なかなか業務に生成AIを活用しきれない…と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
生成AIを業務に活用するには、社内データや外部データと連携して、回答精度の向上が期待できるRAG構築がおすすめです。
本記事ではRAG構築をサポートしてくれるRAG構築サービス10選と、比較ポイントをご紹介します。
RAG構築が業務になぜ必要なのかも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
このページの目次
RAG構築サービスとは、情報収集と生成が可能なAI技術であるRAGを自社専用に構築してくれるサービスです。
自社が持っているデータを使い、信頼できる文章を生成してくれるRAGは、さまざまな業界で導入され始めています。
ここでRAG構築サービスの要となるRAGと、大規模言語モデルLLMとの違いについて解説します。
RAGとは、Retrieval-Augmented Generationの略称で、外部データや検索結果を元に、精度の高い文章生成が可能になるAI技術です。
一般的な生成AIが学習していない外部データを用いることで、より正確な情報の生成が可能となり、ChatGPTを業務に利用しやすくなります。
たとえば、従来の生成AIに「自社の有給休暇の取得方法を教えて下さい」と聞いても、正しい情報の生成が困難でした。
しかし、RAGであれば、自社のデータベースを参照し、質問内容にもっとも近い情報を参照元情報共に回答生成してくれます。
情報の正確さや生成内容が不十分だった場合も提示された資料を確認すればよいため、わざわざ該当資料を探す手間がかかりません。
これまでChatGPTなどの生成AIをうまく活用できていなかった企業でも、RAGを構築すれば業務に役立つようになるでしょう。
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とLLM(Large Language Model)は、どちらも自然言語処理において使われる技術ですが、その役割と仕組みは異なります。
メリット | デメリット | |
RAG | 情報収集と既存情報を組み合わせた生成が可能。最新の情報を使って高精度な回答もできる。 | 検索結果に依存して生成するため、不適切なデータが生成されるリスクがある。 |
LLM | 大量のデータを持っていて、文脈に応じた自然な文章生成が可能。 | 学習時点までのデータしか持ち合わせていないため、最新情報には対応できない。 |
RAGとLLMの大きな違いは、最新情報の検索ができるかどうかです。
LLMは学習済みデータ以外の情報は参照できませんが、RAGは外部のデータベースに登録すれば、必要なデータを参照してくれます。
また、参照するデータを指定することで、誤った情報を生成するハルシネーションも軽減されます。
ChatGPTの活用にRAG構築が重要な理由は次の3つです。
ChatGPTが登場時に非常に注目されたものの、ビジネスシーンでは予想よりも利用率は伸びていません。
現状適切なプロンプトを入力しなければ、適切な回答が得られず、また存在しない回答を生成するハルシネーションが発生するからとされています。
RAGであれば、必要な情報が格納されているデータベースを参照して、LLMがテキストを生成するため、適切な回答生成が可能です。
RAGから外部データを参照すれば、最新情報へのアクセスも可能となり、業務活用への利便性が高まるでしょう。
RAGを構築する際の開発費用相場は、導入する言語モデルやプロジェクトの規模によって異なります。
一般的なプロジェクトの開発費用目安は以下の通りです。
また、上記のプロジェクトの開発費用のほかに、運用・保守費用が発生します。
運用・保守の年間費用は、開発費用の20〜30%かかるとされているため、RAG構築サービスを導入する場合は、運用費用も考慮しておきましょう。
画像出典元:「TASUKI Annotation」公式HP
「TASUKI Annotation」は、大量のドキュメントを自動データ構造化する機能が搭載されているRAG構築サービスです。
ファイルをアップロードして1クリックでデータが構造化できるため、文書ごとの登録処理も悩まずに完了します。
構造化済みデータの修正なども、誰でも簡単にできるUI/UXになっているのも便利です。
評価の高いポイント3つ★★★
【アノテーション代行サービスの料金例】
アノテーション (物体検知) |
アノテーション (領域検知) |
データ収集+ アノテーション |
|
利用料 | 250,000円〜 | 500,000円〜 | 3,000,000円〜 |
(税表示なし)
要望により料金は異なるため、詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「リコーのデジタルバディ」公式HP
「リコーのデジタルバディ」は、部門や業務単位ごとに細かく生成AIを活用できるRAG構築サービスです。
あやふやな質問にも、関連度の高い資料と共に精度の高い回答をしてくれます。
登録したファイルデータから情報を参照するため、導入時のデータ準備は不要です。
評価の高いポイント3つ★★★
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「LYZON」公式HP
「LYZON」は、導入費用80万円(プロモーション価格)でAIチャットボットが導入できるRAG構築サービスです。
Microsoftサービスと連携できるため、普段使っている環境にスムーズに導入できるでしょう。
