IT人材の不足がささやかれる昨今、「プログラミングスクールに通ってスキルを身に付けよう」と考える人が少なくありません。
需要の高まりとともにプログラミングスクールの数も増えていますが、全てのスクールが良質な学びの場とはいえないのが現状です。
「こんなはずではなかった」「プログラミングスクールに通った意味がない」などと後悔することのないよう、プログラミングスクールの選択は慎重に行わなければなりません。
本記事では、プログラミングスクールには闇があると言われる原因や背景、悪質なプログラミングスクールの特徴や優良プログラミングスクールの選び方、さらにはプログラミングスクールを選ぶとき注意したいポイントを紹介します。
プログラミングスクールの受講について不安がある人は「なぜ闇があると言われるのか」を理解することで、今後の選択について考えやすくなるでしょう。
このページの目次
プログラミングスクールの問題については以前よりさまざま取り上げられており、過去には某プログラミングスクールの炎上事件もありました。
「プログラミングスクールはエンジニアを目指す人を食い物にしている」という意見もあり、その闇は深そうです。
プログラミングスクールのどのような点が「闇」と言われるのでしょうか。プログラミングスクールの現状と照らして見ていきましょう。
ビジネスとして見た場合、プログラミングスクール市場は非常に参入しやすい市場です。特別な国家資格等が必要なく、その気になれば即日開業も可能。
現在は国がIT人材の育成に力を入れていることもあり、生徒も比較的簡単に集められるでしょう。
現在、このような「入れ食い」状態の業界に注目する人・企業は少なくありません。
プログラミングとは無縁の個人・他種業界の企業などが、いかにも有益そうなプログラミングスクールを運営しているケースも多数見られます。
現在のプログラミングスクール市場は、まさに玉石混交の状態。
当り外れは非常に大きく、うっかり質の悪いスクールを選んでしまうと「高額な授業料を支払って何の役にも立たなかった」ということも十分あり得るのです。
儲け第一主義のプログラミングスクールに当たると、エンジニアに必要なスキルの獲得は困難です。
プログラミングスクールの収益は主に「入会金・授業料」「人材紹介料」です。
収入を増やそうと思った場合、スクールは常に一定数以上の生徒を確保しておかなければなりません。「集客」を最重要課題とし、授業内容を後回しにするスクールもあるでしょう。
このようなスクールほど「○カ月でフリーランスになれる」などと大風呂敷を広げがち。
しかし実際のところ授業内容がスカスカなケースも多く、当然スキルは身に付きません。フリーランスになるどころか簡単なコードを書くことさえできずに終わるケースも散見されます。
プログラミングスクールに通う人の多くは、プログラミングの基礎を全く知らない初心者です。
当然ながら授業内容や教材の良し悪しが判断できず、通っているプログラミングスクールの質が良いのか悪いのかさえ分かりません。
最終的に望むスキルを得られなかったとしても「プログラミングスキルを獲得できなかったのはあなたの理解力が低いためです」などと言われれば、反論するのは困難でしょう。
現状、プログラミングスクール市場は、クオリティが低いスクールも淘汰されにくい現状にあります。
注意喚起されない場合、多くの人が同じ手口に引っ掛かり、授業料を無駄にしてしまうこととなります。
不景気の最中でも、エンジニアは売り手市場です。
「転職・就職のために」とプログラミングを学ぼうとする人がいますが、プログラミングスクールを出ただけでエンジニアとして優良企業に就職するのは困難です。
そもそも数カ月プログラミングを学んだだけでは、自分で開発できるレベルには到達しません。
加えてエンジニアは経験が重視されますから、実務経験ゼロの初心者を雇ってくれる企業を探すのは難しいでしょう。
特に「儲け第一」のプログラミングスクールの場合、生徒から入会金・授業料を得た時点でその生徒には用がありません。
転職・就職のためのアドバイスや手助けを全く行ってくれないケースが多々あります。
プログラミングスクールを出たからと言って、すぐにフリーランスになれるわけではありません。
すぐにフリーランスになれない理由
フリーランスとしてプログラミングの案件を受注するには、当然ながら実務経験が必要になります。
しかし、スクールで学んでも「実務経験」とはみなされません。
プログラミングスクールでコードの書き方を学んでも、実務では「設計力」や、顧客の要望を聞き出す「ヒアリング力」が必要になります。
スクールに通うなら「すぐにフリーランスになる事」を目標とはせずに、まずは転職などで実務を積むことを目指しましょう。
