エンジニアになりたい人が新たにプログラミング言語を習得する場合、将来性があってビジネスに活きる言語を選ぶことが重要です。
では、将来性のあるプログラミング言語とはいったいどのように見分ければ良いのでしょうか?
この記事では、将来性のあるプログラミング言語について、その条件を解説し、実際に将来性のある7言語を紹介します。
このページの目次
まずは、将来性のあるプログラミング言語を見極めるための4つの条件について解説します。
ビジネスで使うためにプログラミング言語を習得するのなら、まずは企業からのニーズがどれだけあるかが第一の判断基準になります。
現在ニーズが多く、幅広いプロダクトで採用されている言語であれば、少なくとも今後5〜10年ほどは通用する言語と言って良いでしょう。
エンジニア向けの求人サイトを見れば、言語別の求人や開発案件の数、年収などがわかるので、ひとつの明確な指標になります。
当たり前のようですが、実用性が高いプログラミング言語ほど、長期に渡って使われる可能性が大きくなります。
特に、記述のしやすさ、ライブラリやフレームワークの豊富さ、多言語との互換性などに注目しましょう。
例えば、JavaScriptをベースにしたTypeScript、Javaと互換性のあるScalaなどはそうした条件を満たしており、実際に人気が高まりつつあります。
ここ数年で、AIやWeb3.0などの最新技術を用いたビジネスが増えており、それを扱えるプログラミング言語のニーズも増えています。
例えば、AI開発分野ならPython、WEB分野ではJavaScriptなどは技術との相性が良い言語で、今後もさらに伸びてくるでしょう。
反対に、用途が限定的でレガシーシステムにしか使われていないような言語は、別言語でリプレイスされることも多く、新たに習得するには適していません。
プログラミング言語のトレンドを測る指標として、エンジニアが注目されているかどうかもチェックしておきたいポイントです。
実際にプログラミング言語を扱って仕事をしているエンジニアに注目されている言語は、今後マーケットが拡大する可能性があります。
2023年6月時点では、AIで注目されるPythonに加えて、汎用性の高いC/C++やJavaといった言語の注目度が高いようです。
次に、実際に条件に当てはまる言語を7つピックアップして紹介します。
学習難易度や自分の作りたいプロダクトとの相性などと照らし合わせながら、最適な言語を選びましょう。
AI開発、機械学習、データサイエンス分野と、現在マーケットが拡大している市場で多く採用されており、ニーズ、注目度ともに高い言語。
また、構文がシンプルで記述しやすいため学習コストがかからず、フレームワークやライブラリが豊富で効率良く開発できるのもポイントです。
エンジニアからの注目度も高く、求人数もかなり増えてきているところを見ると、確実に将来性の高い言語と言えるでしょう。
WEB開発で幅広く用いられており、フロントサイド、サーバーサイドどちらにも対応できる汎用性の高い定番言語。
全言語の中でもニーズはトップクラスで求人も多いため、未経験ならまずはここから習得すると良いでしょう。
また、WEBアプリケーション需要が伸びていることもあり、さらなるニーズ増加にも期待できます。
マイクロソフトがJavaScriptを拡張して開発した言語で、JavaScriptの後継とも言われています。
JavaScriptと異なり、静的型付け機能が備わっているため、エラーを防ぎやすく、より安全で保守しやすいのが特徴。
JavaScriptと互換性が高いため、JavaScript→TypeScriptという順番で習得することで効率よく開発スキルを高められます。
まだ国内ではそれほどニーズが多くないものの、今後増えてくることが予想されます。
Googleが2009年に開発した比較的新しいプログラミング言語。
もともとGoogle社内の開発の生産性向上のために使われていましたが、現在はサーバーサイド開発、WEBアプリケーション開発などに広く用いられています。
AndroidとiOSどちらの開発にも対応しているのも特徴で、汎用性の高い言語です。
求人の数自体はまだ多くないものの、年収レンジはかなり高く、将来性は高いと考えて良いでしょう。
汎用性の高さから、多くの開発に採用されているポピュラーな言語。
OSを問わず対応可能で、システム開発からWeb開発、アプリケーション開発まで幅広い分野の開発に役立ちます。
大規模開発に採用されることが多く、求人数も国内では全言語中トップクラス。