SharePointに格納されているデータをそのまま活用でき、データ整備の手間がかからないのもおすすめです。
評価の高いポイント3つ★★★
初期費用80万円で導入可能ですが、詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「RAGOps」公式HP
「RAGOps」は、Amazon Bedrockと連携し、セキュアな環境で利用できるRAG構築サービスです。
自社の大切なデータを高いセキュリティで守りつつ、自社専用のRAGを育てるシステムを構築します。
類似の問い合わせがあった場合は、データベースのキャッシュから回答してくれるため、生成コストの効率化が可能です。
評価の高いポイント3つ★★★
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「クラスメソッド」公式HP
「クラスメソッド」は、自社専用の環境で複数の生成AIサービスを導入できるRAG構築サービスです。
AWSやAzure OpenAI Service、google CloudとさまざまなCloud環境でRAG環境を構築できます。
社内ヘルプデスク対応RAGの構築なら最短2週間と、スピード導入できるパッケージもあります。
評価の高いポイント3つ★★★
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「AI総合研究所」公式HP
「AI総合研究所」は、AIを活用したさまざまなサービスを展開し、ChatGPTをビジネス活用するRAG構築サービスです。
Azureクラウド上にRAGを構築し、業務自動化や文書作成支援などのソリューション設計サポートをしてくれます。
また、ChatGPTの活用方法についての社内研修など、AI活用人材の育成サポートも行われています。
評価の高いポイント3つ★★★
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「法人GAI」公式HP
「法人GAI」は、業務で使えるプロンプトテンプレートが豊富なRAG構築サービスです。
生成AIの活用が難しいと感じている社員でもテンプレートプロントを使えば、必要な情報を生成しやすいでしょう。
ISMSに認証されたサービスで、機密情報や個人情報を削除するマスキング機能も搭載されているため、情報セキュリティも安心です。
評価の高いポイント3つ★★★
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「Azure OpenAI Service」公式HP
「Azure OpenAI Service」は、MicrosoftとOpenAIが共同開発したAIアプリ開発サービスです。
マイクロソフトの強固なセキュリティ環境上で、RAGの構築ができるため、安心してデータ活用が可能です。
Azureはさまざまなアプリケーションの構築ができるので、RAG以外にもChatGPTを有効活用できるでしょう。
評価の高いポイント3つ★★★
利用する言語モデルによって生成費用が異なり、RGAの構築サービス価格の詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「Moji」公式HP
「Moji」は、安価な費用でアプリ開発を行い、運用のための人材派遣も行っているRAG開発サービスです。
生成AI以外にもNocodeアプリの作成など、デザインやビジネススタイルを考慮したアプリを構築しています。
クロスプラットフォームへの対応も可能なため、Webアプリなどの連携も検討している場合は相談してみるとよいでしょう。
評価の高いポイント3つ★★★
FREEプラン | 開発プラン | 運用改善プラン | |
利用料 | 無料 | 30万円〜 | 100万円〜 |
サービス内容 | デザインツールの全機能 要件として整理 見積もり |
デザインの作成 開発・実装 リリース |
追加仕様の実装 分析ツールの導入 運用スタッフのサポート |
(税表示なし)
画像出典元:「TDSE」公式HP
「TDSE」は、LLM活用支援を重視しているRAG構築サービスです。
自社でLLMを活用できる業務の選定から、環境構築、運用後のチューニングなど、長く使えるRAG環境を構築してくれます。
開発に携わるのはアカデミック分野出身のエンジニアが多く、AIデータ利活用の相談もしやすいのではないでしょうか。
評価の高いポイント3つ★★★
詳細については、お問い合わせが必要です。
RAGを構築した後も運用、保守は必要なため、サポート体制が整っている構築サービスのほうが安心して利用できます。
サポート体制を比較する場合は、運用・保守費用のほかにもAI活用人材の育成サポートなどがあるサービスがあるか確認してみてください。
RAG構築サービスは、開発規模や利用言語モデルによって大きく料金が異なるため、基本的に問い合わせが必要です。
運用・保守費用も含めた予算を算出し、気になる機能の搭載されているサービスへ相見積もりしましょう。
生成AIは便利である一方、扱いづらいと感じている社員もいるため、プロンプトが用意されているRAG構築サービスがよいでしょう。
「RAGOps」や「クラスメソッド」は、自社専用のプロンプト作成機能もあり、効率的な生成ができるのでおすすめです。
RAG構築サービスは、業務へChatGPTをはじめとした生成AIを利活用するために重要なサービスです。
社内のデータベースを参照してRAG構築をすれば、自社専用のヘルプデスク、サービスを熟知したチャットボットなど、生成AIを活用できる場が広がります。
ぜひ今回の記事を参考に、RAG環境を構築して業務効率化を目指してみてはいかがでしょうか?
画像出典元:写真AC