プロジェクトを正確かつ滞りなく進めるためには、「進捗管理」は欠かせません。
進捗管理を正しく実施することで、目標達成までにやるべきタスクがわかり、スムーズなプロジェクト運営を実現できます。
しかし、進捗管理は簡単な業務ではなく、上手に進めていくにはコツが必要です。
そこで今回の記事では、進捗管理のメリットやコツ、やりがちなNG例などを詳しく解説していきます。
このページの目次
進捗管理とは、仕事に必要な業務やタスクを洗い出して作業計画を立て、進捗にズレがないかを適宜チェックすることです。
複数人で進めるプロジェクトはもちろん、個人でタスクを進める際にも進捗管理の考え方は活用できます。
予定通りに業務を遂行して目的を達成するためにも、進捗管理を正確に行うことは重要です。
進捗管理を行う際は、チャートなどを活用して「いつまでに・どの作業を・どれくらいやるか」という点の可視化が必要です。
目標までの業務を可視化できれば具体的なアクションを策定しやすいですし、ゴールが見えることでチームの士気も上げられるでしょう。
ゴールまでの道のりを可視化できれば、タスクを細分化しても必要な業務を見落とさないため、スムーズな進行が期待できます。
やるべきことを明確に把握できれば、個人の能力や業務量に応じた適切な割り振りもできます。
チームで仕事を遂行する場合、メンバー個人の事情に合わせてなるべく負担なく割り振ることが必要です。
確かに、多少能力を超えるタスクを割り振ることで、適度な負荷がかかり成長することもあります。
とはいえ、過度に身の丈に合わないタスクを割り振るとパンクするかもしれません。
タスクを可視化できていれば、個人の能力や業務量を見つつ、適切に割り振ることが可能です。
仕事を遂行するうえで、予想外の事態はほぼ必ずと言っていいほど発生します。
例えば「メンバーの業務が予定より進んでいない」「クライアントからの返信が遅い」などです。
しかしタスクを管理していなければ、そもそも「どこがズレて問題になっているのか」を正しく把握できません。
もし問題を正確に把握できずズルズル引き伸ばしてしまうと、納期直前に大きな影響を及ぼすかもしれません。
計画にズレを及ぼす問題点を早期に把握して解消するためには、進捗管理が必要になります。
仕事では納期が設定されていることが多いです。
とくにクライアントワークの場合、取引先から要求されている納期が設定されていることがほとんどでしょう。
万が一、計画に漏れがあり問題が発生することで納期に遅れが生じれば、取引先からの信頼を失うかもしれません。
進捗管理を行いタスクを正確に把握することで、問題発生やタスク漏れを防げるため、納期の遅延防止につながるでしょう。
ここからは、上手な進捗管理をするためのコツを7つご紹介します。
コツ1. 仕事のゴールを明確に設定する
コツ2. 具体的なアクションがわかるまでタスクを細分化する
コツ3. 定期的に全体進捗を確認する
コツ4. リアルタイムで情報共有できる環境を整える
コツ5. 情報共有時の報告書をテンプレ化する
コツ6. 図式・チャート・色分けなどを駆使して可視化する
コツ7. プロジェクト責任者を決めて管理する
それぞれ詳しく確認していきましょう。
進捗管理をする際は必ず仕事のゴールを明確に設定しましょう。
進捗管理を行う際には、仕事で達成したいゴールから逆算して必要なタスクを洗い出す必要があります。
仕事のゴールは、例として以下が挙げられるでしょう。
ゴールを明確に設定するほど、目標達成までに必要なタスクも明確に洗い出せます。
上記では比較的簡単な例を出しましたが、実際は数値を用いて「どれくらいの売り上げを作るか」などまで設定できるとよいでしょう。
タスクを洗い出す際は、具体的なアクションがわかるレベルまで細分化しましょう。
ひとつのプロジェクトを達成するまでにやるべきタスクは膨大です。
メンバーが膨大なタスクをスムーズにこなすには、具体的なアクションレベルまで業務を落とし込むことが欠かせません。
例えば、以下のようにタスクを洗い出した際、メンバーとしては AとBどちらが取り組みやすいでしょうか?
