プログラミング言語には多くの種類が存在するため、まずどの言語から学習すれば良いのか判断に迷う方が多いのではないでしょうか。
本記事では、15種類のプログラミング言語を難易度順に紹介するのに加えて、最も難易度の高い言語・低い言語についても具体的に解説します。
習得すべきプログラミング言語の選び方についても詳しく解説しているので、併せてチェックしてみてください。
このページの目次
難易度とは、個人の感じ方で変わるため一概に定義しにくい部分ではありますが、いくつかの要因から、習得しやすい・習得しにくいといったおおよそのレベルを判断することができます。
ここではプログラミング言語の難易度が決まる5つの基準について解説します。
まず1つ目が、実際にプログラミングを書いて動かすために必要な環境の準備が簡単にできるのかというポイントです。
習得するためには自分の手を動かして、プログラミングのソースコードを書いてみることが重要ですが、動作をさせるために必要なものをインストールしたり、各種設定をしないと使えないものも多くあります。
環境構築には、ブラウザで利用できるものから複雑な設定が発生するものまで様々あるため、難しいものほど途中で挫折してしまう可能性が高まります。
習得するための環境の充実度は、プログラミング言語を学ぶ上でとても大切なことです。
プログラミング言語は、種類によって情報量に大きな差があります。
開発されてからの歴史が長いものや利用率が高い言語は、本やインターネット上での情報も見つけやすいといえるでしょう。
一方でマイナーな言語の場合は、情報そのものが少ない、あっても外国語のみ、などといったケースが多いため、調べることに時間がかかって学習をスムーズに進めることができません。
学習しやすい環境がどれだけ整っているのかは、難易度の1つに影響すると考えられるでしょう。
プログラミング言語の習得においては、文法そのものを学ぶだけでは不十分な場合があります。
例えば、実際の業務でプログラミング言語を使うときは、ソースコードを見やすくしたり、効率良く書き出したり、複数人で編集した内容を結合して管理したりといった工程が発生します。
それらの工程に必要な関連ツールやフレームワークなどの活用方法も、併せて学ぶ必要があるのです。
プログラミング言語は、記述方法が異なるため文法の複雑さによっても難易度が決まるといえます。
記述方法は主に手続き型・オブジェクト指向型・関数型の3つに分類することができます。
手続き型とは、プログラムを実行させたい順番通りに記述する方法で、オブジェクト指向型とは、関連するデータやメソッドに関する手続きをひとつにまとめた記述方法をいいます。
そして関数型とは、数学的な表現で記述する方法で関数の組み合わせによって構文を完成させる方法です。
記述内容の理解のしやすさは、手続き型が最も分かりやすく、次にオブジェクト指向型、一番難しいのが関数型になります。
そのため、初心者の学習には手続き型が向いていますが、開発には複雑な処理を管理しやすいオブジェクト型が向いているといえるでしょう。
人間が記述したプログラミング言語は、そのままではコンピューターが理解できないため、どこかのタイミングで機械語へ翻訳する必要があります。
翻訳を行う方式には、記述した命令を一つずつ機械語に翻訳しながら実行するインタープリタ方式と、記述したプログラミング言語を全て機械語に翻訳してから実行させるコンパイル方式の2種類があります。
インタープリタ方式の場合は、翻訳タイミングが都度となるため実行結果をすぐに確認することができ、コンパイル方式の場合はまとめて翻訳するため処理速度が早くなります。
初心者の学習には、記述したプログラムをすぐに実行して確認ができるインタープリタ方式の言語が向いているかもしれません。
ある程度ユーザーのいる言語だけでも250種類はあるプログラミング言語ですが、一般企業で使われている言語はその中の10%ほどと言われています。
ここでは主要なプログラミング言語を難易度ランキング順に紹介します。
難易度 ★★★★★
「R言語(アールゲンゴ)」は、統計やデータ解析に特化しているプログラミング言語で、短いコードで統計処理を実施できる特徴があります。
環境構築はオープンソースであるため、The Comprehensive R Archive Network(CRAN)のWebサイトからインストールするだけで誰でも開発が可能となります。
文法の習得自体は難しくないものの、使いこなすためには統計分析に関する知識が必要であることからプログラミング言語の中で最も難易度が高いといえるでしょう。
難易度 ★★★★★
