BIツールは、企業の意思決定に必要な情報を集計・分析する際に役立つツールです。
戦略実行に必要な分析を手軽に行えるため、業務を効率化し自社の売り上げを伸ばす手段として欠かせません。
今回の記事では、BIツールのシェア率や選び方のポイントなどを解説し、さらには人気BI
ツールの紹介もしていきます。
ぜひ、BIツール選びの参考にしてみてください!
このページの目次
「BIツール」とは、Business Intelligence(ビジネスインテリジェンス)ツールの略です。
ビジネスインテリジェンスとは、企業の意思決定に必要な情報を集計・分析し、経営判断や戦略実行に生かすことを指します。
BIツールを用いることで、以下のように幅広い範囲の情報を効率よく分析して戦略実行に活用可能です。
【BIツールで分析できること】
上記のような情報をすべて人の手で分析すると、膨大な時間がかかります。
分析に時間がかかると、目まぐるしく変わる市場の状況についていけません。
周囲の状況に合わせ、その都度適切な戦略を打つためにもBIツールは重要な存在です。
BIツールは、主に以下3つの要素について対応することができます。
BIツールでは、複数の保管場所で管理されているデータを集約して分析することが可能です。
全社のデータを集約する場合は、いくつもの部署を横断したり、散在している保管場所を探したりすることが必須になります。
企業規模が大きくなるほど、その数がより膨大になるため、人力での管理には限界があります。
BIツールではサーバー上にすべての情報が集約されるため、手軽に一元管理できます。
場所を問わずデータを確認できるため、従来のようにExcelデータを探すといった手間も減らして業務を効率化できるでしょう。
BIツールは、分析結果をまとめて出力できるレポート機能も搭載されているケースが多いです。
レポートは単に数字がまとめられるだけでなくビジュアルも作り込まれています。
見やすい資料を手軽に作成できれば、分析結果を可視化して共有するための時間を確保しやすいです。
誰でもわかる形で結果を分析できれば、認識をずらすことなく議論を交わすこともできます。
レポート作成に時間を取られず、戦略を練るために重要な「共有」「議論」にリソースを割けるのは、BIツールの大きな魅力です。
BIツールを使うことで、多方面の情報を正確に管理し、あらゆる角度から分析することが可能になります。
多方面からデータを深く分析することで、データの法則性や売り上げ予測なども立てられるでしょう。
データに基づいた法則性や予測を立てれば、経営判断やマーケティング戦略の精度を高められます。
例えば以下のような高精度の判断や戦略を打ち出すことができます。
【より具体的な戦略例】
▶︎ 来年以降の市場規模は◯倍以上になると予測できるので、事業への投資額を増大しよう!
▶︎ SNSや問い合わせの意見をもとにすると◯◯という機能を追加したほうが売り上げは伸びる!
▶︎ データ同士の関連性を見直すことで新たな顧客ニーズを見つけられた!ニーズに即したマーケティングを展開しよう!
経営判断を迅速に実行するうえで重要なBIツールですが、具体的にどの程度の市場シェア率を持つのでしょうか。
2019年3月にガートナー社が行った調査において、BIツールを導入している企業の割合は「74%」という結果になっていました。
業務効率化のアイテムとしてBIツールがかなり普及していることがわかります。
同調査では、週に1回以上利用している人の割合が「49%」という結果も出ています。
定期的に使う人の割合も多く、企業経営においてBIツールは欠かせないものであるといえるでしょう。
(※参照元:ガートナー|企業におけるBIツールの導入状況に関する調査結果を発表)
ミック経済研究所の調査によるとBIツールの国内市場規模は、2020年度に「3,977億円」となっています。
前年度比でも114.2%増大しており、BIツール市場の成長がうかがえるでしょう。
BIツールの市場規模は年々増加しており、2025年度には7,368億円に到達すると考えられているようです。
(※参照元:ミック経済研究所|ビジネス・アナリティクス市場展望2020年度版)
これだけ高い市場成長率を誇る理由としては、以下のような理由が考えられます。
新型コロナウィルスによって非対面の業務が推奨されていきました。
非対面が推奨される中、サーバー上でやり取りできるBIツールが推進されたのは自然な流れともいえますね。
また、現代では従来より顧客のニーズが細分化したことも、BIツール拡大の要因のひとつです。
ニーズが細分化すると、顧客にマッチするサービスを提供するために、より細かい状況分析が必要になります。
分析精度を向上させて多様な顧客ニーズへ対応するには、BIツールのような製品を活用することが欠かせません。
そこで、製品の必要性が上がれば、BIツールの提供企業側も、競合に負けない質の高いツールを開発する契機となるでしょう。
こうした一連の循環が加速することで、BIツールの市場規模も拡大していると考えられます。
実際にビジネス上で使われる機会が多いBIツールをランキング形式で8つご紹介します。
今回紹介する8つのツールは、当メディア「起業ログ」に寄せられた口コミ数をもとにランキングを作成しています。
【BIツール口コミ数ランキング】※起業ログ編集部調べ
1位: Tableau
2位: Motion Board Cloud
3位: Qlik Sense
4位: DOMO
5位: Micro Strategy
6位: Actionista!
