データマイニングとは?やり方や得られる効果を事例とともに解説

データマイニングとは?やり方や得られる効果を事例とともに解説

記事更新日: 2022/05/25

執筆: 川崎かおり

ネット上にある膨大な情報をビジネスに生かすには、データマイニングの手法が不可欠です。

データマイニングについて「まだよく知らない」「どのように進めていくべきか分からない」という経営者・担当者も少なくありません。

そこで本記事では、データマイニングの基礎知識や主な解析手法・具体的なやり方を分かりやすくまとめました。

データマイニングの基本を知り、自社の事業戦略に役立てましょう。

データマイニングとは?

データマイニングとは、玉石混交のデータの中から、必要な情報・有益な情報を取り出す技術です。

データマイニングの概要について、詳しく見ていきましょう。

膨大な情報から知識を取り出す技術

データマイニング(Data mining)とは、膨大なデータの中から必要な情報を取り出す技術です。

データを掘り起こす様子は鉱物の採掘にたとえられ、「マイニング(mining:採掘)」という言葉があてられるようになりました。

データの分析には統計学や人工知能(AI)が使われるのが一般的で、都度データは必要な形に加工されます。

情報の切り口・分析の手法はさまざまあるため、データマイニングでは「どのような知識が必要なのか」「何のために使われる情報なのか」を明確化しておくことが重要です。

主なアプローチ方法は2つ

データマイニングのアプローチ方法には、代表的なものとして「機械学習」「統計分析」があります。

1. 機械学習

機械学習とは、「機械」(コンピューター)が自ら学ぶことによって、データの規則や類型を見いだす手法です。

機械の学びには特定の方程式等はなく、機械はデータから直接的に学習していきます。

そのため機械学習では、事前に「仮説」を立ててデータ検証を行う必要がありません。

データマイニングを行うと、仮説・検証を繰り返す従来型のデータ分析にはない、全く新しい発見・結果を得られる可能性があります。

2. 統計分析

「仮説を立てる」「データを集める」「分析する」という、従来型の分析手法です。

分析には統計学や統計論が活用されるため、ある程度統計に関する知識を持つ人や、分析のためのツールが必要となります。

統計分析では、数値上の性質や規則性を見極めながら分析が行われるのが一般的です。

データの用途・性質によって、「回帰分析」「主成分分析」「因子分析」といったさまざまな手法が組み合わされています。

結果はデータの「質」に左右される

データマイニングで精度の高い知識・情報を得るためには、データの質がとても重要です。

膨大なデータを分析する前に、データそのものをきれいに整えて、分析しやすい状態にする必要があります。

データの異常値や欠損・ダブりなどがあれば、取り除いたうえで分析を行わなければなりません。

実際のところ、データマイニングでは「データのならしをいかにしっかり行うか」で分析の精度が大きく違ってきます。

場合によっては、作業時間の大半がデータを整えることに使われるケースもあるでしょう。

データマイニングでできる3つのこと

データマイニングを活用すると、「データのカテゴライズ」「データ同士の関連性」「発生確率の予測」が行えます。

それぞれについて、具体的に見ていきましょう。

1. データのカテゴライズ

データマイニングでは、収集した膨大なデータをある一定の規則や性質・役割等で分類できます。

基準の設定は自由に行えるため、ひとつのデータで数十・数百通りにも分類パターンができるでしょう。

データを細かく分類して対象を絞っておくことは、マーケティングや営業の精度を上げるうえで有益です。

2. データ同士の関連性の発見

膨大なデータの中から、何らかの関連性があるものを抽出できるのです。

データの抽出では一切の思い込み・予備知識が排除されるため、思いもよらないデータ同士に関連性が見つかるケースもあります。

例えばよく上げられる例として、「おむつとビール」は有名です。

子育て中の家庭では、荷物になる紙おむつを買う時は父親に頼むことが多いので、買い物に来たついでに父親は缶ビールを購入している。そこで紙おむつとビールをを並べて販売してみたら、売り上げが伸びたという事例。

 

