近年、WEB接客市場の急速な拡大に伴い、WEB接客ツールに注目が集まっています。
しかし、実際にはWEB接客ツールの市場規模がどれくらいなのか、なぜWEB接客ツールが注目されているのか、良く知らない方もたくさんいることでしょう。
そのような中、WEB接客ツールをうまく活用して、業績アップと業務効率化を図る企業が増加しています。
今後、自社の事業展開に見合うツールを導入し、うまく事業につなげるにはどのようにすればよいのでしょうか。
今回は、WEB接客ツールに注目が集まった背景、市場規模のほか、導入のポイントと選び方、おすすめツールまでしっかりとご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
WEB接客ツールとは、WEBサイトを訪問したユーザーに対して、チャットツールを使って会話をしたり、ポップアップで情報を提供するなど、WEBページ上で適切な対応や案内を行うためのツールのことをいいます。
WEB接客ツールを利用することによって、商品購入や会員登録、サービス利用など、サイト訪問者を顧客へと導くことが可能になります。
近年、WEB接客ツールへの注目が高まり、さまざまなツールが提供されるようになりました。このようにWEB接客ツールが注目されるようになったのは、なぜなのでしょうか。
その理由の一つ目は、EC利用者が年々増加傾向にあることです。
総務省の発表によれば、2人以上の世帯でECを利用する割合については、2017年が34.3%、2018年は39.2%、2019年は42.8%と年々増加していることが分かります。また、1世帯当たりのEC支出額も増加傾向となっています。
1年のうちでは、特にお歳暮やクリスマスなどで購買意欲が高まる12月が増加傾向にあります。
このように、ECの利用者数や利用頻度の増加が、WEB接客ツールに注目が集まるようになった要因となっているのです。
(参考)総務省統計局「家計消費状況調査年報(令和元年)結果の概況 ネットショッピングの状況」
二つ目は、ITツールを導入して、業務効率化を図る企業が増えていることです。現在、多くの企業がコスト削減に向けてITツールの導入を行っています。
ITツールを利用することで、業務のために必要とされていた人件費を大幅に削減し、業務の効率化も可能となるからです。
WEB接客ツールの導入も、業務効率化に一役買っています。
それまで従業員が行っていた顧客データの収集や分析などをシステム化することで、仕事の効率化につながり、大きな効果が表れているのです。
三つめは、コミュニケーションツールが多様化していることです。
最近若い世代を中心として、WEBサイトへの問い合わせ方法について、メールや電話、問い合わせフォームだけではなく、チャットなどでのコミュニケーションを利用する人が増えています。
その要因として、LINEやFacebookメッセンジャーといったツールの普及が考えられます。
企業側も、コミュニケーションツールを利用すれば、オペレーター1人で複数の問い合わせへの対応が可能となり、顧客獲得のチャンスも増えます。さらに、業務の効率化やコスト削減にもつながるのです。
WEB接客ツールの需要が高まりつつある中、市場規模はどのように変化しているのでしょうか。ここでは、WEB接客ツールの市場規模の推移と、今後の予測について説明します。
ITコンサルティング・調査会社の「株式会社アイ・ティ・アール」が2018年1月に発表した「Web接客市場規模推移および予測」によると、2015~2016年度の推移と、2017~2021年度までの予測は、次の図のとおりとなっています。
出典:株式会社アイ・ティ・アール「ITRがWeb接客市場規模推移および予測を発表」
2016年度は、新規ベンダーの参入によって競争が激化し、WEB接客ツールの市場認知度がアップしたことから、WEB接客市場の売上金額が前年度比142.9%増の17億円となっています。
2017年度は、主要なベンダーが高成長を続けていることを要因に前年度比129.4%増を見込んでおり、以後、さらなる増加を見込んでいます。
新規参入するベンダーが増加している理由の一つに、WEB接客ツールを導入することで、一般的な顧客ニーズを満たすことが明確となっていることも含まれています。
企業などに問い合わせする場合、電話だとなかなかつながらない、メールや問い合わせフォームなどでは返答に時間がかかるなど、従来の方法ではすぐに知りたい情報を得ることできませんでした。
企業側がリアルタイムに対応できなければ、顧客獲得のチャンスを失いかねません。その問題を解決したいと考えている企業は、まだまだたくさんあります。
チャット機能を備えるWEB接客ツールだと、リアルタイムにコミュニケーションが可能となり、問題を解決できるのです。
ユーザーごとにパーソナライズされた対応も求められるようになっており、今後の差別化も必要となります。まだまだ開拓の余地がある市場であるため、さらに拡大することが見込めるでしょう。
