社員同士のコミュニケーションが良くなれば組織全体も良くなる。そのくらい社内においてのコミュニケーションは重要です。
近年では、社内コミュニケーションを活性化させる目的として「サンクスカード」を活用する企業が増えてきています。
しかし、サンクスカードを活用したからといって、必ずしも上手くいくとは限りません。
今回は、サンクスカードを導入する際のポイントや、効果的な活用方法など、サンクスカードについて詳しく解説していきます。
このページの目次
サンクスカードとは、感謝を伝えたり讃えたりなど、相手に「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えるためのカードのことで、サンクスカードのほかサンキューカードやグッジョブカードなどとも呼ばれたりします。
このサンクスカードは、感謝の気持ちを相手に伝えるためのものですので、ビジネスシーンに限らず、結婚式や披露宴の場に出席してくれたゲストへ向けて感謝の気持ちを伝える手段としても良く使われています。
また、サンクスカードには特に決まったデザインフォーマットもなく、個々自由に用意したカードを使ったり、あらかじめ企業で用意したカードを使ったりと企業によって様々です。
近年、こうしたサンクスカードは社内コミュニケーションの活性化において有効的であることから導入し始める企業が多く、導入後は社内の雰囲気も良くなり業績アップにつながるなど、良い方向へ転じているといった事例も増えています。
さらに、サンクスカードを取り入れることで人の良いところに気づく“気づきへのトレーニング″にも効果的なため、人に対する洞察力や観察力などの向上にも期待が持てるとしています。
サンクスカードは、社内の仲間に“ありがとう”をしっかり伝えるためのツールです。
たとえ小さなことでも、人は褒められると嬉しい気持ちになりますし、自分がおこなった仕事に対して感謝されれば、自ずと仕事へのモチベーションも上がります。
さらに、感謝してもらえたことに対して、今度は自分も感謝しようといったギブアンドテイクの心が芽生えてきます。
こうした働きにより、社内における社員同士のコミュニケーションが活性化されるといった効果を生み出すのです。
また、サンクスカードは「自分のことを見てもらえている」「自分のことを気にかけてもらえている」などといった自覚も芽生えてくるため、仕事の生産性向上・効率化にも好影響をもたらす効果も期待できます。
つまり、サンクスカードには「仕事に対するモチベーションと生産性の向上・維持」「社内の活性化やコミュニケーションの強化」「人との信頼関係の構築」「企業の成長」など、大きな効果をもたらしてくれるのです。
感謝の気持ちをカタチにするツールとして、多くの企業が導入しているサンクスカードですが、ただ闇雲に導入すれば良いというものでもありません。
やはりサンクスカードを導入する場合は、しっかりと導入ポイントを抑えておく必要があります。
そこで、サンクスカードを導入する前に抑えておきたい導入ポイントをご紹介します。
社内にサンクスカードを導入する場合、まず導入する目的を明確にする必要があります。
サンクスカードは社内のコミュニケーションを活性化させるために効果的なツールですが、何の目的もなくただ導入しても意味がありません。むしろ社員が困惑し職場の雰囲気が悪くなる可能性も考えられます。
サンクスカードを導入する際は、「どうしてサンクスカードを導入するのか」「導入したらどのような課題が解決されるのか」など、サンクスカード導入の必要性や目的を会社全体で話し合い、明確にすることが重要です。
感謝の気持ちを伝えるといっても、コピーを取ってくれた時や机を拭いてくれた時など、日常業務で当たり前のことなどまでサンクスカードを使うのは良くありません。
なんでもかんでもサンクスカードを使うようになるといちいち面倒くさくなり、社員の負担となってしまいます。
サンクスカードは、しっかり気持ちを込めて伝えることが大切です。
そのため、サンクスカードが価値あるカードとして周知され、楽しく手軽に感謝の気持ちが伝えられるよう体制を整えることが重要です。
サンクスカードを失敗なく継続的に運用していくには、しっかりとした社内ルールを導入前に決めておくことが重要です。
特にルールを決めず“とりあえず”で導入すると、最初は盛り上がるかもしれませんが、確実に衰退していきます。
なお、ルール決めの具体例としては下記のとおりです。
