「公務員だけど副業がしたい」と考える人も少なくないでしょう。
これまで公務員は副業禁止でしたが、2019年3月の国家公務員副業解禁を機に、公務員にも副業の動きが出ているのです。
この記事では、公務員が今できる副業おすすめ10選と副業の現状、今後の動向などを詳しく解説していきます。
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「公務員の副業は全面的に禁止されている」
こうした認識が広く浸透していますが、一定の条件をみたせば公務員でも副業は可能です。
ただし、公務員ができる副業の選択肢は、極めて狭くなります。
なぜなら、公務員には営利団体と関わって報酬を得てはならないというルールがあるからです。
国家公務員の副業は、国家公務員法によって、以下のように定められています。
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000120_20210901_503AC0000000036
つまり、営利目的とする私企業の経営や兼業は、原則禁止ということです。
非営利団体での副業は可能ですが、その場合でも内閣総理大臣や所轄省庁の長官に許可を得る必要があります。
地方公務員も同様、地方公務員法第38条によって営利企業の経営、兼業は禁止されています。
地方公務員法第38条に関しては、以下のとおりです。
地方公務員法第38条は、任命権者の許可がない場合には、国家公務員法と同様に「役
員兼業」及び「自営兼業」、その他あらゆる報酬のある兼業に従事することを制限して
いる。任命権者の許可の取得プロセスについては、各自治体の個別の運用によって実施
されており、各自治体が独自にガイドラインや指針を作成し、運用している例もみられる。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000261_20210706_503AC0000000075
公務員は基本的に、国の奉仕者として職務に専念し、公共利益のため全力を尽くさなければならないとされています。
国民全体の奉仕者として責任がある以上、必然的に副業をおこなうことができないのです。
しかしながら、近年では地域活性化を図るため、公務員の副業を解禁するといった動きも、一部の地方自治体を中心に広がりつつあります。
公務員の副業に対する基準をあらたに設け、先行して制度を導入した自治体があります。
奈良県生駒市です。
では、いち早く副業を解禁した「奈良県生駒市」を例に、副業に対する基準を見てみましょう。
この基準をみてわかるように、副業が解禁されたとはいえ、あくまで公益性の高い地域貢献活動に限定されています。
営利活動によって本業以外から収入を得る副業は、当分むずかしいといえるでしょう。
以下は、公務員の副業における現状を一覧にした図表です。
副業の種類 | 許可申請の有無 | ポイント |
不動産投資 | 不要 | 条件付きで認められている |
株式・FX・仮想通貨 | 不要 | 条件付きで認められている |
講演・講師 | 不要 | 職務に影響を与えない範囲内 |
小規模農業 | 不要 | 条件付きで認められている |
家業の手伝い | 不要 | 職務に影響を与えない範囲内 |
メルカリなど不用品販売 | 不要 | あくまで不用品の販売のみ |
執筆活動 | 必要 | 副業対象外ではあるが許可が必要 |
モデル | 必要 | あくまで無償の場合のみ |
ブログ・アフィリエイト | 必要 | グレーゾーンのため要確認 |
ユーチューブ | 必要 | グレーゾーンのため要確認 |
イラストレーター | 必要 | 公益性が高い場合は許可が下りる可能性がある |
クラウドソーシング | 必要 | 原則不可 |
アルバイト | 必要 | 原則不可 |
いつでもどこでも手軽にはじめられるとして、インターネットを利用した副業に関心が集まっています。
とくに「ユーチューブ」「イラストレーター」「データ入力」この3つは副業としてとても人気です。
ではこの3種、公務員でも副業としておこなうことは可能なのでしょうか。
それぞれ解説していきます。
国民の権利として表現の自由が認められているため、公務員であってもユーチューバーとして動画投稿は可能です。
しかしながら、公務員には副業・兼業に関する制約があるため、チャンネルを収益化することはできません。
