OCRとは?活用するメリットと選び方|主流のAI-OCRも解説

OCRとは?活用するメリットと選び方|主流のAI-OCRも解説

記事更新日: 2023/03/24

執筆: 桜木恵理子

OCRとは、紙の文字をテキストデータとしてコンピューターに取り込む技術のことです。

手書きの文字もスムーズに読み取れるため、データ入力業務などにおける効率化が期待できます。

また、そのOCRの精度をさらに向上させたものがAI-OCRです。

AIが繰り返し学習することで識字精度やフォーマット解析精度が高まり、適用できる業務範囲が拡大していくことが期待されています。

今回の記事ではOCRの概要や活用メリット、主流のAI-OCRの選び方やオススメ製品などを解説します。

OCRとは? 

紙のデータをデジタル化する技術のこと

OCRとは「Optical Character Recognition(あるいはReader)」の略語です。

「光学的文字認識」と訳され、紙のデータをデジタル化できる技術のことを指します

従来の読み取りでは、紙に書かれた文字は「画像」としてしか認識できず、書かれている文字をデータとして扱うことはできませんでした。

しかしOCRの登場により、手書き・印字にかかわらず紙に書かれた文字を「テキストデータ」としてコンピューター上に取り込む事ができ、文字をデータとして扱うことが可能になったのです。

OCRが紙上の文字を読み取る仕組み

具体的に、OCRが紙上の文字を読み取る仕組みは以下の通りです。

  1. OCRに読み取らせたいフォントを学習させる(kNN法・SVM法・ディープ・ラーニング法などがある)
  2. ブロック(文字の読み取り領域)を解析する
  3. ブロック内の「行」を解析して、具体的な行数などを把握する
  4. 上記で把握した「行」の内部にある文字を解析する
  5. 解析した文字について「どの文字なのか」を認識する
  6. 認識データをテキスト化する

こうした段階を経て、紙の書類からテキストデータへと変換しています。

昨今はAI-OCRが主流に

OCRとの違い

AI-OCRとは、従来のOCR技術とAI技術を組み合わせたシステムのことです。

AI-OCRでは、AIを活用し文字やフォーマットを自動学習するため、従来より精度の高い読み込みが期待できます。

従来のOCRでは、手書き文字や似ている文字の識字率が低くなる傾向にあるため、結局「人間が入力したほうが早い」と感じることもありました。

従来のOCRの弱点として以下のようなものが挙げられます。

【従来のOCRの弱点】

  • 漢字「工」とカタカナの「エ」は字体が似ているため正確に読み取れない
  • 「へ・ぺ・べ」など、少し読み方を変えた文字の識字率が悪い
  • スキャンする帳票や書類などのフォーマットがバラけると対応できない

こうした「識字率の低さ」「フォーマットへの対応率の低さ」を解消したものがAI-OCRです

読み込む書類が企業ごとにバラバラでも柔軟に対応できるため、大幅な業務効率化に繋がることが期待できます。

しかし精度が向上した分、AI-OCRの導入費用も高くなる可能性が高いことと、いくら精度が向上したとはいえ100%ではないことには注意が必要です。

そのため、無理にAI-OCRを導入せずとも、従来のOCRで対応できる場合はOCRを使うのもよいでしょう。

例えば「定型フォーマットの帳票を大量にデータ化する」というケースなら、従来のOCRでも十分対応できます。

RPAツールとの連携でさらなる効率化が望める

OCRとRPAツールを連携させることで、さらなる業務の効率化が期待できます

RPAツールとは、事務作業のような定型業務をインストールし、自動でタスクを消化するシステムを指します。

このRPAツールをAI-OCRと組み合わせることで、例えば以下のような流れで業務を効率化できます。

AI-OCRで手書き書類の情報を読み取り、テキストデータとしてパソコンに取り込む

取り込んだデータをRPAツールによって自動で種類ごとに分けて保存する

 このように、AI-OCRの活用はデスクワークの自動化や人手不足の解消などへの大きな可能性を秘めているといえるでしょう。

AI-OCRを活用するメリット4つ

AI-OCRを活用する主なメリットは以下の4つです。

  1. データ入力の手間と時間を削減できる
  2. データ化することで文書の管理スペースが抑えられる
  3. 人的ミスを事前に防止できる
  4. さまざまな企業のフォーマットに対応できる

