「YouTubeってBtoBマーケティングでも効果あるの?」
そんな疑問や不安から、YouTube運営に踏み出せずにいるBtoB企業も少なくありません。
本記事では、BtoBマーケティングにおけるYouTubeの効果的な活用法や成功事例、費用相場についてわかりやすく解説します。
YouTube運営が自社に合った施策なのかを見極めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
このページの目次
かつてはCtoCやBtoC向けのイメージが強かったYouTubeですが、動画の特性を活かしてマーケティング施策に活用する企業が増えてきました。
まずは、BtoB企業がYouTubeに参入する主な4つの理由をご紹介します。
YouTubeならテキストだけでは伝えきれない大量の情報を、視覚と聴覚の両方から短時間で効果的に伝えることができます。
また、動画であれば実際の画面での操作やデモ、図解、ナレーションを通して、商材の魅力や導入後のイメージをわかりやすく視聴者に届けることが可能です。
たとえば、次のようにYouTubeを活用できます。
かつては若者向けのイメージが強かったYouTubeですが、現在はビジネス層の情報収集メディアとしても定着しています。
1万人以上を対象にしたGWI.の調査でも、意思決定者の10人のうち5人は「新製品やサービスを検討する際にYouTubeを使用する」との回答でした。
特に、業務課題の解決手段を探す際に、動画検索やGoogle検索でYouTube動画にたどり着くビジネスパーソンは年々増加しています。
YouTube動画は、Google検索やYouTube内の検索結果にも出てくるので、より多くの見込み顧客にリーチできるのが特長です。
たとえば「経費精算 自動化」や「SFA 導入事例」などのキーワードで検索するビジネス層に動画がヒットすれば、自然なアプローチが可能です。
また、自社のサイトやブログ記事に動画を埋め込めば、ページの訴求力が高まり、訪問者の関心を引きつけながら滞在時間やCV率の向上にもつなげられます。
BtoBでは、BtoCのように衝動的に意思決定されることはなく、合理性や客観性を重視した検討プロセスを経て決定されます。
とはいえ、製品やサービスのスペック・価格だけでなく、「どんな理念や文化を持つ企業か」といったビジネスに対する姿勢も、重要な判断材料となります。
YouTubeなら、企業がどんな姿勢で顧客と向き合っているのかといった目には見えにくい情報も、動画で直感的に伝えることが可能です。
たとえば、開発ストーリーや現場社員の熱意などを発信することで、企業の価値観やひたむきな姿勢が伝わり、相手に親しみやすさや安心感を感じてもらいやすくなります。
YouTubeの活用は、どのBtoB企業にも適しているわけではありません。
特に、次のような4つの特徴を持つ企業は、YouTubeとの相性がよく、動画を通じた情報発信が成果につながりやすいといえます。
SaaS、ITソリューション、製造業の製品といった専門的な技術や知識が求められる商材を扱う企業にとって、YouTubeは有効な情報発信チャネルです。
たとえば、導入事例の紹介や技術者による詳しい解説など、テキストだけでは伝えきれない価値のある情報を、YouTubeでは視覚と聴覚を通じてわかりやすく視聴者に届けられます。
特に、BtoB企業ではYouTube ショートと呼ばれるショート動画の活用がおすすめです。
長くても3分という短い尺を活かして、製品の特徴や活用シーンをコンパクトに紹介することで、視聴者に「まず知ってもらう」きっかけをつくることができます。
さらに、興味を持った視聴者がそのあとに詳細動画やWebサイトへと進む導線にもなり、より深い情報を知るための入り口として有効です。
企業が使い慣れている扱いやすいチャネルが、必ずしも顧客にとって最適なチャネルとは限りません。
たとえばカタログや対面営業では、商材の魅力を伝えきれなかったり、情報の伝達にムラが生まれたりします。
一方で、現代のビジネスパーソンはスマートフォンやタブレットを日常的に活用しています。
こうしたモバイルデバイスに最適化された動画コンテンツは、時間や場所を問わず視聴でき、情報へ手軽にアクセスできる手段としてとても効果的です。
特にYouTubeは、検索を通じて自然とたどり着くユーザーが多く、企業が意図せずとも潜在層との新たな接点が生まれます。
さらに、「まだ世の中に広く知られていない新サービス」や「検索されにくいニッチな業種」では、YouTubeを通じて、ユーザー自身も気づいていなかった業務上の悩みや非効率に気づかせることができます。
BtoBビジネスでは、一つの意思決定に多数の担当者が関わり、プロセスが長くなることが多いです。
そのため、価格や機能を訴求するだけでは、最終的な意思決定につながりにくいという現実があります。
Googleの元社員であり、現在は合同会社カラフル代表を務める小笹文氏は「AI時代に大切なのは『人』を見ること」と述べています。
どれだけテクノロジーが進化しても、最終的に意思決定を行うのは「人」であることに変わりはありません。
だからこそ、マーケティングにおいても人の顔が見える情報発信がこれまで以上に求められています。
