公開から約1年が経過し、様々な活用法や新機能が次々とアップデートされ、徐々に業務やサービスにも浸透してきたChatGPT。
今回はそのChatGPTの有料プランで使えるGPT-4の基本性能から、GPT-4vTourboやGPTsを中心としたChatGPTPlus(有料版のプラン名称)で使える新機能まで徹底的に解説していきます。
ChatGPTを使ってZoom会議の議事録を自動で生成する方法を解説しています。
従来の議事録ツールより高度で自由自在な議事録が作成できるので是非チェックしてみてください
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GPT-4はChatGPTなどを運営するOpenAI(米)が開発した自然言語処理モデルで、ChatGPTなどで大きな話題を呼んだGPT-3.5やGPT-3の上位互換となります。
ChatGPTにデフォルトで搭載されているGPT-3.5では、誤字脱字などの基本的なミスのほか、高度な議論になると会話が噛み合わなくなったり、誤った情報に基づいた答えが帰ってきたり、直近のデータについては学習しきれていなかったりと実用面で大きな課題がありましたが、GPT-4ではこれらの大部分が大幅に改善され、更に有能なAIとしてChatGPT Plusに搭載されています。
また、大きなアップデートとしてマルチモーダルに対応(マルチ=複数の、モーダル=手段)している点があります。
デフォルトのGPT-3.5を搭載したChatGPTではやりとりがテキストのみに限られますが、GPT-4ではテキストの他、音声、画像、PDFファイル、パワーポイントの資料など様々な入力や出力を行うことができます。
詳しくは後半で解説していきます。
GPT-4の特徴としては、以下のようなものがあります。
これらの特徴は一部のものですが、これらの能力に基づいて更に広範なタスクを処理することができます。
経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針」
まずはじめに紹介するのはPDFの解析機能です。今回要約してもらうのは経済産業省が発表した「充電インフラの整備促進に向けた指針」という29ページに渡る資料で、典型的な霞が関スライドでいかにも読みたくない資料という感じです。
今回PDFの解析に利用したプロンプト
ChatGPTによって生成されたPDFファイルの要約
途中から箇条書きの数が制約条件から外れてしまっていますが、大枠としてはPDFの章立てに沿って各章の要点をまとめてくれています。
これは、複数の資料から重要な部分を迅速に見つけ出す必要がある時や、解像度は低くていいから資料全体を通してなにが述べられているかを知りたい時は重宝しますよね。
また、今回は図やフローチャートを多分に含んだスライドだったので多少粒度が粗いような印象を受けましたが、論文など、ほとんどがテキストで構成されているPDFなら更に高度な要約が出力されるイメージです。
Android・iOS共に対応しているスマホアプリ版のChatGPTでは、スマホから写真をそのままチャットに送って解析してもらうことができます。
例えば、以下の画像では電球が切れてしまった時にどこを見れば型番が把握できるのかがわからなかったのでChatGPTに聞いてみた、というものです。
iOS版ChatGPTに写真から電球の型番を取得してもらった時のスクリーンショット
実際にAmazonなどで、ChatGPTに出力してもらった「National FCL 20W形」と検索すると、見事に互換性のある電球を入手することができました。
GPT-4では、スクレイピングを用いたWEB上の検索を伴うチャットを利用することができます。使うのは簡単で、プロンプトの中に「WEB上から」などのキーワードを入れるだけです。
今回は、上述したPDF解析機能と合わせて、「PDFに含まれる内容を要約した上で、それに類似する情報をWEB上から3つほど持ってきて欲しい」というタスクになっており、人間がやるとするとかなり時間も体力もかかるものになっています。
しかし、ChatGPTでは、以下のようにものの1分で元資料の要約と、WEB上に存在する類例を持ってきてくれます。これは、リサーチを伴う業務においてはかなり革新的な効率化の鍵になりそうです。
まずはPDFから情報を取得してもらう
次に、PDFで提示されている情報と関連のある論文をWEB上より抽出、及びその要約を提供してもらう
今回出力を比較するプロンプトはこのようなものです。
出発地点Aから目的地Bまで、行きは時速40km、帰りは時速60kmで行きました。 平均時速は何kmでしょう?
