起業経営の手法のひとつであるナレッジマネジメントですが、IT技術の進歩によりそれを支援するツールがすでに広まっています。
自分の会社にナレッジマネジメントツールを導入すべきかどうか迷っている方もいると思います。
この記事では、ナレッジマネジメントという言葉の意味、ナレッジマネジメントツールの機能、ナレッジマネジメントツールを導入することで企業はどのようなメリット、デメリットがあるのかを解説します。
導入を前向きに検討するきっかけとしてください。
このページの目次
ナレッジマネジメント(knowledge management)は日本語では「知識管理」英語の頭文字を略して「KW」と呼ばれています。
あまり馴染みのない言葉ですが、意味は「個人が持つ知識や情報を組織全体で共有し、それを有効活用することで新しい発見や、業務効率化、業績の拡大につなげよう」という意味です。
企業経営には、生産管理、販売管理、財務管理、人的資源の管理、情報管理が必要ですが、それに続く6番目の管理領域が、この知識を管理するナレッジマネジメントです。
そして最近、IT技術の進歩により、企業のナレッジマネジメントを支援するツールが開発され、利用されるようになりました。
なぜ、現代の企業にはナレッジマネジメント(知識管理)という考え方が求められるのでしょうか?
企業の持っている知識は「形式知」と「暗黙知」の2つに大別されます。
意味 | 例 | |
形式知 | 言葉や文章、図などで明確に説明できる知識 | 文書化されたマニュアル |
暗黙知 |
経験や勘に基づく知識のこと |
熟練工の技術 |
職人の技術や敏腕営業マンの営業スキルなどの暗黙知は、言葉にするのが難しく、新しい人にそれを教えるには時間が必要です。
そのため、業務の効率化や業績の維持・拡大のためには、誰でも読めば理解できるマニュアル(形式知)よりも、暗黙知の部分をしっかりと受け継いでいく必要があります。
しかし、終身雇用制度の事実上の崩壊、働き方の多様化などにより、ベテランが新人に経験上の知識やノウハウ(暗黙知の部分)を時間をかけて継承するというこれまでのやり方が困難になりました。
さらに、企業が拠点を増やした場合、暗黙知の継承・共有をどうするかといった問題も生じます。
このように、昔とは形態を変えてきた現代の企業にとって、暗黙知の継承・共有はひとつの課題となっています。
そのため、知識の共有とその活用によって全社員のスキルアップ、企業の業績維持・拡大に役立つ、ナレッジマネジメントが必要とされています。
ナレッジマネジメントツールは、個人個人の持つ暗黙知を集めて、形式知として従業員全体で共有し、それを次の仕事や新しい仕事に活かすサポートをしてくれるシステムです。
一般的なナレッジマネジメントツールに搭載されている機能を紹介します。
「DocBase」というマネジメントツールを参考に、ナレッジマネジメントツールに搭載されている代表的な機能を表にまとめました。
機能 | 機能名 | 内容 |
文書作成機能 | Markdown対応 | 簡単に読みやすい文章や記事が書ける |
同時編集機能 | 複数の人が同時進行で1つのメモを編集できる | |
テンプレート機能 | 業務日報や議事録などフォーマットの決まっている書類がテンプレートを使い簡単に作成できる | |
まとめ機能 | 複数のメモをまとめられる | |
外部コンテンツ埋め込み | 動画・スライドなどをGoogle DocumentやYouTubeなどから埋め込める | |
ファイルのアップロード | あらゆる形式のファイルがアップロードできる | |
文書管理機能 | タグ機能 | 情報にタグ付けして分類・検索しやすくできる |
スター機能 | 大事な文書に目印をつけられる | |
グループ機能 | グループに属している特定のメンバーのみ共有できる | |
未読・既読表示 |
既読表示により誰がすでに読んだかが分かる |
|
コラボレーション機能 | コメント機能 | チーム全員にコメントしたリ、特定の人だけにコメントすることができる |
グッジョブ機能 | ワンクリックでチームの仲間に自分の気持ちを伝えれれる | |
絵文字対応 | 絵文字入力で楽しくメッセージ伝えられる | |