「C++(シープラスプラス)」は、C言語の上位互換版といえるプログラミング言語であり、他の言語に比べて処理速度が格段に早いという特徴があります。
環境構築は、プログラミングコードを作成するエディターと機械語へ翻訳してくれるコンパイラが必要となり、インストールや設定が少し複雑です。
文法も機械語に近い言語構造になっているため難しく、加えてオブジェクト指向を組み込んで拡張されているため学習難易度は高いといえるでしょう。
難易度 ★★★★★
「C言語(シーゲンゴ)」は、1972年に開発されたという長い歴史を持ちながら、世界で第2位の人気を誇っている利用率の高いプログラミング言語です。
プログラムをまとめて機械語へ翻訳するコンパイル方式であるため、処理速度が高いことが特徴です。
OSやシステム・ロボット、宇宙開発やIoT機器への組み込みなど、汎用性が高いというメリットがありますが、機械語に近い構文で学習難易度も上位といえます。
難易度 ★★★★☆
「Java(ジャバ)」は、JVM(Java Virtual Machine:Java仮想マシン)で動いているため基本的にどのような環境でも使えるという特徴があります。
C言語やC++から影響を受けた言語で更にオブジェクト指向が加わっているため、文法は比較的難しいです。
しかし汎用性の高さから導入企業は多く、日本語の参考書や学習サイトが豊富に存在しているため学習環境は整っているといえるでしょう。
難易度 ★★★★☆
「GO言語(ゴーゲンゴ)」は、Google社が2009年に開発したプログラミング言語であり、シンプルな文法で誰が読んでも分かりやすい特徴があります。
Linux・Mac・WindowsのOSで利用が可能であり、公式サイトからインストールするだけで簡単に開発環境を作ることができます。
初心者でも理解しやすい文法ですが、書籍やサイトでの情報量が少ないため学習の難易度は少し高いといえるでしょう。
難易度 ★★★★☆
「C#(シーシャープ)」は、Microsoft社が開発した言語であるためWindowsを始めとしたMicrosoft製品との相性が良い特徴があります。
開発環境は、Visual Studioを用意する必要がありますが、無料でインストールできます。
C++とJavaを元に開発されているため文法が似ており、これらを既に習得済みであればスムーズに理解ができるでしょう。
難易度 ★★★☆☆
「Swift(スウィフト)」は、Apple社がリリースしたプログラミング言語で、iOSアプリやWebアプリケーションの開発に適しているという特徴があります。
開発環境はApple IDを準備した上で、Xcodeを無料でインストールすれば誰でも使用することが可能です。
文法がシンプルであり、XcodeにあるPlaygroundという機能を使うことでプログラミング途中でも動作チェックができる点は初心者でも学習しやすいといえるでしょう。
難易度 ★★★☆☆
「Google Apps Script(グーグルアップスクリプト)」は、 Google社が開発したJavaScriptベースのプログラミング言語で、Google製品との連携が可能な点が特徴です。
Googleアカウントがあれば無料で使用できるため、開発環境を構築しなくてもGoogleスプレッドシートにあるスクリプトエディタからコーディングができます。
基本的な文法はJavaScriptと同じであり、インターネット上での情報も豊富であるため比較的学習しやすいといえるでしょう。
難易度 ★★☆☆☆
「kotlin(コトリン)」は、Javaと100%の互換性があるプログラミング言語で、産業利用向けに開発された汎用言語であることから安全性が高いという特徴があります。
GoogleによってAndroidの公式開発言語として認められているので、Androidのアプリケーション開発には欠かせない言語です。
Javaよりも短くシンプルな文法であるため、初心者でも学習しやすい言語であるといえるでしょう。
難易度 ★★☆☆☆
「Visual Basic for Applications(ビジュアル ベーシック アプリケーションズ)」は、Microsoft社が開発したOfficeシリーズに搭載されているプログラミング言語です。
Windows OSを想定したVB(Visual basic)から派生した言語であり、Microsoft社のOffice製品と連携して業務効率化できる特徴があります。
大容量の処理やVBA非対応のアプリケーションと連携はできませんが、主にバックオフィス業務の効率化として利用されています。
難易度 ★☆☆☆☆
「Ruby(ルビー)」は、日本人のまつもと ゆきひろ氏が1993年2月に開発し、1995年12月にfjニュースグループで発表したプログラミング言語です。
