これを読めばフランチャイズの全てがわかる!その仕組みを徹底解説!

これを読めばフランチャイズの全てがわかる!その仕組みを徹底解説!

記事更新日: 2021/04/02

執筆: 浜田みか

「独立して、自分のお店を持ちたい」そうした夢を叶えるには、商品開発・店舗設計・販路開拓などさまざまな分野のノウハウが必要です。

そうしたノウハウをパッケージングして提供しているのがフランチャイズ制度。小売業や飲食業など、多くの業界で取り入れられています。

ここでは、フランチャイズでの起業に関心がある方に向けて、フランチャイズとは何か? どんな仕組みになっていて、どのようなメリット・デメリットがあるのかについて解説しています。

フランチャイズとは


事業を始めるには、どんな事業内容で、どこに出店し、どんな店舗運営を行うのかなどさまざまなノウハウを必要とします。

こうしたノウハウを持たない人にとって強い味方となるのがフランチャイズ制度です。

フランチャイズの概要

フランチャイズ(franchise)とは、「(販売権や営業権などの)特権を与える」という意味を持つ言葉で、一般社団法人の日本フランチャイズチェーン協会によると、次のように定義されています。

フランチャイズとは、事業者(「フランチャイザー」と呼ぶ)が、他の事業者(「フランチャイジー」と呼ぶ)との間に契約を結び、自己の商標、サービス・マーク、トレード・ネームその他の営業の象徴となる標識、および経営のノウハウを用いて、同一のイメージのもとに商品の販売その他の事業を行う権利を与え、一方、フランチャイジーはその見返りとして一定の対価を支払い、事業に必要な資金を投下してフランチャイザーの指導および援助のもとに事業を行う両者の継続的関係をいう。

つまり、フランチャイズとは、ノウハウを提供する事業本部と加盟店が契約して共同事業体となる事業形態のことです。

フランチャイズの仕組み


フランチャイズは、事業本部とその加盟店になりたい個人もしくは法人が契約を結ぶことによって、事業本部が持つ経営ノウハウを得られるようになっています。

もちろん、それらは事業本部の母体企業が培った資産ですから、無料で受け取れるはずがありません。

加盟店になるための契約料として「加盟金」が、看板やサービス使用の権利料として毎月「ロイヤリティ」が求められます。

これらの金額は、それぞれの企業や事業内容によって異なるため、各企業で設定された金額を納めることになっています。

店舗運営には、商品を揃え、出店場所となる立地を選び、店舗を作り、営業・販売にまつわる技術や知識を身に付けるなど、必要な事柄が多岐にわたります。

これらを全く知識・経験のない状態で起業しようとすると、実際の開業までにたくさんのコストと時間を要してしまいます。

フランチャイズ契約を交わせば、本部が持つノウハウをパッケージとして得られ、スムーズな独立・開業を果たすことができるようになっているのです。

得られるパッケージ内容の一例

・商標ロゴや、店舗名などのチェーンの名称
・開発された商品
・ビジネスや経営など事業に必要なノウハウ
・スタッフ教育や研修などのサポート

 

