新しい報酬の形として注目を集めているのがピアボーナスです。
人材確保や職場の雰囲気をよくするのに役立つと評判のピアボーナス。
この記事では「第3の給与」とも呼ばれるピアボーナスの説明、インセンティブとの違い、ピアボーナスを導入するメリットや導入している企業の例などを紹介します。
このページの目次
ピアボーナス(PeerBonus)とは、同僚や仲間を意味する「peer」と報酬を意味する「bonus」をくっつけた言葉です。
表面化しにくい仕事上の貢献や成果に対して、従業員同士が互いに報酬を送り合う仕組みをピアボーナスといいます。
ピアボーナスで送り合える報酬には、金銭・ポイント・社内通貨などがあります。
資料作成を助けてくれたなど、表面化しにくい仕事に対して感謝の気持ちを表す時に使えます。
管理職や人事課では把握できないような事柄に対しても評価できるのが特徴です。
結論から言うとピアボーナスはインセンティブの一種です。
インセンティブ(incentive)は「報奨金」という意味に加えて「意欲を起こさせるもの」「(やる気を)刺激するもの」という意味があります。
ですから、インセンティブには、成果に応じて金銭で特別報酬が与えられる、特別な成果を揚げることで表彰されるなどの形があります。
ピアボーナスにより、仕事上の貢献に対して少額の報酬が与えられます。それにより仕事に対する意欲も増し加わります。こうした点から見るとピアボーナスはインセンティブの一種といえます。
ピアボーナスの特徴をまとめると次のようになります。
企業がピアボーナスを導入すれば次の4つのメリットが生まれます。
1. 従業員のモチベーションが上がる
2. 職場内のコミュニケーションが活性化される
3. 企業内で褒め合う文化が形成される
4. 企業アピールにつながる
ピアボーナスで報酬が得られること自体がモチベーションアップにつながります。
ピアボーナスは「プレゼン用の資料作成を手伝ってくれた」「おいしいランチの店を
教えてくれた」など表面化しないような仕事に関係する事柄を評価できます。
そうした自分のしたちょっとした事柄が他者から評価される、自分の仕事が人のためになっているという心地よさや満足感も、仕事へのモチベーションアップにつながります。
ピアボーナス用のシステムを導入すれば、投稿された内容がリアルタイムで共有できます。
これまで知らなかったような従業員の活躍を、ピアボーナスに参加しているすべての従業員が確認できます。
これにより、部署さらには正社員・派遣社員・アルバイトなどの雇用形態といった垣根を超えたつながりが生れ、職場内のコミュニケーションが活性化されると感じている企業があります。
従業員の良いところを見つけて褒めようという文化が形成されるようになります。
そうなると従業員はエンゲージメント(会社に対する愛着心)を高めることができます。
人材確保の難しさや離職が深刻化する中で、ピアボーナスは働きやすい職場づくりに貢献するので、優秀な人材の確保や離職防止に役立ちます。
働きがいやエンゲージメントを高めるツールを積極的に導入しているということで企業アピールにもなります。
ピアボーナス導入にはたくさんのメリットがあります。
しかし導入に際しクリアしなければならないいくつかの問題点があります。
1. 導入コスト
2. 導入後の運用
3. 継続的な利用を促す
報酬の財源となるものを確保しなければなりません。
ピアボーナスシステムを導入し継続して運用するためのコストも考えなければなりません。
ピアボーナス導入で得られる効果と導入コストを比較し、導入するメリットがあるかどうか検討できるでしょう。
ピアボーナスを導入すると特定の従業員に評価と報酬が集中する、目立たないタイプの人が評価されないなどの問題が起こる可能性があります。
ピアボーナスは素晴らしいシステムですが、従業員全員が満足できるような制度にするために、それをどのように運用するのか見届ける必要があります。
導入直後は従業員が喜んで使っていても、しばらくすると利用されなくなるという可能性もあります。
そのために継続的な利用を促すルールを考える必要があります。
例えば、ピアボーナスツールの中には、毎週送ることができるポイントが設定されており、使いきれなかつた分のポイントは次の週に持ち越せないようにするルールを設定しているものがあります。
そのようなルールを設けることでピアボーナスの継続的な利用を促すことができます。
ピアボーナスは従業員同士で表面化しないような仕事や努力を褒め合い、報酬を送ることができるシステムです。
仕事のやりがいやエンゲージメントを高める効果が期待できます。