過去に、和歌山北消防署に勤務する消防士長の男性が、ユーチューブで約115万円の広告収入を得たとして、減給処分を受けるといった実例もあります。
ユーチューブも趣味程度ならば許可されやすいですが、収益化は禁止です。
また趣味の動画であっても、内容が公務員の信用失墜につながるようであれば、投稿すべきではありません。
「公務員でありながら、ユーチューバーとして収益を得るのは現実的ではない」と考えたほうがよいでしょう。
イラストや写真を趣味にしている人は多く、それを副業にしている人もたくさんいます。
公務員でもイラストレーターとして活動することは可能ですが、営利目的ではなく趣味の範囲内です。
ときどき個展を開いたり、コンテストに出たりする程度なら、許可も下りやすいでしょう。
一方、イラストや写真が販売できるストックフォトなどに登録して報酬を得たり、ウェブサイトで自ら販売したりするのは禁止です。
得意の絵で報酬が得られるのは魅力的ですが、違反が発覚すれば懲戒処分の対象となります。
単純作業でスキマ時間にできることから、データ入力も副業のなかで人気が高いです。
データ入力を副業で行う場合、基本的に許可を申請する必要があります。
公益性を有する非営利法人でおこなうという理由であれば、許可も下りやすいでしょう。
しかしながら、単に副収入を得たいという理由では許可されません。
なかには許可を取らない人もいますが、年間所得が20万円を超えた場合は確定申告が必要となるため、発覚する可能性があります。
副業としてデータ入力をおこなう場合は、必ず許可を取るようにしましょう。
公務員ができる副業は、民間企業にくらべて幅が狭いのが現状です。
そのなかでも、公務員ができる副業10選を詳しく紹介していきます。
公務員の副業は基本的に禁止されていますが、不動産投資に関しては条件つきで認められています。
不動産投資が副業にあたらない条件としては、以下の3つです。
この条件を満たしていれば公務員でも可能です。
不動産投資は手間や労力がかからないうえ、公務員という与信の高さで銀行からの融資を受けやすいといったメリットがあります。
また最近では、公務員でも資産運用の範囲内であれば、少額から不動産投資に参加できる不動産投資型クラウドファンディングの形での不動産投資も可能です。
太陽光電気の販売も公務員ができる副業のひとつです。
太陽光発電設備の定格出力が10kW未満であれば、とくに許可を得る必要はありません。
定格出力10kWを超える設備であっても、人事院の承認さえ得られれば販売は可能です。
しかしながら、初期投資やメンテナンス料が高額であることや、発電量が天候に左右されるなどのデメリットもあります。
株式・FX・仮想通貨などの投資は、自己資産形成の手段としておこなうものであるため、副業にはあたらないとされています。
投資は公務員でもできますし、とくに許可を取る必要もありません。
利益が出た場合のみ確定申告が必要となるため、忘れずに申告するようにしましょう。
なお公務員の職種によっては、一般企業の機密情報を知り得る可能性があります。
そういう職種の場合は、インサイダー取引にも注意しなければなりません。
インサイダー取引が発覚すれば、公務員としての信頼やイメージを傷つけるだけでなく、刑事罰をうける可能性もあります。
近年、取引が盛んに行われるようになった仮想通貨は、世界中で利用可能な電子通貨で暗号資産とも呼ばれています。
一般的には、投資目的、短時間での送金、法定通貨や金のように価値の保管として利用されています。
最近では、ゲーム感覚で仮想通貨を集めることができるアプリなど、様々な形態のものがありますが、いずれも仮想通貨取引所の口座がないと取引に参加することができません。
国内の仮想通貨取引所は複数ありますが、選び方としては、取扱銘柄の種類が多いこと、セキュリティ対策が強固であることがポイントです。
はじめて仮想通貨口座の開設をする方には、東証プライム上場マネックスグループの『コインチェック株式会社』が、無料で口座開設ができ国内最大級の17種類の通貨の取扱いがあるためおすすめです。
自給目的の小規模農業であれば、とくに許可を得る必要はありません。
しかしながら、規模が大きくなれば許可は必要です。
許可が必要となる明確な基準はありませんが、「耕地面積30a以上、農産物販売金額が年間50万円以上」の場合は、許可申請が必要となるでしょう。