直営店との違い

フランチャイズと似た事業形態に、直営店経営があります。

直営店とフランチャイズの違いは、誰が経営の主導権を握るかという点です。

直営店の場合は、事業本部が経営の主導権を握ります。人材採用から経営方針の決定、店舗経営に至るまでの全てを事業本部が行います。

フランチャイズの場合は、加盟店オーナーに経営の主導権が委ねられます。

事業本部から得たノウハウを基にして、どれだけの人員を揃えて、どのように店舗を運営させていくか加盟店オーナー自身の考えを反映できるようになっているのです。

このほかに、ロイヤリティにも違いがあります。ロイヤリティとは、ノウハウやサービスを利用する権利に対してかかる使用料です。

直営店は、事業本部が運営している店舗ですから、ロイヤリティを支払う必要がありません。

しかし、フランチャイズの場合は、加盟店契約を交わすことによって、事業本部のブランド力やサービスの権利を使うことを許可されています。

ですから、その使用料としてロイヤリティの支払い義務が生じます。

また、契約時に加盟金を求められる点も、直営店と異なる点です。

加盟金は、開店に向けて必要な研修や、店舗準備のための資金です。

直営店は、事業本部から資金が当てられますが、加盟店の場合はオーナーが事業本部の社員ではないため、オーナーが開店にかかる資金を準備する必要があるのです。

フランチャイズ制度がある業種

フランチャイズ制度を導入している業種は、とても幅広く、いまや実店舗だけに留まりません。

・代理店業
・教育、保育業
・飲食業
・サービス業
・小売業
・介護、福祉業
・美容、健康業

ここで挙げたのは、一例です。

それぞれの業界から、さらに深く見てみると、非常にたくさんの業種がフランチャイズ制度を導入していることがわかります。

教育・保育業

・英会話教室
・保育園
・学習塾 

など

飲食業

・カレー
・ファストフード
・スイーツ
・移動販売
・ラーメン
・パスタ
・寿司
・菓子店
・カフェ
・和食
・定食
・居酒屋
・焼肉
・弁当 

など

サービス業

・住宅、不動産
・建築
・婚活
・美容サロン
・葬祭
・カーシェアリング
・コインランドリー
・ネットカフェ(漫画喫茶)
・保険
・ハウスクリーニング
・リペアサービス 

など

小売業

・中古品買取
・チケット販売
・コンビニエンスストア 

など

介護・福祉業

・配食、宅配サービス
・訪問介護
・デイサービス 

など

美容・健康業

・理美容院
・フィットネスジム
・整体 

など

フランチャイズ開業に必要な資金

フランチャイズで開業を検討している人にとって、どれだけの資金が必要になるのかは気になるところでしょう。

加盟金だけ用意をすればいいのか、他にも用意すべき資金があるのか。

それによって、どんな準備をしておく必要があるのかわかるからです。

フランチャイズでの開業・準備に必要な資金

フランチャイズで独立開業をする際にかかる費用は、加盟金やロイヤリティのほかに、自身で用意する開業資金があります。

加盟金でまかなえるのは、あくまでも開業準備に必要な資金の一部です。

たとえば、コンビニエンスストアのローソン。ホームページには、フランチャイズ加盟する際に必要な費用が掲示されています。

加盟金:100万円(税抜き)

開店準備金:約50万円

加盟金は、研修費(50万円)と開店準備手数料(50万円)として用意しなければなりません。さらに、店舗運営では釣銭が必要です。

また、法的に営業許認可を受けなければなりませんから、その認可料として釣銭準備金と合わせて、およそ50万円の資金を用意する必要があります。

このほかにも、フランチャイズ起業したからといって、すぐに経営が軌道に乗るとは限らないため、上記の金額以外に生活費を用意するよう注意書きがされています。

生活費を月々30万円と見積もっても、最低6ヵ月分は用意しておいたほうが安心でしょう。

これらのことを含めると、ローソンのフランチャイズ起業に必要な資金は、およそ330万円です。

必要になる加盟金や開店準備金は、どんな業種のフランチャイズで開業するかによって異なります。

まずは、検討している業種の加盟金・開店準備金をリサーチして、最低限用意すべき資金がどれくらいか相場を把握するようにしましょう。

フランチャイズ開業資金の相場

開業資金の相場は、およそ以下の範囲に収まります。

業種 開業資金の相場
飲食業 90万円~3,000万円
小売業 250万円~5,000万円
マッサージサロン系 100万円~450万円
スクール系 50万円~

飲食業と小売業の相場に大きな幅があるのは、扱う商品によって大きく差が出るからです。

たとえば、同じ飲食業でも提供するメニューが異なれば、必要な設備も違います。小売業も同じです。

その点、サロンやスクールは比較的安価だといえます。

しかし、スクールでもパソコンスクールのように、設備そのものが高額なものであれば、初期費用も大きくなりがちです。

フランチャイズのメリット

フランチャイズ開業することへのメリットには、どんなものがあるのでしょうか。

ブランド力や認知度を活用できる

事業本部が持つブランド力、認知度をそのまま活用できるため、集客力を期待できます。

個人で1から始めた場合、集客プロモーションや販路開拓をして、コツコツと集客していかなければなりません。ですが、フランチャイズでは、その労力をほとんど必要とないため、開業当初から集客が可能です。