スクールに通ってスキルを積んだとしても、フリーランスとして仕事を受注できるかどうかは別問題です。
フリーランスとして活動するには、技術力の他にコミュニケーション力や人脈、自己管理力、自分で仕事を取れるような営業力などが必要になります。
営業力に関しては、フリーランスエージェントを利用することで案件を受注できます。
プログラミングスクールの中には、「転職保証」を謳っているところもあります。
「転職できなければ100%返金」などの文句は魅力的ですが、返金されることはほぼありません。返金のためには細かい規定が設けてあって、それら全てをクリアしないと返金されない仕組みが多いためです。
転職保証を謳うプログラミングスクールは、SES(System Engineering Service:エンジニア派遣サービス)事業を行っていることが多々あります。
「誰でも受かる」という企業案件を持っているケースも多く、プログラミングスクールが内定を出すことは容易です。
「1社からでも内定が出れば返金しない」という条件を設けていれば、プログラミングスクールが「転職保証」によってデメリットを被ることはほぼありません。
「闇が深い」と言われるプログラミングスクール業界には、悪質スクールもたくさん存在します。
「このような特徴があるプログラミングスクールは避けるべき」というポイントを見ていきましょう。
「誰でも○カ月でスキルを習得できる」「未経験からでも大丈夫」「修了後はフリーランスとして活躍」…、プログラミングスクールにはこうした耳に心地よいフレーズを並べるところが少なくありません。
実際のところ、プログラミングの習得は、座学だけではほぼ不可能です。実地を経験する必要があり、テキストよりも現場で覚えていくことの方が多いでしょう。
にもかかわらず「すぐできる」と謳うプログラミングスクールは信用できません。集客したい意図が見え見えで、悪質プログラミングスクールである可能性は高いでしょう。
「質問をしても返信がない」「無視される」…、これは悪質プログラミングスクールであるに非常に多い傾向です。
質問に答えない理由はスクールによりさまざまですが、まず考えられるのが「答えられる人がいない」こと。
儲け第一主義の悪質プログラミングスクールの場合、人件費もなるべく抑えようとするものです。
優秀な講師よりもスキル・人件費ともに低い講師を雇うケースは多く、寄せられる質問にも答えられません。
またそもそも生徒に対して十分な人員をそろえていないケースもあり、寄せられる生徒の質問一つひとつに丁寧に答える余裕がないのです。
「SES事業を行っているプログラミングスクールなら、絶対転職・就職先を見つけてくれる」と考えるのは早計です。
例えば無料を謳うプログラミングスクールの多くはSESを運営しており、そこに修了者を登録させて他企業へ斡旋します。
これが優良な企業ならよいですが、多くの場合、いわゆる「ブラック企業」です。
「慢性的に人手が足りていない」「仕事内容は正社員と同じなのに正社員として雇ってもらえない」「プログラミング無関係の雑用しかやらせてもらえない」など、納得のいく条件で働くのは難しいでしょう。
無料プログラミングスクールの多くは、入会金・授業料を取らない分「人材斡旋料」で儲けを得ています。
プログラミングスクールは隠れ蓑で、メインの目的は「人が集まらないブラック企業に人を斡旋すること」であるケースが少なくありません。
中には無料プログラミングスクール修了者を「5人1パック」で斡旋するケースもあり、スクールが「プログラミングを学ぶ場所」とはいえないのが現状です。
悪質プログラミングスクールでは、2流・3流でさえない「4~5流」のエンジニアが教壇に立つケースが散見されます。当然ながら授業の質は低く、授業料に見合うスキルの習得は困難です。
一般に、プログラミングスクール講師の年収は3~600万円程度と言われます。一方、スキルの高いエンジニアは年収1,000万円以上稼ぐ人も珍しくありません。
当然ながらプログラミングスクールで教えるよりも現場を選択する人が多く、スキルの高い講師を見つけるのは難しいでしょう。
悪質なプログラミングスクールの中には、大学生を講師としているところもあります。このようなプログラミングに通っても、テキストを見れば分かる程度の指導しかしてもらえません。
講師の実績やスキルを見れば、そのプログラミングスクールの程度が分かるでしょう。
転職・就職に結び付くスキルを身に付けるには、良質なプログラミングスクールを選ぶことが必要です。
プログラミングスクールの良し悪しを見分けるときはどのような点に注目すればよいのでしょうか?