7位: Yellowfin
8位: Lakeel BI
「Tableau」は、直感的なビジュアルによりドラッグ&ドロップで簡単に利用できるBIツールです。
視覚的に使いやすい点が特徴であり、分析データを探したりデータの加工をしたりなど、さまざまな作業を手軽に実行できます。
「Excelによる集計の手間が減った」というような口コミが多く見られ、毎日の細かい作業を効率化するのにピッタリです。
各種データの数値化も手軽に実行できます。
最低購入数が設けられてはいますが、BIツールとしてはリーズナブルな価格設定のため使いやすいでしょう。
ただし、公式HPが英語ベースのため、やや情報を読み取りにくいことが難点です。
不安な場合は14日間の無料トライアルで使い心地を試してみましょう。
「Motion Board Cloud」は、導入企業数2000社を超える国内シェアNo.1を誇る人気のBIツールです。
同製品は経営・マーケティング・営業など、非常に幅広い業務で活用できるBIツールです。
以下のような業界特有のニーズをカバーしたデザインになっており、どの業種でも手軽に利用できます。
【小売流通業】地図やカレンダー機能
【製造業】管理図やガントチャート機能
【営業】進捗状況の把握機能
ボードサンプルもニーズの高い業種向けに取り揃えられており、次のアクションも違和感なく一目で確認できます。
使い慣れたExcelからのデータ集計やソースの更新なども実行可能です。
ただし、口コミを見ると動作の重さやエラーに関する意見が散見されました。
体験デモでは60種類以上のダッシュボードをチェックできるため、不安な人は事前に幅広くチェックしておきましょう。
「Qlik Sense」は、独自の連想エンジンを搭載しているBIツールです。
連想エンジンとは、集計データ同士を組み合わせて関連性を明らかにし、新しい発見を見出す機能を指します。
連想エンジン機能によって、あらゆるデータを見落とさずに有効活用できるようになりました。
SaaS・オンプレミスなど、さまざまなプラットフォームを組み合わせてデータを分析できるため、幅広い情報を制御可能です。
レポートについても、ドラッグ&ドロップだけで直感的に作成できます。
レポートの一元管理・共有・関係者への配信も簡単に実行できるため、社内での意識決定スピードがグッと上がるでしょう。
無料のお試し版もあるため、気になる人は一度チェックしてみることがオススメです。
ただし、公式サイトやヘルプ部分が英語である点は注意しましょう。
「DOMO」は、SaaS型BIとしては国内市場No.1の人気を誇るツールです。
DOMOは、大量のデータを効率よく分析できる点が特徴です。
1,000を超えるコネクターによってあらゆるデータに接続可能であり、取得〜分析までの時間を大幅に短縮できます。
データの可視化は、150以上のチャートと7,000以上の豊富なカスタムマップによって実行されます。
トレンド把握機能も搭載されているため、わかりやすいレポートで瞬時にビジネスの現状を把握できるでしょう。
DOMOで作成された全カードは自動でモバイル対応されるため、手軽に全従業員がデータをチェックできます。
口コミをみても、営業活動の進捗が把握しやすくなったというような意見が散見されました。
ただし、具体的な料金は公式サイトに掲載されていないため、導入前の予算策定の際は若干不便です。
「Micro Strategy」は、集計や分析の経験がなくても手軽に利用できるBIツールです。
時系列の変化や偏差など、データをさまざまな角度からビジュアライズしてレポートを作成できます。
データの配信先については、個人・部門・全社など共有したい相手に応じて柔軟に変更できます。
共有データはあらゆるデバイスに自動で対応できるため、どこにいても手軽に確認可能です。
ただし口コミを見ると、インターフェースに慣れるまでは比較的時間がかかるという意見が散見されました。
「Actionista!」はWebブラウザでの操作のみで完結できるBIツールです。
専用サーバーなどの開発環境が不要なので手軽に導入して利用できます。
一般的な集計ピボットを用いて分析し、結果に応じて最適なグラフを表示可能です。
