「名前だけは知ってるけど、DMPがどんなものかイマイチよく分からない…」
「自社に合うサービスがあったら使いたいな…DMPはどうだろう?」
「DMPを導入する予定だから詳しく知りたい!」
など、DMPに関する悩みを抱えていませんか?
DMPの良さは効率的にマーケティング活動できることですが、導入ハードルが高く使いこなすのが難しいと言われています。そのため、導入前に十分な基礎知識をつけてどんな利用方法があるかを知っておくことが大切です。
今回は、DMPの機能や選び方、メリット・デメリット、活用事例と運用ポイントについて解説します。
DMPへの理解を深めて、マーケティング施策の立案に役立てましょう。
このページの目次
・データ・マネジメント・プラットフォーム(Data Management Platform)の略語
・直訳すると「情報を管理する基盤」という意味
・オープンDMPとプライベートDMPの2種類がある
・別々の場所にある自社データを結び付ける
・外部から第三者データを収集する
・自社+外部から集めたデータを分析する
・MAツールなど他のツールと連携できる
DMPをわかりやすく言うと、インターネット上の様々な場所に散らばっている情報をまとめて保管できる入れ物・箱です。しかし、ただの入れ物ではなく、集めた情報を分析する機能も加わっています。
例えば、1つの会社で複数のブランドを展開していて、スキンケアブランドとコスメブランドそれぞれの顧客データが別々に管理されていたとします。
DMPを使って2つのブランドの情報を一元化すれば、スキンケアブランドを愛用しているお客様にコスメブランドの商品の広告を出せます。
それだけでなく、保有しているデータを分析してくれるのもDMPの魅力。
スキンケア商品の購買データを分析して関心がある分野のコスメ商品の広告を流すことで、コンバージョン率アップが狙えます。そうすれば、広告効果が最大化しますよね。
DMPを利用する最大のメリットは、データの有効活用により効率的なマーケティング活動が実現することです。
DMPの市場規模が急速に拡大していますが、その理由はIoTの普及などで顧客のデータ量が増加しているからです。
「たくさんの情報が集まったけど、分析できる状態に統一して保管するのは大変…」そんな悩みがある時に役立つのがDMPです。
データは活用してこそ価値が出るので、収集するだけでは効果的な戦略が打てません。DMPがあれば保有するデータを余すことなく活用でき、短時間で適切なマーケティング施策が導き出せます。
DMPはオープンDMPとプライベートDMPの2種類。また、DMPと似た存在のCDPもあります。それぞれの特徴や違いを見ていきましょう。
・「パブリックDMP」と呼ばれることもある
・ユーザー情報を提供しているベンダーから第三者データを取得できる
・自社データ以外の外部データを収集&分析する
自社では集められないデータ等の不足部分を補える
外部データのため正確性や詳細情報が分からない
潜在顧客へのアプローチ
オープンDMPを使って自社にはない情報を入手することで潜在顧客へアプローチが可能になり、新たなお客様を獲得できます。
また、新規事業の立ち上げ時など顧客データが全くない場合でも、オープンDMPを活用すればターゲットに関するデータや分析結果が分かります。
・プライベートDMP=自社で保有するデータ+オープンDMP
・自社データと外部データの両方をまとめて管理&分析する
※「プライベートDMP=自社データのみ」という考え方もあり、プライベートDMPとオープンDMPの両方の機能を持つものをハイブリッドDMPと呼ぶこともあります
オープンDMPよりも情報量が多く活用範囲が広い
導入費用が高額な上に運用が難しい
既存顧客1人1人に合わせた施策を立てること
プライベートDMPは、オープンDMPの機能に加えて自社にあるデータも併せて管理・分析できるのが特徴です。自社データを一元管理して分析すれば、既存顧客へのアプローチを最適化できます。
他には、一般的なお客様の嗜好や行動が分かる外部データと自社データを比較することで、既存顧客だけが持つ特性が明確になります。幅広い活用法があるのがプライベートDMPのメリットです。
プライベートDMPとCDPは自社データを管理しているのが共通点です。両者の違いは、DMPは匿名性のある情報を扱う傾向があり、より詳細な顧客データを扱えるCDPのほうが高度なマッチングが実現すること。
とはいえ、プライベートDMPとCDPをハッキリと区別するのは難しく、同等レベルだとみなす意見もあります。
では、実際にDMPを導入するとどのような変化があるのでしょうか?ここからは、DMPを導入するメリットについて説明します。
マーケティング施策を立てる際には十分な量のデータが必要ですが、DMP導入によって収集データ量を増やせばより効果的な戦略が立てられます。
さらに使いやすく整理できる機能もあるので、情報量が多くなっても分析しやすい状態で管理できるのもメリットです。