今後ユーザーが求める対応をするためには、自社に最適のWEB接客ツールの導入が必要となります。
ここで、WEB接客ツールを導入するために押さえておきたい3つのポイントについて、詳しく解説していきます。
自社で新しいツールやサービス導入する場合、まず最初に現状の課題を明確化しておく必要があります。
CVR(自社サイトにアクセスしたユーザーが商品購入、会員登録などに至る割合)が低い、CRM(顧客管理)の施策が十分ではないなど、しっかりとした問題点の洗い出しが大切です。
課題を明確化できないと、せっかくツールを導入しても効果の有無が把握できず、業務改善につながらない可能性もあります。
そうならないためにも、しっかりと自社の問題点を洗い出し、把握しておきましょう。
せっかく導入するWEB接客ツールをうまく活用させるためには、ユーザーの情報や購買行動、サイト訪問者のリーチ状況などのデータを収集し、分析しなければなりません。
また、効果的に運用するためには、サイト訪問者やユーザーをいくつかのセグメントに分類した上で、それぞれレベルを設定し、それぞれのレベルの顧客に対してどのようなタイミングで施策を講じるか、しっかりと対策を取る必要があります。
そのためにも、どのようなデータが必要なのかを把握し、データ収集ができているか、また収集可能なのかを確認しておくと良いでしょう。
WEB接客ツールを導入し、運用できるまでには時間と労力がかかります。
スムーズに運用できるようにするには、しっかりとした運用体制を整える必要があります。社内でプロジェクトチームを立ち上げるなど、体制を作って進めていくと良いでしょう。
また、うまく運用していくためには、ベンダーのサポート体制が必要となる場合があります。導入するツールのサポート体制についても、しっかりと見極めておくことも大切です。
各ベンダーが提供するWEB接客ツールには、サービスごとにそれぞれ独自の特徴があります。
多くのツールがある中で、自社に最適なツールを選ぶには、どのような点を重視する必要があるのでしょうか。ここでは、ツールの選び方について詳しく説明します。
WEB接客ツールは、大きく分けると「チャット型」と「ポップアップ型」の2つになります。
「チャット型」は、サイト訪問者に対して、リアルタイムに会話が行えるタイプのツールです。
画面の右下などにチャット画面を表示させて、ユーザーの質問に自動で応答したり、実際にオペレーターと対話したりすることが可能です。
顧客満足度アップを考えているのであれば、チャット機能を利用して、気軽に話しかけやすい環境を作ると良いでしょう。
「ポップアップ型」は、サイト訪問者の行動や過去の購入履歴を基にして、最適なポップアップ画面を表示させることができるツールです。
よくあるのは、サイト訪問者が一定時間サイトに滞在した場合、ユーザー登録を勧めたり、クーポンなどのポップアップを表示させて商品購入を促したりするタイプのものです。
そのため、タイミングの良い提案や、顧客に合わせた細やかな説明や接客を行うには最適のツールになります。
このほか、この2つを合わせた複合型のツールもあります。これらの機能によって、サイトからの離脱を防止し、サイトへの定着率や商品の購入率の改善につなげることが可能になります。
自社に合うWEB接客ツールのタイプを選定した後は、そのツールに必要な機能が備わっているかどうか確認してください。
チャット型であれば、自動返信機能、学習機能のほか、有人チャットによる返信の切り替えの仕組みなどを確認しておくと良いでしょう。
ポップアップ型であれば、サイトの閲覧履歴や行動、顧客の属性など、顧客情報を基にした最適な画面表示が可能かどうか、データ蓄積・分析、反映などが可能かどうかなどを見ておく必要があるでしょう。
ベンダーによっては、コンサルティングや代行サービスといったサポート体制を備えているところもあります。
WEB接客ツールを導入して、運用しながらノウハウを蓄積したい場合や、早期の段階で人材育成やWEB接客ツールを運営する体制を作りたい場合には、利用することをおすすめします。
自社内で情報を一元管理したい、顧客情報等の取り扱いを慎重に行いたいのであれば、導入から運用までのサポート内容のほか、カスタマーサポートの有無なども確認しておくようにしましょう。
いずれにしても、自社に合ったサポート体制を選ぶことが重要です。
現在、多くのWEB接客ツールが提供されていますが、導入する際には、それぞれのツールの特徴をしっかりと把握して、自社の運営に最適のものを選ぶことが大切です。
ここで、厳選したWEB接客ツールを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
まず最初に検討してほしいおすすめのWeb接客ツール5選を特徴とともにまとめました。
画像出典元:「Robee」公式HP
