従業員満足度調査とは|目的や効果、実施手順や活用方法、費用は?

従業員満足度調査とは|目的や効果、実施手順や活用方法、費用は?

記事更新日: 2020/02/06

執筆: 浜田みか

少子高齢化が進む今、企業にとって優秀で生産性の高い人材の確保は、急務の課題です。

そのためにも、社内で業務に従事する社員の働きやすさや働きがいのある職場環境の構築は必須です。

それを知ることができるのが、「従業員満足度調査(ES調査)」です。

今回は、従業員満足度調査について、その目的や実施することで得られる効果、実施手順と活用法、それにかかる費用について解説します。

従業員満足度調査を実施する目的と効果

これまでの企業は顧客満足度向上を目標の一つに掲げてきましたが、顧客満足を満たすには顧客と関わる従業員の仕事生活における満足度が高くなければ、高いパフォーマンスを維持することができません。

それに気づき始めた企業ではいま、従業員満足度の向上に動き出しています。その施策を打つために必要なのが、従業員満足度調査です。

ここでは、従業員満足度調査とはどのようなものなのか、その概要と目的、実施によって得られる効果について解説します。

従業員満足度調査とは

従業員満足度とは、仕事に対する従業員の満足度のことで、Employee Satisfactionの頭文字をとってESと呼ばれます。このことから従業員満足度調査は、ES調査ともいわれています。

従業員満足度調査は、仕事内容や職場における人間関係、社内制度、福利厚生・報酬といった待遇などの要素を体系的に把握して、企業の経営や人事に関する課題改善に役立てることができる調査です。

従業員満足度調査の目的

従業員満足度調査は、単に従業員の満足・不満足を把握するためだけに行われるものではありません。

調査結果から、今後の会社の在り方についての指針に繋げるために行われるものです。さらに具体的に掘り下げると、従業員満足度調査には3つの目的があることがわかります。

  • 従業員一人ひとりの生産性向上
  • 定着率の向上に伴う採用コスト削減
  • 会社や組織が抱える潜在的な課題の顕在化

従業員の一人ひとりの生産性を向上させるには、それぞれの従業員の業務姿勢が重要です。仕事に対するモチベーションを上げるには、働きやすさや働きがいのある職場環境が必要です。

それには、従業員が抱えている課題に経営層や人事層が気づく必要があります。しかし、多くの場合、経営層や人事層と現場で働く従業員の間には認識のギャップがあります。

それが積み重なれば、会社や職場に対する不満となり、離職へと繋がる可能性も少なくはないのです。

従業員にとって企業が愛着対象になるためにも、従業員満足度調査は重要な施策の一つといえます。

従業員満足度調査で得られる効果とは

従業員満足度調査を行うことで、従業員満足度を高めるための有効な施策を立案できるようになります。

その結果、個人レベル、チームレベル、組織レベルでのパフォーマンス向上と顧客満足度向上、そして業績向上へと繋げていくことができるようになります。

これは、従業員の声が上司や上役に届いて環境改善が行われることによって、会社に対する信頼度や愛着度が高まるからです。

それが従業員の帰属意識に良い影響を与えて、業務に対して意欲的に取り組む意識が芽生えるきっかけにもなり、会社全体がポジティブな流れに乗ることができるようになります。

これらを紐解くと、従業員満足度調査で得られる効果には次の事柄が期待できます。

  • 従業員が企業に対してどんなところに満足を感じているのか、構造的に明らかにできる
  • 従業員が企業に対してどんなところに不満を感じているのか、解決すべき課題が特定できる
  • 総合的満足に隠された満足度の水準を属性別・部門別など個別に明確化できる
  • 従業員が会社に対する要望を顕在化して現実的に妥当な改善施策を立案できる

 

従業員満足度調査の実施手順

従業員満足度調査は、いくつかの手順を踏んで実施します。

1. 調査目的の明確化

従業員満足度調査を実施する目的を明確にします。目的が曖昧なままでは、結果の把握ができても、それをもとにした有効な施策やアクションプランを立案できません。

調査目的の明確化は、言い換えれば現状、表面化している課題や問題点に目を向けることでもあります。

目的の一例

  • 離職率の低下を図りたい→離職に繋がる要因は何かを知りたい
  • チームワークを高めたい→チームワークが停滞している原因が何かを知りたい
  • 社内制度の利用者が少ない→利用できない要因がどこにあるのか知りたい