たくさんの情報を分析すれば、自社サービスがどの層から支持されているかが分かります。DMP導入のメリットは狙うべき顧客層が明確になって、ターゲティング精度が上がることです。
DMPは集めた情報を保管するだけでなく、条件ごとに顧客をセグメントする機能もあります。顧客を分類することで、それぞれに合わせたベストな施策が実施できます。
DMPのメリットは、マーケティング活動のPDCAサイクルが早くなること。情報の収集や分析にかかる時間を短縮すれば、その分迅速に施策の計画・実施・検証・改善が行えます。
マーケティング活動の効率化は人件費の削減につながるのがメリット。それに、手作業でデータ入力を行う必要がないので、ヒューマンエラーを減らせることもコスト削減に役立ちます。
次は、DMPが実際の現場でどのように活用されているかを見てみましょう。
自社サービスを利用していないお客様のデータ収集・分析ができるDMPがあれば、潜在顧客の個別ニーズを拾い上げることができます。
全く接点がないユーザーへも興味がある分野の広告を配信できるのがDMPの強みです。
闇雲に広告を配信するとコストばかりかかって十分な成果が出せません。そのため、質の良い情報をたくさん集めてターゲティングを徹底することが大切です。
DMPを使って自社製品に興味を持ちそうなユーザーに広告配信すれば成功する確率が上がります。
DMPの特徴は保有している自社データ同士を紐づけして、既存顧客を細かくセグメントできること。
購入履歴や行動データを分析してアップセル率・クロスセル率を向上させれば、客単価がアップします。
それ以外に、DMPの分析結果に沿ってお客様1人1人に合わせて配信するメールの内容を変える、コンテンツの出し分けを行うなどの施策も有効です。
また、既存顧客との関係強化はリピーター獲得につながるので、LTV(顧客生涯価値)を向上させたい時にもDMPが役立ちます。
データ管理に特化した保管系DMPは、すでにアクセス解析ツールやメール配信ツールなどを導入している場合に最適です。
「求めるものは顧客データの管理のみ!」「他ツールの機能との重複を避けたい!」そんな時には、限られた機能だけが搭載されたDMPを選びましょう。
このようにDMPの活用法は企業によってかなり違うので、目的に合致するものを選ばなくてはいけません。次は、DMPの選び方についてお話します。
DMPを導入する際の最初のステップは、「DMPで何がしたいか?」を考えることです。広告施策を行いたいのか、メール施策を充実させたいのか…など、目的をハッキリさせておきましょう。
目的が決まったら、必要な機能を洗い出します。広告施策を行って新規顧客を増やしたいなら、外部データの取得が欠かせませんよね。
こんな感じで、目標を達成するための手段を明らかにしてください。
そして、自社データの取り扱いが不要な場合はオープンDMP、自社データを使った施策を行いたい場合はプライベートDMPを選択します。
最後に候補にあがったDMPを比較検討して予算内におさまったものを選べばOKです。失敗しないコツは、導入前にDMPのメリットだけでなくデメリットも知っておくこと。
ここまではDMPの良いところばかりを紹介してきましたが、実は導入前に頓挫する企業が多いのが現実です。DMPの問題点である導入ハードルの高さについて考えてみましょう。
シンプル機能で無料のDMPもありますが、プライベートDMPの導入にかかる費用は一般的に1,000万円~3,000万円が必要だと言われています。
さらに、数十万円~数百万円の維持費用がかかるため、導入費用が高いのがデメリットです。
お手頃価格のクラウド型プライベートDMPも登場していますが、月額費用が10万円以上かかるものが大半を占めます。コストに見合う成果が出せるかを事前に確認しておきましょう。
プライベートDMPは企業側でデータ整備をしてからでないと活用できません。社内システムを構築するためには専門知識を持つエンジニアが必要です。
また、同時にセキュリティーやプライバシーに関しても配慮しないといけません。この問題があるせいで、DMPを導入しようと思ったものの事前準備の壁を乗り越えられない企業が多いです。
様々な場所に散らばっている情報を共有できるのがDMPの良さですが、そのためには各部署の連携が必要不可欠です。
社内の他部署との調整が不十分だと、DMPを導入しても効果を十分に発揮できません。
マーケティング担当、システム担当、広告担当、外注先などとの連携に手こずると計画を進めるのが難しくなります。
DMPの導入を考えているなら、デメリットを補ってDMP運用を成功させる方法も知っておきましょう。
DMPはアクションに弱いのが難点です。広告配信機能が備わっているDMPもあるとはいえ、アクションに関しては十分な機能がありません。
DMPができることは、情報を集めて分析結果を出すところまで。売上を伸ばすためには、分析結果を基にして立てたマーケティング施策を実行に移す必要があります。
DMP運用を成功させる秘訣は、必ずアクションにつなげること。顧客セグメントの抽出だけで終わりにせず、有効なマーケティングプランを実施することが最も大切です。