プログラミングスクールの運営会社は、スクール運営以外の事業を展開しているケースが少なくありません。それぞれの会社がどのような事業に携わっているかチェックしてみるのもおすすめです。
例えば、IT教育関連事業や動画配信サービス、Webサービス開発などを手掛ける企業はそれぞれの関連性があって、授業内容や教育方針も充実していそうです。
一方で「マッチングアプリ事業」などがメインの企業は、全くの他業種です。もしかすると、コンテンツや待遇などで不満を感じる点が出やすくなるかもしれません。
また、SESを運営している企業のプログラミングスクールの場合、課程修了後はそのまま派遣に回される可能性が高いでしょう。
「条件は問わないからすぐに仕事がほしい」という場合はよいですが、「ブラック企業お断り」の人は、修了後の就職先についてきちんと調べることをおすすめします。
なお、調べていると「運営母体の情報がない」「よく分からない」などのケースもあるかもしれません。このようなプログラミングスクールは避けるのが無難です。
「プログラミングスクール運営はおいしい」という風潮や2020年からの「小・中学校プログラミング教育の義務化」などにより、さまざまな企業がプログラミングスクール市場に参入しています。
そんな中、プログラミングスクールの「創業年度」「実績」を見ることは非常に重要といえるでしょう。
「新しいから良くないスクール」「古いから良いスクール」と言うわけではありませんが、業界にいる期間が長いほど持っている経験・情報・コネクションも多くなります。
授業内容が改良に改良を重ねられたものだったり紹介先企業のバリエーションが豊富かつ良案件だったりするケースが多く、「大ハズレ」を引く可能性は低いでしょう。
ただし、プログラミングスクールは本人との相性もあります。あくまでも「実績・創業年は目安の一つ」と考えてください。
IT業界はトレンドの移り変わりが早い業界です。現状に基づく授業の提供を望むなら、第一線で活躍するエンジニアの存在は不可欠といえます。
プログラミングスクールを見るときは講師陣をチェックして、それぞれがどのような経歴を持つのかを見ることが必須です。
「教えるプロ」として講師一筋の人がいても問題ありませんが、そのような人ばかりに偏っているのは好ましくありません。
講師陣のラインアップに「現役エンジニアがどのくらいいるか」は非常に重要といえます。
プログラミングスクールが乱立している昨今、スクール選びは非常に難しい問題となっています。
あとあと「やっぱりプログラミングスクールは闇だった」と呟かずに済むよう、慎重に選びましょう。
後悔しないプログラミングスクール選びのポイントを紹介します。
一口にプログラミングスクールといっても、強みやアピールポイントは異なります。
「プログラミングスクールに通って良かった」と実感するためには、自身の目的とプログラミングスクールの方向性がマッチしていることが重要です。
プログラミングスクールに通う目的としては、主に以下のようなものがあります。
まず、IT技術者として転職・就職を目指している人は、メンターが付いて基礎をしっかり教えてくれるところが理想です。
修了後は就職・転職支援まであるプログラミングスクールが望ましいでしょう。
一方、ある程度プログラミングの基礎知識がある人はカリキュラムの内容が自分の知りたいこと・もっとスキルを高めたいこととマッチしているかが重要です。
加えてスキルアップのためには、実践学習が必須。座学よりも実践が多くきちんとフィードバックしてくれるカリキュラムを選択しましょう。