3. 発生確率の予測

収集したデータを元に、ある事象について事実に基づく予測が行えます。

ここで注目したいのは「予想」ではなく「予測」であるという点。

例えば「暑くなるとビールが売れる」というのは感覚的な予想です。

これに対しデータマイニングでデータを拾えば、「気温が○度になると、ビールの売り上げが△%上がる」という、より精度の高い予測が行えます。

必要な情報には全て数値的根拠があるため、マーケティング・営業等では確度の高いアプローチが行えるでしょう。

データマイニングの主な解析手法3つ

データマイニングの統計分析では、さまざまな解析方法が使われます。

中でも特に多く使われる「ロジスティック回帰分析」「クラスタリング」「マーケット・バスケット分析(アソシエーション分析)」について紹介します。

1. ロジスティック回帰分析

複数の要因から、特定の結果が発生する確率を説明・予測する手法です。

結果は特定の結果は「A or B」で表わされるため、特定の結果が「起きるか・起きないか」を知りたいときに適しています。

分析では「データの粒がそろっていなければならない」「数量データ2値のデータのみしか使えない」などの決まりがあるため、対象データを整えたり選別したりが必須です。

2. クラスタリング

データの類似度に基づいてグループ分けを行う手法で、機械学習の手法のひとつ

クラスタリングによって分類されたグループは「クラスタ」とよばれます。

クラスタリングの特徴は「前提がないこと」です。

分類は機械がデータの特徴を学びながら行うため、予想していたような分類にならないケースも多々あるでしょう。

クラスタリングが有益とされるのは、マーケティングにおける「セグメンテーション」などです。

顧客を属性別に適切に分類できれば、訴求もしやすくなります。

マーケティングの確度が上がり、製品・サービスの売上向上が期待できるでしょう。

3. マーケット・バスケット分析(アソシエーション分析)

組み合わせて購入されやすい商品を明確化する手法です。

例えば先述の「おむつとビール」は、マーケット・バスケット分析の例としてよく知られています。

データ分析によりおむつとビールの関連性が導き出され、2つを並べて売り出すと売上が伸びたという事例です。

マーケット・バスケット分析の注意点としては、必ずしも意味のある組み合わせが抽出されるとは限らないことです。

「なぜこのような組み合わせとなったのか」という仮説を立てて検証しないと、売上に結び付く有益な組み合わせは発見できません。

データマイニングのやり方3ステップ

データマイニングでは多量なデータを必要としますが、「ただストックすればよい」というものではありません。

データマイニングでは、データを適切な形で保管しておくことが必要です。

ここからはデータマイニングのやり方について、詳しく見ていきましょう。

1. データの収集

データマイニングを活用するなら、何を置いてもデータの収集が必要です。

サンプルは多ければ多いほどデータの信頼性が上がるため、生状態のデータをひたすら集めましょう。

データを収集するときの注意点は、人の手を加えないことです。

「古いデータだからいらないだろう」「数値がおかしいから外しておこう」などと考えてはいけません。

まずは「母数を集める」ことが重要なので、あるがままのデータをストックしてください。

データをストックする場所としては「データレイク」の活用がおすすめです。

データレイク(情報の湖)とは、まだ解析されていない未加工の非構造化データ(多種多様なファイルや、文書、メール、画像、動画など)を蓄積するデータベース。

安価なストレージを無制限に使えるため、容量を気にせずにデータ収集が行えます。

2. データクレンジング

ストックしたデータは生状態のため、そのままではデータとしての有益性が発揮できません。

大量のデータを分析に生かせるよう、データ分析に適した形にデータクレンジングしましょう。

データクレンジングとは、データの形を整えて有効性を高めることです。

例えばデータの表記に半角・全角が混じっていたり、通称と正式名称が入り交じっていたりすると、期待するデータを抽出できません。

一定の規則・表記ルール等に従って、不要なデータの削除や修正が必要です。

近年は、データクレンジングを自動化する便利なツールがさまざまあります。

自社の使い方に合うものを選んでみてください。

3. データの保管

データを分析しやすい状態に整えたら、データを元の場所と分けて保管しましょう。

分析用データの保管には、「データウェアハウス」が使われるのが一般的です。

データウェアハウスとは、データの分析に特化した倉庫のようなもの。

抽出対象のデータをピンポイントで引き出せるため、データ抽出までの時間が短いのが特徴です。

ストレージ容量も多いため、たくさんのデータを格納できます。

4. データの分析

データを適切な形で保管できれば、いつでもデータマイニングが行えます。

目的に合う分析手法を選択し、マーケティングや営業に応用しましょう。

データマイニングの活用事例

データマイニングの手法については理解したものの、実際にどのように使われているかイメージできない人もいるのではないでしょうか。

ここからは、データマイニングの活用事例を業種ごとに紹介します。

金融業

銀行・生命保険会社・証券会社・消費者金融などでは、さまざまなデータを整理してローン審査に役立てたり、精査した顧客ニーズを金融商品の提案に活用したりすることが行われています。

例えば、データマイニングによって業務が効率化・高精度化したといわれるのは以下の分野です。

  • 個人ローンの与信審査:必要な個人データから融資の可否を測る
  • 生命保険解約の抑止:解約済みデータを検証し解約予備軍を見つける
  • 各人に最適な自動車保険の提案:年齢・事故歴・運転年数等から、最適な自動車保険を提案する
  • クレジットカードの不正使用防止:金額・日付・店舗情報等から不正利用をチェックする
  • 消費者金融ローンの与信審査:顧客の属性・キャッシング履歴等で与信審査を行う
  • メールターゲティング:顧客の行動を予測しヒット率を上げる など

 