「Robee」は多機能なわりに月額5万円とお手頃な価格が魅力のWeb接客ツールです。
ヒートマップ分析、ポップアップ、ABテスト、チャットボットなど様々な施策を1つのツールで実施できます。サイトのCVRを改善したい幅広い業種の企業におすすめです。
月5万円で接客配信数・サイト数・キャンペーン数無制限で使えるため、しっかり使い込みたい人にとってもコスパが良いサービスといえます。
初期費用0円、代行やコンサルティングといったオプションも豊富なため、多様な利用が可能です。
・広告効果の自動分析
・自動A/Bテスト
・離脱防止POP
・ユーザーの行動分析
・チャットボット
初期費用無料。月額50,000円~です。
接客配信数・サイト数・キャンペーン数無制限で使えます。
ただし、月間10万UUを超える場合は、UU数に応じた料金がかかるため要注意です。
ポップアップ型・チャット型の両方に対応。
「Chamo」は4,500社以上の導入実績を誇る、チャットに強みを持つWeb接客ツール。直感的に使える操作性とカスタマイズ性の高さが高評価を受けています。
サイト訪問した顧客に対して、状況に応じたメッセージを送信することが可能。
デフォルトの接客パターンがもともと設定されているので、導入してすぐに運用を始めることができます。
初期費用は0円で、完全固定料金制です。
6,980円/月から利用できます。
料金詳細は資料をご参照ください。
15日間もしくは、チャット10回まで全機能無料で使えるお試しコースも用意されているのでまずはそちらを試してみるのも良いでしょう。
ポップアップ型・チャット型の両方に対応。
画像出典元:Flipdesk 公式HP
「Flipdesk」は、ポップアップ・チャットの両方に対応したWeb接客ツールです。
サイトに埋め込んだタグによって訪問者の行動を自動で解析。状況に応じてクーポン発行・キャンペーン告知・チャットサポートなどユーザーに最適な接客を行います。
サポート体制が充実していて料金プランも安価なので、安心して始められます。
また、導入実績は 980社 1,280サイト以上と、大企業から中小企業、スタートアップ企業、地方自治体まで幅広い業種の企業で利用されています。
月額料金の安さが魅力で、小規模なサイトから大手のサイトまで幅広く対応できます。
月額料金はPVの規模に応じて異なります。
料金の詳細については以下の資料からご確認ください。
ポップアップ型・チャット型の両方に対応。
画像出典元:「KARTE」公式HP
数多くあるWeb接客ツールの中でも、1人1人の顧客に合った接客が可能と評判が高い「KARTE」。
リアルタイムに顧客の経験や感情の変化が読み取れるようなデータ解析を行い、まさにそれぞれの顧客に合わせた丁寧なWeb接客ができます。チャット型にもポップアップ型にも対応しており、様々な機能が豊富。
使いやすい管理画面で、詳細なターゲティングもできます。
ポップアップ型・チャット型の両方に対応。
「ECコンシェル」は、国内における有数のビッグデータ保有企業である「NTTドコモ」と、機械学習や深層学習技術を用いたアルゴリズムソリューションを提供している「PKSHA Technology」が共同開発したポップアップ型のWeb接客ツール。
ポップアップ型では、ユーザーのほしいタイミングでほしい情報を表示させることが重要。「ECコンシェル」ではそのユーザー分析をAI・機械学習の技術を活用して行うことができます。
「ECコンシェル」を導入したECサイトは、購入率が平均26%向上、ユーザーの平均単価が50%向上といった成果をあげています。
多くの様々な企業が導入している、AIを活用したWeb接客が行えるツールです。
・サイト分析
・サイト訪問者の分類
・Web接客
・自動最適化
・効果検証
フリープランがありますが、使えるサイト数・キャンペーン数が1つだけ、接客配信数も100回/月までとかなり限られています。
本格的に使うのであれば、
のどちらかになるでしょう。
エンタープライズプランはサイト数無制限、キャンペーン数無制限、接客配信数無制限です。
ポップアップ型
ECサイトを利用するユーザーの増加に伴い、ECサイトにおける競争激化が予想されることから、今後は顧客獲得をし続けることがだんだんと困難となっていくことでしょう。
その中で業績アップを続けていくには、顧客のロイヤリティを高めるとともに、リピートを促すことも必要となってきます。
そのためには、自社に最適なWEB接客ツールを導入する必要がありますが、ツールを提供するベンダーが増加している状況において、課題解決に見合うツールの選択肢はどんどん広がっています。
自社に必要なツールを選ぶためには、課題をしっかりと把握し、ツールを見極めなければなりません。
今回の記事を参考にして、自社に最適なWEB接客ツールを導入し、最大限に活用することで、顧客が満足してくれるようなサイト作りを目指しましょう。
画像出典元:Pixabay