シングルサインオン(SSO)とは?導入のメリット、仕組みを解説!

シングルサインオン(SSO)とは?導入のメリット、仕組みを解説!

記事更新日: 2021/04/14

執筆: 編集部

セキュリティ対策で長いパスワードを設定するようにすすめられますが、利用するサービスが増えるとパスワードを管理するのがたいへんという悩みが生まれます。

そんな悩みを解決する方法のひとつがシングルサインオン(SSO)です。

この記事ではシングルサインオンの定義、シングルサインオンの4つの方式とそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

この記事をシングルサインオン導入を検討するきっかけとしてください。

シングルサインオン(SSO)とは?

シングルサインオン(Single Sign On)とは、1個のIDとパスワードだけで認証を行い、複数のWebシステムやクラウドサービスにアクセスできる仕組みです。「SSO」と略して呼ばれることがあります。

シングルサインオンが必要とされる背景

IDとパスワードを入力して利用するサービスが増えてきたことが背景にあります。

たとえば、個人レベルではメールソフトやSNS、Amazonや楽天などのECサイト、仕事で利用するものには、ChatWorkやSlackなどの会議ツールやグループウェア、会社が導入している業務システム、その他さまざまなクラウドサービスなどです。

個人情報の保護や会社の資産ともなる情報を保護するために、IDやパスワードはきちんと管理しなければなりません。

しかし、利用するIDやパスワードが増えると、「パスワードを忘れた」「毎回IDとパスワードを入力するのが面倒」「短いパスワードだと悪用されるリスクがある」などの問題が生じます。

こうした問題を解消する方法のひとつとして生まれた技術がシングルサインオンです。

シングルサインオンを導入すれば、最初の1度だけログイン処理をすれば、後はログイン処理なしでシステムが利用できます。

シングルサインオンの4つの方式

シングルサインオンには4つの方式があります。それぞれの方式と特徴について紹介します。

1. エージェント方式

WebサーバやアプリケーションサーバにOpenAM(オープンソースの認証ソリューション)「エージェント」というソフトウェアを導入し、シングルサインオンを行う方法です。

エージェントがブラウザとアプリケーションの通信の間に介入し、SSOサーバに認証状態を確認することで、シングルサインオンが実現できます。

エージェント方式のメリット・デメリット

メリット
  • ネットワーク構成の変更なしですぐ導入可能
  • 拡張性にすぐれている
デメリット
  • エージェントのインストールが必須
  • エージェントのバックアップが必要
  • アプリケーションによっては対応していないものがある

 

2. リバースプロキシ方式

ブラウザとWebサーバの間にリバースプロキシサーバを設置し、そのリバースプロキシサーバにOpenAMのエージェントのソフトウェアを導入して、シングルサインオンを行う方法です。

リバースプロキシ方式のメリット・デメリット

メリット
  • それぞれのWebサーバーやアプリケーションサーバーへのエージェント導入が不要なので、複数のアプリへの展開がしやすい
  • システムの外部公開が必要な場合、リバースプロキシサーバを介しているので、安全にシステムを公開できる
デメリット
  • 利用するすべてのアプリへのアクセスがリバースプロキシサーバを経由するように、ネットワーク構成を変更しなければならない
  • リバースプロキシサーバの負荷分散をするために、ロードバランサの導入などを検討しなければならない

 

3. 代理認証方式

対象となるアプリのログインページに、ユーザーの代わりに、リバースプロキシサーバがIDとパスワードを代行入力しログインを完了させ、シングルサインオンを行う方法です。

エージェントソフトを連携させたシングルサインオンができないアプリなどにこの方式は有効です。

代理認証方式のメリット・デメリット

メリット
  • 対象となるWebアプリやクラウドサービス側の変更が不要なので比較的導入が簡単
  • IDaaSと組み合わせてIDやパスワードを管理すれば簡単にシングルサインオンを導入できる
デメリット
  • 構成の都合上、対象となるすべてのクライアントのPCにOpenAMのエージェントを導入する必要があるので、該当するPCの台数が多いとそれが導入の障害となる可能性がある

 

4. フェデレーション方式

フェデレーション方式とは、異なるドメインの間で、安全に認証されたユーザーの同一IDとパスワードを連携させログインできるようにする方式です。

業務管理でクラウドサービスを利用するケースが増加し、社内環境のみシングルサインオンにするのではなく、社外サービスでもシングルサインを利用できないかというニーズが増えました。