A:商品の購入者にヒアリングを行う
B:商品の購入者に「購入理由」「使用した感想」を中心にヒアリングを行う
AよりもBのほうがタスクに指定があるため、具体的にどのようなヒアリングを行えばよいかわかりやすいでしょう。
タスクの具体性を上げておけば認識のズレも防止できますし、達成度合いも手軽にチェックできます。
進捗管理では、定期的に「全体の進み具合」をチェックすることが必要です。
どれだけタスクを具体的に洗い出したとしても、高い確率で何らかの問題は発生します。
問題への対処は早ければ早いほど効果的です。
定期的に全体進捗を確認・共有しておくことで、仮に問題が発生しても素早く対処できるでしょう。
問題が発生していなくても、「今後を見据えた提案」「マネジメントに関する相談」など、メンバー間の意思疎通も可能となります。
プロジェクトの進行において、緊急事態が発生したり変更が生じたりすることもあるでしょう。
こうした事態に備えて、リアルタイムで情報共有できる仕組みを整えることも大切です。
SlackやChatWorkに代表されるビジネスツールであれば、メールよりも手軽に連絡が取れるため、リアルタイムの情報共有にぴったりでしょう。
リアルタイムで共有するツールを選ぶ際は、きちんと目的に沿った手段を選ぶことが重要です。
例えばエクセルの場合、リアルタイムでの変更が反映されないため、情報共有には不向きかもしれません。
情報共有を行う際に、メンバーに報告書作成を指示するケースもあるでしょう。
しかし、毎回1から新規で作成するとメンバーの手間や負担が発生してしまいます。
そのため、報告書を作成してもらう際は、テンプレートを活用しましょう。
報告書のテンプレートを作成しておけば、穴埋めする場所が決まっているため作成の手間を軽減できます。
テンプレートの内容としては、例えば以下がよいでしょう。
ただし、テンプレートを活用しても、確認者側に「個別でファイルを開く」という手間が発生する点は考慮しておきましょう。
進捗管理で扱うタスクは、なるべくわかりやすくしたほうが管理しやすいです。
具体的には、図式・チャート・色分けなどを活用して管理するとよいでしょう。
例えば以下のような活用方法が挙げられます。
上記のようにわかりやすく可視化することで、全体の進捗を一目で把握できるため、リソースの再分配などを判断しやすいです。
わかりやすく可視化しておくことで、進捗度合いに関してメンバー全員の認識も揃えられます。
全体計画の進捗をチェックするプロジェクト責任者を決めましょう。
責任者が明確になっていることで、メンバー間のトラブルや不安などを相談する相手を素早く判断できます。
もし計画進捗に遅れが出ているなら、責任者の裁量で全体のスケジュールを見直すことも可能です。
責任者を選ぶ際は、キャリアやメンバーからの信頼度、実務のスキルなどを重視しましょう。
タスクに対する作業時間などの見積もりが甘いと、全体のスケジュールを遅延させる原因となります。
進捗管理を実施するうえでは、ある程度タスクに対して必要な作業時間を見積もることが大切です。
計画の前半でスケジュール遅延が発生すると、納期間近でメンバーに無理をさせる事態になりかねません。
進捗管理の際は、タスクの作業時間の見積もりを、なるべく正確に洗い出しましょう。
全体のスケジュールをスムーズに進行するには、メンバー個人の能力や業務量などを考慮した割り振りが大切です。
過度に能力を超えたタスクを割り振ると、メンバーの負担となり結果として全体の計画が遅延するかもしれません。
また、メンバーの業務量を無視した割り振りをすることも、個人の負担増大につながります。
タスクを割り振る際は、メンバーの能力や現在の業務量、希望などを考慮したうえで配分しましょう。
タスクの中には優先順位を設定すべきものがあります。
例えば「Aのタスクが終わらないとBに取りかかれない」という場合、優先度が高いタスクはAです。
にもかかわらず別のタスクを進行してしまうと、全体のスケジュールに影響を与えるかもしれません。
進捗管理では、タスクの優先順位を正しく設定しましょう。
プロジェクトの進行において、日々状況は変化します。
状況が変化することで、「不要だったタスクが追加で必要になる」「作業の継続が困難になる」という事象も発生するでしょう。
こうした変化する事象をリアルタイムで把握しなければ、個々のタスク進捗に影響を及ぼし全体のスケジューリングも狂います。
全体のスケジュールをスムーズにするためにも、ビジネスチャットツールの活用などによってリアルタイムでの情報共有を心がけましょう。
日報は、1日の終わりに業務内容をまとめて報告するものです。
日報を活用することで、以下のようにさまざまな内容を管理しやすいでしょう。
進捗管理のツールとして、エクセルは手軽で使いやすいです。
無料で始められるうえ、多くの人が直観的に操作できるため、世代を問わず進捗管理ツールとして使えます。
マクロやVBAなどの応用スキルがなくても、文字入力やセル結合、最低限の関数を使えれば十分機能するでしょう。
ただし、エクセルの場合はリアルタイムでの情報共有ができません。
そこで、「エクセルと似た操作性」かつ「編集をリアルタイム共有できる」ツールとして、Googleスプレッドシートがオススメです。
セルへの記入や結合、色分け、グラフ挿入などをエクセルと同じ感覚で実行できるうえ、社内・社外問わずにオンラインで共有できるため、より進捗管理に適しているといえるでしょう。
「メンバーの人数が多い」「タスク量が膨大」などの場合は、ツールの導入も検討しましょう。
代表的なツールとしては、SlackやChatWorkが挙げられます。
両方とも手軽にグループ作成が可能であり、メールより気軽にコミュニケーションが取りやすい点も魅力です。
他にも、進捗管理に使える以下のような多彩なツールがあります。
プロジェクトの規模や予算感に応じて適切な管理ツールを選ぶとよいでしょう。
仕事をスムーズに進行するためには、進捗管理のコツを押さえることが重要です。
進捗管理のコツを押さえることで、イレギュラー事案の発生などを防止しつつ、計画に沿って業務を進行できます。
進捗管理をするうえで、必ずしも有料のツールを導入する必要はありません。
まずは「進捗管理の可視化」「定期MTGの開催」などを通じて、徐々に進捗管理のコツを掴みましょう。
画像出典元:o-dan