神戸×スタートアップ SESSA -KOBE STARTUP DEMODAY イベントレポート②

神戸×スタートアップ SESSA -KOBE STARTUP DEMODAY イベントレポート②

記事更新日: 2022/04/11

執筆: 編集部

2022年3月16日(水)、神戸市主催の「SESSA -KOBE STARTUP DEMODAY」が開催されました。

「行政を変える、地域を変える、”これまで”を変える。スタートアップと”これから”を変える。」をテーマに、第1部の「GovTechサミット」では神戸市とともに成長しているスタートアップ事例の紹介を、第2部の「SESSA Startup Pitch」では国内外注目のスタートアップピッチバトルを実施しました。

第1部のレポートはこちら

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この記事では、第2部に行われた「SESSA Startup Pitch」の様子をお届けします。

神戸市が過去に実施してきた500 Global(世界的なアクセラレータ兼ベンチャーファンド)と連携した育成プログラム「500 Founder Academy in partnership with Kobe 」とオーダーメイド型起業家支援「グローバル・メンターシップ・プログラム」から選抜した9社のスタートアップが登場しました。

登壇企業

  • AironWorks
  • コールドストレージ・ジャパン
  • Smart Tissues
  • Smart Panel Technologies
  • T-ICU
  • Hello xLAB
  • Pafit
  • fixU
  • Moff

審査員は、マネックスグループ代表執行役社長CEOの松本大氏、モンスターラボ ホールディングス代表取締役社長の鮄川宏樹氏、MPower Partners Managing Directorの鈴木絵里子氏、Bonds Investment Group パートナーの細野尚孝氏が務めました。

1社目:イスラエル発 企業・従業員向け実践型セキュリティ訓練システム

最初にピッチした企業は、イスラエル発サイバーセキュリティ企業のAironWorksです。
2022年4月から日本政府が重要インフラ企業のサイバー防衛対策を義務化しており、サイバーセキュリティは多くの企業で注目されています。

多くの企業ではPCやネットワークのセキュリティは強化していますが、人や組織に対しての対策は手薄になっています。人や組織が原因となる、数十億の損害やシステム停止などのサイバー攻撃を防ぐため、同社では企業・従業員向けに超実践型セキュリティ訓練システム「AironWorks」を開発しました。

「AironWorks」はAIを用いて顧客企業を分析し、弱点を洗い出して訓練攻撃を実施します。訓練攻撃に引っかかった従業員に対してアラートのメッセージを送り、報告書を企業に提出します。
さらに従業員へのアンケートも行って問題の原因を究明することで、個別最適化された教育プログラムを提供し、組織としての堅ろう性を高めます。同サービス導入後3カ月で防御成功率が73%から96%に上昇した企業もあります。

2社目:途上国に肉や魚、飲料水を届ける 次世代のコールドチェーンプラットフォーム

続いては、従来の物流システムに、「冷凍・冷蔵技術・IT技術」を組み合わせた次世代のコールドチェーンプラットフォームを製造しているコールドストレージ・ジャパンが登場しました。

同社では、コンテナハウスの形をした小型冷蔵倉庫「COLD STRANGE BOX」を製造しています。

生産地から消費者にものを届けることができ、アジアを中心に、国産の青果の評価と消費ニーズが高まりを見せています。
しかし、海外輸出における輸送時および現地における鮮度保持環境が影響し、高付加価値で購買ニーズの高い果物類の流通量の伸び悩みや小売販売価格の高騰が課題となっています。

小型冷蔵倉庫「COLD STRANGE BOX」は、小ロットの貨物を活用してトータルコストを下げることができる製品で、途上国に肉や魚の促進や飲料水の確保が期待されるといいます。また、国内においても、フードロスや輸送時のCO2を削減することができます。