フェデレーション方式で使える認証プロトコルが標準化されることで、自社システムだけでなくさまざまなクラウドサービスも同じIDとパスワードで利用できるようになりました。

フェデレーション方式のメリット・デメリット

メリット
  • Googleアプリ、Salesforce、Office365などのクラウドサービスがフェデレーション方式に使えるSAMLやOpenID Connectなどの認証プロトコルに対応している
  • シングルサインオンサーバおよびクラウドサービスの設定のみで導入可能
デメリット
  • 利用したいWebアプリのサーバおよびクラウドサービス事業者側が標準化された認証プロトコルに対応している必要がある
  • 国内クラウドサービスの中には、標準化された認証プロトコルに対応していないものもある

 

シングルサインオン導入のメリット

企業がシングルサインオンを導入することで得られるメリットを3つ紹介します。

1. 従業員が本来の業務に専念できる

シングルサインオンを導入すれば、それぞれの利用者は、複数のIDとパスワードを覚えたり、紛失したりしないようにすることから開放されます。

シングルサインオンを導入し、認証作業のルールを一元化すれば、システムの管理者はその作業を軽減できます。たとえば、新規利用者の登録、退職者などのIDやパスワードの利用停止や抹消、パスワードを忘れた人への再発行などの作業負担が軽くなります。

このように、それぞれの利用者も、システム管理者も作業負担が軽減し、本来の業務により集中できるようになります。

2. セキュリティ強化ができる

複数のアプリやクラウドサービスを利用する場合、しばしば以下のような事柄が起こります。

  • モニターに付箋に書いたパスワードを貼っている
  • 長いパスワードは覚えられないので短いものにしている
  • 同じパスワードを使い回している

こうした状況はアカウント情報の漏洩などの問題につながります。しかし、盗むのが難しい長いパスワードを設定し、それをシングルサインオンを導入して管理すれば、セキュリティ強化ができます。

3. 新規システムの開発や導入が行いやすい

シングルサインオンによる認証システムに社内システムを統一しておけば、それに連携させる新規ステムを開発したり導入したりするときに、導入期間を短くでき、コストを抑えることもできます。

シングルサインオン導入のデメリット

シングルサインオンを導入すればさまざまなメリットが獲得できます。しかし、前もって知っておくべきデメリットもあります。

1. マスター・アカウント情報の漏洩

シングルサインオンの導入により、それぞれの利用者やシステム管理者の利便性は向上します。しかし、マスター・アカウントがもし流出したりすれば、シングルサインオンを導入しているすべてのアプリやクラウドサービスに簡単に不正アクセスできるようになります。

こうしたリスクを回避するために、定期的なパスワードの変更が行なえます。また手間が増えますが、ワンタイムパスワードや生体認証などを組み合わせた多様性認証の導入も検討できるでしょう。

2. 連携できないサービスがある

国産のクラウドサービスなどでは、標準化された認証プロトコルを利用していないので、シングルサインオンと連携できない場合があります。

自社で利用しているクラウドサービスが、シングルサインと連携できるかどうか前もって確認できるでしょう。

シングルサインオンは中小企業でも導入可能!?

自社でのシングルサインオン導入を検討しているなら、初期費用・月額費用が気になります。現在利用できるシングルサインオンのサービスの中には、オンプレミス型とクラウドサービス型があります。

クラウドサービス型はオンプレミス型よりも導入費用が安いのが特徴です。

中には初期費用0円、月額費用1,000円以下で利用可能なサービスもあります。ですから中小企業でもシングルサインオンの導入は可能です。

いくつかのサービスの導入費用や機能を比較して、その中から自社のニーズに調和したサービスを選べるでしょう。

こちらの記事では起業ログでおすすめのシングルサインオンのサービスを15選紹介しています。ぜひ参考にしてください。

 

まとめ

シングルサインオン(SSO)とは、1個のIDとパスワードだけで認証を行い、複数のWebシステムやクラウドサービスにアクセスできる仕組みでした。

シングルサインオンを利用すれば、アプリやクラウドサービスの利用者は面倒なパスワードの管理作業から解放されます。

さらに盗まれにくい長いパスワードを設定し、それをシングルサインオンで管理すれば、セキュリティ強化にもなります。

中小企業でもクラウドサービス型のシングルサインインを導入すれば、初期費用・月額費用のコストを抑えることができます。この機会に自社にふさわしいサービスを選んでみてください。

画像出典元:pixabay

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