アプリのテスト工程を効率化するため、テスト自動ツールを導入する企業が増えています。
とくにノーコード系のツールはエンジニア以外でもE2Eテストを実施できるので、エンジニアのリソースを有効活用できておすすめです。
当記事では、テスト自動化ツールの基礎知識とおすすめ10選の機能と料金、比較ポイントを紹介します!
このページの目次
テスト自動化ツールとは、ソフトウェアやアプリを開発・運用する際に必要となるテスト作業を自動化するツールです。
品質保持のために重要なテスト作業ですが、工程の多さがエンジニアの負担になるという理由でツールを導入する企業が増加しています。
不具合を早期に発見でき、ヒューマンエラーを減らすことも効果のひとつです。
自社に合ったツールを選ばないと効果が期待できないので、まずはテスト自動化ツールの種類を知っておきましょう。
テスト自動ツールを大きく分けると3種類あります。
タイプ1 オープンソース系 |
タイプ2 ローコード系 |
タイプ3 ノーコード系 |
|
操作性 | 難しい | やや難しい | 簡単 |
自由度 | 高い | やや高い | 低い |
今回紹介するサービス | Selenium Cypress SonarQube Appium BrowserStack |
UiPath Test Suite Eggplant |
Autify MagicPod |
それぞれの特徴をみていきましょう。
オープンソース系はソースコードを公開しているサービスで、コーディングスキルがないと扱いが難しいものの、スキルがあれば自由にカスタマイズできるのが大きなメリットです。
利用料金は無料、または最低限の必要なコストのみで使えます。
ローコード系は、ある程度の知識とスキルがあればテストシナリオを作成できるサービスです。
ゼロからコーディングするよりも短時間でシナリオが完成し、汎用性と拡張性にも優れています。
自社で利用中の既存システムや他のツールと連携しやすいのもメリットです。
ノーコード系は、コーディングスキルがまったくない人でも扱えるサービスです。
テスト部門の規模を拡大したい場合や人手不足で困っている場合など、誰でも使えるツールを探しているならノーコード系が第一候補になります。
自由度や拡張性の面でやや劣るのがデメリットです。
(税表示なし)
画像出典元:「Autify」公式HP
「Autify」の特徴は、専門的なスキルがない人でもテストシナリオを作成できることです。
コードを入力する必要がなく、ユーザーと同じ操作をするだけで自動的にテストシナリオが完成します。
AIによるテストシナリオ自動アップデート機能もあるため、メンテナンスコストを削減できることもメリットです。
便利なのはビジュアルリグレッション機能で、UIの変更点確認も自動化できるので目視チェックが必要なくなります。
株式会社ディー・エヌ・エーなど多数の有名企業で導入されていますが、テストシナリオの自動作成機能はありません。
Small | Advance | Enterprise | |
月額利用料 | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ |
月間テスト実行回数 | 400~ | 1000~ | カスタム |
画像出典元:「UiPath Test Suite」公式HP
「UiPath Test Suite」は、作業の流れを録画してドラッグ&ドロップするだけで、シナリオの作成・自動化が行えるサービスです。
Microsoft OfficeやGmailと連携させれば、タスクも自動化できます。
ロボットの作動不良時には直感的な操作で、スキップ、再試行、停止ができるのも魅力です。
これらの機能は『UiPath Studio Pro』に搭載されていて、他にも、
テストを管理する『UiPath Test Manager』
テストを実行する『UiPath Orchestrator』
自動化のアイディアを発見する『Automation Hub』などがあります。
無料プランもありますが、運用サポートを受けたいなら有料プランがおすすめです。
Free | Pro | Enterprise | |
月額利用料 | 0$ | 420$~ | 要問合せ |
画像出典元:「Selenium」公式HP
「Selenium」は、『WebDriver』『IDE』『Grid』で構成されたオープンソースのテスト自動化ツールです。
『WebDriver』にはWebサイトのテストを自動化する機能があり、Google Chrome、Microsoft Edge、 Apple Safariなど主要なブラウザに対応しています。
拡張機能をインストールするだけで使える『IDE』は、Web用オープンソースの記録と再生テストの自動化を行うツールです。
複数のデバイスでテストを行うための『Grid』も用意されています。
すべて無料で利用できますが、コーディングの知識やスキルが必要です。
▶初期費用:無料
▶月額利用料:無料
画像出典元:「Cypress」公式HP
「Cypress」は、最新のアプリケーションをテストする際の課題を解決するためにつくられたツールです。
オープンソース系サービスと、実施したテストを記録する『Cypress Cloud』で構成されていて、どちらも無料で利用できます。※有料プランもあり
強みは、ブラウザで実行されるものすべてをテストできることです。
Webトラフィックをオンザフライで読み取り変更できるので、ブラウザに出入りしたすべての情報を操作できます。
各種テストごとのマニュアルが明記されているためエンジニア初心者でも使いやすいと評判ですが、コーディングができない人には取り扱いが難しいツールです。
Free | Team | Business | Enterprise | |