3社目:店舗ビジネスの“あたりまえ”をアップデートする 実店舗運営のバックアップサービス

fixU実店舗運営をバックアップし、無人運営の支援も行っています

顧客管理や予約、受付、決済などをサポートするサービスやシステムは数多くありますが、それぞれの業務ごとに選定が必要です。つまり各業務の部分最適だけでは、店舗の業務負担の根本解決には至りません。

同社では店舗業務を一律で管理でき、各種ソフトウェア・ハードウェアと連携できる「fixU」を開発しました。来店ユーザーには、店舗利用に必要な検索や会員登録、入退店、予約、決算ができるアプリを、店舗運営者には入退店や顧客管理、請求書管理、カメラ連携などができる管理画面を提供しています。

店舗運営には人件費や各種システム導入で月約60万円がかかりますが、同サービスを利用することで月6万円まで抑えることができます。さらに、収益力の向上や集客数増加もサポートします。

4社目:神戸市と共同開発 シニア向け健康づくりサービス

ヘルスケア事業を展開しているMoffは、神戸大学と共同で認知症予防・健康づくりサービス「eコグニケア」を開発しています。

オンラインで運動教室に参加したり、神戸大学の教授によるオンラインセミナーを受講したり、年に1度、認知機能の検査を確認することができます。また、同社の身体センサー技術を活用し、オンラインで歩行能力やバランス力などの体力測定をすることができます。

神戸市を始め、宇都宮市や松戸市など全国各地の自治体で導入が始まっています。自治体経由では利用できるサービスが制限されていますが、「健康が数値化されることで、体力を向上させたいというモチベーションが生まれる」「オンラインで交流することが楽しい」などの理由で、自費で参加を継続する人が4割いるといいます。

同社は過去4年で年間158%増に成長しています。今後はB2B2Cへの展開や遠隔での医療リハビリサービスの開発などにも拡大していく予定です。

5社目:カナダ発 プロフェッショナル人材と瞬時にマッチングできるプラットフォーム

Hello xLABは、カナダ発のUXデザインのコンサルタント会社です。同社はプロフェッショナル人材や協業先などと出会えるオンラインマッチングサービス「ONO」を開発・提供しています。

既存のプラットフォームは、ユーザーニーズより広告収入を重視しているため、検索や情報の精査が必要なためマッチングまでに時間がかかることが課題になっていました。同サービスは瞬間的なマッチングですぐにコラボレーションでき、より高度なネットワーキングを提供することができます。

検索不要で即時マッチングが可能。この背景には欧州の専門機関「OECD」の公共部門「イノベーション観測」のチームと連携した独自のメソッドを使った調査や測定ツールが活用されています。また、翻訳機能も搭載されているため言語の壁を越え、世界中の人材とマッチングすることができます。

6社目:ECサイト特化のデータ分析自動化SaaSでエンジニア不足を解決

PafitはECサイト特化のデータ分析自動化SaaS「Pafit」を開発しています。

同社が解決したい課題は「データにおけるエンジニアの人材不足」
データと一言で言っても、収集や連携、分析など多岐にわたる高度なスキルが必要となります。データサイエンティストは4.5万人不足しており、日本にあるECサイトの多くがデータサイエンティストを確保することが困難な状況です。

そこで同社では、ECサイトのデータ集積・連携・分析を自動化するサービスを提供します。すでにデータ集積を自動化するShopifyアプリを提供しており、有料契約者も抱えています。データ収集をする機能ができたため、現在はデータ連携・データ分析を自動化する機能を開発しています。

既存のデータ収集・データ連携には1人月かかりましたが、同サービスを利用したら各サービスのログイン、連携するだけでグラフで可視化され、かかる時間は30分ほどで済むといいます。アカウント連携すれば、各広告サービスのデータ等を一覧で見ることができます。

