初めて小切手を手にすると、どうしたらいいのかとても悩みますよね。
現金と同じように扱う、と言っても、どうやって現金にするのか詳しく知っている人は少ないのではなでしょうか。
ここでは、小切手の現金化の方法、換金場所や日数、期限、注意点、小切手の種類などを含めて解説していきます。
このページの目次
まずは基本の3ステップを確認しましょう。すべての小切手の基礎となる情報をチェックすることが大切なポイントです。
小切手を受け取ったら、まずは金額が正しいかチェックしましょう。金額に間違いがあった場合は、訂正してはダメです。
振り出した相手に新しく振り出してもらいます。訂正印と二本線で正しく訂正すればいいのでは?と思うかもしれませんが、金額の部分だけは特殊なのです。
金額が訂正されていると、正しく訂正されていたとしても、疑いの目で見られます。
さらに、金額が訂正された小切手を呈示しても、銀行は十中八九支払いません。犯罪防止の観点から、金額だけは訂正しないようお願いします。
次に、支払地の金融機関・支店名が書かれているかも確認してください。
小切手が古い場合、統合などで金融機関・支店名が変わっている場合もありますので、大切なチェックポイントです。
名称に変更があった場合、小切手を振り出す側は「今までの小切手帳を使えるのか」をきちんと銀行に確認しましょう。使えない場合はどのようにするか銀行の指示に従ってください。
振出日も確認してください。この日付を基準に、小切手を現金化できる期間が決まっています。
振出日は原則として小切手を振り出した日なのですが、商習慣や資金繰りの関係で未来の日付になっていることがあります。
未来の日付が記載されている小切手を先日付小切手と呼び、振出人が「その日付以降で換金してね」とお願いしていると認識しておきましょう。
小切手の裏に書かれている内容は、ただの落書きではなく、大切な小切手の情報です。
ルール上、小切手は譲渡が可能です。譲渡の際、持参人払式小切手であれば裏書は必要ありません。
記名式など、受取人が指定されている場合は裏書が必須です。表面の受取人名と、裏面の第一裏書人の署名(記名捺印)が一致している必要があります。
さらに、譲渡する相手の名前を書いておくと、より安全に譲渡できます。
譲渡された人が、ほかに人に譲渡すると、裏書は連続していきます。こういった裏書が複数ある小切手を受け取った場合、裏書がきちんと連続しているかどうか確認してください。
AからBに、BからCに、CからDに小切手が渡っていったということが正確に書かれている必要があります。裏書が複数書かれていると心配になるかもしれませんが、正しく裏書されていれば、手元の小切手が不渡りになったとしても、現在の所持者DからCに、Bに、さらにAに、遡及的に支払いを求めることができます。
裏書が正しく書かれていないと「裏書不備」で支払われないことがあるので注意しましょう。
小切手に記載されている支払地の金融機関支店を「支払銀行」と呼びます。基本的には支店名も含みます。
これは小切手の振出人に代わって、記載された金額を支払う銀行名です。支払銀行に持参し、持参人は窓口で小切手を呈示します。
自身の取引銀行(自口座のある銀行)に行って、取立委任することもできます。支払銀行Aに対して、自身の取引銀行Bから取立してもらうのです。
この場合、銀行間での取引がプラスされるため、即日換金というわけにはいきませんのでご注意ください。
持参人払式小切手は、記載されている支払銀行に持参した場合、その場で現金で受け取れます。口座に入金してもらうこともできます。
小切手を持ち込むときには、印鑑と本人確認書類を持っていきましょう。本人確認書類は小切手の額が10万円以上の場合に必要となります。
記載内容をチェックし、金融機関に持参し、現金で受け取るか、口座入金するという3ステップが基本となります。
小切手には数種類あります。現金と同じ扱いですが、種類ごとに特徴がありますので、確認していきましょう。
ほぼ現金と同じ扱いで、最も流通している小切手が、「持参人払式小切手」です。
受取人を特定せず、金融機関も制限されませんのでとても便利です。
しかし、小切手を落としてしまった場合、拾った人に換金されてしまうというリスクがあります。
持参人払式小切手には、「持参人へお支払いください」という文言が書かれています。
この「持参人」を横線二本で抹消し、訂正印を押し、特定の者の名前を書いたものを「記名式小切手」といいます。
原則、書かれている人のみが取り立てることができるため、安全に小切手を振り出すことができます。
持参人払式小切手に二本の平行線が加えられているものを「一般線引小切手」と呼びます。二本の平行線の中に、「銀行渡り」「銀行」「Bank」と書かれてあるものも同一扱いです。平行線は小切手表面の分かりやすい位置に記載します。
