受注や発注業務に関係のあるMOQ・SPQ・SNQですがその意味や違いを説明するのは少し難しいです。
以下の表でそれぞれの違いについて端的に説明しています。
MOQは、「この数以上でないと発注できません」というラインを表しています。
SPQは「1つの梱包に包まれている商品の数」を示しています。これがそのまま発注できる最小単位となります。
SNPは「1つのカートンや箱(出荷用梱包)に詰められている商品の数」を示しています。
この記事ではMOQ・SPQ・SNQの意味と違い、実際の受注や発注の現場での使い方などをさらに詳しく紹介します。
この記事を読めば受注・発注業務でミスすることなくきちんと仕事ができるようになるでしょう。
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答えを先にいうとMOQは最低発注数量のことです。
MOQは英語のMinimum Order Quantityの頭文字から来ています。Minimumは最低のという意味で、Orderは発注や注文という意味です。Quantityは数量ですから、これらの3つを合わせて最低発注数量というわけです。
供給側が最低発注数量を定めるということは、「少なくともこれ以上の数量の注文からでなければ注文は受け付けません」という意図の表れです。
もし注文する側が中途半端な数を注文するなら、材料や生産、保管場所、輸送手段などでムダやロスが生じる可能性があります。
さらに注文数が数個程度だけなら、輸送の手間がかかるだけで利益はほとんど出ません。
こうした問題を避けるために供給側はMOQを設定し、少量の注文や半端が出ないように制限を設けています。
たとえば見積書に「MOQ:100」と書かれていれば、最低100個から注文可能ということです。
この場合、99個以下の数量では発注ができません。
逆にMOQ:100以外に条件提示がなければ、101・102・103個など1個単位で注文を増やすことが可能です。
SPQとは最小発注単位もしくは発注可能な最小単位のことです。
SPQはStandard Packing Quantityの頭文字を取ったものです。Standardは標準の、Packingは梱包、そしてQuantityは数量を意味します。
これら3つの意味を合わせて標準の梱包数量つまり最小発注単位となるわけです。
たとえばあるメーカーが商品50個をひとまとめにして梱包しているとします。
そうするとそのメーカーは注文する側に「うちはひとつの梱包に商品が50個入っているからSPQ:50で注文してください」とお願いすることになるわけです。
供給側がSPQを設定する理由は、MOQを設定する理由と同じで、商品の管理や輸送にかかるムダやロスを防ぐという意図があります。
たとえば、あるメーカーは商品をコンテナに500個ずつ積載しています。もし501個の注文がくれば、その1個のためだけに新しいコンテナを発注したり、それをは運ぶための輸送手段や費用なども考えなければなりません。
こうした輸送効率を考えてSPQを供給側は設定しています。
たとえば、見積書に「SPQ:100pcs」と書かれていれば、1ケースもしくは1箱に100個商品が入っているという意味です。
注文するときにはSPQ:100ならば、100・200・300.・400・500個という100の倍数で注文します。
SPQの数を崩すことができるかどうかは取引先に確認する必要があります。
一般的に量産目的で注文される部品などはSPQやMOQの数を崩すことができません。仮に崩せたとしても単価が上がるなどの条件が課される場合があります。
SNPには出荷梱包単位という意味があります。
SNPはStandard Number Packageを略したものです。Standerdは標準、Numberは数、Packageは梱包という意味ですから標準の梱包数つまり出荷時の梱包単位を意味するというわけです。
出荷時の梱包単位ですから、供給側の設定により、SNPが発注可能な最小単位となる場合があります。つまりケースによってはSNPがSPQと同じ意味で用いられることがあるということです。
供給側がSNPを設定する理由は輸送効率を上げることです。
商品を詰めるカートンボックスはトラックの荷台やコンテナに収まりやすい大きさに設計されています。
その大きさに基づいて商品は詰められるので、ものによってはSNP:25pcsやSNP:144pcsなど中途半端な数になる場合があります。
「SNP:50psc」と記載されていれば、それは1つのダンボールもしくはカートンボックスに50個商品が梱包されているという意味です。
受発注業務に関係するMOQ・SPQ・SNPという言葉の意味を說明しました。3つの言葉の違いを整理するために表にまとめてみました。
MOQは、この数以上でないと発注できませんというラインでした。
SPQは1つの梱包に包まれている商品の数を示しています。これがそのまま発注できる最小単位となるわけです。
SNPは1つのカートンや箱に詰められている商品の数でした。これもそのまま発注可能な最小単位となる場合があります。
MOQ・SPQ・SNPの意味の違いを理解すれば、見積書や契約書にこうした略語が書かれていてもあわてる必要はありません。
見積書にMOQとSPQが一緒に記載されている場合もあります。
次にその場合の読み方や意味を説明します。
見積書にこのように記載されていれば、最低発注数量は100、発注単位が100という意味です。
供給側は100個以上から注文を受け付けます。
注文を増やす場合は100・200・300と100の倍数で増やして注文してくださいとお願いしているわけです。
このケースでは最低注文数量は1000です。発注単位は200となっています。
供給側の設定は、1000個に満たない注文は受け付けない、注文を追加する場合は200個単位で増やしてくださいということです。
海外企業と取引するときには、MOQやSPQの記載がある見積書を目にすることがあります。
最後に、注文側と供給側の双方から、MOQ・SPQを設定した見積書を海外企業などとやり取りするときに注意すべき点を紹介します。
こちらが注文側(買い手)として外国企業から見積書を取る場合は、MOQとSPQそれぞれについて、数字の意味や根拠を聞く必要があります。
さらにSPQやSNPについても設定を崩すことが可能かどうか(バラ売りが可能かどうかということ)を尋ねることができます。もしその会社が対応できないなら、バラ売りに対応している販売元を知っているかどうか尋ねることができるでしょう。
こちらが供給側(売り手)として見積書を出す場合も、後で相手側ともめないために、最低発注数量のMOQ、販売単位となるSPQやSNPをきちんと提示して説明する必要があります。
もしSPQやSNPの設定数を崩してバラ売り可能であるならば、そのときには単価を変更するなどの条件が付くことを説明することも大切です。
MOQやSPQに注意を払って見積書を読んだり提示することで、海外企業とのトラブルを回避することができます。
海外企業などと見積書をやり取りするときに目にすることがある、MOQ・SPQ・SNPについて説明しました。
MOQは最低発注数量、SPQは最小発注単位、SNPは出荷梱包単位という意味でした。こうした言葉の意味と使い方を知っていれば、見積書や受発注業務でこうした略語を見てもあわてることはありません。
MOQやSNPの設定に双方が納得し契約できたなら、継続的に取引を行なえます。
継続的な取引先が増えれば、受発注業務が増えるので、業務の効率化が求めらるようになるでしょう。
そうしたときには受発注システムの導入を検討することができるでしょう。
受発注システムとについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を合わせてご覧ください。
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