この記事では、人事評価制度を作る目的、作った際のメリット・デメリットを解説します。
どのような人事評価制度を作ると社員のモチベーションがアップするのでしょうか。
最近の人事評価制度のトレンドもあわせて解説します。
人事評価の作成と実行に活用できる「助成金」と「人事評価システム」も案内します。
このページの目次
「うちの会社にもそろそろ人事評価制度が必要になってきた」
社員の人数が増えてくると、そんなことを考え出す時期かもしれません。
でも、実際に人事評価制度を作るとなると、何が必要で、どのような方法を取るのでしょうか。
人事評価制度とは、社員が会社にどのくらい貢献しているのか、その能力や仕事の内容、仕事の結果に対して、評価する制度のことです。
会社に貢献していることについて評価することで、社員自身も何が必要とされているのかがわかり、よりよい仕事内容や勤務態度に改善していくことができます。
また、どのような評価が悪いのかも可視化されることで、上司から部下への指導方法や育成方法も一般化することができ、より公平な制度を作ることができます。
公平な人事評価制度を作ることが、社員のモチベーションアップにつながるのです。
人事評価制度を作る目的は、公平な評価による質の高い社員を育成し、会社の業績の向上を図るところにあります。
作った人事評価制度が、ただ社員を相互監視するだけのシステムであったり、業績の悪い社員の給与を下げる目的だけのものであったりすると、逆に社員のモチベーションは下がってしまいます。
人事評価制度を作るにあたっては、その会社が持つ文化や社員の状況をよりよく理解し、自社にあった人事評価制度にする必要があるのです。
では、人事評価制度を作る場合、どのような手順を踏めばいいのでしょうか。
必要な項目やパターンについて解説します。
人事評価制度を作ると決めたら「担当者」と「制度のスタート時期」を決めます。
新規で人事評価制度を作る場合も、変更する場合も、この2つを明確にすることから始めます。
まずは、評価基準・項目を作ります。
何を評価するのか、何を評価しないのか、そこを明確化する作業が必要です。
基準を決めたら評価項目に落とし込んでいきます。
次に、人事評価方法を決めます。
評価方法は、誰がどのようなルールに基づいて、社員個人の評価を下すのかを決めます。
たとえば、単純に直属の上司が直属の部下を評価するのか。
それとも、直属の上司以外も含めて評価するのか。
逆に部下が上司を評価するのか、など、様々な評価方法があります。
コンピテンシー評価とは、成果を上げる行動特性をもとに行う人事評価のことです。
「コンピテンシー(competency)」とは、高い業績を上げる人材の行動特性のことをいいます。
1970年代にハーバード大学のマクレランド教授が提唱した人事管理の概念です。
高い業績を上げる人材は、学歴や知能、年齢とは関係なく、その行動に共通した傾向があるとが分かっています。
その行動特性を明らかにし評価項目としているところが特徴です。
多面評価とは、人事評価をする場合において、上司や人事部門からの評価だけではなく、同僚や部下からも評価に反映させる方法のことです。
上司からの評価のみでは、上司の一方的な感情がのってしまう欠点があるため、同様や部下など、あらゆる方面からの評価を組み入れることで、より公平で客観的な評価ができるというものです。
MBO(目標管理制度)とは、目標設定された目標に対して、どれだけ達成できたかを判断し、評価を決める方法です。
これらの評価方法を用い、誰がどのような項目を評価するのか、点数をつける場合は、どのような段階分けをするのか、などを決める必要があります。
評価基準を決め、評価方法・ルールを作ったあとは、決まった評価に対して、どのように実際に反映させるのかを決めます。
決定した評価に対して、昇格や昇進、給与額がどのようになるのか、配分率やウェイトを決めるのです。
資格を保持していることが会社の業績や仕事をする上で必要不可欠で重要な位置づけなこともあれば、一つのスキルアップ程度の位置づけになる会社もあります。
自社にとって、どの評価が重要なのかの基準を作る必要があります。
どの評価によって給与額・昇進・昇格に繋がるのかを明確化することで、より社員のモチベーションアップにつながってくるのです。
公平かつ明確な評価制度によって、社員のモチベーションはアップします。
同じような仕事結果が出ているのに、片方が評価され、片方が評価されないと、評価されないほうの社員には不満がたまります。
人事評価制度が明確であれば、社員はなぜ自分が評価されるのか、評価されないのかを理解することができます。
理解できれば、自ら改善することができますし、改善したことによって評価されるようになれば、ますますやる気が出てきます。
明確な人事評価制度は、社員の自らのやる気を高めることができるのです。
人事評価制度を導入することで、給与や賞与の基準が明確化します。
小さな会社の場合、人を雇用する度に、その都度ごと給与金額を設定していたりすることがあります。
あいまいな形での給与や賞与にしていた場合、なぜそのような給与になっているのかが明確でなく、社員同士の不満がたまってきます。
