会社員にとっての大きな楽しみのボーナス。新卒社員は、一体どのくらいもらえるのでしょうか。
ボーナスは一般的に年2回といわれますが、新卒の夏のボーナスは、数万程度、もしくは支給されないこともあるため注意が必要です!
この記事では、夏と冬のボーナスの仕組みや初ボーナスの平均額などをわかりやすく解説します。
また、企業規模別、学歴別、業界別の気になる平均額や、受け取るうえでの注意点も紹介していきますので、ぜひご参考ください。
このページの目次
まずは、一番気になる「いつ」「いくらもらえるのか」を解説していきます。
ボーナスは、夏と冬の2回支給されることが多く、
・夏のボーナスは、6月30日~7月10日ごろ
・冬のボーナスは、12月10日~12月25日ごろ
に支給されるのが一般的です。
しかしながら、ボーナスには「算定期間」というものがあり、その期間の業績を元に、その期間に在籍していた人に支払われるものなのです。
夏のボーナスの算定期間は、一般的に前年10月~3月で、その時期は新卒社員はまだ入社していないため、実は制度上は支給対象外なのです。
ボーナス算定期間のイメージ
はじめての夏のボーナスが出ないなんてがっかり!とあきらめる必要はありません。
新卒社員の4月からの頑張りを労おうと、多くの企業では、新卒社員にも賞与を支給するようです。
2021年の産労総合研究所の調査では、新卒社員に「何らかの夏季賞与を支給する」企業は83%、1円も「支給しない」企業は9.1%でした。
ただし、支給されるとしても、前述のとおり算定期間には在籍していないため、初ボーナスは、夏に「寸志(心付け)」として数万円が支給されることが多いようです。
それでは、具体的な額はいくらなのでしょうか?
2021年の同調査では、新入社員の夏のボーナス平均額は大卒 91,117円、高卒 73,276円でした。
また、支給しない方針の企業に勤めていた場合は残念ながら「無し・0円」です。
はじめて満額が支給される冬のボーナスは、いくらなのでしょうか?
業績が順調であれば、ボーナス1回分は、月給の1~2ヶ月分が支給されるといわれています。
2021年の厚生労働省調査では、新卒の月給平均は、大卒 22万5,400円、高卒 19万9,800円でした。
これを元に計算すると、冬のボーナスは、20万円~40万円前後となることが予想されます。
ボーナスからも税金などが2割程引かれるので、手取りは16万円~32万円程となるでしょう。
ボーナスは、企業によって、その制度によって、支給される額が大きく異なります。
そのため、他の人がどれだけボーナスをもらっているのか気になりますよね。
この章では、ボーナス平均額を、企業規模・学歴・業界などの軸で比較していきます。
なお厳密な新卒1年目は、出る・出ないなどのブレ幅が大きいので、20代前半・勤続1~2年に関する2021年の厚生労働省 賃金構造基本統計調査・勤労統計調査をベースに比較します。
企業規模 | 冬のボーナス平均額 | 月給に対する割合 | 支給した企業の割合 |
500人以上 | 62万1,724円 | 1.46倍 |
96.0% |
100 ~ 499 人 | 42万4,899円 | 1.22倍 | 93.4% |
30 ~ 99 人 | 34万4,921円 | 1.14倍 | 89.0% |
5 ~ 29 人 | 27万3,064円 | 1.01倍 | 66.8% |
2021年の冬のボーナスの額を企業規模別で比較してみましょう。
金額では、500名以上の企業で約62万、30名未満の企業で約27万円と、2倍以上の差がありました。
また、30名未満の企業では、そもそもボーナスの支給があった企業の率が7割を切っています。
ボーナスの額は、業績に連動するため、経営の厳しい状況にあった中小企業では支払いそのものが難しい現実もあるようです。
学歴 | 年間ボーナス平均額 <男女計> |
男性平均 | 女性平均 |
大学院卒 | 75万4,200円 | 88万4,200円 | 80万8,900円 |
大学卒 | 59万1,600円 | 59万5,900円 | 58万7,000円 |
高専・短大卒 | 57万1,400円 | 57万6,100円 | 57万900円 |
高校卒 | 46万3,800円 | 49万8,900円 | 40万6,600円 |
中学卒 | 27万4,000円 | 30万4,000円 | 17万6,700円 |
今度は学歴別のボーナス平均額(年間)を比較してみます。
まず、最終学歴が大学・大学院卒の場合、ボーナスでもらえる額が大きくなることがわかります。
高卒と高専・短大卒の間にも10万円程の開きがあり、中学卒と大学院卒では2.75倍の差があります。
また、男女別にみると、大学卒では男女差はほぼありませんが、中学卒では、女性の平均額が男性より10万円以上低くなっており、令和3年時点でもまだ男女格差が残っていることがわかります。
ボーナス額が高い業界 | 年間ボーナス平均額 | ボーナス額が低い業界 | 年間ボーナス平均額 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 68万8,000円 | 生活関連サービス業・娯楽業 | 17万5,700円 |
複合サービス事業(郵便、共同組合等) | 66万4,800円 | 宿泊業・飲食サービス業 | 23万6,300円 |
金融業・保険業 | 63万8,200円 | サービス業 | 37万900円 |
鉱業・採石業・砂利採取業 | 60万8,200円 | 運輸業・郵便業 | 50万3,300円 |
教育・学習支援業 | 59万1,600円 | 卸売業・小売業 | 50万6,800円 |
最後に、業界別で、年間ボーナス額の上位・下位TOP5を比較してみましょう。
業界によって大きな開きがあることがわかるかと思います。
一番高額な「電気・ガス・熱供給・水道業」の68万8,000円と、「生活関連サービス業・娯楽業」の17万5,700円には50万程の差がありました。
また、こちらは2021年の調査のため、コロナ禍の影響を大きく受けた「宿泊業・飲食」「サービス業」などのボーナス額が軒並み下がっていることがわかります。
平均年収が高い業界のボーナスが高い傾向にありますが、細かな順位には毎年変動が起きやすいので、気になる業界は、個別の企業名でのボーナス額傾向も調べてみるとよいでしょう。
ランキングの変動の様子やボーナス額が高い企業名の情報はこちらもご参考ください。
毎月の給与は法律上で取り決めがありますが、ボーナスは法律上必ず支払わなければならないものではないので、ボーナスの支給がない会社もあります。
勤務先の労働契約や、就業規則・賃金規定などに賞与の支給が明記されていなければ、支給されないこともあります。
また「支給日以前の半年間在籍していること」などといった在籍要件を設けている場合、4月入社の新入社員に夏のボーナスは支給されないので要注意です!