検索機能 | 簡単検索機能 | キーワード・タグ・グループ・メンバーから探したいメモを検索できる |
外部サービス連携機能 | 外部サービスとの連携 | チャットサービスのChatworkやSlackなど外部サービスとの連携が可能 |
ナレッジマネジメントツール「DogBace」には今回紹介した代表的な機能に加えて、さらに便利な機能が搭載されています。
こうした機能によって、ナレッジマネジメントツールが、個人の持っている知識や情報の提供、従業員の間での共有、管理、検索、活用のためのプラットフォームとなっていることが理解できます。
次に、ナレッジマネジメントツールを導入し活用することでどんなメリット、デメリットが生じるのかを紹介します。
ナレッジマネジメントツールを導入し活用すれば、次の5つのメリットが生まれます。
1. ナレッジの収集
2. 社員のスキルアップ
3. 業務の効率化
4. 顧客満足度の向上
5. 適切なナレッジの提供
ナレッジマネジメントツールには、書きやすくて読みやすい文書作成機能、社内SMS、グループ機能などを搭載しているので情報収集が簡単にできます。
ベテランが率先して自分の持っている仕事のノウハウや知識、情報を共有することで、企業全体の情報量・知識量を増やすことができます。
ベテランの持つスキルやノウハウを共有し、それを活用できれば、全社員のスキルアップに繋がります。
暗黙知の領域がすでに形式知化されていれば、ある部署の担当者が変更になったとしても、これまでと同じ程度の仕事の質を維持することができます。
新人や新しい担当者はファイル共有機能でベテランの作成した過去の資料を参考にし、資料の作成方法を勉強したリ、資料作成時間を短縮したりできます。
テンプレート機能をつけば日報や議事録などのフォームの決まった文書はすぐに作れます。
それらの書類のフォーマットを保存しておけば検索してすぐに使い回すこともできます。
また業務フローに関しても共有しておくのなら、新人社員や転職、移転してきた社員などに対してもすぐに業務内容を教えることができ、業務の効率化につながります。
営業担当者が個人個人で持っていた顧客情報や、顧客アンケートなどから集めたカスタマーサービスの情報も共有できます。
こうしたナレッジをナレッジマネジメントツールで分析すれば、顧客それぞれのアフターフォローの時期を把握したリ、それぞれの好みに合わせたサービスや商品を勧めることができます。
また顧客の意見を反映した商品開発にもこうしたナレッジを活用できます。
ナレッジマネジメントツールを活用すれば顧客満足度を向上させることができます。
ナレッジマネジメントツールにより、企業の中に存在するさまざまな情報を収集でき膨大なデータが集まります。
このデータベースを上手に活用するための機能もナレッジマネジメントツールには備わっています。
例えば、社員を属性ごとに分けて、これまで集めてきた膨大な情報の中から、その人に必要なナレッジを分析しそれを提供できます。
ナレッジマネジメントを導入すれば、業務効率化、社員教育、顧客満足度の向上など様々なメリットを獲得できます。
しかし導入により生じる可能性のあるデメリットも理解しておかなければなりません。
次の2つのデメリットが生じることが予想されます。
1. 社員の理解を得なければならない
2. 蓄積されたナレッジが活用されない
仕事が忙しいのでナレッジマネジメントツールに情報をアップするのが面倒という社員がいる可能性があります。
ベテラン社員の中には、自分が培ってきたノウハウを他者と共有することに抵抗を感じる方もいます。
そうした様々な意見や気持ちに理解を示しながら、ナレッジマネジメントツールの導入・活用で会社や社員、お客様にどんなメリットが生れるのかを説明し納得してもらう必要があります。
情報共有でたくさんのナレッジが集まっても、情報が多すぎてどれを使えばいいのか分からなくなるというケースがあります。
そうした問題を回避するために、この組織やグループには、どんな知識が必要で、それをどのように取り入れていくかをリードするナレッジマネージャーを育成し、担当者として設置することができます。
これさえ押さえておけば大丈夫!選りすぐりの文書管理・ナレッジマネジメントツールを紹介します!