公平な人事評価制度であれば、給与基準や賞与基準も明確化されます。
新たに社員を雇用する場合にも、明確な説明が可能になり、今いる社員へも給与額の根拠を説明することができます。
給与基準が明確化されることで、社員の給与額に関する不満が解消されます。
人事評価制度を導入することで、昇格の基準が明確化します。
誰がどのような役職につくのか、どういった場合に昇格できるのか、その理由が明確になることで、社員の目指すべき方向性がわかります。
昇格を目指す社員にとって、昇格基準が明確であることは重要です。
昇格基準が明確であることで、社員は自身の役割を理解し、自らやる気を出し、よりよい結果を出します。
公平な人事評価制度であればあるほど、社員の質は向上します。
社員は、何が評価につながるのかを理解し、自らの改善、スキルアップ、技術の習得に努めます。
社員自らが行動することで、質の高い社員が育成されます。
公平な人事評価制度は、会社の内情に合わせる必要があります。
一方的な人事評価制度を社員に押し付けるだけでは、社員はついてきません。
公平な人事評価制度を作るためには、会社の文化を把握し、自社にあった内容はどのようなものかを考える必要があります。
そのため、公平な人事評価制度を作るのには、どうしても時間がかかります。
ただし、より良い人事評価制度ができた場合は、このデメリットを超えるメリットを享受することができます。
人事評価制度を導入する場合、安易にでき合いの制度を導入することはおすすめできません。
自社の文化にあっていない制度の場合、社員のモチベーションがダウンしてしまう可能性もあるからです。
たとえば、成果主義ではなかった文化の会社に、ゴリゴリの成果主義の制度を導入してもうまくいきません。
逆に社員のやる気を奪い、不満をためてしまうことになります。
そうなると、会社の業績も必然的に下がってしまうでしょう。
人事評価制度を導入する場合は、自社の文化にあった制度を構築するという視点が大事になります。
人事評価制度を導入する場合は、より公平な仕組みになる制度を目指しましょう。
人事評価制度は、上手く機能せず、場合によっては廃止する傾向があります。
その一番の事例は、成果主義による人事評価制度です。
グローバル社会が進み、新卒一括採用、終身雇用、年功序列制度が機能しなくなると思った企業が成果主義による人事評価制度を取り入れていきました。
しかし、あまり上手く機能しなかった会社がたくさんあります。
成果主義は、能力や成果によって評価される制度のため、業務内容や職務内容が明確化されている場合に機能する人事評価システムです。
日本の会社は、それぞれの個人の業務内容があいまいであったり、成果がはっきりしていない職場が多くあります。
そのような文化の会社に単純に評価制度だけ成果主義を導入しても上手く機能せず、逆に社員のモチベーションを下げる結果につながりました。
成果主義を導入する場合は、社員の業務範囲や職務範囲など、会社の制度そのものから見直す必要があったのです。
人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)は、人事評価制度の整備、生産性向上や賃金のベースアップ、離職率の低下への対策を行う事業主に対して50万円を助成する制度です。
助成金の支給を受けるためには、下記の手順が必要です。
1,人事評価制度等整備計画の作成・提出 2,認定を受けた整備計画に基づく人事評価制度等の整備 3,人事評価制度等の実施 4,制度整備助成の支給申請 5,50万円の助成金の支給 |
50万円の助成金は、定められた条件をクリアしなければ支給されません。
人事評価制度を整備するための「人事評価システムの導入」にも助成金は活用できます。
支給対象・支給条件の詳細は下記を確認してください。
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画像出典元:「HRBrain」公式HP
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行き詰まりがちな人事異動ですが、気軽にシミュレーションできるため、かなり便利だと感じました。
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画像出典元:「サイレコ」公式HP
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各部署に所属している従業員も把握しやすく、組織活性化につながる施策をうちやすくなると実感しました。
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そのためには、公平な人事評価制度を作る必要がありますし、会社の文化にあった制度・仕組みにする必要があります。
また、時代にあった人事評価制度を作り、変化させていくことも重要な視点です。
画像出典元:pixabay
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