TOP > 経営 > 小切手 > 小切手とは?渡す・受取り・換金の仕方から種類まで全ガイド
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さまざまな取引の場面で、時折目にする小切手ですが、いざ受け取ってみるとどうしたらよいか悩んでしまった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
小切手は現金の代わりに安全に支払いを行うことができる有価証券の一種です。
しかし使い方を間違えると、単なる紙切れになってしまったり、銀行取引が停止になってしまったりすることもあります。
小切手の基本的な知識とともに渡し方、受け取り方、換金の仕方から注意点、小切手の種類などを解説します。
このページの目次
一般の商取引などで、現金の代わりに小切手が使用されることがあります。
現金を受け渡しする必要がなく、便利なものですが、小切手とはどんなもので、どのように使うのかと聞かれると知らないことも多くあります。
まずは基本的な知識を整理してみましょう。
小切手とは、銀行で当座預金口座の保有者に発行されている書類で、有価証券の一種です。
支払いの場面で利用され、小切手を相手に渡すことで、券面に記載された金額を支払うことができます。
不動産や商品など金額の大きな取引の場面でも、その場まで現金を持ってゆく必要がなく、盗難のリスクを回避することができます。
小切手を受けとった相手は、小切手を銀行に持ち込むと資金を受け取ることができます。
まずは小切手にまつわる用語を解説します。
馴染みのない言葉もあるかもしれませんが、これらの用語を踏まえたうえで、後の説明を読むと理解しやすいでしょう。
振り出し | 小切手を発行すること |
振出人 | 小切手を発行する人 |
振出日 | 小切手を振り出した日付 |
受取人 | 小切手を受け取る人 |
持参人 | 小切手を受け取り、銀行に持って来る人 |
支払人 | 持参人または金融機関に支払いを行う銀行・支店 |
小切手は、その場に現金がなくても支払いができ、引き出し限度額の制限がありません。
そのため小切手の使用が認められるには一定の信用が必要で、事業の実態、決済内容、過去の取引停止処分の有無など、銀行で審査を行ったうえで当座預金口座の開設及び小切手帳の発行が認められます。
小切手は所定の要件を満たしていれば法律的にはどんな用紙でも成り立ちますが、一般的な銀行取引では、各銀行で制定している小切手帳を購入して使用します。
小切手を現金に換えるためには銀行に行かなければなりません。
銀行での換金方法は二種類あります。
小切手の支払地・支払人欄に記載されている銀行に持ってゆくと、その場で現金に換えることができます。
小切手を受け取った人の取引銀行の口座に入金します。その後、銀行は手形交換所を通じて、支払人に小切手を呈示し、支払人から券面の金額を受け取り、現金に換えることができます。これを「取り立て」といいます。
現実的には小切手を受け取るたびに支払人の銀行窓口まで出向くこともできないため、大半が、銀行に取り立てを委任する取立委任という方法で現金に換えられています。
小切手といっても、その中にはいくつか種類があります。
小切手の券面に「線引き」という二本線が引かれている小切手です。
線引きのある小切手は、支払銀行の取引先か、他の金融機関にしか支払いができなくなります。
そのため万が一小切手が盗難や紛失にあった場合でも、誰が銀行に持ち込んだのかを特定しやすくなり安全性が高まります。
小切手を受け取ったら、その場で線引きを入れることをお勧めします。
線引きに銀行名や支店名が記載されている小切手は「特定線引小切手」と呼ばれ、記載された銀行のみで小切手の資金が支払われます。
線引きだけ、または「銀行渡り」「BANK」などと記載された小切手は「一般線引小切手」といいます。
振出日に将来の日付が記載された小切手です。
小切手の振出日には、受け渡しの日を記載するのが一般的ですが、振出日当日に資金が不足する場合などに、お互いの信用に基づいて先日付で振り出されます。