ボーナスにも税金(所得税)や保険料がかかるため、手取り額は額面の約8割が一般的です。
それを知らずにボーナスを受け取ると、額面と手取りの差にショックを受けてしまうかもしれません。
計画的にお金の管理をするためにも、何にどれくらい引かれるのかを把握しておきましょう。
手取り額のくわしい計算方法は、以下の記事もご参考ください。
ボーナスは給与の1~2ヶ月分だと、何度か説明がありましたが、何カ月分になるかはどうやって決まるのでしょうか?
これも、会社によって規則やルールが異なりますが、パターンは大きく次の3つです。
① 固定額を支給
② 会社の業績に連動して変動
③ 会社の業績と個人の仕事の評価によって変動
立ち上げ間もない、もしくは旧来の慣習が根強く残っている企業では、①のパターンも見られますが、現在は、②、③が主流です。
そもそも、賞与の原資となるのは『会社の儲け』なので、業績がうまくいっていなければ支給は難しいのが現実です。
大きな買い物などで賞与をあてにして計画を立てる場合は、自分の会社の業績によって大きく変動しうるものであることをあらかじめ理解しておきましょう。
前述のとおり、ボーナスには、会社の業績と個人の評価が連動することが一般的です。
そのため、ボーナスを沢山もらえるようにするには、まず「売上をあげて」会社の業績に貢献することが第一です。
管理部門などで直接の影響がわかりづらいという方もいるかと思いますが、業績以上に個人のコントロールが重要なのは『評価』の部分です。
大きな会社の中で、同じ原資を分け合うのですから、周りより高い評価が得られれば、もらえるボーナスの額は大きくなります。
しっかりとした業績・成果を残したうえで、それが上司・評価者にうまく伝わるようにしっかりアピールすることも大切でしょう。
2019年に消費者庁が調査したデータによると、20歳代のボーナスの使い道でもっとも多かったのは貯蓄の35.5%でした。
続いて、理美容関係・国内旅行となっています。
せっかくの「初ボーナス」なので、普段できない自己投資に使ったり、両親へプレゼントを贈ったりなど、思い出や記念に残るような使い方をすると後々のモチベーションに繋がりやすくおすすめです。
1 | 貯蓄 | 35.5% |
2 | 理美容関連(化粧品・ヘアカラー・エステ等) | 19.4% |
2 | 国内旅行 | 19.4% |
2 | 特に決めていない | 19.4% |
3 | 衣料・履物・ファッション雑貨 | 16.1% |
3 | 趣味・娯楽サービス(映画鑑賞・観劇・スポーツ観戦等) | 16.1% |
4 | 外食 | 9.7% |
4 | 自動車・バイク関連 | 9.7% |
5 | 食品・飲料(アルコール含む) | 6.5% |
5 | 趣味・娯楽用品(書籍・楽器・アウトドア用品等) | 6.5% |
5 | AV・情報家電(テレビ・スマホ・パソコン等) | 6.5% |
5 | 金融商品への投資 | 6.5% |
5 | 海外旅行 | 6.5% |
参考:消費者庁2019年7月調査「ゴールデンウィークの過ごし方及びボーナスの使途予定に関する意識調査結果」
公務員のボーナスは、月給に国が指定する支給月数を掛ける方法で計算されます。
新卒公務員の場合、夏のボーナスから2ヵ月分支給されるため新卒国家公務員で約20~25万円、新卒地方公務員で約15~20万円が一般的です。
一般企業の夏のボーナスの平均値が、大卒でも91,117円であったことと比較すると、1年目は公務員のほうが多くもらえるのが現実です。
なお、この差は勤続年数が増えるにつれて縮まりますが、民間企業は業績の影響を受けるため、全年齢での平均値でも10万円程度公務員のほうが高めの水準で推移するといわれています。
業績の影響を受けやすいボーナス額は、コロナ禍の影響を大きく受けました。
そのため、2019年から2021年までの厚生労働省の調査では、毎年支給金額が減少する傾向にありました。
しかしながら、最新の2022年の調査では、この夏のボーナスは3年ぶりに前年比6.5%増の回復の見通しとなっており、これまで大打撃を受けてきた業界にも復調が期待できそうです。
この記事では、新卒のボーナス事情について調査しました。
楽しみにしていた「初ボーナス」。会社によってもらえる場合、もらえない場合があることに驚いた方もいるかもしれません。
しかしながら、冬以降、2年目以降は、会社の業績が好調であれば1~2ヶ月分もらえるようになってくるため、あまり悲観視せずに計画的な使い方を考えましょう。
ボーナスに関するさらに詳しい情報は、以下の記事もご参考ください。
画像出典元:写真AC