すたみな太郎は昔から苦しかった?【コロナショック前の業績に迫る】

すたみな太郎は昔から苦しかった?【コロナショック前の業績に迫る】

記事更新日: 2024/05/29

執筆: 西 郁哉

3月23日、食べ放題チェーン「すたみな太郎」が大量閉店すると発表され、巷で話題となりました。

運営会社の江戸一の発表によれば、全店舗の約1割にあたる、12店舗が閉鎖されるとのことです。

 

ああ、流石のすたみな太郎もコロナには勝てないか…

と、聞いたときはそう思いました。

ですが、調べてみると、どうやらコロナ以前からすたみな太郎の業績は怪しかったようなのです。

そこでこの記事では、主にコロナショック以前のすたみな太郎について、まとめていきます。

 

 

ポラリスキャピタルによる買収

※「HOT PEPPERグルメ すたみな太郎青森店」より

2014年8月、投資ファンドのポラリスキャピタルグループによる、すたみな太郎の運営会社である株式会社江戸一の買収が発表されました。

その買収額は、約90億円ほどでした。

そもそも、1978年に初めてオープンされたすたみな太郎は、バイキングレストランとして好調に売り上げを伸ばしていましたが、同業との競争が激化する中で、業績は悪化傾向にありました。

そんな中、ポラリス傘下のファンドであるポラリスキャピタルグループが、旧:江戸一を吸収合併する形で、新しく江戸一という会社を設立したのです。


その後の江戸一は、ポラリス主導のもと、将来上場を目指して経営再建に取り組みました。

具体的には、すたみな太郎以外の事業整理、並びに、小規模で効率がいい都市型店舗の集客力のある駅前への出店を行いました。

それまでのすたみな太郎は、多くが郊外に立地しており、主に車での来店を見込んでいましたため、電車での来客を狙うという意図があったようです。

こうして新たに出店され始めたのが、『すたみな太郎の進化系』として展開された、「すたみな太郎NEXT」だったのですね。

 

「客テロ」の被害

※株式会社江戸一公式サイトより

2019年2月、ネット上で、タレ入りボトルに口をつけて飲んだり、グラスを割ったりといった迷惑行為をする客の動画が拡散されました。

この動画の撮影場所として、「すたみな太郎」の文言が書かれており、ある人物がTwitterに投稿したこの画像は、YouTubeや5ちゃんねるなど、複数のサイトで拡散されてしまい、すたみな太郎は多大なる風評被害を受けました

 

※J-CASTニュースより

そうした中、運営会社の株式会社江戸一は、その動画の撮影場所が「すたみな太郎」の店内であることを否定しました。

しかし、このようなSNSによる風評被害はリカバリーが非常に難しいものです。

実際に、2019年3月期売上高約200億円に対し、4億8700万円の最終赤字を計上しました。

また、これは5期連続の赤字で、自己資本比率は8.9%と、10%を割り込みました。

 

キャピタルソリューションへの売却

※公式ホームページより

2019年8月ポラリスはホームページ上で、江戸一からのバイアウトによるイグジットを発表しました。

これは、業績改善が遅れ、江戸一に対するポラリスの再建方針に注目が集まっている中での出来事でした。

ポラリス江戸一の再建に着手して5年、最終赤字を脱しない中でのイグジットであったため、事実上の経営再建への白旗宣言と捉えてよいでしょう。

売却先はキャピタルソリューションという山田コンサルティンググループの100%子会社で、投資・ファンド事業を手掛ける企業でした。

一方で、江戸一の役員には、株式会社ダイエー(パチンコホール経営)の社長以下2名の役員が就任し、江戸一の株式もキャピタル社を経由してダイエーのグループ会社に売却されたため、株式会社江戸一は事実上ダイエー傘下に入りました

そのため、江戸一の経営再建は、異業種のダイエーに託される形となったわけです。

 

コロナによる外食産業への衝撃

そんな中で起きたのが、新型コロナウイルスの感染拡大による外食産業への衝撃でした。

すたみな太郎は、政府によるビュッフェ形式の食事自粛の呼びかけなどを受け、3月5日から全店舗を営業自粛していました。

その後、17日には一部店舗を除き営業を再開しましたが、23日12店舗の閉店が発表されてしまいました。

閉店となる店舗は、小平小川町店(東京)、八王子堀之内店(東京)、東浦和店(埼玉)、ベイタウン本牧5番街店(神奈川)、石岡店(茨城)、下館店(茨城)、榛原店(静岡)、西友沼津店(静岡)、大分店(大分)、小松島店(徳島)、春野店(高知)、新宮店(福岡)の12店舗で、このうち5店舗の閉店は既に公表されていましたが、新たに7店舗が追加されることとなりました。


現在、すたみな太郎のトップページには

「NEVER GIVE UP!!あの楽しかったひと時を取り戻そう!」

「私たちも負けない!営業自粛を決めた時にいただいた、たくさんの応援の声を私たちは忘れません。第一歩を踏み出します」

という前向きなメッセージが掲げられています。

私個人としても、是非ともこの苦境から立ち直って欲しいところです。

 

 

まとめ

※すたみな太郎公式サイトより

以上、すたみな太郎のこれまでについてまとめてきました。


閉店になるまで好きだったお店の異変に気づけない」というのは実によくある話ですが、今回の一件もまさにそのパターンだったように思います。

個人的な話ですが、私はすたみな太郎有名なレビュー記事がとても好きで、たまに読むたびに、すたみな太郎に顔を出していました。

そんな私も好きな店なので、みなさんも声援を送るだけでなく、可能なら、また店舗に行ってみて欲しいなと思います。

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