互換性のある言語も多いため、エンジニアスキルの基盤として習得するのに適しています。
2011年に開発された新しいプログラミング言語で、2017年にGoogleがAndroid開発の公式言語として採用したことで注目度が高まっています。
Javaとの互換性があるため移行や併用がしやすいほか、シンプルなコードで記述しやすく、静的型付け機能が備わっているのも特徴です。
すでにJavaを習得しているエンジニアが次に学習するのに適した言語と言えます。
Javaとの互換性が高く、Javaの後継言語とも言われるプログラミング言語。
関数型プログラミングとオブジェクト指向プログラミングを統合した言語で、万能性が高いのが特徴です。
学習難易度が高めではあるものの、国内外で注目度が高まっており、年収レンジも高いため、今のうちに習得しておけば希少なスキルになるでしょう。
将来性の高い言語があるのと同時に、いまから習得するのには適していない言語もいくつかあります。
もしこれらの言語を習得しようと考えている場合は、慎重に検討しましょう。
1959年に開発されたプログラミング言語で、金融や行政を中心に基幹システムや予約システムなどの開発に使われています。
信頼性の高さからいまだに多くの企業で利用されていますが、少しずつ他言語へのリプレースやオープンシステムへの移行が進んでいるのが実情です。
求人も保守案件が比較的多めで、今後ニーズは少しずつ減っていくと予想されます。
1954年にIBMによって開発されたプログラミング言語で、計算処理に強みを持ちます。
研究機関や学術機関ではいまでも利用されることもありますが、ビジネスシーンではニーズはほとんどありません。
目指す分野にもよるものの、スタートアップや先端分野でのビジネスに携わるのであれば学ぶ意味はあまりないかもしれません。
1960年代にIBMが開発した言語で、ソフトウェア開発を中心に、比較的幅広い用途・分野で用いられてきました。
FORTRANとCOBOLの特徴を併せ持っており、拡張性も高い言語ですが、仕様が複雑で大型機以外での処理が難しいというデメリットがあります。
現在は分野を問わずそれほど使われていないため、新たに習得するのには向いていません。
将来性のあるプログラミング言語を学ぶだけでは、エンジニアとしての市場価値は高められません。
エンジニアの数がますます増え、AIによって一部が代替可能になっているなか、本当に必要とされるエンジニアになるにはどうすれば良いのでしょうか。
単純にプログラミングスキルを磨くだけでなく、キャリアプランから逆算して戦略的にスキルアップすると、より需要のある能力が身につきます。
基本的には、希望する職種に合わせた必要な基本言語を優先的に習得し、さらに扱うプロダクトや業務内容にプラスになる言語をつけ加えていくことが重要です。
また、現在扱える言語とシナジー効果のある言語を習得する、開発スキルだけでなくマネジメントやプレゼンテーションなどのスキルを身に着けるのも有効です。
エンジニアにとって、自身のスキルをアピールするものとしてもっとも重要なのがポートフォリオです。
開発実績を積んでいくとともに、それをわかりやすく伝えられるポートフォリオの制作にも力を入れましょう。
が伝わるような内容をWeb上で公開するのが一般的です。
なお、エンジニアとしての実務経験がない、または浅い場合には、自身で作成したプログラムやアプリをソースコードとともに公開しましょう。
目の前の業務やコーディングだけでなく、自分が属している業界、エンジニア全体のトレンドや最新技術にアンテナを張っておくことも重要です。
最近であれば、AIやWeb3.0、ロボティクスやIoTなどは勉強しておいて損はありません。
また、新たなプログラミング言語やフレームワークなどが開発されたら、業務とは直接関わりがなくても触れてみる習慣をつけると良いでしょう。
プログラミング言語の将来性を判断するうえでは、ニーズ、実用性、最新技術との相性、業界での注目度などが重要な基準になります。
Python、JavaScript、Javaに加えて、その拡張言語や互換性のある言語はこうした基準を満たしており、将来性の高い言語と言えます。
こうした言語を習得しつつ、戦略的なスキル習得、ポートフォリオの充実、トレンドのチェックなども並行して行い、市場価値の高いエンジニアを目指しましょう。
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