持参人払式小切手を落とした場合、拾った人が支払銀行に持ち込めば現金化できてしまいます。それを防ぐために、小切手上部に二本線を書き足すことによって、即現金化するのを防ぐことができます。
どうして二本線を加えただけで防げるのかというと、現金受け取り方法が口座入金のみに限定されるからです。口座に入金すると取引として記録されるので、誰に支払ったのか記録に残るというわけです。
一般線引小切手の二本線の間に金融機関名が書かれているものを「特定線引小切手」と呼びます。
原則として支払銀行は、書かれている金融機関の口座にのみ入金することができるので、普通の線引小切手を使用するよりも、さらに入金先を限定することができるのです。
前述しましたが、小切手に未来の日付が書かれているものです。「預金残高が今は不足しているけれど、日付の前日に入金する予定がある」というような小切手振出人の都合が想定されます。
しかし、未来の日付が書かれていても、小切手のルール上は振り出したその瞬間から現金化が可能です。銀行側も、振出日が未来の日付でも、取立を断ることができません。
しかし、振出人の預金残高が不足している状態で取立が行われると、残高不足で不渡りになってしまいます。
6ヵ月間のうちに不渡りを2回出した場合、取引停止処分となります。銀行との当座取引や貸付取引が出来なくなるのです。
こういったリスクがあることを踏まえ、振り出す側は、未来の日付を守ってくれる信頼できる取引先にのみ渡すようにしましょう。受け取った側は、振出日がきてから換金するようにしましょう。
持参人払式小切手であれば、振出人には誰かの名前・名称が書かれてあります。その振出人欄に、支払銀行名が書かれてあるものを「自己宛小切手」といいます。
支払銀行が自分に対して支払いを依頼するので「自己宛」です。大きな金額の取引で使用されるケースが多いものです。
例えば、家を購入する際の頭金が1千万円だとしましょう。それを持ち歩いて取引先に行くのはあまりにも不用心です。ですので、予め銀行に1千万円を支払い、自己宛小切手を作ってもらいます。
渡す相手が決まっているのであれば、「持参人」ではなく「〇〇殿」と記名式にすることで、安全性はさらに高まります。取引先には小切手一枚を持って行けば済むので、安全に取引できるでしょう。
受取人は、銀行に自己宛小切手を持っていけば(取立先が銀行ですから)必ずお金が支払われるので、こちらも安心です。
自己宛小切手を振り出す際に、預金口座は必要ありません。新しく口座を作ることなく小切手を振り出せます。不渡りになる可能性が低い、預金のような小切手と言えるでしょう。それゆえ、「預金小切手」と呼ばれたりもします。
現金をすぐ受け取れる小切手と、そうでない小切手があります。現金化できるものを見ていきましょう。
持参人払式小切手に限り、10万円未満であれば、小切手に記載されている支払銀行にもっていくと即日現金化することができます。
必要なものは印鑑と小切手のみです。10万円以上であれば、本人確認書類が必要になるため、運転免許証など銀行側が指定する書類を持参しましょう。
線引小切手は通常、口座入金のみが受取手段です。それゆえ現金を手にするまで数日かかります。
しかし、その小切手の振出人に、表に押印している届出印と同じものを裏にも押印してもらうことで現金化できます。
振出人にわざわざ押印をお願いしなくてはならないという手間はありますが、急いでいる場合はそのようにしてもらうのも一つの手でしょう。
小切手には、即現金化できない小切手があります。種類や条件によって日数も変わりますので、確認しておきましょう。
持参人の銀行預金口座に振り込まれるため、取引の手続き上、振込には日数がかかります。持ち込んだ日を含めて3営業日目に自分の口座から現金を引き落とすことができます。
口座に振り込むという取引が記録に残るため、誰に振り込んだのか分かる小切手です。
線引小切手の二本の平行線の間に金融機関名が書かれてあります。その金融機関口座にのみ入金できるようになっているため、該当する金融機関の口座を持っていれば問題はありません。
口座を新しく開く必要がある場合は、口座開設にかかる期間も考慮しなければならず、かなり時間がかかることになります。
特定線引小切手を受け取ったら、すぐに該当金融機関に持参することをおすすめします。
小切手の換金期限は2種類あります。違いをきちんと理解しておく必要があります。
支払呈示期間(しはらいていじきかん)とは、小切手の支払い手続きが可能な期間のことを指します。
振出日の翌日から10日以内と定められています。振出日を含めると11日以内となります。
支払呈示期間の最終日が銀行の休業日だった場合、翌営業日までが支払呈示期間となります。
原則この支払呈示期間内に小切手を金融機関に呈示しましょう。