その点、YouTubeでは、製品開発の裏側やエンジニアのこだわりなど、「現場のリアル」を動画で伝えながら、企業としての姿勢を視覚的かつ感情的に伝えられます。
YouTubeは、すでにWebサイトやオウンドメディア、SNSといったチャネルを活用している企業にとって、とても相性の良い施策です。
ゼロからYouTubeの企画を立ち上げるのではなく、既存のコンテンツを「映像で再表現する」という視点で取り組めば、初期のハードルも低くなります。
さらに、動画化によってWebサイトやSNSでの情報発信の質を高めることが可能です。
たとえば、記事ページに解説動画を埋め込み、テキストでは伝えきれないニュアンスや視覚的な理解を補えれば、ページ全体の訴求力が高まります。
また、動画はSNS上でも視聴者の目に留まりやすく、リーチやエンゲージメントの面でテキストや静止画よりも成果につながりやすいです。
YouTubeマーケティングには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
ここでは、動画制作を依頼した場合の費用相場と、YouTube広告にかかる費用について、それぞれ解説します。
一般的な動画制作には、企画構成、撮影、レコーディング、編集といった工程があり、動画の長さやクオリティによって費用は大きく変動します。
自社では対応できない工程のみを外注すれば、コストダウンも可能です。
各工程にかかる平均的な費用は、下記のとおりです。
企画・構成 | 10~35万円 |
撮影 | 10~50万円 |
編集 | 5~30万円 |
レコーディング | 5~15万円 |
その他(配信アカウントの管理・運用など) | 1~50万円 |
BtoBで利用されている動画の費用相場は、次のとおりです。
外注する際、予算の参考としてください。
インタビュー動画 | 30~100万円 |
研修・マニュアル | 30~150万円 |
セミナー・イベント | 50~200万円 |
採用動画 | 50~200万円 |
商品・サービス紹介 | 50~200万円 |
会社紹介 | 100~200万円 |
ブランディング動画 | 200~400万円 |
YouTube広告には主に6つの種類があり、それぞれ費用も料金発生方法も異なります。
YouTube動画を見る際に再生される6秒間スキップ不可の広告。
再生回数1,000回ごとに費用が発生します。
費用:400~600円
YouTube動画を見る前や途中に流れる広告で、動画広告開始5秒でスキップが可能。
30秒以上の視聴、またはリンクをクリックされるごとに費用が発生します。
費用:2~25円
YouTube動画を見る前や途中に流れるもので、一定時間スキップ不可の広告。
再生回数1,000回ごとに費用が発生します。
費用:500~800円
YouTubeの検索結果や関連動画上に表示される広告。
リンクをクリックされるごとに費用が発生します。
費用:3~20円
YouTubeのホーム画面の最上部に表示される広告で、最大30秒自動再生。
日数ベースでカウント、もしくは表示回数1,000回ごとに費用が発生します。
費用:1日数百万円になるケースも
モバイル専用の動画広告で、Google動画パートナーのWebサイトやアプリ上で表示。
再生回数1,000回ごとに費用が発生します。
費用:400~600円
BtoB企業がYouTubeマーケティングをうまく活用するには、どのような方法があるのでしょうか。
ここで、7つの活用方法について詳しく見ていきましょう。
商品やサービスを紹介する際にYouTubeを活用すれば、画像やテキストではイメージしにくい魅力を、わかりやすく説明できます。
口頭による説明は、営業担当者の力量により差が生じる可能性がありますが、動画であれば説明にブレが生じません。
視覚的なインパクトと訴求力が強い動画を活用することで、記憶に残りやすく、興味や関心も高められて、スムーズな商談につなげられます。
YouTubeでイベントやウェビナーの告知を行えば、従来の手法よりも認知度のアップが可能です。
詳細なターゲティングと柔軟な予算設定ができるため、費用対効果の高い告知が期待できる手法といえます。
イベントやウェビナーのアーカイブ動画を公開すれば、参加できなかった顧客にも内容を届けられます。
さらに、アーカイブ動画をSNSやウェブサイトでシェアすれば、新たな視聴者層にもリーチできる可能性があります。
商品やサービスの導入事例の紹介にも、大きな効果が期待できます。
実際のユーザーが語る動画であれば、インタビュー記事よりも熱量が伝わり、視聴者の信頼を得やすくなるでしょう。
さらに、ユーザーならではの視点により、自社では見えなかった新たな気づきを得られることもあります。
採用のためのPR動画を制作することによって、マッチングの精度が上がる可能性が高くなります。
企業の説明だけでなく、社内の雰囲気や経営者・社員のインタビューを紹介すれば、自社の魅力をよりわかりやすく伝えることが可能です。
また、入社後のイメージがしやすくなるため、早期離職などのミスマッチが少なくなります。
短時間でインパクトを与えられるYouTube動画は、効果的な販促ツールとして活用できます。
