契約書には法律で定められた郵送方法があります。
知らないでコンビニからメール便や宅配便を使って送付することは法律違反となるので注意が必要です。
また、ビジネスにおいて契約書は非常に重要な文書となるため、基本的マナーもしっかり身につけておきたいところです。
そこで今回は、契約書の適切な郵送方法や郵送に係わる基本的マナー、さらにコストや手間についても詳しく解説していきます。
このページの目次
ビジネスをおこなううえで欠かせない契約書。
もしお客様から「契約書を送付してほしい」と言われたら、あなたはどのような方法で送付しますか?
メール便ですか?それとも宅配便ですか?答えは、両者とも間違いです。
契約書というのは「信書」に該当するもので、信書というのは普通郵便などで送付してはならないと法律(郵便法)で定められているのです。
信書とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のことを指します。これは郵便法や信書便法に定義されていることです。
つまり、契約書のほか、請求書や納品書、見積書、領収書、許可書、ダイレクトメールなども信書にあたるのです。ちなみに、結婚式の招待状も信書にあたります。
前述のとおり、契約書は信書にあたるため、法令で定められた方法で送付する必要があります。
なお、契約書などの信書を取り扱うことができるのは、原則として「日本郵便株式会社」もしくは「信書便事業者」のみです。
よって、下記のサービス以外で契約書を送付することは禁止されています。
契約書を郵送する場合は、一般的に郵便局が使われています。
なお、郵便局がおこなうサービスのなかで契約書を送付することができるのは「定形郵便物」「定形外郵便物」「レターパック」この3種類です。
定形郵便物と定形外郵便物は重さで料金が変わり、比較的安価で送ることができます。
しかし、いずれも追跡サービスがついていないため、契約書のような重要書類を送付する際はオプションで「簡易書留(+320円)」などを付けるとより安心です。
レターパックは「ライト」と「プラス」の2種類あります。
いずれもA4ファイルサイズまでの書類を送付することができ、料金も全国一律でレターパックライトが370円、レターパックプラスが520円と比較的安めです。
ただし、ライトは料金が安い分、配達方法が郵便受け投函となっているため、書類を受け取った際の受領印や署名がありません。
一方プラスの場合は対面渡しとなりますので、受領印や署名を徴収することが可能です。
契約書は重要な書類ですので、若干料金が高くても、レターパックプラスを利用することをおすすめします。
信書便事業者は、日本郵便以外の民間業者で国から許可を得ている業者だけが信書を取り扱うことができます。
ただ、信書を取り扱うための要件が非常に厳しいため、信書を取り扱える民間業者は一部に限られるのが現状です。
現在のところ、大手配送会社で信書を取り扱っているのは佐川急便の「飛脚特定信書便」というサービスです。
ちなみに、ヤマト運輸では信書を取り扱うサービスはありません。
◾️ビジネスシーンで使える郵便物サービスについてはこちら
ビジネスシーンにはさまざまなマナーがあります、当然、契約書を郵送する際のマナーも存在します。
ここでは契約書を郵送する際のビジネスマナーを紹介しますので、よく確認しておくようにしてください。
契約書というのは非常に重要な書類となりますので、原則として折らずに郵送します。
また、発送中に折れたりシワになったりするのを防ぐため、契約書はクリアファイルに入れて送るようにしましょう。
契約書を郵送する場合は、契約書と一緒に送付状を同封するのがマナーです。
送付状は、相手への挨拶状としての役割があるほか、書類の内容がすぐに把握できるようにしたり、補足説明をしたりする役割も担います。
なお、送付状の書き方の例としては下記のとおりです。
契約書を交わす際は、双方の署名・捺印が必要です。
対面であればその場で済みますが、郵送の場合だと署名と捺印をした契約書を先方に返送してもらう必要があります。そのため、返信用封筒も契約書と一緒に同封することを忘れてはいけません。
また、返信用封筒にはあらかじめ切手を貼り、宛名の部分には自社名と担当者名を明記します。
宛名は自社名のあとに「行」または「宛」と書く。加えて、同封する返信用封筒は中身が透けない厚手のタイプを使うのがもっとも適切です。
前章でも触れましたが、契約書は信書に該当するため、一般の荷物のようにメール便や宅配便を使って送付することはできません。
これは法律で定められていることで、郵送方法を間違えてしまうと法に抵触するだけなく、会社全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
知らなかったでは済まされないのが法律でありマナーですので、違反のないよう社内で周知徹底しておくべきです。
契約書に限らず、どのような書類でも誤字脱字など不備がないように記載するのは当然のマナーです。
とくに、相手方の住所や名前を間違えるということは非常に失礼にあたります。
そのため、ひと通り書き終えたら二度三度繰り返し確認するようにしましょう。
契約書を郵送する際、どちらが先に押印するものなのか、意外と悩む方も多いです。