支払呈示期間を過ぎても、小切手が紙切れになる訳ではありません。
小切手の有効期限は6ヵ月間です。支払呈示期間終了後に銀行に持参しても支払いに応じてくれるのは、有効期限内だからです。
ただし、振出人から支払委託の取り消しがあった場合、有効期限内であってもその小切手では銀行は支払いません。
「支払う ー 請求する」という関係は残っていますので、振出人と小切手所有者の両者でやり取りが必要となります。
さて、有効期限を過ぎてしまったら、どうなるのでしょう。ご想像の通り、小切手は紙切れになります。原則、その小切手では支払われません。
振出人に掛け合って支払ってもらうという手間が増えることになります。小切手を受け取ったら、出来るだけ早く銀行に持ち込みましょう。
いざ小切手を振り出そうというときに気になるのが土日祝日のことですね。銀行が休業でも振り出すことができるのでしょうか。
多くの人は、土日祝日がお休みです。しかし、企業や業種によっては平日にお休みがあり、土日祝日が仕事ということも少なくありません。
ですので、小切手の振出日は土日であろうが、祝日であろうが、平日であろうが問題ではありません。
振出日を0日として、支払呈示期間は10日間設定されています。期間最終日が支払銀行の休業日だった場合は、次の営業日まで延長されます。
10日あるから大丈夫、と思わずに早めに行動しましょう。もしかしたら、銀行に行けなくなるような予定が入るかもしれません。
支払呈示期間内(最終日をのぞく)に銀行の休業日があっても、考慮されません。
大型連休目前で振り出された小切手を受け取った場合は、すぐさま振出日を確認してください。
支払呈示期間内で1日だけしかない銀行の営業日を逃してしまった!なんてことにならないように注意しましょう。
小切手を換金するときの手数料は銀行によって違います。
ここでは大手3銀行の小切手の交換手数料を紹介します(令和2年5月現在)。
手数料は改定されることもありますので、自身の取引銀行の「代金取立手数料」を確認しましょう。
みずほ銀行 | 880円 |
三井住友銀行 | 660円 |
三菱UFJ銀行 | 770円 |
みずほ銀行 | 990円~1,100円 |
三井住友銀行 | 880円 |
三菱UFJ銀行 | 880円~990円 |
みずほ銀行 | 1,210円 |
三井住友銀行 | 1,100円 |
三菱UFJ銀行 | 1,100円 |
地方銀行の代金取立手数料は、至急扱いですら、900円を下回るところが多いです。
もし、小切手取引をする相手が地元同士であれば、お互いが地元の銀行を使うことで手数料を削減することもできるかもしれませんね。
小切手を現金化する時に注意したい点を3つご紹介します。最後に注意点を確認したら、もう問題なく小切手を現金にかえることができるでしょう。
持参人払式小切手を落とした場合、拾った人がすぐに現金化できるので注意が必要です。
現金を受け取るまでに3日掛かっても良いということでしたら、口座入金の線引小切手にしたほうがいいかもしれません。小切手に2本平行線を引くだけで、安全性もアップします。
もし万が一、小切手を落としてしまったら、すぐに振出人に連絡しましょう。振り出した側は、支払銀行に連絡して小切手の支払いを停止することができます。
落としたのに戻ってこない、または、盗まれたのであれば、遺失届・盗難届を警察に出さなければなりません。
そうすることによって、小切手拾得者が届出なかった場合に小切手を無効にする、公示催告申し立てをすることができます。
振出日の翌日から10日間設定されている支払呈示期間を守りましょう。期間内であれば、滞りなく銀行は取立手続きをしてくれます。
期間を過ぎても多くの場合銀行は対応してくれますが、基本的なルールを守ることで速やかな取引を目指しましょう。
先日付小切手の場合も、未来の振出日以降の支払呈示期間内で換金しましょう。先方は信頼して先日付小切手を振り出しているわけですから、信頼を裏切るような行為は今後の取引に影響が出る恐れがあります。
同じ銀行の支店だから、記載されている支店と違っても窓口で現金化してくれるだろう、と思っていませんか?
小切手をすぐに現金化したい場合は、小切手に記載されている銀行の、記載されている支店に持参しなければなりません。
同じ銀行でも、支店が違えば取引扱いとなるため数日かかってしまうのです。支払地に記載されている金融機関の支店名を含めて「支払銀行」だと理解しておきましょう。
小切手の現金化のポイントについて、確認できましたでしょうか。
小切手を初めて受け取った人も、よく使う人も、小切手のルールを守って滞りない取引を目指しましょう。
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