マネーフォワード ケッサイ株式会社 取締役 篠原祐貴がスタートアップにおすすめするSaaS 4選

マネーフォワード ケッサイ株式会社 取締役 篠原祐貴がスタートアップにおすすめするSaaS 4選

記事更新日: 2024/03/13

執筆: 吉田杏佑

マネーフォワード ケッサイ株式会社 取締役

篠原 祐貴

ヤフー株式会社にて新規サービス立ち上げ、株式会社Schooの初代CTO、メドピア株式会社での技術部長などを経験。その後、合弁会社で新規サービスをリリースした後、2016年12月にマネーフォワード入社。現在はマネーフォワード ケッサイで現在取締役CTO兼SRE として開発に従事。

マネーフォワードの子会社であるマネーフォワード ケッサイの立ち上げから関わり始めて5年が経ちました。改めてゼロからスタートするとしたら、何を導入してどう進めるか、という観点でおすすめできる法人向けサービスを考えました。
そのため、スタートアップの方々が立ち上げ期に何をすれば良いのか、どんなサービスを導入すれば良いのかのイメージが掴める内容になっていると思います。

1. jamf


https://www.jamf.com/ja/

jamfは、Apple専用の統合デバイス管理サービスです。

MacBookやiPhoneを構成管理したり、リモートワイプで削除したりを簡単にできるMDM(モバイルデバイス管理)で、開発にMacBookを利用している企業の方は導入することをおすすめします。

料金も比較的リーズナブルで、導入することで会社対応PCのセキュリティをどうすれば良いのか、といった悩みから解消されます。
最近では、新型コロナウイルスの影響で多くの会社がリモートワークに移行しています。
これによって、新入社員が10名いたとしても、その人たち全員を集めて端末をセットアップするのは、かなり難しいのではないかと思います。

そこでjamfを導入していれば、面倒な作業や管理が自動化されるので、全ての端末をセットアップして、一元管理することが可能になります。

つまり、セットアップに関して最低限のことすれば、すぐに仕事を開始することができるのです。
スタートアップにとって、PCのセットアップに時間をかけるという無駄な時間を排除することは、大きなメリットにつながります。

また、iPhoneなどの端末を紛失した際にも、リモートワイプ機能でjamfからApple製品にある情報を削除できるので、セキュリティや情報漏洩のリスクを排除するという観点からもおすすめできますね。

ただし注意しなければいけないのは、jamfを導入したからといって、完璧に情報漏洩が防げるわけではないことです。
これは全てのMDMで言えることですが、対象となる端末がネットワークにつながっていなければ、命令を送ることはできません。
例えば、盗難後にネットワーク回線を全て遮断されると、端末にある情報を削除することができなくなります。
そのため、削除できるからといってディスク暗号化を怠るのではなく、使える機能をしっかりと網羅的に使うことが大切です。

導入をおすすめするタイミングは、開発するMacBookPCが10台を超えたタイミングや、開発者をどんどん増やして行こうというタイミングですね。

守りたい情報を守るためには、早めの導入をおすすめします。

 

2.Webflow

https://webflow.com

今の日本全体として、DXを進める流れがあります。
その中で、いかにエンジニア組織を社内に内製化するかが課題の一つになっています。
またエンジニア組織が社内にあるとしても、そのリソースをどれだけプロダクト開発に割けるかも、課題の一つとして挙げられます。

このエンジニアのリソースを、プロダクト開発に回すために今注目されているのが、ノーコードサービスです。
弊社では、ノーコードWebサイト制作サービスのWebflowを利用して、自社サイトを運用しています。

Webflowは、デザインの外注さえすれば誰でもWebサイトを構築することができます
これによって、エンジニアのリソースを割かなければ、LPも作ることができないという属人化されたオペレーションを全て排除できています。
実際、エンジニアでアカウントを持っているのは私だけです。

Webflowは、サイトを公開するだけではなく、運用まで行ってくれる点も良いです。
通常だと、サイトを作成したはいいものの、運用する上でサーバーに異常が起こるなど、悩みは尽きません。
これが一切なくなるのも、Webflowの強みだと考えます。