どちらが先に押印をするかの明確な決まりはありませんが、一般的には金銭を受け取る側が先に押印をします。これは、金銭を支払う側のリスクを回避するためです。
ただ、これは金銭のやり取りが発生する場合であって、金銭のやり取りが発生しない場合であれば、契約書を作成した側が先に押印しても問題ありません。
◾️ビジネス文書に関する記事についてはこちら
契約書を作成して郵送する場合、どうしても手間やコストはかかります。では、契約書の郵送にはどのような手間とコストがかかるのでしょうか。
まずは、契約書の郵送にかかる手間から見ていきます。
紙の契約書の場合、契約から締結に至るまでには多くの事務作業が必要で、一般的には下記の事務作業がおこなわれます。
さらに、契約書を送付したあと、相手方に署名・押印をしてもらって再返送してもらうなど時間も要します。
また、契約書は一定期間の保管・管理が法律によって義務づけられていますので、保管スペースの確保やファイリングなどによる保管が必要です。
このように、契約書を郵送する場合は、少なくともこうした手間はかかります。
つぎに契約書の郵送にかかるコストについて見ていきます。
契約書を郵送する場合、契約書は書面によるものとなるので当然ながら紙代がかかります。また、印刷する際のインク代や契約書に貼るための収入印紙代、送付するための郵送代もかかります。
なお、収入印紙代は契約書に記載された金額によって異なり、郵送代も重さによって金額が異なります。下記は印紙税額と日本郵便による郵送代を記した金額一覧です。
契約書に記載された契約金額 | 印紙税額 |
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円超~50万円以下 | 400円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 10,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 20,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 60,000円 |
1億円超~5億円以下 | 100,000円 |
※5億円までを抜粋
重量 | 定型郵便物 |
25g以内 | 84円 |
50g以内 | 94円 |
重量 | 定型外郵便物(規格内) | 定型外郵便物(規格外) |
25g以内 | 120円 | 200円 |
50g以内 | 140円 | 220円 |
150g以内 | 210円 | 300円 |
250g以内 | 250円 | 350円 |
500g以内 | 390円 | 510円 |
一般書留 | 簡易書留 |
基本料金+435円 | 基本料金+320円 |
レターパックライト | レターパックプラス |
4㎏以内(厚さ3cm以内):370円 | 4㎏以内:520円 |
契約書を郵送する場合は、基本的にこのような手間や時間、そしてコストがかかります。しかし、電子契約であれば、これまでかかっていた手間や時間、コストも大幅に削減することが可能です。
◾️契約書の電子化によるコストカットについて詳しく知りたい方はこちら
電子契約とは、紙の契約書は一切使用せず、電子化された契約書に電子署名や電子サインをすることで締結する契約のことです。
近年、政府でも「脱ハンコ」に向けた動きを加速させているほか、働き方改革の推進などの影響もあり、電子契約への注目が高まっています。
なお、電子契約は導入するメリットは比較的多いといわれていますが、なかでも手間やコストを削減することができる。これが大きなメリットであるといえるでしょう。
書面による契約書では、前述のとおり「紙代」「印刷代」「収入印紙代」「郵送代」と、それぞれコストがかかります。電子契約では、これらすべての支払いコストを削減することができます。
そして次に手間。書面での契約は、契約書の草案から内容確認、原本の作成、印刷、製本、郵送など、多くの手間がかかりますが、電子契約はこうした手間もすべてシステム上にて一元化。契約完了に至るまでの業務効率化を図ることができます。
また、電子契約では保管スペースを気にする必要がないので、作成したあとの管理も楽々です。
文書のペーパレス化が進む昨今において、電子契約に移行する企業も、今以上に増えていくことでしょう。
契約書を郵送するにあたってもっとも重要なことは、契約書が信書に該当するということ。
また、信書は法律によって送付の仕方が定められており、定められた方法で送付しない場合は郵便法違反となります。過去にも埼玉県職員の女性が、信書にあたる文書をヤマト運輸のメール便サービスを使って送付したとし、書類送検されたという事例もあります。
契約書というのは企業にとって非常に重要な文書となります。したがって、守るべきルールやマナーも数多く存在しています。
ビジネスには契約書が不可欠となるため、契約書に係わる基本的ルールやマナーを、今一度確認しておくようにしてください。
知らなかったでは済まされないのがルールであり、マナーなのです。
画像出典元:PhotoAC
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