コスパも非常に高く、ライセンスを1つ購入するだけで自社内すべての従業員が利用できます。
コストが変わらないため、ユーザー数が多くなる大企業での導入にオススメです。
BIツールは海外製品も多いですが、開発・販売・サポートまでをすべて国内の自社で実行している点も心強いでしょう。
口コミを見ると、機能性が抜群な分だけ操作に慣れるまで時間がかかるという意見が散見されました。
無料トライアルも実施しているため、操作性が気になる場合はお試しで導入することをオススメします。
「Yellowfin」は、ダッシュボードから手軽にアクションを実行しやすいBIツールです。
ダッシュボードから直接、発注・メモ・必要なリクエストなど、さまざまな作業に切り替えられます。
AIも搭載されているため、ダッシュボード上の情報をもとにしてユーザーの疑問に瞬時に回答してくれます。
AIがダッシュボードをチェックしているので、データの重要な変化も見逃しません。
週・月ごとなど、希望の期間内における振り返りも実行できるため、ダッシュボードひとつで業務を大きく効率化できるでしょう。
ただし、他のツールに比べると若干HTMLなどの専門知識が必要な場面も出てくるようです。
30日間の無料トライアルがあるため、気になる人はお試しで使い勝手をチェックしておきましょう。
「Lakeel BI」は、業務別に豊富なテンプレートを取り揃えているBIツールです。
営業・財務・予算管理など多くの業務に対応しているため、全社のあらゆる仕事で活用できます。
馴染み深いExcelに近い操作感であるため、特別な知識がなくても直感的に利用できる点が魅力的です。
導入前には、ユーザーのサンプルデータを利用した研修会も実施してくれます。
ユーザーの操作レベルに合わせ細かいサポートも用意しているため、効率的に使えること間違いなしです。
料金はサーバーライセンス型のため、ユーザー数やデータ容量による変動が発生しません。
手厚い導入サポートを踏まえると、かなりコスパは高いと言えるでしょう。
BIツールには魅力的な製品が数多く存在します。
実際にBI ツールを選ぶ際は、以下3つのポイントに着目して比較・検討しましょう。
▶︎ 操作性と分析レベルは釣り合いが取れているか
▶︎自社の業種や業務に適応した機能が搭載されているか
▶︎コストはどのくらい発生するか
難しい経営上のデータ集計や分析などは本来、知識が必要で手間もかかる工程です。
BIツールは難しい分析作業も手軽に実行できる点は魅力ですが、求めるレベルの結果を得られなければ意味がありません。
作業の手軽さも重要ですが、きちんと自社が求めるレベルの結果を出せるツールであるかは確認しておきましょう。
BIツールには「製造業向け」「財務管理向け」など、業種・業務に特化した製品もあります。
業種や業務に適合したテンプレートや機能を搭載しているBIツールであれば、カスタマイズをしなくても直感的に利用可能です。
操作性に戸惑うことなく直感的に利用できれば、業務効率をより向上できます。
ユーザー数が多い企業であれば、なおさらスムーズな操作性は必須の要素です。
BI ツールの料金プランは企業によってさまざまです。
ライセンスやデータ量に応じて変動する製品もあれば、分析テンプレートの数ごとで追加費用が発生するケースもあります。
企業規模が大きい場合、ライセンスに応じて費用が変動する製品は負担が大きいでしょう。
一方で、サーバーライセンス型やクライアントフリーの製品であれば、導入数が増えても費用は変動しないことが多いです。
上記のライセンス体系なども考慮して、自社の予算感とマッチするBIツールを導入しましょう。
なお、上記紹介したツールからもわかる通り、具体的な料金プランは「要問い合わせ」となっているケースが多いです。
BIツールは、自社の経営上の判断を迅速に行うために必要なツールです。
戦略の実行までをコンパクトにできれば、業務全体の効率化も図れます。
BIツールを選ぶ際は、操作性や業種への特化性など、さまざまな面からコスパを判断して自社に相応しい製品を選びましょう。
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