プロトスター株式会社では、「読書の秋」にちなんで、スタートアップ・ベンチャー業界で働くビジネスマンを対象に、読書習慣やおすすめ書籍について、独自のアンケートを実施しました。
さらに、「2021年に購入した書籍の中で、ビジネスをする上で一番役に立ったもの」をカオスマップにまとめましたので、アンケート結果をあわせて発表いたします。
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驚いたことは、ほとんどのビジネスマンが「本を読んでいる」ということ。
最近では本の要約を動画でまとめてくれているものも多いですが、紙の本の需要も健在しているということがうかがえます。
忙しいビジネスマンほど、バイブルにしている本があったり、スキマ時間にインプットしていたりと、本の活用が上手な方が多いように感じます。
こちらの結果では、約30%の方が読書量が増えたと回答しましたが、コロナ禍において特に読書量には変化がなかった方が多いようです。
読書量のアンケートからも日頃から本を読んでいる方が多いように、読書が習慣として身に付いている由縁とも言えるでしょう。
スタートアップ・ベンチャー業界で働くビジネスマンが読む書籍のジャンルの中で最も多かったジャンルは「実践経営・リーダーシップ」です。金融、キャリア、マーケティング・セールスと続き、幅広い書籍を読んでいることがうかがえます。
これは、社員数が少ない故にマルチに仕事をこなしていくという、スタートアップ・ベンチャーの特色が現れていると言えるでしょう。
編集者が注目したのは、選出された書籍とコロナ禍の関係性です。
コロナ禍で世界が大きく変化した2020年。
それを受けて、読まれる本は変化したのでしょうか。
意思決定において、「トップダウン型(上から下へ任命)」か「ボトムアップ型(下から上に提案した上で、任命)」どちらが良いのかという議論がたびたびされます。
しかし、今回のコロナ禍を受けて、「トップダウン」の意思決定が再評価されている傾向があります。
もちろん、会社の社風により合う合わないはあると思いますが、今回のような非常事態において迅速な対応を可能にしたのは「トップダウン」の意思決定でした。
非常事態や初めての経験については、現場でも正確な状況把握ができない場合があり、その状態で現場の声を全て取り入れていては、迅速な対応ができなくなります。
今回のコロナ禍では、経営陣が迅速な状況把握と意思決定を行ない、それを現場が実行する「トップダウン型」の意思決定が再評価されました。
今回のアンケートでも、「トップダウン型」のマネジメントについて書かれた書籍が複数挙げられていました。
ピラミッド型組織には賛否両論ありますが、この本ではピラミッド型の組織に賛成しています。
「部下を成長させ、チームの成果を最大化させること」に重きを置き、モチベーションや過程よりも成果が一番の評価対象だとしています。
「雰囲気が良くなるから成果が出るのではなく、成果が出るから雰囲気がよくなる。」
まさにピラミッド型成果主義の教科書です。
こちらも「トップダウン型」の組織について書かれています。
「リーダーは時には人的犠牲を伴うような意思決定もしなくてはならない。」
ピラミッド型の組織を構成するには、このような覚悟や強い意思を持つ必要があります。
情と理のはざまで苦悩しながらも意思決定を続ける胆力こそがリーダーに求められるとし、「マネジメント法」よりかは「リーダーとしてのマインド」について書かれています。
職場においての心理的安全性が注目されていたところに今回のコロナ禍が重なり、心理的安全性について重要視されることも多くなりました。
今回もアンケートでも、心理的安全性についての書籍が複数選出され、やはり組織作りにおいても心理的安全性はかなりキーワードになっているようです。
個性を活かしつつ、心理的安全性を保てる組織を作るという点は、いかにも「今っぽい」と言えるでしょう。
そもそも心理的安全性とは?という基礎の部分から、実際の現場で生かせる導入アイデアまで載っていますの、心理的安全性について改めて学びたい場合にはこの本がおすすめです。
急速なIT技術やAIの発達から、「予測不能の時代」と呼ばれていましたが、今回のコロナ禍は見事にそれを体現しました。
当たり前だったものが当たり前ではなくなり、学校には行けなくなる、成長を見込まれていた企業は一気に傾く。逆に、今までは注目されていなかった企業がコロナ禍を受けて急成長。
社会の変化に応じて会社の在り方や生き方にも変化が出てきているようです。
企業は「いかに変化に適応するか」という競争にさらされており、「幸せな職場」だけが、変化に対応できる。
予測不能な時代に必要な姿勢としては,「将来は予測できない。だからこそ予測していない事象が生じても前向きにとらえていくしかない」ということです。
変化を受け入れる組織こそ成長できる、まさに今この時代には一読しておきたいおすすめ本です。
7つの習慣の原著の初版は1989年と、約30年もの間、トップクラスのビジネスマンに読み継がれてきた名著です。
こちらはビジネス書として紹介されることが多いですが、成功哲学や人生哲学に精通するため、ビジネスマンのみならず多くの方が手に取ったのではないでしょうか。
キングベアー出版によれば、2018年の時点で44か国語に翻訳され、全世界3,000万部、日本でも累計200万部を売り上げ、世界的ベストセラーとなりました。
「ビジョナリーカンパニー」は、アメリカのビジネス・コンサルタントであるジェームズ・C・コリンズの著書。
初版は、1994年で、こちらも約30年読み継がれています。
コリンズは、ドラッカー亡き後、最高の経営思想家と言われていました。
ビジョナリーカンパニーは4部作のシリーズものだと思われがちですが、一冊一冊取り上げるものが違うので独立した読み物として読むのがおすすめです。
企業が永続的なものになるためのエッセンスが詰まった、時代を超える名作です。
こちらは、名前を聞いたことはあるものの読んだことはない、という方のいらっしゃるかと思います。
こちらの「君主論」は、1532年にイタリアのマキャベリによって書かれた、政治学の著作です。
様々な時代や様々な国の君主を分析し、君主はどうあるべきか、君主に求められるものはな何かということを論じています。
中には、
「残酷さと慈悲深さとについて、敬愛されるのと恐れられるのとではどちらがよいか」
など、現代の会社のトップの悩みに精通する部分も書かれており、統治するものは国と会社で違いはあるものの、リーダーとして学ぶべき要素がたくさん詰まっています。
約500年弱語り継がれ読み継がれているなんて、時代は変われど人間の本質は変わらないことがうかがえますね。
今回のアンケート結果では、活躍するビジネスマンは、本から学びを得ていることも多いということがわかりました。
スタートアップやベンチャー業界では、特色上仕事の幅も広く、様々なジャンルの本から学びを得ているようです。
このようにおすすめの本や最も読まれている本のアンケートによって、その時代の傾向や流行り、社会情勢なども汲み取ることができるのは非常に面白いです。
しかしやはり、どんなに時代が変わっても読み継がれる「不朽の名作」と呼ばれるものもあり、それらは人間や社会の本質を描いていると言っても過言ではありません。
「ビジネス書を読んでみたいけれど、どれを読めばいいかわからない...」
という方は、まずはこの「不朽の名作」から読んでみてはいかがでしょうか。
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