ただし、受取人が小切手に記載された日付になる前に、小切手を銀行に持ち込んでも、小切手は換金することができるので、使用には注意が必要です。
小切手の受取人を記名せず、小切手を持ってきた人(持参人)に対して支払いを行う小切手を持参人払式小切手といいます。
各銀行の発行する小切手帳の形式は持参人払式小切手となっており、実際の小切手はほぼこの形式です。
券面の支払委託文言の「持参人」の文字を訂正し、特定の受取人の名前を書いたものは
記名式小切手といいます。
これにより特定の受取人のみに支払われることになります。
小切手の振り出しから、どの様にして支払いが行われているのか、その仕組みと流れを説明します。
小切手の基本的な流れは
①小切手を振り出す
②受け取った小切手を支払人に呈示する
③支払人より支払いを受ける
というものです。
実務的には、②と③は手形交換所を通して先述した取立委任の流れで受け取りから支払いが行われます。
取立委任の流れは以下の通りです。
①A社(振出人)がB社(受取人)に小切手を振り出す
②B社がB社の取引銀行に入金する
(この時点では口座に残高はあるが引き出しはできない)
③B社の取引銀行が手形交換所を経由して、A社の取引銀行に小切手を呈示する
④A社の取引銀行はB社の取引銀行に支払いを行う
⑤B社の取引銀行はB社の資金を引き出しできるようにする(資金化する)
実際の取引のほとんどでは受け取られた小切手は取引銀行の口座に入金され取立委任の手続きが取られています。
入金された銀行は小切手の資金が支払われなかった場合に備え、小切手の支払いを受けるまでは受取人に対して資金の払い出しを制限する場合があります。
銀行は翌日に手形交換所に小切手を運び出します。
そして入金日の翌々日に、小切手が支払銀行で決済され不渡りになっていないことを確認したうえで、入金された口座の資金を引き出すことができるようにします。
手形交換所までの輸送時間により異なりますが一般的には入金から資金化されるまでに、3日以上はかかることになります。
なおB社が受け取った小切手を口座に入金せずに、支払銀行の窓口に直接持参すれば(店頭呈示)、A社の当座預金残高が確認できるため、その場で現金を受け取ることもできます。
小切手は有価証券の一種類ですが、必要的記載事項が不足している場合には、有価証券として成立せず、書類は効力を持たなくなります。
銀行から購入する小切手帳には法律で定められた事項はカバーされていますが、それらの必要事項を完記しなければ効力が生じません。
①小切手であることを示す文字
②金額 ・・・チェックライターで印字します。金額頭部には「¥」、末尾には「*」「-」などの表示をします。手書きの場合は、漢数字表記を行い、金額頭部に「金」、末尾には「円」「円也」などの表示をします。
③支払委託文言
④支払地
⑤支払人の名称 ・・・支払人である振出人の取引銀行に出向けば、即日現金に換えることもできます。
⑥振出日 ・・・小切手の受け渡し日を記載します。空白・先日付のものも有効です。店頭呈示できるのは、振出日の翌日から10日以内です。
⑦振出地
⑧振出人の署名 ・・・署名またはゴム印と届出印を押印します。不鮮明な場合には形式不備として返却される場合もあります。
小切手を相手に渡す手順や注意事項を説明します。
小切手は、取引などの場面で現金の代わりに一般的に用いられる支払方法です。
しかし現金とは異なり資金化に日数がかかる場合があります。取引相手には小切手で支払う旨の了解を事前に得ておきましょう。
また先日付で小切手を振り出す場合も同様です。
小切手を振り出すといつ受取人が口座入金するかはわかりません。
いつ受取人が入金し取立てを行っても資金不足にならないよう、振り出した金額は当座預金口座に入金しておかなければなりません。
小切手の支払の際に、当座預金の残高が不足し、支払いができなければ不渡りとなります。
不渡りが半年以内に2回起こると銀行取引停止となり、当座預金を使えなくなります。
小切手は有価証券の一種です。記載されている事項は正しいものという前提条件で流通します。