長らく数学に触れていない方は40と60を足して2で割って50km/hと答えたくなるかもしれませんが、答えは48km/hです。
仮に片道の移動距離を120kmとおいた場合、行きは3h、帰りは2hかかることになります。往復の移動距離は240kmなので、それを5時間で割ると1時間辺りの平均移動距離は48kmになります。
では、ChatGPTはこの問題を解けるのでしょうか?まずはGPT-3.5から検証してみましょう。
GPT-3.5の回答
平均時速=合計距離÷合計所要時間という、正解するのに必要なロジックを組み立てることはできていますが、肝心の答えにはたどり着いていませんね。
もちろん、正しいロジックを組み立てるだけでも従来のAIに比べたら画期的と言えますが、次にGPT-4の回答をみてみましょう。
GPT-4の回答
GPT-4では、裏でPythonを用いて正確な答えまで算出してくれました。やはり、OpenAIの公式からも提唱されているように論理的思考力ではGPT-4にかなりのアドバンテージがあるようです。
現在ChatGPTを使っている人ならすぐに実践できます。
価格は2700円($20)で、クレジットカードで決済できます。
まだアカウントをもっていない方は下記記事ににて解説しているのでそこからまずはアカウント開設してください。
すると、以下のようなポップアップが表示されるので「Upgrade plan」をクリック。
しかし、ここで注意点として「アクセス集中によるアップグレードの一時制限」があります。
現在爆発的な勢いでユーザーが増加しているためOpenAIによるサーバー増設が間に合わず、一時的にアップグレードしたくてもできないアクセス制限が発生していることがあります。筆者がアップグレードした際も最初はアクセス制限がかかっておりすぐにはアップグレードできませんでいしたが、4時間ほどで再開され無事アップグレードできました。
その際は、PCを閉じ、散歩でもして気分をリフレッシュしながらアクセス再開を待つのがおすすめです。
アクセスができたら、このような支払い画面が表示されるのでクレジット情報を入力し、支払いが完了すればアップグレードは完了です。
ちなみに、支払いが完了するとこのようによくある紙吹雪が舞うアニメーションが再生されるのですが、このアニメーションもChatGPTによって書かれたコードで実装されているそうです。
ChatGPT Plusに加入すると、このように現行のChatGPTであるGPT-3.5、旧モデルのLegacy、そして有料会員限定のGPT-4が利用可能になります。
また、横にあるのがそれぞれのモデルの能力値です。上から順に「推論」、「速度」、「簡潔さ」を表しており、各モデルの値は次の通りです。
GPT-3.5(現行無償モデル)3-5-2
GPT-3.5(旧モデル)3-2-1
GPT-4(最新有料モデル)5-2-4
これを元に、目的に応じて使い分けるのが得策だといえます。なぜなら最新版のGPT-4は3時間あたり25件までしかメッセージを送ることができないためです。
ここからは2つ目のGPT-4を使う方法を解説していきます。
Microsoftの検索エンジンとブラウザーを使えば、無料でGPT-4を使うことができますが、普段GoogleChromeを使っている人が多いことを考えると、Microsoft製のシステムでしか使えないのは、検索エンジンシェア奪取に向けた少々露骨なやり方に感じます。
また、Bingに搭載されているGPT-4は検索エンジン向けにカスタマイズされており、本家のサイトと全く同じような出力がされるわけではありません。
この一番上にある青と緑のアイコンのブラウザーで、Windowsには標準搭載されています。
はじめてEdegを使う人は大丈夫ですが、検索エンジンをGoogleなど、別のものに設定している人はBingに設定する必要があります。
これがいわゆる『Bing AI』です。普通にこのまま対話を進めることもできますが、個人的には、せっかくの検索エンジンなので検索と一緒に使うことをおすすめします。
このように検索結果の横にBingAIの回答も一緒に表示するといったこともできます。
また、このように、全画面表示で質問すると回答だけでなく、そのソースとなったWEB記事まで表示してくれるのがとても便利だと感じました。
情報の信憑性はChatGPTの一番の欠点とも言えるのでそれを相殺してくれるような機能だと思います。
ChatGPTは極めてシンプルなUIになっており、機能もほとんどないため、ヘビーユーザーの方ならもう少し機能があっても邪魔にならないどころか更に便利に感じる方もいるでしょう。
この章では、更に情報が整理しやすくなる拡張機能を紹介していきます。
「AI Diagram」はフローチャートやマインドマップ、シーケンス図などを与えたデータに基づいて作成してくれるプラグインで、画像の出力は「飲食産業の構成要素をマインドマップでまとめて」とお願いしたものです。他にも形式やデータなど、細かい指示を出せばそのままパワーポイントで利用できるクオリティも出力可能です。
Doc Markerでは、指示によりWordドキュメントやPDF、更にはスライドまでを生成することができます。但し、細かい配慮が求められるアウトプットにそのまま使用するのはまだまだ安心できるほどのクオリティではないため、あくまでたたき台を作ってもらい、そこから細かい部分を人力で調整するのがベストな使い方といえるかもしれません。
Doc Markerでも表計算ソフト用の出力は対応していますが、Doc Markerと並んでプラグインストアで人気ランキング上位になっているのがこちらのMake A sheetです。形式やデータを指定することでエクセル、スプレッドシート、CSVなど表計算向けの形式で出力してくれます。