1. データ入力の手間と時間を削減できる

AI-OCRを活用することで、データ入力にかかっていた手間や時間を削減できます。

例えば履歴書を手打ちで管理する場合、入れ替わりが激しい職種では、履歴書の打ち込みだけで膨大な時間を浪費します。

特に履歴書は、志望動機や自己PRなど必要な入力箇所が多いため、業務負担を減らしにくいでしょう。

AI-OCRを導入することで、人による作業はスキャンと内容のチェックだけとなり、大幅に業務時間を削減することが可能になります

削減できた時間を本来のコア業務に当てることができるため、企業としても望ましいでしょう。

2. データ化することで文書の管理スペースが抑えられる

AI-OCRでは、手書きや紙に印字された文章をパソコンデータとして取り込めます。

取り込んだ文章をテキストデータとして保存してしまえば、そのまま紙の文書を保存しておく必要がありません

紙を保存し続けて枚数が溜まるとスペースを奪うため、必要な備品を置けないこともあるでしょう。

しかも、パソコン上に保存したデータであれば検索も簡単です。

膨大な紙の資料の中から、時間をかけて目当ての文書を探すこともなくなるでしょう。

3. 人的ミスを事前に防止できる

AI-OCRは、人的ミスを事前に防止できる点も魅力です。

従業員が自らデータ入力をする場合、人的ミスを0にすることはかなり難しいでしょう。

打ち間違えや文字の見間違いなどが発生しますし、入力数が増えればミスの可能性も高まります。

特に人間の場合、疲れによるミスも起こりうるため、完全に防止するのは困難です。

AI-OCRを導入すれば、疲れとは無縁のためミスの数をグッと低下させられます。

もちろんAI-OCRを導入したからといって、ミスを完璧になくせるわけではありません。

とはいえ従業員は、最終チェックを行えばよいだけになるため、人的ミスの可能性はかなり低くなるでしょう

4. さまざまな企業のフォーマットに対応できる

AI-OCRは、OCRよりも対応できる帳票など書類フォーマットの幅が広いです。

従来のOCRでは帳票を読み取る際、事前に項目の詳細や読み取り位置などを定義する必要がありました。

事前の定義が必要であるため、どうしても対応できる幅は限られてしまいます。

AI-OCRの場合は、読み取った際に自動で項目や位置を認識するため、帳票ごとの設定は不要です。

もちろん、AI-OCRでもすべての書類フォーマットに対応できるわけではありません。

それでも従来のOCRよりは対応できる幅が広がっているため、多くの企業のフォーマットに柔軟に対応できるでしょう

自社に合ったAI-OCRの選び方

効率的に自社の業務に活かすためには、以下の基準に沿ってAI-OCRを選びましょう。

  1. 読み取りたい文字は「手書き」か「活字」か
  2. RPAなどの外部システムと連携可能か
  3. どれくらいの読み取り量になる想定か
  4. サービスの比較記事を参考にする