Ruby on Railsという開発向けのフレームワークがあり、効率的に開発ができる特徴があります。
文法が比較的シンプルであり、日本で生まれたプログラミング言語であるため日本語で書かれた情報が見つけやすく初心者にも学習しやすいといえるでしょう。
難易度 ★☆☆☆☆
「PHP(ピーエイチピー)」は、世界中に存在するWebサイトの77%がPHPを使っていると言われていますが、Web系の開発以外にはあまり使われていない特徴があります。
様々なOSやWebサーバーでの実行が可能であり、多くのサーバーソフトウェアとの互換性もあります。
フレームワークやライブラリも充実しており、文法が比較的シンプルであるため初心者でも学習しやすいといえるでしょう。
難易度 ★☆☆☆☆
「Python(パイソン)」は、Webサービス・業務システム・ゲーム開発だけでなく、統計解析や機械学習・人工知能・ブロックチェーン・サーバーサイド開発にも活用されている特徴があります。
シンプルで短い構文であることから開発効率の良い言語として人気であり、インタプリンタ型であるため初心者でも学習しやすいといえるでしょう。
近年話題となっているChatGPTもPythonで開発されており、将来的な需要も高まっていくと予測されています。
難易度 ★☆☆☆☆
「type script(タイプスクリプト)」は、Microsoft社によって2012年に開発されたプログラミング言語で、主にアプリケーションやサーバーサイドの開発に活用されています。
JavaScriptとの互換性が高く、JavaScriptの開発環境があればすぐに使用することができるため開発環境の準備は比較的簡単です。
公式サイトにチュートリアルが用意されており、書籍やインターネット上での情報も増えていることから初心者でも学習しやすいといえるでしょう。
難易度 ★☆☆☆☆
「JavaScript (ジャバスクリプト)」は、サイトに動きをつけることのできるプログラミング言語で、世界中のほとんどのWebサイトで使用されている特徴があります。
一般的なブラウザに標準でJavaScriptを実行するための機能が搭載されているため、開発環境の準備が不要であり誰でも簡単に使用できます。
動きを実際に確認できるので初心者でも理解がしやすく、ライブラリも豊富に用意されているため学習ハードルは低いといえるでしょう。
数あるプログラミング言語の中でも特に難易度が高いと言われているのが、R言語とC++です。
この2つの言語は、なぜ難易度が高いと言われているのでしょうか。
難しいと言われている要因とそれぞれの言語が使用される領域について解説します。
R言語は、平均や中央値・最大値や最小値/範囲・分散や標準偏差などの統計解析に対応するプログラミング言語です。
折れ線グラフ・棒グラフなどの多種多様なグラフ制作も可能で、短いコードを書くだけで簡単に実行できます。
また、数値処理だけでなく単語の出現状況や頻繁に出現する単語のチェック、テキストデータを視覚化できるワードクラフトなども可能です。
多様なパッケージや関数が用意されているため、活用することでコーディングの時間を短縮できるのも特徴の1つであるといえるでしょう。
R言語の難易度が高い理由は、記述方法というよりも、統計解析を適切に活用するために統計学のスキルが必須であるという点です。
代表的なデータ解析手法を知っていて適切な方法を選択するスキルや、出力したデータから必要な情報を読み取って解釈するスキルなどが求められます。
C++は、1972年に開発され、歴史が古くハードウェアからシステム開発まで世界中で幅広く使われているプログラミング言語です。
マルチプラットフォームに対応しているため、汎用性が高くソフトウェアの開発・OS・ロボットなどに使われています。
また、人間語から機械語へ翻訳するタイミングも一括で行うコンパイル方式であるため、処理速度が早いことも特徴の1つといえます。
C++の難易度が高い理由は、汎用性の高い分、覚える内容が多いという知識量の問題に加えて、コードの文法も読みにくいという点があります。
ハードウェアを制御する役割も担っているので、言語の習得に加えてコンピュータ周辺の知識も必要となります。
多くのプログラミング言語の中でも、比較的難易度が低いと言われており、世界中で需要が高いと言われているのがPhythonとJavascriptです。
この2つの言語はなぜ難易度が低いと言われているのでしょうか。
人気に繋がっている理由について解説します。
Phythonは、シンプルで短い文法で記述できることから、近年世界中で人気が高まっているプログラミング言語です。