ただ、注意点としては時折出力されたファイルを開くと文字化けが発生していることがあります。
これは正確には拡張機能でもプラグインでもないのですが、めちゃめちゃ便利なため解説させていだきます。
ただ、その分上記の2つの拡張機能やプラグインに比べると実装手順が複雑なためPDFファイルで手順解説を配布しています。必要な方は是非ダウンロードして業務効率化してみてください。
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ChatGPTの’’GPT’’とはGeneral-Purpose-Transfomerの略で「汎用技術」という訳語が当てられていることからも分かる通り、多様な目的に対してソリューションを提供できるテクノロジーです。
そのため、ChatGPTの技術は公開からたった4ヶ月の現在でも既に様々なところに搭載されています。
具体的な応用方法に入る前に、現段階でどこまでChatGPTの技術が転用されているかを確認しておきましょう。
トヨタは今まで、人気車種のプリウス、カローラやRAV4でAmazonのAIサービス「Alexa」を導入し、ユーザーのスマートフォンと連携して車内でもAlexaが使えるようにしていましたが、2023年3月、23年度秋から販売されるこれらの車種でAlexaの導入を終了すると発表しました。
同時に、ChatGPTをベースとする新たな対話型AIシステムの導入を模索しているようです。自動車という生活に密着したツールで、しかもトヨタという世界販売台数No.1のメーカーが導入するということは、間違いなくChatGPTの技術がより一層人々の生活に入り込んでくることになりそうですね。
ChatGPT開発元であるOpenAIの主要投資家であるMicrosoftは自社の検索エンジン『Bing』にその技術を導入し世界初のAI搭載(検索エンジン事態がAIなので多少パラドクス感は否めませんが)をリリースし、早速ユーザー数が1億人を突破したと発表しました。
検索エンジンといえば圧倒的にGoogleの独壇場だっただけに、今後が楽しみです。また、本来有償提供となるGPT-4も検索用にカスタマイズされているものの、Bingなら無料で使うことができます
今やビジネスマンでは知らない人はいないチャットツール「Slack」も早速ChatGPTを導入しています。
ChatGPT app for Slack では、OpenAI が持つ最先端の大規模言語モデルのパワーを Slack の会話インターフェースに深く統合しています。これほど自然な組み合わせはないでしょう。これにより、企業はチャンネルに投稿されたアーカイブの集合知を活用するという、新しい能力を得ることができます。(略)OpenAIの持つ大規模言語モデルの登場とSlackが力を合わせることで、更に多くの企業の生産性向上に貢献できることを嬉しく思います。(Slack公式HPより)
Chromeの場合はBingのような直接的な導入ではなく、サードパーティが作成したいわゆる「拡張機能」という形式で無数に導入されています。検索結果の横にChatGPTからの解答も同時表示するといったシンプルなものからYouTubeの動画内容の自動要約など、世界最大のプラットフォームとだけあって最新の使い方が日々アップデートされています。
もともとAIによる契約書レビューサービスを展開しているリーガルフォースは、新たに契約書の条文を自動でChatGPTが提案してくれる機能のベータ版を2023年5月にリリース予定。これにより今まで決して少なくない時間がかかっていた企業の法務担当者や法律事務所の弁護士等の専門家による修正文案検討の大幅な効率化が期待されます。
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日本での法人向けチャットボットでトップシェアを誇る『チャットプラス』は従来、人手を使って事前にチャットへの回答を作成する必要がありましたが、ChatGPTとの連携で事前の回答準備ナシで回答が生成可能になり、作業効率の大幅アップにつながります。
実際の利用画面(PRtimesより)
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同じくチャットボットツールの『Tebot』でもChatGPTが導入されており、Tebotでは従来は人手によって情報収集から作成まで担う必要があった『Q&A』コーナーをChatGPTの技術を使って自動生成できる機能が実装されました。これにより、常に最適なQ&Aが実装し続けられる事間違いなしでしょう。
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SAKUBUNは、Chat GPT3.5/4を活用した国産の最新AIライティングツールです。50種類以上のテンプレートが用意されているため、プロンプト自作の手間を削減。またエディター機能により、チャット形式で長文コンテンツも効率的に再編集できるので便利です。作成・保存したコンテンツ、ドキュメント、プロジェクトの設定などは簡単に社内で共有でき、チーム連携もスムーズです。
Emma Toolsは、もともとAIによるWEB記事作成のアシスタントツールとして定評があったものの、ChatGPTの基幹技術を使って更に記事タイトルやリード文を生成できる機能を実装し、更に便利なツールとしてアップグレードされました。記事の質にこだわりたい方には必見のツールと言えるでしょう。資料請求リストに追加する