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バイヤーイネーブルメントとは、買い手が購買の意思決定に至るまでの過程を適切にサポートする営業手法です。
現在のBtoBセールスでは、買い手目線の営業手法が必須です。
従来のセールスマニュアルで成果を上げにくくなっている企業は「買い手が社内合意を形成しやすい環境を作ること」に注力すると営業成果につながるかもしれません。
本記事では、バイヤーイネーブルメントの概要や取り入れ方、さらにはバイヤーイネーブルメント実現をサポートするおすすめのサービスを比較してご紹介します。
このページの目次
バイヤーイネーブルメント(Buyer Enablement)とは、買い手が購買の意思決定を下すまでに必要な分析・検討・情報収集などを適切にサポートすることです。
2018年、米国の大手調査会社「Gartner」が発表したレポートにて紹介されました。
買い手となる企業は、「製品購入」というフェーズに至るまでに社内全体の合意を形成しなければなりません。
しかし意思決定のプロセスは企業規模が大きいほど複雑になっており、買い手の負担となっているのが現状です。
売り手が買い手を適切にサポートすることは、購買までの意思決定の加速・買い手との信頼関係の構築につながります。
Gartnerによると、売り手が適切にバイヤーイネーブルメントを実施した場合、買い手の製品購入の可能性がおよそ3倍アップするそうです。
(参考元:Buyer Enablement | Sales Insights | Gartner.com)
現在のBtoBセールスでバイヤーイネーブルメントが必要とされる理由として、主に以下の2つが挙げられます。
買い手となる企業が製品を購入するには、社内合意を形成することが必須です。
購買担当者は社内の関係者・関係部署に製品購入の根拠を説明したり、信頼できるデータを元にROIを計算したりする必要があります。
こうした作業を負担に感じている担当者は多く、売り手側の適切なサポートが購買につながるケースは少なくありません。
また現在、企業の購買決定権を持つメイン層はいわゆるミレニアル世代(1995年~2000年頃)です。
デジタルネイティブであるこの世代は、自身で必要な情報を集めて比較検討する傾向があります。
売り手目線で展開するプッシュ型の営業は効果が少なく、買い手目線の情報発信・有益なコンテンツの提供が必要です。
バイヤーイネーブルメントは、「製品購入までの意思決定をスムーズに行える情報がほしい」「Web上で必要な情報やコンテンツを集めたい」といった現代の買い手ニーズを満たす上で必須の施策といえます。
セールスイネーブルメントとは、営業組織全体を強化・改善すること。
営業支援ツールを導入して営業活動を可視化したり、教育・研修を実施したりして社員全体の営業スキル底上げを実施します。
組織全体の営業活動を効率的に把握・管理することで、営業施策の有効性向上・売上の最大化を目指すのが目的です。
バイヤーイネーブルメントとの違いは、セールスイネーブルメントの主体はあくまでも「売り手側」であるということです。買い手視点に終始するバイヤーイネーブルメントとは、根本的に異なります。
Gartnerは、バイヤーイネーブルメントには以下の7つを含めることが重要であるとしています。
分析機能 | 買い手が必要なデータを適切に分析するための手法を提供する |
助言機能 | 買い手の購買活動に応じたアドバイスを行う・診断機能 |
診断機能 | 買い手の現状を診断し、パフォーマンス向上につながるツールやフレームワークを提供する |
比較機能 | 買い手企業と競合他社とを比較できる資料・データを提供する |
共有機能 | 購買に関わる全ての担当者・ステークホルダーと情報を共有できるプラットフォームを提供する |
実験機能 | 自社製品の導入により買い手にどのような効果があるのかをシミュレートする |
案内機能 | 買い手のニーズに基づいた具体的な購買提案を行う |
買い手に情報・データ・ツール・オプションを提供するときは、上記の機能を網羅しているかどうかを意識しましょう。
画像出典元:「ARCH by HiCustomer」公式HP
買い手のSaaS製品の選定・購買・オンボーディングまでを売り手側から支援できるツールです。
売り手と買い手が「製品購入」という同じゴールを目指すことにより、売り手側には受注率の向上・買い手には製品選定の負荷低減といったメリットがあります。
アーチの特徴は、購買フェーズに必要なあらゆる情報を管理できるプラットフォームを提供できること。
買い手が検討に必要な資料・動画を入手したい場合は、プラットフォームにアクセスするだけと簡単で、製品分析や情報共有・購入の検討が進みやすく、購買に向けての合意形成が加速します。
また売り手側はプラットフォームをチェックすることにより、買い手側の進捗状況をスムーズに把握することが可能です。
最適なタイミングで質の高い情報を提供することで、買い手との信頼関係を構築しやすくなります。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「GRiX」公式HP
リード獲得から成約までの検討状況を可視化できるツールです。
売り手は買い手ごとに最適化された支援を提供することで、営業工数の削減・商談成約率のアップを実現できます。
GRiXの活用方法は、トラッキング可能な資料URLを発行し、買い手に送付するだけと簡単です。