マルチプラットフォームにも対応しているため、汎用性が高くWebアプリケーションやデータ分析など幅広い開発に使われています
シンプルな文法であることから記述時間を短縮できたり、読みやすく後からでも簡単に修正ができたりする点は特徴といえるでしょう。
Phythonの難易度が低い理由は、言語を覚えやすいというだけでなく、インタプリンタ方式であるため動作を確認しながら進められることが挙げられます。
また、開発を効率的に行えるフレームワークやライブラリが充実しているため、大規模なプログラム開発でも比較的簡単に進めることができるでしょう。
Javascriptは、1995年に開発され1997年に国際標準化団体ECMAインターナショナルによって標準化技術ともなった、Webサイトに欠かせないプログラミング言語です。
ポップアップウィンドウを表示させる、画像の拡大表示など動きをつけるといった技術で世界中のWebサイトで使われています。
ユーザーから見える部分の開発だけでなく、サーバーサイドの開発もできる汎用性の高さは、Webシステム開発で重宝されているJavascriptの特徴といえるでしょう。
Javascriptの難易度が低い理由は、一般的なブラウザに標準搭載されているため環境構築におけるインストールが不要であるという点が挙げられます。
また、開発を効率的に行えるフレームワークやライブラリが充実しており、WebアプリケーションやWebサービスの土台を比較的簡単に構築することができるでしょう。
多くの種類が存在し、それぞれ難易度が異なる中で、どのように習得すべきプログラミング言語を選べば良いのでしょうか。
ここでは、初心者がプログラミング言語を選ぶときのポイントを3つ解説します。
まず、将来自分が何を作りたいかを明確にし、その開発に必要な言語を探しましょう。
複数の開発で活かせる言語もありますが、基本的にはどの言語を取得するのかで何を開発できるかが決まるといえます。
下記の表を参考に、自分の作りたいもの・やりたいことから言語を選んでみてください。
目的 | 学習すべき言語 |
WEB開発 | Java、C#、Ruby、PHP、Python、Java script |
アプリケーション開発 | C++、C言語、Java、GO、C#、Swift、Google Apps script、kotlin、Ruby、PHP、type script、Java script |
ソフトウェア / システム開発 | C++、C言語、Java、C#、PHP、Python、Java script |
サーバーサイド開発 | Java、GO、kotlin、Ruby、PHP、Python、type script |
機械学習 / 人工知能(AI) | R言語、C++、Python |
ゲーム | C++、C#、Swift、Ruby、Java script |
業務効率化 | Google Apps script、Visual Basic for Applications |
初心者の場合は、プログラミング言語の習得難易度から考えるのも選択基準の1つとして有効です。
プログラミング言語の難易度は、環境構築の簡単さや文法の複雑さ、プログラミング言語以外に習得すべきスキルなど、複数の要因から決まります。
いきなり難易度が高い言語に挑戦してしまうと、学習途中で挫折してしまう可能性があるので、ランキング11位〜15位の難易度★あたりから始めてみるのがおすすめです。
最初に難易度の低い言語から始めることで、派生言語の習得が簡単にできるようになるケースもあります。
今後の需要がどうなっていくのかを想定して、プログラミング言語を選択するのも1つの方法です。
近年、汎用性の高さやシンプルな文法であることから人気が出ているPythonは、今後も需要が高まっていくとされています。
また、人工知能に強いとされているR言語やC++も難易度は高いとされていながら、世界中で使用されているため今後も安定的な需要が見込まれます。
将来性の高いプログラミング言語であれば、国内での求人はもちろん世界で活躍できるチャンスも高まるでしょう。
プログラミング言語の難易度は、環境構築の簡単さ・学習環境の豊富さ・付随して学ぶべきスキルの有無・文法の簡単さ・機械語への翻訳タイミングという5つの軸で差がつくと考えられます。
初心者が学習すべきプログラミング言語を選択する際には、まず何を作りたいのか考え、その中から学習難易度や将来性を考慮して判断すると良いでしょう。
エラー解消を含めた実践経験も大切になってくるので、挫折しにくい自分に合った言語の選択がプログラミングの学習には重要なのです。
画像出典元:pixabay