また、知識・教養のためという人は、講師との相性を重視するのがおすすめです。途中で「飽きた」「面白くない」と感じることのないよう、授業に工夫があるものが望ましいといえます。
プログラミングスクールの受講料は、無料から100万円近いものまでさまざまです。
まずは「○○円まで」と予算の上限を決め、その範囲内で収まるスクールを選びましょう。無理して高額なプログラミングスクールと契約してしまうと、生活を圧迫する恐れがあります。
また、プログラミングスクールの受講期間も非常に重要です。一般に、エンジニアと名乗れるレベルのプログラミングスキルを身に付けるには、200時間以上の学習が必要といわれます。
これより上のサービスを自己開発できるレベルになりたい場合は、最低でも800時間が必要です。
プログラミング未経験から始める場合は、ある程度の授業数がきちんと確保されているかどうかをしっかりチェックしなければなりません。
ネットの呟きがきっかけで、プログラミングスクールの悪態が発覚したケースもあります。
全てを鵜呑みにしてはいけませんが、「受講したいプログラミングスクールのおおよその評価」はネットでチェックするのがおすすめです。
また、最も良いのは無料レッスン・カウンセリングを受けてみることです。評判のよいプログラミングスクールが必ずしも自分にマッチするとは限りません。
実際の授業を受けたりメンターからのカウンセリングを受けたりすることで、「合いそう」「合わなそう」が分かりやすくなるでしょう。
特に、プログラミング初心者にとって、スクールとの相性は非常に重要です。
プログラミング学習をモチベーション高くやり遂げられるよう、講師・メンターと実際に触れあってみることをおすすめします。
例えば、オンラインによる学習塾の本気のパソコン塾は、7日間無料体験会を受講することができます。自分に合った学習が受けられるか試してみると良いでしょう。
画像出典元:「本気のパソコン塾」公式HP
「本気のパソコン塾」は学習アシスタントによるサポートが充実したオンラインプログラミングスクールです。
挫折しやすいオンライン学習でも、スケジュールの設定から、日々の学習進捗管理、月2回のオンライン面談があるためモチベーションを維持して取り込むことができます。
Web制作やプログラミングに関する動画教材が1年間見放題のため、自分のペースで好きにスキルを学ぶことができます。
本気のパソコン塾は入学金がかからず、月額もしくは一括買い切りのアカウントプランです。
一括費用198,000円、月額にして16,500円と無理なく続けられる料金設定で、競合サービスと比較して割安でプログラミングを学べます。
852本の学習教材が見放題で、動画にわからないところがあったときは相談フォームから質問が可能なので不安を感じずに学習を進められるでしょう。
プログラミングスクールは、「入会金・授業料」「人材紹介料」で収益を得ています。
「生徒の数を増やせばよい」「修了したら適当なところに派遣すればよい」と考えるスクールが一定数あり、これが「プログラミングスクールの闇」を生み出していると考えられます。
悪質なプログラミングスクールに食い物にされないためには、スクールの精査が必須です。
講師の顔ぶれやカリキュラム数・内容、運営母体などをしっかりとチェックして、信頼できるスクールを見極めましょう。
IT人材が不足するといわれる昨今、プログラミングスクールでスキルを身に付けるのは間違いではありません。
身に付けたスキルで徐々に実務経験を増やしていけば、条件の良い企業に転職・就職するのも夢ではないでしょう。
画像出典元:Pexels、Pixabay