7社目:人体の皮膚を参照した生物模倣技術を活用 次世代の建築外装パネル

Smart Panel Technologiesは、さまざまな壁面やパネルに使える次世代の建築外装パネル「Smart Panel」を提供しています。

人体の皮膚を参照した生物模倣技術を活用し、ビル内部の温熱環境を調整するパネルです。これにより、建物における光熱費の最大60%を占めるという空調のエネルギー費を大幅に削減することができます。

この技術に加え、再生可能エネルギーの活用によりビル全体のエネルギーの100%を自給自足することも目指しています。同サービスは高層ビルだけでなく、病院や学校、工場も対象としており、すべての建物の外壁のうち窓を除く50%をスマートパネルに置き換えることを目標としています。

ちなみにこの技術は、欧州で最大規模を誇るICT企業や世界大学ランキング26位のニューヨーク大学などで構成される組織で研究・開発されています。

8社目:人間の生体組織や臓器を3D印刷できるバイオインクを開発

Smart Tissuesはチリと日本を拠点としたバイオテクノロジー事業を展開しています。

3Dプリンターを活用し、人間の生体組織や臓器を3D印刷できるバイオインクを開発しています。世界保健機関によると、5分にひとりが移植待機リストに追加され、移植を待っている間に毎日約20人が死亡しています。

同社が開発しているバイオプリンティングテクノロジーを活用することで、将来的に臓器移植を必要としている人がドナー臓器に頼らず、自分の細胞から研究室で育てられた臓器を移植できる可能性があります。

同社の強みは、日本発のバイオインク製造会社であることです。同社のバイオインクは主に研究目的で開発されましたが、臨床応用にも対応できる可能性を秘めています。

9社目:ICU専門医が起業 医師集中治療分野が抱える課題を解決

最後に登壇したのは、遠隔治療と遠隔診療を提供するT-ICUです。
コロナ禍においてECMO(体外式膜型人工肺)に注目が集まりましたが、日本では集中治療専門医が少なく、わずか0.6%しかいません。しかも、大都市に集中しています。つまりICUが用意されていても約7割の病院に集中治療専門医がいないという課題があります。

同社はこの課題に対して、遠隔でサポートするサービスを提供しています。CEO自身がICUの専門医であるだけでなく、集中治療専門医、集中ケア認定看護師などの医療従事者が数多く集まっています(登録専門医60名、登録認定・専門看護師54名)。30の病院ですでに導入されており、国内だけでなく海外の途上国にも提供しています。

同社が提唱しているDaaS(Doctor as a Service)は、「Doctor as an Asset(病院勤務が基本の医師)」の対概念で、「専門医の知見を流動化させる」という考えです。DaaSによって、医師の多様な働き方にも寄与することができました。

最優秀賞は、審査員の中でも抜きん出て評価の高かったfixU

ピッチ終了後に行われた表彰では、「最優秀賞」にfixUが選ばれました。

審査員の松本大氏は「審査員が集まってディスカッションしたとき、fixUさんの評価が抜きん出ていました。今の時期に合っているビジネスで具体性があり、国外でもチャンスがある。何より、ビジネスの内容が分かりやすく、自信に満ちたプレゼンテーションがよかったです」とメッセージを寄せました。

「優秀賞」にSmart Tissuesが、「優秀賞」と「オーディエンス賞」にAironWorksが選ばれました。

神戸市長が期待する「今後のスタートアップとの共創」

本イベントを主催した神戸市の久元喜造市長は今回のイベントを終えて、「これを機に神戸市でビジネスを広げるチャンスになれば」と期待を寄せています。

「神戸市では数年前から、スタートアップとの協業に力を入れています。最初は小規模でスタートしましたが、年々拡大し、当初に比べて医療やバイオテクノロジーなどジャンルも幅広くなっています。

神戸市自体も、各スタートアップの知見や発想を取り入れて、行政のサービスをアップデートしていきたいと考えています。神戸市と関わるスタートアップが成長し、街自体もどんどん変わっていくきっかけを作れるようなイベントを今後も提供してまいります」(久元喜造市長)

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