 1. 読み取りたい文字は「手書き」か「活字」か

読み取りたい文字がどのような種類であるかによって、適切なAI-OCRは異なります。

AI-OCRは、製品ごとに「手書きの読み取りが得意」「活字の読み取りが得意」という特徴があります

例えば、自社の業務では手書きが多いにもかかわらず、活字の読み取りが得意な製品を選ぶと、思うように活用できないでしょう。

料金の問題もあるとは思いますが、自社で使う文字の種類はしっかり考慮しておきましょう。

2. RPAなどの外部システムと連携可能か

RPAを含めて、外部システムと提携できるかをチェックしておきましょう。

先ほど解説したように、AI-OCRをRPAツールと連携させることで、より業務の効率化を実現できます

単体でも十分活用できますが、外部システムと連携させることで、コア業務に割く時間を確保できるようにしましょう。

3. どれくらいの読み取り量になる想定か

具体的な文字の読み取り量も想定しておきましょう。

AI-OCRの料金体系は、読み取り量によっても変動します。

そのため、使用頻度が低いにもかかわらず見合わない料金体系の製品を選ばないようにしましょう。

他にも、初期費用や月額費用、バージョンアップ費用などが発生するケースもあるため、事前のチェックが必要です

4. サービスの比較記事を参考にする

インターネットにはAI-OCRの比較記事もたくさんあるため、参考にすることをおすすめします

AI-OCRは製品が多いため、漠然と選択すると幅が広すぎて決めきれないこともあるでしょう。

比較記事では、それぞれの製品についての特徴や料金などが詳しく記載されているため、自社に合いそうな製品の目星をつけることができます。

こちらの記事ではAI-OCR19選を紹介していますので、ぜひご覧ください。

編集部がおすすめする AI-OCR 4選

最後に、当メディアの起業ログ編集部がオススメするAI-OCRツールを4つご紹介します。

1. 癖字や殴り書きの文字もおまかせ!『AIよみと〜る』

特徴

「AIよみと〜る」は、読み取り精度96.71%という高さを誇るAI-OCRです。

癖字や殴り書きなど、読み取りが難しい文字も十分に対応できるでしょう

読み取り設定自体も簡単であり、読み取り後の確認も直感的に行えます。

料金プラン

プラン名 プラン1(小型) プラン2(中型) プラン3(大型)
初期費用 無料
月額利用料 33,000円 110,000円 220,000円

              ※税表記なし

「AIよみと〜る」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!

2. 無料トライアル・導入後の支援が手厚い『CLOVA OCR』

特徴

「CLOVA OCR」は、文書解析と認識に関する国際会議において、4部門で世界No.1を獲得した製品です。

手書き・シワの入った紙・縦書き・丸く湾曲した文字など、ほとんどの条件下において高精度に読み取りをしてくれます

システム開発不要で、最短2日という短期間ですぐに導入できる点も魅力です。

料金プラン

プラン名 Template General 特化型
初期費用 無料
月額利用料 55,000円〜 55,000円〜 88,000円〜

※税表記なし

「CLOVA OCR」の詳しい内容はこちらをご覧ください!

 3. 従業員が100名以上の企業にはこちら!『NOC AI-OCR』

特徴

「NOC AI-OCR」はNOCが提供しており、同社で提供しているRPAツールとも連携できるAI-OCRです。

NOC RPEと連携させることで、読み取りデータを会計や販売管理など社内システムに自動入力できます

書類のデータ化自体も「スキャン→PDF化→読み取り箇所の選択→情報種別の選択」の4ステップで完了するためお手軽です。

料金プラン

プラン名 プラン1 プラン2 プラン3
初期費用 無料
月額基本料金
(税込)
33,000円 110,000円 220,000円


「NOC AI-OCR」をもっと詳しく知りたい方はこちらもご覧ください!

 4. 精度99.98%!誰でも使いやすいと評判の『eas』

特徴

「eas」は、AIだけでなく人力によるチェックも組み合わせた製品です。

Aiで読み取りできない文字は、easのクラウドワーカーが目視でチェックするため、高い識字率を実現しています

目視のチェックは24時間365日対応しているため、急なデータの読み取りが必要になった場合でも活用しやすいでしょう。

料金プラン

プラン名 基本プラン
初期費用 要問い合わせ
月額利用料
(税別)
50,000円〜


「eas」のもっと詳しい内容はこちらをご覧ください!

まとめ

AI-OCRは、高い識字率を誇る製品です。

従来のOCRよりも、手書きや印字の文章を正確にデータとして取り込めるため、業務の効率化が期待できます

実際に製品を導入する際は、自社で読み取る文字量や料金体系などもチェックし、自社に合うものを選びましょう。

画像出典元:oudan

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