その分月額費用も発生しますが、サーバー維持費やセキュリティ面、エンジニアに依頼していた時間の効率化という観点で見れば、結果的にはかなりリーズナブルです。

他社サービスと比較しても、CMSの記事数が多かったり、グローバルSaaSである故に利用者が多いのでサービスとして安定しているなど、優れている点が多いです。

一つ注意点を挙げるとしたら、サポートが全て英語になってしまうところでしょうか。
ただし、機能的に劣っているわけではないので、特に問題はないかと考えます。

https://mfkessai.co.jp/
は全てWebflowで運用されています。
詳細には弊社テックブログでも紹介していますのであわせてご覧ください。
https://tech.mfkessai.co.jp/2020/12/moneyforwardkessai/

 

3.Cloudflare

https://www.cloudflare.com/ja-jp/

Cloudflareは、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)やインターネットセキュリティサービス、DDoS防御、分散型ドメイン名サーバ(DNS)などを提供しているサービスです。

Cloudflareはドメインの購入や、DNS管理はもちろんですが、WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の技術を初期から自社サービスに組み込める点が推奨できるポイントです。
WAFの技術を組み込むと、自分たちが公開しているサービスをHTTPSで公開したいときや、悪意ある攻撃から自社サービスを守りたい時などに有効です。
創業初期段階では、なかなかこれを意識することや、組み込みに時間を割くこともリソースの観点から難しいでしょう。
そのため、初期からWAFの技術を組み込んでくれるのは、様々な面でメリットが発生します

CloudflareはただのDNS管理だけでなく、プロキシ機能を使うことで、Cloudflareのサーバーを経由してオリジンサーバ(弊社が管理しているサーバー)に届くようになっています。
これによって、悪意のある攻撃からはWAF技術が守ってくれます。
他にもCDNと呼ばれる静的なファイルを、すぐに返却する機能を使えることになるので、結果的に安全かつ高速なネットワークの構築につなげることが可能になります。

そして、ここまでの機能を利用しても無料なのがとても魅力的です。
単純に料金も他社より安く、初期の頃はセキュリティ面に投資が難しい理由で、セキュリティ面を後回しになりがちなスタートアップにも導入しやすいサービスです。
はじめは無料で最低限の機能を利用して、あとで課金によるセキュリティレベルの向上や、細かいキャッシュ設定などをしていけば良いです。

導入するタイミングに関しても、後から導入するとユーザーに提供しているIPアドレスが変わり、取引先に対してIP制限をしているか確認する必要が出るので、なるべく早い方が良いです。

4.Autify

https://autify.com/ja

AutifyはAIを用いたQA(Quality Assurance)自動化プラットフォームです。

従来のE2Eテスト(システムのUIテスト。ユーザーと同じように操作し挙動に問題がないか確認する)は、コードを書くのが当たり前で、WebサービスのUIを少し変更しただけで、E2Eテストのコードも書き換える必要がありました。
細かいUIの変更にエンジニアは、一つ一つ対応する必要があったため、場合によってはE2Eテストのメンテナンス自体が、生産性を下げる原因になっていました
そのため、E2Eテストをやめる企業が出たり、最低限しか入れない企業が多く存在しました。

そういった課題を解決したのがAutifyです。
Autifyを導入することで、コードを書かなくてもテストケースを作れる状態になります。
そのため、QAエンジニア以外でも E2Eテストができるようになりました。

また、Autifyにはオートフィーリング機能(AIによる自動メンテナンス機能)があり、リリースの度に変更されるUIの変化を監視し、影響のあるテストシナリオを自動的にアップデートしてくれます。

必ずしもオートフィーリング機能が実行されるわけではありませんが、それを修正する人がエンジニアである必要はないので、エンジニアはプロダクト開発に注力できます。

他にもE2Eテストサービスは存在しますが、「エンジニアのリソースをプロダクトに集中させたい」という設計思想が最も意識されているのがAutifyで、私たちもその思想に共感したので、利用しています。

Autifyの導入を特におすすめするのは、アジャイル開発をしている企業の方々です。
アジャイル開発をしていると、プロダクトの更新頻度が非常に高くなるので、開発していない領域にバグが発生します。
こういった意図せぬ破壊が起こった時に、テスト段階で気がつけば改善することができるので、ぜひこちらのサービスを導入するべきです。