「DMPだと最終的なアクションまでやってくれないんだ…」とガッカリした方もいますよね。でも、アクションまで自動化できるツールがあるので安心してください。
施策の実施までをお任せしたい場合は、マーケティングオートメーションツールを導入しましょう。
データの整備だけでなく、マーケティング施策の実行までを自動化したいならマーケティングオートメーション(MA)ツールが最適です。
ここではおすすめのMAツールを紹介します。
画像出典元:「Pardot」公式HP
初期費用 | Growth | Plus | Advanced | 無料お試し |
0円 | 150,000円/月 | 300,000円/月 | 480,000円/月 | × |
マーケティングチームと営業チームの効果的な連携を実現できるSalesforce Engage for Pardotを利用する場合は、月6,000円/1ユーザーが必要です。
利用方法などのドキュメントやナレッジが多くあるため、割とすんなりと利用できました。たまにレスポンスが悪いことがあります。(IT関連:従業員500人以上)
大量のデータを管理できる点は便利です。貴重な顧客データを個人スタッフが管理するリスクから解放されます。ただ、ルールが多いので、使いこなすまでに時間がかかります。
詳細はこちらの資料をご覧ください。
画像出典元:「b→dash」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
要問合せ | 300,000円 | × |
初期費用なしで月額5万円から利用できるb→dash Liteもあります。
長年蓄積した膨大なデータを活用すべく、 データマーケティングツールb→dashを導入した。今までできなかったOne to Oneマーケティングをスポーツ領域で実現できました。(球団)
非常に使いやすいです。ただ最初の設定に時間がかかります。(広告関連)
こちらの資料から詳細をご覧いただけます。
画像出典元:「MAJIN」公式HP
初期費用 | 月額費用 | 無料お試し |
100,000円 | 100,000円 | 30日 |
オンラインサポートは無料です。
導入時のサポートや導入後のコンサルティングには費用が発生します。
(スタートダッシュサポート:200,000円 コンサルティング:月1,000,000円)
稼働開始までの設定項目が少なく使いやすかったです。他のサービスとの連携ができないところが不満です。(製造業:従業員500人以上)
cookie状態の匿名顧客から、実名化した見込顧客までコミュニケーションでき、役立っています。ただ、ランディングページを作れないのが不便。キャンペーンなどでページを作りたい時もあるので、そこは改善してほしい。(製造業:従業員500人以上)
画像出典元:「List Finder」公式HP
初期費用 | ライト | スタンダード | プレミアム | 無料お試し |
100,000円 | 39,800円~/月 | 59,800円~/月 | 79,800円~/月 | 20日 |
PV数・顧客データ数に応じて、課金される従量課金制ですが、基本プランでも50,000PV・顧客数5,000件まで管理できるので、ほとんどの企業が39,800円で運用できています。
サポート費用は無料です。
メール配信業務を効率化したかった。また、Webサイトのリニューアルの時期が重なったので、アクセス分析が簡単に行えるList Finderを選びました。(経営コンサルティング:従業員約30人)
「使いやすさ」と「コスパ」が 乗り換えの決め手です。(システム開発:従業員約600人)
画像出典元:「Liny」公式HP
初期費用 | スタート | ベーシック | プレミアム | 無料お試し |
49,800円 | 5,000円/月 | 39,800円/月 | 69,800円/月 | 3ヵ月 |
1年間の最低契約期間があります。
顧客にあわせたオリジナルの画面を作成が簡単にできる。他ツールと比較してLinyに決めた理由は使いやすさ。(ブライダルプロデュース)
スタッフ1人でも設計・運用可能です。直感的に操作できるので、急に配信が必要になった時でも2時間でコンテンツを作成できました。(県庁担当者)
起業ログおすすめ5選の機能をまとめるとこのようになります。
Pardotやb→dashがフル機能装備なのに対し、MAJIN・List Finder・Linyは機能に制限があることがわかります。
自社に必要な機能を明確にした上で、ツールを選びましょう。
もっとMAツールを見てみたいという方は下記記事を参考にしてください。
DMPの活用方法は多岐に渡ります。上手に利用すれば、マーケティング施策の効果が大幅にアップしますよ。
シンプルから多機能まで色々なDMPがありますが、まずは「自社が抱える問題を解決するために何をすべきか?」を考えてみてください。
そして、導入前にはデータ整備や他部署との連携強化も必須です。中途半端な状態で計画がストップしないよう、しっかりと準備を整えてからDMPを導入しましょう。
画像出典元:O-DAN