未経験でも安心して参入できる

立地選定から運営まで、本部からの研修やマニュアルを活用して、未経験者でもスムーズに開業・運営できます。

店舗運営の経験がないオーナーにとって安心なのは、本部から一定期間、経営や日々の運営にアドバイスをしてくれる担当者が付いてくれることでしょう。

継続的な支援が受けられる

集客に宣伝・広告は欠かせません。フランチャイズの場合は、事業本部側で一括して集客やプロモーションを行ってくれます。

仕入れに関しても、本部側で行ってくれますから、継続的な支援の中で店舗運営を行うことができます。

運営に集中できる環境がある

個人で開業すると、宣伝広告や仕入れ、新商品や新しいサービスの開発などを、日々の運営の合間に行わなければなりません。しかし、フランチャイズの場合は、これら全てを事業本部側で行ってくれます。

開業当初から、店舗運営だけに集中できる環境が整っているのです。

フランチャイズのデメリット

良いことばかりが多いように感じるフランチャイズにも、デメリットがあります。

加盟店になる際には、デメリットについてもよく理解し、そのうえでフランチャイズ開業をするのか、独自に開業するのかを考えましょう。

契約途中で事業撤退する際に制約がある

フランチャイズ契約を結ぶ際には、何らかの事情で事業を撤退する可能性があることも視野に入れておきましょう。

病気や加齢などが原因で事業が続けられない、社会や周辺環境の変化によって事業継続が難しくなるということも考えられます。

契約途中で解約をする場合、違約金の発生や、同業種での独立ができないなどの制約を設けている本部も少なくありません。

違約金についても、数百万円規模で求められることもありますから、解約に至るパターンをいろいろと想定したうえで、契約を締結するようにしましょう。

毎月ロイヤリティが発生する

本部のノウハウやブランド力などを享受するため、売上に応じたロイヤリティが毎月発生します。

たとえば、コンビニエンスストアのローソンでは、次の割合でロイヤリティがかかります。

粗利益高

本部が土地・建物を用意する場合
(FC-Cnタイプ)

オーナーが土地・建物を用意する場合
(FC-Bnタイプ)

300万円以下 45% 41%
300万円超え、450万円以下 70% 36%
450万円を超えた場合 60%
450万円超え、600万円以下 31%
600万円を超えた場合 21%

店舗に活用できる土地・建物を本部、またはオーナーのどちらが用意するか。さらには、それぞれのタイプで粗利益高によって、ロイヤリティの割合が変わります。

こうしたロイヤリティは、企業ごとに異なります。

毎月ロイヤリティがかかるということは、個人開業であれば、利益をそのまま収入にできるのに対し、粗利益からロイヤリティを差し引いた分が収入になります。

ですから、想定よりも収入が低いと感じるときもあるかもしれません。

本部の影響力と個人での影響力を比べたときに、どちらが自分にとってメリットがあるのかを考えてみてください。

フランチャイズ加盟に軍配が上がるようなら、毎月のロイヤリティは影響力の使用料と割り切って考えることも大切です。

指定された商品以外を取り扱えない

フランチャイズ本部で開発された商品や、指定された商品のみ取り扱うことになります。

そのため、地域や状況に合わせて自由に商品開発をしたり、キャンペーンを打ったりすることができないという縛りがあります。

自分の好きなように店舗運営、販売ができない代わりに、本部が全てお膳立てしてくれますから、どちらが自分に合っているかを考え、フランチャイズ開業するかどうかを決めましょう。

他店舗でのブランド毀損のあおりを受けるリスク

一時期、フランチャイズ加盟店の従業員による不適切行為がSNSを起点に取り沙汰されていました。

同様のことがあると、同じブランドを掲げている自店舗の売上が落ちる、原因の当該店舗と関りがないにもかかわらずクレームが入るなどの良くない影響が出ることがあります。

まとめ

フランチャイズによる開業は、「いつか自分の店を持ちたい」という夢を叶えやすい方法の一つです。

個人で開業することを考えれば、事業本部のあらゆる力を活用できますから、店舗運営の経験がない人にとって強い味方になることでしょう。

画像出典元:Pixabay、Unsplash

最新の記事

ページトップへ