反対に、月に一回程度のデプロイなどですと、QA効率が上がるくらいの恩恵しか得られないと思いますので、利益を最大化できないと考えます。

またどのE2E自動化サービスでもいえますが、導入したからといって全てのテストを自動化できるわけではないので、サービスに任せられることを明確にする必要があります。
そこを明確化しなければ、一番課題に感じていたところ結局解決できなかったなどの事態が起こり得ます。

例えば弊社では、ログインやログアウトはもちろん、提供サービスの基幹となる顧客登録、取引登録、審査依頼といった、繰り返し行われる動作のテストに利用しています。

 

上記のサービスを利用しているマネーフォワード ケッサイ株式会社では、以下のサービスを提供しています。

 

5.マネーフォワード ケッサイ

https://mfkessai.co.jp/kessai

マネーフォワード ケッサイは弊社が提供している、法人間決済に特化した請求代行サービスです。

マネーフォワード ケッサイ1番の強みは、サービスの連携性に優れていることです。

APIを提供しているので、Webサービスを利用しなくても、ECサービスや社内サービスと繋ぎ込んでいただければ、マネーフォワード ケッサイで請求を自動化できます。

その上で手数料も業界最安水準の0.5%~3.5%なので、事業ステージ問わず利用してもらえるようなサービスです。
その中でも特にマネーフォワード ケッサイは、売り上げが急激に増加しているベンチャー企業にぜひ、利用してもらえたらと思います。
急成長中のベンチャー企業は人員が不足していることが多いため、与信審査や請求書の発行・発送、入金確認といった請求業務をマネーフォワード ケッサイに委託することで負担を軽減すると同時に、入金漏れが起こらないという安心を提供することが可能です。

 

6.マネーフォワード アーリーペイメント

https://mfkessai.co.jp/ep

マネーフォワード アーリーペイメントは売掛金の早期資金化による資金調達サービスです。

手元の売掛金で資金調達ができるため、融資やエクイティでの調達よりも早くキャッシュを確保することが可能です。マネーフォワード アーリーペイメントなら最短2営業日で資金調達が可能なので、売上を伸ばすための必要資金をすぐにほしいなどのタイミングで活用していただけると効果的です。
早くお金を確保したい会社にとって、第三の選択肢になれれば良いと考えております。

業界でも最安級の手数料を実現しているので、早く安く資金調達をしたい企業様にはぜひ利用していただきたいです。

 

7.マネーフォワード ケッサイ グロースサポート

https://mfkessai.co.jp/kessai/contact-form

マネーフォワード ケッサイ グロースサポートは、SaaS・サブスク向けの資金調達、請求業務効率化サービスです。

機能のイメージは、「マネーフォワード ケッサイ」と「マネーフォワード アーリーペイメント」、両方の機能を掛け合わせたようなものになります。

SaaS・サブスクでは、年間契約を月払いで提供しているサービスが多く存在します。
例えば年間12万円の契約であっても、支払いを受けるのは毎月1万円ずつというようなイメージです。
これだと、サービス提供企業の手元にお金が入るのが遅く、事業展開をすぐにでも進めたい会社にとっては障壁になります。

そこでグロースサポートをご利用いただければ、年間分をまとめてサービス提供者に支払い、毎月の請求業務も提供者に代わって行います。
つまり、SaaS提供者は契約一年分の資金を一括で調達でき、さらに決済業務を委託できるのです。

利用者の方も一気にお金が出ていかず、毎月払いで良いので双方にメリットがあるサービスです。

篠原祐貴がスタートアップにおすすめするSaaSまとめ

マネーフォワード ケッサイ株式会社 取締役

篠原 祐貴

弊社ではSaaSを導入することで、本当に業務が効率化するのかという観点を大事にしています。
 
最近ではDXの流れもあり、SaaS導入が増えています。
ここで陥りがちなポイントとして、SaaSを導入したはいいものの、自分たちのワークフローとマッチせず、結局オペレーションコストが上がってしまうというものがあります。
 
そのため、本当に今のワークフローに当てはまるのか。
また導入することで、今までやっていたワークフローを捨てる覚悟があるのかを検討してから導入するべきだと考えます。
 
それは、自分たちのワークフローに完璧に当てはまるSaaSなどないからです。
つまり、ある程度はSaaSに自分たちの働き方を合わせることになるだろうという前提でSaaSを導入しています。
 
SaaSを導入するには、自分たちがどう変わったら良いかを考え続けなくてはいけません。

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