この定義は、販売農家であることを示す基準です。
副業で農業をおこなう場合、販売農家の基準を超えない、あくまで自給的農家の範囲内となります。
※1a(アール)=100平方メートル
屋台や農業など家業を営んでいる場合、その手伝いとして報酬が得られるのです。
家業を手伝う場合にも許可は必要ですが、比較的許可はおりやすいとされています。
もちろん、家業の手伝いも本業に支障をきたさない程度におこなうのが大前提です。
社会貢献活動も公務員ができる副業のひとつです。
具体的には、以下の活動があげられます。
社会貢献のための副業は許可されやすく、報酬や謝礼も常識的な範囲内であれば受け取っても問題ありません。
公務に支障をきたしてはならないので、休日もしくは有休休暇などを活用しておこなうようにしましょう。
講師や講演活動は営利目的にはあたらないため、公務員でもおこなうことができます。
営利目的ではないので、謝礼金を受け取っても問題ありません。
許可の有無に関しては自治体によって差がありますが、許可は基本的に必要だと考えておいたほうが良いでしょう。
講師や講演活動などもまた、公務に悪影響を与えない範囲であることが大前提です。
執筆活動も公務員として働きながらできる副業のひとつです。
執筆活動は趣味の範囲、または表現の自由が尊重されるため、公務員であっても認められやすいでしょう。
実際に、280万部のベストセラーとなった「サラダ記念日」の著者、俵万智氏は当時公立高校の教師をしていたという実例もあります。
しかしながら、情報の漏えいや政治批判など、公務員の品位を損なうような執筆内容には注意が必要です。
いずれも「信用失墜行為の禁止」「守秘義務」「職務専念の義務」を忘れないようにしましょう。
不用品を「ヤフオク!」や「メルカリ」などで販売しても問題ありません。
許可を取らなくても、すぐにはじめられます。
しかしながら、気をつけなければならないのが転売です。
転売する目的で商品を仕入れて販売した場合、それは事業所得もしくは雑所得にあたり、営利目的としての活動になります。
公務員ができるのは、あくまで不要となったものを売るという目的のみです。
アンケートの多くはポイントとして付与されるため副業にはあたらず、公務員でもできます。
アンケートモニターはスマホから簡単にできるケースも多く、スキマ時間に負担なく始める副業としては最適かもしれません。
アンケートモニターで稼げる額は基本的にお小遣い程度と考えた方が良いですが、万が一所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となるので注意しましょう。
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近年、働き方改革の推進などにより、副業への関心が全体的に高まっています。
副業が禁止されていた公務員に対しても、副業を認めるべきとの意見が国会で交わされ、2019年3月に国家公務員の副業が解禁されました。
地方公務員もまた、これに引き続くように副業の解禁が進んでいます。
神戸市が副業を解禁した目的は、市の職員がもつ知識や経験を生かし、地域における課題解決を後押しするためです。
社会的課題の解決など、地域の発展や活性化に寄与するのであれば、神戸市内外問わず、活動が許されています。
現在では、須磨海岸での障害者支援活動や手話通訳活動など、社会貢献を目的とした、さまざまな活動がおこなわれているようです。
神戸市以外でも、「長野県・福井県・奈良県生駒市・宮崎県新富町」で副業が促進されています。
政府の「未来投資戦略2018」に、公務員の兼業を公益活動に限り認めると明記されていることから、今後も公務員の副業解禁は進んでいくでしょう。
公務員の副業が解禁されたことにより、公務以外でも活動できるようになりました。
しかしながら、公務員の副業は、NPO法人など公益性の高い活動に限って認められており、営利目的となる活動は禁止されています。
公務員として副業をおこなう場合、以下3つの条件を厳守することが大前提です。
公務員は、国の奉仕者として公務に専念し、公共利益のために全力を尽くさなければなりません。
副業が解禁されたとはいえ、何でもできるわけではないのです。
副業をおこなう際は、定められたルールに基づき、違反のないよう自覚をもって、しっかりと取り組んでいきましょう。
画像出典元:O-DAN