次に、ピアボーナスを自社に導入するためのツールを2つ紹介します。
「Unipos(ユニポス)」はFinger81株式会社が提供しているピアボーナスツールです。
ピアボーナスを簡単に導入できるツールで、フリマアプリで有名な株式会社メルカリなどが導入しています。
スマホアプリでも使うことができるUniposは、使いやすさと継続的な利用を促す特徴を備えているピアボーナスツールとしておすすめです。
「HeyTaco!」はチャットツールSlackでタコスを送るというピアボーナスツールです。
1日最大5個までのタコスを送ることができます。その日に使い切らないと消滅します。
貯まったタコスは、企業ごとに設定できるRewards(ご褒美)に交換することができます。
なぜ食べ物のタコスを送るのかという質問には、webページ上で「everyone loves tacos(みんなタコスが好き)」と回答しています。
プラン | 1人/1ヶ月あたり 1.95$ |
おすすめ機能 |
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HeyTaco!は日本語訳には対応していませんが、日本でもピアボーナスツールとしてすでに利用している企業があります。
有名な企業もすでにピアボーナスツールを導入し、従業員のエンゲージメントを高めることに成功している企業を2つ紹介します。
メルカリはピアボーナス制度「mertip(メルチップ)」を2017年9月から導入しています。
メルチップはピアボーナスツールUniposのサービスを利用して運営されています。
獲得したポイントは1ポイント=1円で運用されています。給与と併せて「メルチップ給」として支給されます。
拠点がたくさんあるメルカリは、拠点を超えてリアルタイムに、かつ気軽に相手の仕事を称賛できる会社になればということでこの制度を導入しました。
導入後1ヶ月後のアンケートでは満足度約87%、メルチップの消化率も期待以上の数値を残しました。
導入後は、ピアボーナスツールのおかげでマネージャーが今まで見えなかったメンバーの仕事ぶりまで目が届くようになった、マネージャーのメンバーの仕事に対するフィードバックの質が向上したなどの副次的な効果も得られています。
デジタルマーケティング事業を手掛けるユニークワンもピアボーナス制度を導入しています。
ユニーワンはHeyTaco!のツールを利用しています。
HeyTaco!は1人が1日5個のタコスを送ることができます。
ユニークワンでは1タコス=30円でポイント換算しています。100タコスで3,000円になります。
ユニークワンではピアボーナスを導入することで、部門や上司・部下の垣根を超えて気軽にタコスを送れるようになったと報告しています。
Slack上で全員が、誰が、誰に、どんな理由でタコスを送っているのか確認出来るので、社員同士の関係や役割分担の可視化もできるようになったと感じています。
ピアボーナスの導入で社内の雰囲気が良くなり、従業員の仕事に対するモチベーションやエンゲージメントが向上した企業例を紹介しました。
従業員数が増えると、お互いの顔と名前が一致しなかったり、どんな仕事をしているのか理解するのも難しくなることがあります。
しかし、紹介した企業は、ピアボーナスを上手に活用することでこうした問題も解決してきました。
もし従業員のエンゲージメントを高めたいと思っておられるなら、先ほど紹介したようなピアボーナスツールを活用するのがおすすめです。
ツールの中には、ご褒美の内容などを自社でカスタマイズできるものもあります。
導入コストも安価なものがあります。
自社のニーズに合ったツールを探すことができるでしょう。
ピアボーナスとは、従業員どうして仕事の内容を褒め、報酬を贈ることができるシステムで「第3の給与」といわれています。
数字や成果だけでは判断できない、表面化しないような仕事や努力も、ピアボーナスを使えば可視化でき評価できます。
ピアボーナスを導入することで、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上を期待できます。優秀な人材の確保や離職防止にもつながります。
導入にはピアボーナスツールがおすすめです。低コストで簡単に導入でき、スマホなどでも利用できます。
働きやすい職場環境づくりを考えておられるならば、ピアボーナスの導入を検討されるのはいかがでしょうか。
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