 

2. 調査対象の決定

調査目的が明確になれば、自ずと調査対象になる従業員も絞られます。

たとえば、3年以内の従業員の離職率が高いのであれば、入社後3年以内の従業員を対象にすれば、離職の意向を持つ従業員とそうではない従業員の差が見えてきます。

人事評価に対する満足度を知るならば、査定を受ける従業員全員が対象になります。このように調査目的によって、調査対象の範囲が変わります。

3. 調査方法の決定

インタビューなのか、アンケートなのか調査方法を決めます。調査方法によってメリット・デメリットがありますから、それらを考慮して最適な方を選びます。

インタビュー(面談)調査

従業員本人への詳細な質問や、反応を見つつ相互理解を深めるために行うのには有効な方法です。

その反面、時間的コストがかかるうえに、対象者の選定や聞き手と対象者の信頼関係、聞き手の傾聴力や質問力によって得られる結果にむらが生じやすいといったデメリットもあります。

アンケート(調査票)調査

設問事項に答えてもらうアンケート調査では、匿名性を確保することで従業員の本音を拾いやすくなります。さらに、遠隔地の従業員からの回答も得られますし、調査形式をWEBにすれば回答の集計・分析もしやすいといったメリットもあります。

設問の設定によっては、大まかな傾向把握に留まってしまうこともあり、この後で決める設問事項を吟味しなければなりません。

しかし、総合的あるいは目的に応じた結果を効率的に得るならば、アンケート調査がおすすめです。

4. 設問項目の設計

目的・対象・方法が決まれば、従業員に何を聞くか、従業員から何を聞き出したいかに合わせて設問項目を決めていきます。

このとき、いきなり細かな質問を決めていくと、最終的に設問数が膨大になってしまいます。予め目的に合わせて大枠を決め、それから掘り下げていくほうが設計手順としては効率的です。また、設問数は、調査の頻度に合わせて設計しましょう。

定期的に実施する調査の場合、設問数が多すぎると回答者である従業員の負担が増してしまいます。

それでなくても、従業員にとって満足度調査を受けることは、業務を圧迫する余計な作業と捉えられてしまいかねません。

そうなると、正直な回答を得たくても雑な回答しか得られなくなり、時間とコストばかりかかって無駄な調査になってしまう可能性が高くなります。

5. 調査実施(従業員への回答依頼)

調査を実施する際には、いきなり従業員に調査を依頼しても非協力的な態度を取られてしまうことがあります。

必ず実施前に、調査の目的・趣旨・必要性を説明して理解と協力を得るようにします。

このとき、経営陣や人事部などから調査協力を求めるメッセージを促したり、従業員の負担にならないよう十分な調査期間を設けましょう。

6. 調査結果の集計・分析

従業員満足度調査は、調査を目的にしてしまうと、せっかくの回答も単なる情報になり、従業員のせっかくの厚意も無意味なものになってしまいます。

回収した調査結果は、必ず速やかに集計と分析を行いましょう。集計・分析に使われるのは、次の手法です。

集計方法 狙い
単純集計 項目ごとの平均値を導き出すのに用います。全体の傾向を把握するのに最適です。
クロス分析 年代別、性別、職種別など属性ごとの傾向把握に用います。
構造分析 項目間の相関係数を導き、構造解明に用います。
比較分析 類似や差異、共通点を見つけ出すときに用います。
ポートフォリオ分析 満足度と重要度の2軸から改善点を見つけ出すときに用います。