短尺でインパクトのある動画を流すことで、自社商品やサービスへの興味喚起につながり、ブースへの誘導がスムーズになるのです。
動画で自社商品の操作方法やQ&Aなどを説明すると、より顧客に伝わりやすくなります。
YouTubeを見れば理解・解決できるように、わかりやすい動画をつくり、顧客満足度の向上につなげましょう。
サポートセンターへの問い合わせ件数が減少し、社員の負担軽減やコスト削減も期待できます。
詳細なターゲティングが可能なYouTubeは、動画広告にも最適です。
自社商品・サービスに興味があるターゲットに向けて、結果につながる広告を届けることができます。
また、一定時間以上視聴されると課金されるなど、YouTube広告には種類があり、費用対効果を見ながら広告運用が可能です。
広告のクリック率、コンバージョン率、完全視聴率など、計測ができるため、予算に合わせて効果的に運用しましょう。
ここで、YouTubeマーケティングを活用したBtoB企業の成功事例を3つご紹介します。
成功しているチャンネルを分析しながら、自社の施策に活かしてください。
IBM Corporationの日本法人である同社が開設するYouTubeチャンネル「IBMJapanChannel」では、TVCMや企業PR、関連製品、サービスなどを発信しています。
IT技術やクリエイター紹介のほか、顧客と自社チームとの打ち合わせの様子も公開。
自社の取り組みをイメージしやすくする工夫をしています。
大手電子部品メーカーである同社のYouTubeチャンネル「株式会社村田製作所/Murata Electronics」では、企業PR、企業の取り組み紹介、製品の使い方などを投稿しています。
59の海外関連会社を展開し、世界シェアNo.1の製品を多く抱えているため、製品に関する注意喚起の動画について、同じ内容の動画を日本語だけでなく、英語や中国語でも公開するなどの工夫がなされています。
Web集客のコンサルティングサービスを提供する同社は、YouTubeチャンネル「WebマーケティングTV【StockSun株式会社】」において、SEOやWeb制作ECサイト運用などのテクニックを伝える動画を公開しています。
注目したいのは、動画内において、各施策で生じた効果を隠さず披露している点。
その結果、視聴者からの信頼を獲得し、Webマーケティング業界での知名度が大幅にアップし、
YouTubeチャンネルの開設後2ヶ月で、22件の問い合わせ、7000万円の売上を達成しました。
YouTubeマーケティングには、いくつかの注意すべき落とし穴があります。
しかし、導入前にリスクを正しく理解し、きちんと備えておけば、YouTubeマーケティングの成功につなげられます。
ここでは、BtoB企業が陥りやすい4つの落とし穴と、その対策について解説します。
YouTubeマーケティングは、テレビCMのような即効性は期待できません。
アルゴリズムの特性上、投稿から一定の期間が経過してから再生回数が伸び始めることもあります。
特にBtoB領域では、入念に情報を収集するケースが多く、認知から興味、検討までに時間がかかります。
そのため、すぐに反響が出ないからといってやめてしまうのは、とてももったいないです。
チャンネルの目的を明確にし、ターゲットとする視聴者に響く動画コンテンツを継続的に発信することが重要です。
そのうえで、短期的な成果に振り回されず、中長期的な視点で効果を検証していくようにしましょう。
YouTube運用は、企画・構成、台本作成、撮影、編集、サムネイル制作、配信スケジュール管理、効果測定など、多くの工程を安定的に回していく必要があります。
すべて社内で対応しようとすると、通常業務との両立が難しくなり、更新が途中で止まってしまうことも少なくありません。
運用代行サービスやツールの活用も視野に入れて、継続した運用を心がけましょう。
YouTubeは、誰が伝えるかも重要な要素です。
発信に慣れていない、カメラの前で話すのが苦手な出演者では、せっかくの情報が視聴者に届かないケースもあります。
必要に応じて外部のインフルエンサーやナレーター、MCを起用する方法も検討しましょう。
YouTubeは拡散力が高いメディアである一方、動画の内容によっては視聴者の誤解を招いたり、意図しない形で炎上につながったりします。
特にBtoB企業は、信頼性が意思決定にも影響するため、偏った表現が企業そのもののイメージダウンにつながる恐れがあります。
こうしたリスクを防ぐには、事前の原稿チェックやコンプライアンス基準の明確化などの対策を習慣化することが重要です。
社内にノウハウがない場合は、動画制作会社を活用し、プロの視点で動画の内容や炎上予防策をサポートしてもらいましょう。
YouTubeは「BtoC向け」という印象が強いかもしれませんが、信頼性や専門性が重視されるBtoBにこそ効果的なメディアです。
YouTube運営にはリソースや長期的な視点が必要ですが、今あるコンテンツを活かして小さく始める方法もあります。
「ウチにもYouTubeマーケティングができるかもしれない」と感じたら、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
競合がまだ取り組んでいない今!が、差をつけるチャンスです。
画像出典元:o-dan