DocBaseの最大の魅力は、コストパフォーマンスです。他のツールに比べても安い料金体制で、不自由のない機能を利用することができます。
文書はMarkdown記法で入力。多くの人にとっては馴染みが薄いかもしれませんが、とても簡単に、かつ綺麗に文書を作成できるのです。
ボタンによる入力補助も非常に充実しており、実際に筆者自身も、使い始めた日から問題なく利用できました。
むしろ使い始めは、楽しくなってやたらと文書を作りすぎてしまうくらいでした。
もちろんこれでは本末転倒ですが、いかにDocBaseが使いやすいか分かっていただけるのはないでしょうか。
ユーザ数一人あたり毎月 200〜1,125円/月です。
ユーザ数一人追加毎に課金ではなく、一定人数まで料金不変のため、気軽に新しいメンバーを招待できるというのがメリットです。
一方で、例えば3人から4人に増えるときなど、プランが変更になるタイミングでは一人あたりの料金が高くなってしまうというデメリットがあります。
DocBase上の議事録は、後に検索しやすい。Googleドキュメントではこうはいかない。議事録用に使用すると決めるなら、便利だと思う。
一方で、プログラミング的なところがあるため、最初は慣れないとメモがしにくい。同時編集機能が使いづらい。
権限管理がかなり楽。内部での情報共有も横断的にしやすく使いやすい。
また、外部との情報共有もやりやすいため、営業や社外メンバーとのミーティングや連携を行なう際に重宝する。 ただスマホ上での編集やコメントが大変。
今までなら共有されなかったような、二人で立ち話をした内容などもメモで気軽に残せる。意外とそういうとこで大事なことが決まったり、重要な会話をしていることがあるので、地味なようで大きい。
あとはデスクトップアプリがほしい。
DocBaseに匹敵するコスパを誇るのが esa.io です。
DocBaseと同じく、Markdown記法で入力を行いますが、補助機能がDocBaseほど充実していません。Markdown記法に馴染みがあるエンジニアが多い企業に向いているといえます。
またesa.ioでは文書を階層構造で管理します。DocBaseには階層はなく、タグなどによって文書を管理します。esa.ioのように階層構造だと、目当ての文書まで階層をたどっていく手間がかかりますし、DocBaseのような並列構造だと、タグなどの管理に手間取ることになります。
ここは好みが分かれるところだと思いますので、実際に利用してみてから判断するのが確実だといえます。
こちらはDocBaseと違い、一人あたり月額500円という明瞭な料金設定になっています。
カテゴリはきれいにくくれているんですけど、それが6階層とか7階層目になってくるとやっぱりパスが長いよねって話になってきて…
メンテナンスのメンバーが適宜そのあたりを直しています。
Qiita:Teamの魅力は初心者でも使いやすいUIですが、DocBaseと比較して特に優れているわけではありません。
また、文書を外部に共有できないという点が難点です。
DocBaseではURLを送ることが利用メンバー以外とも文書を共有でき、例えば社外の人とのMTGの議事録の共有などで使えます。
料金は一人あたり月額700円程度。DocBaseよりやや割高です。
Qiita:Teamはタイムラインがひとつなので、 誰が何やってるかをすごく深いレベルまで知ることができていいなと思っています。
情報のオープン化によって、サービス開発チームと他チームとの間の架け橋ができたと感じています。
また、皆に情報を共有しようとする意識が、各自の中で強まってきているとも思いますね。
ナレッジマネジメントは「知識管理」という意味であり「個人が持っている知識をみんなで共有し、知識を増やし、それを活用して業務効率化や業績拡大を図ろう」という考え方でした。
ナレッジマネジメントツールは、企業経営のそうした考え方を具体化させる便利なシステムです。
企業がそれを導入すれば、一部の人間だけが持っていた仕事のノウハウやコツ、知識を形式化でき、みんなで共有できるようになります。
それにより、社員のスキルアップ、業務効率化、顧客満足度の向上など様々なメリットを獲得できます。
この機会にナレッジマネジメントツールの導入を前向きに検討されるのはいかがでしょうか。
画像出典元:burst、pixabay
新規事業を含めると企画開発系のメンバーが今15〜20人ほどいて、ヘビーに使っているのはそのあたりの人達です。
最近では管理部などでも導入し始めています。日報にも使っているんですが、どちらかというと開発物の企画ドキュメントとか、障害発生したときのメモや、社内IT事例など、開発チームっぽい使い方が多いです。