買い手のアクションはツール上に反映されるため、売り手は買い手ごとに最適化された提案を行えます。
またGRiXは、「ROI作成」「歩留まり分析」「商談スコアリング」といった分析機能が充実しているのも大きな魅力の1つ。
収集したデータを営業チームで共有すれば、組織全体の営業力向上につながります。
起業ログの調査によると、GRiXの料金プランは初期費用10万円・月額料金は3万円から、ユーザー数に応じた3つのプランが用意されています。
画像出典元:「DealPods」公式HP
売り手と買い手が商談状況や各種データを共有できる、コラボレーションスペースです。
共有スペースでは、商談を成約させる上で必要な売り手・買い手それぞれのアクションをタスク化して管理できます。
双方が必要な情報を適宜入手できるのはもちろん、部門間・会社間のコミュニケーションや情報共有の円滑化にも有益です。
また買い手支援に必要な資料はクラウド上のライブラリで共有できる上、閲覧者や閲覧内容の特定や閲覧履歴の分析なども行えます。
買い手の検討状況を適切に把握することで、必要なサポートを先回りして提供することが可能です。
プラン名 | Starter | Pro | Custom |
対象 | 個人 (営業パーソン)向け | 組織で営業成果を向上したい企業向け | 各種プロダクト連携、高度なセキュリティを求める企業向け |
料金 | 無料 | 要問合せ | 要問合せ |
画像出典元:「BuyerAssist」公式HP
売り手と買い手が必要な情報を共有できる、協業型のバイヤーイネーブルメントツールです。
商談開始前の段階から買い手の検討状況を一目で把握できるため、売り手は営業個人の勘・運・スキルに頼る必要がありません。
システマチックな営業活動の実施は、ムダ打ちの削減・成約率の向上につながります。
また買い手は、ツール上のデータや情報を利用して購買計画を立てたりプレゼンテーション案を作成したりが可能です。
売り手・買い手ともに購買活動におけるムダが削減されるため、成約に至る意思決定のスピードが大幅にアップします。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「ENABLE US」公式HP
デジタルセールスルームやコンテンツ管理ツール等を備えた、オールインワン型のバイヤーイネーブルメントツールです。
売り手企業はツール上でカスタマージャーニー全体を可視化・共有することで、営業効率の向上・買い手企業との関係深化を実現できます。
ツールの特徴は、ライブラリ上で販売コンテンツを一元管理したり、必要な情報を共有したりできること。
ライブラリには優れた検索機能・フィルタリング機能が搭載されており、買い手は必要なタイミングで信頼性の高い情報にアクセスできます。
またコンテンツごとの訪問数や視聴時間などは、数値データとして保管される仕組みです。
売り手企業は収集したデータを元に、買い手のニーズに特化した営業アクションを実行できます。
支払い方法は年払い・月払いから選ぶことができ、年払いの場合は29%の割引があります。
Starter Plan | Growth Plan | Revenue Productivity Platform | ||
年払い料金(ユーザー / 月) | 25ドル | 50ドル | 要問合せ | |
月払い料金(ユーザー / 月) | 35ドル | 70ドル | 要問合せ |
(税表記なし)
買い手の購買活動をサポートするためには、買い手が抱える課題・改善したいこと・理想とする将来像などを適切に把握することが必要です。
企業が資金を投入してツール・サービスを導入する際は、「そうしなければならない理由」があります。
買い手の購入の決め手となり得るポイントを把握することで、提供すべき情報・データの取捨選択が容易になるはずです。
買い手とのタッチポイントを増やすには、Webサイトでのコンバージョンを高める工夫が必要です。
Web上での情報収集に長けているミレニアル世代は、Web調査に長い時間をかけ、自社に最適な製品を選択します。
買い手を納得させられるコンテンツがない場合、自社製品は購買候補にすら上がりません。
すなわちバイヤーイネーブルメントの実現には、マーケティング部門と営業部門との協働が不可欠です。
バイヤーイネーブルメントは、「マーケティングが質の高いコンテンツを用意」「営業が買い手の支援を実行」という2軸体制を取ることが必要となります。
買い手が製品を認識し購入に至るまでには、以下の流れをたどるのが一般的です。
例えば買い手が購入対象を絞っている段階なら、他社との比較データが役立つかもしれません。
すでに製品購入の検討段階に入っているなら、スペックやメリットの根拠を示せる資料が必要でしょう。
買い手が求めるデータや情報は、フェーズによって異なります。
バイヤーイネーブルメントを実現するためには、それぞれのフェーズで求められる情報を「迅速に」「手間なく」「効果的に」提供することが必要です。
バイヤーイネーブルメントとは、売り手が買い手に質の高い情報や購買に結び付く有益なデータを提供し、購入までの意思決定を適切に支援することです。
買い手を「手間のかかる購買検討作業」「営業担当との面倒なやり取り」から解放することで、BtoBセールスの成約率の向上・受注のスピードアップを目指します。
営業活動がデジタルに移行している現在、営業個人のカンやスキルに頼った古い営業スタイルでは、効果を上げることができません。
徹底的に買い手目線に立つバイヤーイネーブルメントを実現し、自社の営業パフォーマンスを向上させましょう。
画像出典元:O-dan