製造業

社会のデジタル化が進む中、さまざまな製品がデジタル対応してきました。

製品が高度化した分、製造工程は複雑化しており現場の負担は大きくなったといわれます。

そんな製造業では、製造に関するさまざまなデータを収集・分析し、業務効率化に役立てられているのです。

例えば、以下のような業務に生かされています。

  • 故障検知:故障履歴のデータから類似を導き出し、故障を検知
  • 機器メンテナンスのタイミング把握:メンテナンスデータを元に、メンテナンスのタイミングを予測
  • 環境予測:使用電力予測を行い、エネルギー消費量を調整 など


このほか、「目標の数値と実績をデータで比較して問題点を洗い出し、業務改善につなげる」といったことも行われています。

教育業

教育業界は、データマイニングの活用が広がると期待されている業種です。

国が立ち上げた「GIGAスクール構想(文部科学省)」により、子どもにはそれぞれデジタルデバイスが付与されるようになりました。

ビッグデータの収集が容易になったことから、今後の教育改善や学習支援に生かそうという取り組みが始まっています。

教育業で期待されるデータマイニングの活用法は、以下のとおりです。

  • 子どもの学習支援:学習データを元に理解度を予測し、個人に適した教材を選択する
  • 自動採点:学習データを利用して、教師の負担を軽減する
  • カリキュラムの作成;学習データに基づいて、学年ごとに最適なカリキュラムを用意する など


学習データを収集・活用していくため、データの扱いに長けた「教育サイエンティスト」の養成や、全国規模のインターネット環境の整備が行われています。

データマイニングの効果と課題

社会全体のデジタル化が進む中、企業戦略にデータマイニングを取り入れる企業が増えているのです。

データマイニングを活用することによって企業が得られる効果、さらには踏まえておきたい課題も紹介します。

企業戦略としてのデータマイニング3つの効果

1. 販促活動が安定する

データマイニングで予測・分析を行えば、顧客の購買行動の予測や顧客の消費傾向をつかみやすくなります

正確なターゲティングのもと、ムダのないマーケティングを展開できるでしょう。

例えば顧客の購入履歴を分析すれば、「SNSで人気の商品が売れている」「トレンドカラーの赤を買う人が多い」というデータが見えてきます。

SNSでのマーケティングを強化したり、トレンドを反映した色を増やしたりするなど、売上に直結する販促活動が展開できるでしょう。

2. 顧客満足度が高められる

データマイニングで顧客の行動データ・購買データをそろえれば、顧客の好みや興味を把握するのは難しくありません。

顧客に合わせた提案アプローチが可能となり、顧客満足度の向上につながります。

顧客の満足度が向上すれば、リピーターやファンになってくれる人も出てくるはずです。

いわゆる「優良顧客」の増加につながり、売上が安定しやすくなります。

3. 課題の可視化

データマイニングによってデータ分析を行えば、自社の弱点・課題が数値として確認できます。

「企業としてどこに力を入れればよいか」が見えやすくなり、経営戦略の方向性を決めやすくなるでしょう。

事業展開において重要なのは「顧客行動の分析」と「課題の明確化」です。

これらはどの企業も当然行っていることですが、データマイニングを取り入れることで精度・スピードが上がります。

データマイニング3つの課題

1. 情報の専門家やツールの導入が必要

データマイニングでは、「正しく情報を扱うこと」が必要です。

専門家の知識と見解が必要ですが、人材の確保は難しく、「データはあるけれど、ビジネスに生かせる分析を行えない」という企業も少なくありません。

人材は自社で育成するのが望ましいですが、専門家レベルまでに育てるにはコストと時間がかかります。

せっかくのデータをムダにしないよう、人材育成と並行してツールの導入も検討しておくと安心でしょう。

2. コストがかかる

データマイニングには、一定のデータが必要です。

収集したデータを格納しておく場所を確保するために、ある程度のコストがかかります。

また収集したデータには、個人情報が含まれているケースも多いはずです。

適切な管理が必要となり、セキュリティコストもかかります。

万が一個人情報が漏えいすれば、企業への信頼は失墜し、経営上大きなダメージは避けられません。

情報管理には細心の注意を払うことが必要です。

3. 常に正しい分析結果を得られるわけではない

データマイニングを行っても、その結果が常に正しいとは限りません。

収集したデータが間違っていたり質が低かったりすれば、データマイニングの結果をビジネス戦略の根拠とすることは難しくなるでしょう。

実際のところ、ビッグデータには信頼性の薄いデータが数多く紛れています。

条件定義を適切に行ったり情報を取捨選択したりするスキルがないと、いくらデータマイニングを行っても、企業利益に結び付くような結果を出すのは困難かもしれません。

まとめ

データマイニングによって、膨大な情報から必要な知識を正しくピックアップすることで、実績ベースのマーケティング戦略・営業戦略を立てやすくなります

安易にデータマイニングを行うと、全く別の方向に向かってしまうおそれもあるため、情報についての知識や分析スキルを持つ専門家もときには必要です。

データマイニングを経営戦略に活用する際には、ツールの利用・外部ソースの利用等で「データを正しく扱う」ことに注力すると、「優良顧客」の増加や精度・スピードの向上につなげられるでしょう。

画像出典元:Pixabay・Unsplash

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