそんな委員会設置会社についてご紹介します。

委員会設置会社とは

委員会設置会社とは機関設計の1つで、監査役に代えて「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」の3つの委員会を設置している株式会社のことです。

委員会設置会社は「株主総会」「取締役会」「委員会」「会計監査人」の組織から構成されています。


監査と言えば通常、監査役や監査役会ですが、委員会設置会社では監査を監査委員会が実施します。

委員会設置会社が設計された背景

会社の規模が拡大してくると取締役が取扱う事項や役員の数が増加し、早い意思決定が困難になります。

さらに、日本の企業の取締役は社内から昇進した人が多く、代表取締役と取締役が上司・部下の関係にあり、適切な監視が難しくコーポレートガバナンスの機能が十分ではありません。

委員会設置会社は、業務執行と監視役を担う組織を明確に区別するために設計され、業務執行者に対する監査と監督機能を強化することが期待されています。

指名委員会・報酬委員会・監査委員会とは

委員会設置会社には「指名委員会」「報酬委員会」「監査委員会」の3つの委員会を設置する必要があり、各委員会の役割は違います。

指名委員会とは

指名委員会は取締役や会計参与の選任・解任を決定します。

指名委員は取締役会で選任され、3人以上の取締役、過半数は社外取締役である必要があります。

報酬委員会とは

報酬委員会は取締役・執行役・会計参与の報酬を決定します。

報酬委員は指名委員と同様に、取締役会で選任され、3人以上の取締役、過半数は社外取締役である必要があります。

監査委員会とは

監査委員会は取締役・執行役・会計参与の職務執行の監査と会計監査人の選任・解任を決定します。

監査委員も各委員と同様に、取締役会で選任され、3人以上の取締役、過半数は社外取締役である必要があります。

監査委員は執行役、子会社の執行役、業務執行取締役などを兼任できないので注意しましょう。

委員会設置会社と株式会社の違い

委員会設置会社に監査役は設置できない

委員会設置会社に監査役は設置できません。

委員会設置会社においては監査役の設置が任意ではなく禁止されています。

通常の会社であれば監査は監査役が実施します。

しかし、委員会設置会社では監査は監査役ではなく監査委員会が実施します。

そのため、監査役の設置ではなく、会計監査人の設置が必要になります。

会計監査人とは

会計監査人は会社の決算が正しく行われているか監査する人のことです。「監査役と同じでは?」と思うかもしれませんが、会計に関しての専門家です。

監査役は基本的には誰でもなれますが、会計監査人は「公認会計士」または「監査法人」以外、なることができません。

 

委員会設置会社の取締役は業務を執行しない

委員会設置会社においては取締役ではなく、執行役が業務を執行します。

日常業務を執行するのは取締役ではなく執行役になります。

取締役会は業務を執行しないため、経営の基本的な方針を決定し監督することに専念できます。

取締役会と執行役が分離されているため取締役会の監督機能の強化がされます。

委員会設置会社に代表取締役は存在しない

委員会設置会社には「執行役」「代表執行役」があり代表取締役は存在しません。

委員会設置会社のメリット

委員会設置会社の最大のメリットは、欧米などの海外の投資家の信頼を得やすいことです。

日本で馴染みがある機関設計といえば取締役会・監査役が設置されている監査役設置委員会です。

一方、欧米では委員会設置会社に馴染みがあります。

委員会設置会社は監査役設置会社などに比べて経営の透明性が高く、欧米のガバナンスに近いため、海外の投資家に良い印象があります。

委員会設置会社のデメリット

人員の確保が困難

委員会設置会社で設置する指名委員会・報酬委員会・監査委員会は取締役会で選任されます。

3つの委員会はそれぞれ3人以上の取締役で構成され、半数以上は社外取締役である必要があります。

単純に考えると3つの委員会で合計9人以上の取締役(取締役3人・社外取締役6人)が必要です。

各委員は兼任することができ、兼任した場合は取締役1人と社外取締役2人の取締役の合計3人でいいことになります。

しかし現実に委員を兼任することは難しいので、多くの取締役の確保が必要になってきます。

社外取締役が増えれば、取締役会の議論が活性化するメリットがあります。

社外取締役には経営や会社の事業に精通した人が好まれますが、適任者を確保することは困難になります。

報酬の負担が増える

通常の株式会社に比べて委員会設置会社は役員が多くなります。役員が増えれば当然報酬が増えます。

監査役設置会、監査等委員会設置会社に比べて負担が大きくなります。

取締役の指名・報酬

通常の株式会社であれば、取締役の指名や報酬は株主総会や取締役会で決定されることが多いです。

しかし委員会設置会社では取締役の指名は指名委員会、報酬は報酬委員会が決定します。

指名委員会や報酬委員会は過半数が社外取締役になるので、取締役の指名・報酬は社外取締役に委ねることに抵抗を感じる人も少なくないのではないでしょうか。

委員会設置会社は実は少ない


画像出典元:日本取締役協会


上場企業の間で委員会設置会社の組織形態は少ないです。

上記の図は日本取締役協会が公表している組織形態の比率ですが、委員会設置会社は東証1部の企業の中では約3%です。

委員会設置会社が増えない理由

委員会設置会社は、取締役会と執行役が分離されているため取締役会の監督機能の強化がされます。

執行と監督が分離され、業務の執行は執行役が実施、取締役会は重要な業務の決定と執行スピードがアップするのですが委員会設置会社は増えていません。

委員会設置会社が増えない理由の1つは社外取締役の確保が困難なことです。もう1つは法的に業務執行が移行することに抵抗があるからでしょう。

委員会設置会社移行企業

委員会設置会社は導入のハードルが高く、事例件数が少ないため、移行する際は、過去の事例を参考にしましょう。

委員会設置会社に移行した企業を一部一覧にしました。

※2019年5月現在

社名 証券コード 移行年
イオン㈱ 8267 2003
ソニー㈱ 6758 2003
㈱東芝 6502 2003
㈱みずほフィナンシャルグループ 8411 2014
㈱三井住友フィナンシャルグループ 8316 2017

 

まとめ

委員会設置会社は投資家からすると経営の透明性が高い会社になります。

海外投資家の信頼を得やすいメリットがありますが、社外取締役の確保など導入のハードルが高いです。

上場を目指していない会社や、法的に業務執行が移行することに抵抗がある経営者にはオススメしません

委員会設置会社は他社事例が少ないため移行する時は、会社規模、人材、組織体制を十分検討して適切な機関設計をしましょう。

画像出典元:写真AC 、O-DAN

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