書かれたサンクスカードを集計するため、毎月の締め日を決めます。多くは末日を締め日とし、1日から末日までに出されたサンクスカードを集計します。
“強制”というと聞こえは悪いですが、サンクスカードを継続的に行うには、ある程度の目標枚数は設定すべきです。
もちろん、社員の負担にならない範囲内での枚数設定が前提となりますが、それでも月10枚程度は最低利用枚数として設定したいところです。
サンクスカードは、感謝の気持ちを相手に伝えるためのツールですが、それを当事者同士だけではなく、誰が誰にどのように感謝したのかなど、サンクスカードを他の社員にも見てもらうことも重要です。
誰でも目にしやすいところにサンクスカードを提示することによって、「よし、自分も頑張ろう」や「次はもっと頑張ろう」など、社員一人ひとりのモチベーションアップに繋がるからです。
ただし、社内に提示する場合は、後のトラブルにならぬよう、あらかじめ全社員に周知しておくことを忘れずに行う必要があります。
サンクスカードの導入がスタートしたあとは必ずと言って良いほど何かしらの問題が発生してきます。
サンクスカードが定着し、その職場にマッチしたものにするためには、常に改善改良など試行錯誤が必要になってきます。
そのため、管理者は定期的にサンクスカードの利用状況などを確認し、効果を得るためのモニタリングを実施することが重要になってきます。
くれぐれも、サンクスカードを導入しただけでは、継続的効果を生み出すことは、当然できません。
サンクスカードを導入し、試行錯誤を練りつつ、改善改良を重ねてもイマイチ効果が実感できないという場合もあります。
そういう時は「ピアボーナス」を導入してみるというのもひとつの方法です。
ピアボーナスとは、「仲間(peer)」と「報酬(bonus)」を組み合わせた言葉で、会社から出される報酬ではなく、社員同士が日々の行動や活躍などに対して報酬を与え合うという仕組みのことです。
ちなみに、ピアボーナスはGoogle社が社員を評価する一環として導入していることでも広く知られています。
このピアボーナスは、金銭的インセンティブのほか、自分が行ったことが会社からでなく他の社員から評価されることになるので、評価を得た社員は心理的インセンティブが得られ、仕事に対するモチベーションのアップに繋がります。
また、仲間から評価されたという非常に喜ばしい事態に「この職場で仕事ができて良かった」など、社員エンゲージメントの向上にも期待が持てます。
日々の行動に対し、こうした感謝の気持ちを示し合うことで社員同士のコミュニケーションが活性化され、やがて企業の成長へと繋げていく。こうした取り組みはピアボーナスもサンクスカードも同じです。
感謝の気持ちを言葉で示すサンクスカードと、感謝の気持ちを報酬で示すピアボーナス。
この2つの方法を上手く導入することで、社員一人ひとりの仕事に対するモチベーション、そして社内におけるコミュニケーションの活性化へと繋げていくことができるのです。
なお、下記のページではピアボーナスについてさらに詳しく解説しているので、ぜひそちらも併せてお読みいただければと思います。
社内コミュニケーションを円滑にすることで職場の雰囲気を良くし、そして働きやすい職場にする。こうしたことが、サンクスカードを使う上で大きな目的となるはずです。
ここでも記述したとおり、サンクスカードを導入すること自体は非常に簡単ですが、サンクスカードを活用し、それを継続的に維持していくのは簡単なことではありません。
そのため、「他の会社もやっていて、何だか良さそうだからとりあえず導入してみよう」では必ず失敗しますし、やるだけ無駄です。
実際、サンクスカードを5年以上導入している企業でも、「素直に“ありがとう”と言える雰囲気が良い」「コミュニケーションが良くなった」など、肯定的な意見がある一方で、「ノルマみたいになって、本来の意図とは違っている」「いちいちカードを書くのが面倒くさい」など、否定的な意見が出ているのも事実です。
しかしここで重要なのは、否定的な意見に対して課題と捉え、今後どのように改善改良に活かしていくか。という取り組みであり行動です。
新しく制度を導入した時というのは失敗がつきものです。
その失敗を課題とし、試行錯誤しながら継続していくことで、その会社にマッチしたサンクスカードが出来上がります。
サンクスカードは「会社・社員」双方にとって非常に価値ある制度であることは間違いありません。
ぜひサンクスカードを積極的に取り入れ、今後の成長にお役立てください。
画像出典元:Pixabay / 写真AC