そのため誤った金額で振り出された小切手であっても、正しいものとして流通してしまいます。
また金額が訂正されている小切手は法律的には有効とされていますが、銀行の実務的には安全面を考慮し受付されない場合があります。
小切手を振り出す際には、記載方法に間違えがないかをよく確認する必要があります。
小切手を受け取る場合の手順や注意事項を説明します。
小切手を受け取って口座に入金すると、通帳に残高は記載されますが、その残高の現金がすぐに引き出せるわけではありません。
どうしてもその場で引き出しが必要な場合には、店頭呈示するか、受取方法を現金や振込にするなど相談しておく必要があります。
また先日付の小切手を受け取る場合にも、振出人とよく相談し、別の支払方法ができないかなど打ち合わせておきましょう。
受け取った小切手の記載内容を確認するのは、現金を受け取った時に、お金を数えることと同じです。
記載内容に問題がないかを慎重に確認します。
・金額に誤りや訂正はないか
・振出人と振出日に誤りはないか
・振出人の印鑑は鮮明に押印されているか
線引きのない小切手を受け取ったら、必ず線引きをしておきましょう。
線引きをしておけば、支払銀行では、銀行の取引先か他の金融機関にしか支払いできなくなります。
そのため他人に小切手が渡り現金が引き出されてしまう事態は防ぐことができます。
小切手の紛失や盗難は一大事です。
現金の場合の損害額は、紛失や盗難にあった金額の範囲内に収まりますが、金額の記載されていない小切手の場合には損害額は限度がありません。
万が一紛失や盗難にあった場合にはどのように対応したらよいのでしょうか。
小切手を紛失・盗難にあった場合には、銀行に連絡をします。
気を付ける点は、振出人から支払銀行に連絡を入れ、紛失届・事故届を提出するということです。
受取人が小切手を受け取った後に紛失・盗難にあった場合でも、受取人から支払銀行に連絡をするのではなく、振出人に連絡を取り、振出人から支払銀行に届出を行ってもらう必要があります。
警察に遺失届または盗難届を提出します。
その際には銀行への届出の際にも必要となる場合があるため、受理証明書を作成してもらいましょう。
すでに券面金額が書かれている小切手を紛失した場合には、万一手形交換所に呈示されてしまう場合にそなえ、券面金額と同額を預託しておく必要があります。
事故届を銀行に提出していれば、支払い呈示があっても支払銀行は支払いを拒絶します。
ただし振出人が不渡り報告へ掲載されてしまったり取引停止処分になったりすることがあるため、券面金額と同額の異議申し立て預託金を支払銀行に預託し、支払銀行から手形交換所に異議申し立て手続きを行ってもらう必要があります。
預託金は手形交換所が一定の手続きを行った後、後日返還されます。
小切手と同様に一般の取引で使用される有価証券に手形というものがあります。
小切手と手形はどこが違うのでしょうか。
小切手は提示すればいつでも支払いを受けることができますが、手形は支払の指定日にならなければ支払いを受けることができません。
従って、小切手の場合、振出人は振出時に当座預金に券面金額以上の残高を入金しておく必要がありますが、手形の場合、振出人は支払い日までに券面金額以上の残高を入金しておけばよいことになります。
支払のための呈示期間は、小切手の場合には振出日の翌日から10日間(最終日が銀行の休業日の場合は、翌営業日)。
手形は支払期日を含めて3日間です(銀行の休業日は除く)。
小切手は支払いの呈示から数日にあいだに現金化が可能ですが、手形の場合は支払日にならければ現金化ができません。
受け取った資金を別の支払資金として考えている場合にはそれができないため、注意が必要です。
なお、手形によっては支払期日までの利息相当分を差し引いた金額で銀行に手形を買い取ってもらい、支払期日までに現金化する「手形割引」を使うことができます。
ネットバンキングや電子商取引が普及している今日ですが、まだ小切手を利用している会社も多くあります。
小切手の仕組みや注意点をよく理解して、安全に利用しましょう。
画像出典元:O-DAN