これらの中でよく使われるのは、次の3つの集計・分析手法です。

  • 単純集計
  • クロス分析
  • 構造分析

必要に応じて上表の集計・分析手法を行うようにします。これらを用いることによって、従業員満足度を下げている原因、改善ポイントが明確になります。

そのほかにも、現状うまくいっている施策や制度があれば、それもピックアップしておきましょう。

良い点と改善点の両面を把握することで、従業員の満足度を下げずに必要な施策を立案できるからです。

また、今回得られたデータは破棄せずに、以降の調査との比較ができるように保管しておくのも忘れないでください。

7. 調査結果をもとに対策検討

分析結果をもとにして対策に反映させていきます。もし、結果に不足があるようであれば、調査方法の見直しや調査の再実施も検討します。

施策の立案では、個人レベル、チームレベル、組織レベルといった段階立てて考えると適切な内容で計画を詰めていけるでしょう。

8. 報告・フィードバック

集計・分析終了後は、速やかに従業員へ調査結果をフィードバックしましょう。時間を置いてしまうと、調査によって高まった会社への期待感が下がり、勤務意欲の低下を招きかねません。

課題に対する施策についても同時に共有しておくと、会社に声が届いたことが従業員にも伝わりやすく、勤務意欲や満足度向上に繋がり、会社への愛着心も強くなります。

分析が終わったら、すぐさま経営陣や関係部署にも報告を行い、施策立案・実施への理解を得るようにしましょう。

経営陣には調査によって把握した全体の傾向と、現状の良い点・悪い点の両面への分析結果と、改善点に対する今後の対策をメインに伝えます。

従業員満足度調査の活用方法

従業員の満足度調査では、実施しただけで活用しなければ何の意味も為しません。

目的に応じた施策を立案し、適切に実行することが重要です。では、調査結果はどのように活用していけばいいのでしょうか。

レベルに応じた対策を立案・実行する

調査方法や調査結果によってレベルごとの対策の必要性を感じた場合は、個人、チーム、組織などレベルに合わせて施策を立案・実行しましょう。

いずれの場合も、きちんと実施されるように関係者からは、協力と理解を得るようにします。

定点観測で効果測定する

単発で調査や施策が終わってしまうと、「あの調査は何だったのか?」と従業員に不信感を持たせることになります。

不信感は離職にダイレクトに繋がる感情ですから、きちんと改善効果が現れているか、定期的に調査を繰り返し状況把握に努めましょう。

従業員満足度調査にかかる費用

従業員満足度調査は、自社で自前で行う場合、設問設計や分析に慣れていない人では時間的コストがかかるだけでなく、その作業自体が大きな負担になることもあります。

初めて従業員満足度調査を行うのであれば、ツールや専門家の手を借りるなどするのも必要でしょう。

ここでは、ツールを活用した場合と専門家に依頼した場合のコストについて解説します。

アンケートツールを活用する場合

インターネットで検索すると、いくつものアンケートツールを見つけることができます。設問のテンプレートが提供されていたり、簡易分析が付いたりしているものもあります。

どれを利用するかは、目的・業種(業態)に合わせたものを選ぶようにしましょう。

費用面では、初期費用と利用料がかかります。それぞれの費用は、次の通りです。

  • 初期費用:0~5万円程度
  • 月額利用料:5千円~3万円

コンサルティング調査会社に依頼する場合

ツールは使う側の意図に合わないケースがありますが、専門の調査会社なら柔軟な対応が望めます。ただし、ツールを利用するのとは異なり、費用は割高になります。

  • 調査にかかる基本料:10~100万円程度
  • 一人当たりの利用料:1千~5千円
  • 追加オプション:1万~数万円程度/オプション1つ当たり

標準的な設問項目では足りない場合、追加することが可能です。また、分析手法を追加する場合にも費用がかかるケースがあります。

このようにオプションを追加していくと費用が当初よりも大きく膨らんでしまいますから、本当に追加すべきかどうかよく検討してから選択肢に含みましょう。

まとめ

従業員満足度調査は、会社や組織、チーム、個人といったさまざまなレベルでそれぞれが抱える課題を抽出し、経営や人事戦略の施策に活用できるものです。

実施する際は、従業員の負担を可能な限り回避し、匿名性を保持することが重要です。また、実施後は施策に反映させて、現状を改善していくようPDCAサイクルを回すよう努めましょう。

画像出典元:Pixabay

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