月額利用料 | 0円 | 75$ | 300$ | 要問合せ |
ユーザー | 3 | 10 | 40 | 無制限 |
試験結果 | 500 | 10,000 | 100,000 | カスタム |
画像出典元:「Eggplant」公式HP
「Eggplant」の強みは、テストの実行だけでなく、テスト計画からフィードバックまで全工程を自動化できることです。
Eggplantが作成した"モデル"が、様々な顧客体験を想定してテストシナリオを自動作成します。
問題が起こる可能性が高い場所を推測するAIバグハント機能や、あらゆるデバイスを遠隔から操作できる機能もある高性能ツールです。
Eggplant社の認定エンジニアが在籍する専任チームによってつくられた優秀なサービスで、テスト結果のレポート機能は次の開発に役立つでしょう。
任意の期間(週単位)だけレンタル形式で利用できる便利なサービスですが、ノーコードではなく"ローコード"設計なので最低限のコーディングスキルが必要です。
詳細についてはお問い合わせが必要です。
画像出典元:「ATgo」公式HP
ATgoは効率的なテスト自動化を実現し、システム開発におけるコスト削減と品質向上を支援する強力なツールです。
ATgoはインストール不要で、すぐに使用できる点が特徴です。
テスト実行の際に、比較検証レポートも自動生成され、テスト結果を一目で確認できるため、効率的な品質管理が可能です。
日本語マニュアルの付属や24時間受付のヘルプデスクサポートなど、日本の現場に適したサービスも提供されており、多くの企業で採用されています。
ATgoを活用することで、テスト自動化の導入がスムーズに進み、システム開発の生産性が大幅に向上することが期待できます。
ライトプラン | ベーシックプラン | |
年間契約 | 36万円/1台あたり (3万円/月) |
要問合せ |
テスト実行回数 | 無制限 | |
機能 | ・レコーディング機能: Chromeプラグインモード/Chromeモード ・テストスクリプト作成/実行 ・エビデンス自動出力 ・レポート自動生成 |
ライトプラン全ての機能 ・APIテスト機能 ・CUIモード ・レコーディング機能:IEモード ・DB/FTP操作 ・比較機能:専用モード |
ATgoは、1か月の無料トライアルがあり、プロジェクトや組織の規模などニーズに合わせて柔軟にプランを組むことが可能です。
基本的に、年間での契約となります。
画像出典元:「T-DASH」公式HP
「T-DASH」は、プログラミングの専門知識がなくても簡単に使用できるテスト自動化ツールです。
導入コストが高い、テスト自動化の作業が属人化しやすいといったこれまでのテスト自動化ツールの課題を解消するために、様々な工夫がされています。
人の手ではヒューマンエラーが発生しがちなテストもミスなく高速で処理でき、ミスなく1週間程度で完了できます。
T-DASHには3つのプランがあり、広告や機能制限付きでテスト自動化を試せる無料プランもあります。
おすすめはスタンダードプランで、年間の申し込みならば、低コストでハイクオリティな機能をさらに2ヶ月分お得な料金で使用できます。
無料プラン | スタンダードプラン | エンタープライズ プラン |
|
対象 | 手軽にテスト自動化に 取り組みたい方 |
チームでテストケース などを共有しながら テスト自動化に 取り組みたい方 |
チーム人数が100人を 超えるプロジェクトで 使う企業 |
1ライセンスあたりの月額費用 (税込) |
0円 | 3,960円 ※年間プランは39,600 円/年 |
要問い合わせ |
プロジェクト数 テスト実行回数 作成可能テストケース数 |
無制限 | 無制限 | 無制限 |
日本語でのテストケース作成 | ○ | ○ | ○ |
インポート/エクスポート機能 プロジェクトの共有機能 カスタム動作の開発 画面項目のまとめて取得機能 データドリブン機能 英語対応 広告表示なし |
✕ | ○ | ○ |
※ソフトウェアを導入した特定の一台のコンピュータでのみ使用が認められるノードロックライセンス方式です |
画像出典元:「SonarQube」公式HP
「SonarQube」は、世界中400,000以上の組織で利用されているツールです。
30以上のプログラミング言語に対応していて、脆弱な部分やバグを超高速で検出できます。
決められた基準以上でないと公開されない機能など、コードの品質を保つための機能が豊富に揃っているため、開発者のスキルにばらつきがある企業に最適です。
オリジナル仕様に拡張できるツールで、分析するコード数で利用料が決まる料金体系になっています。
3,000万以上のコードを分析するプランにはサポートがありますが、それ以下のプランだとサポートを受けるための追加料金が必要です。
Community | Developer | Enterprise | Data Center | |
月額利用料 | 0$ | 150$~ | 20,000$~ | 130,000$~ |
画像出典元:「MagicPod」公式HP
「MagicPod」の特徴は、AIがテストシナリオの対象項目を自動検出してくれることです。
シンプルで直感的に操作できる仕組みで、専門的なスキルがなくてもテストを自動化できます。
HTTPリクエストや四則演算、二段階認証突破など難易度の高い処理もノーコードで行えるのでシステムの扱いに慣れてない企業でも安心です。
便利なのはテストにラベルをつけて分類できる機能で、ラベルごとにテストを行うこともできます。
500以上の企業で導入されていますが、モバイルアプリテストとブラウザテストでプランが分かれている料金体系です。
モバイルアプリテストプラン | ブラウザテストプラン | |
月額利用料 | 54,780円 | 54,780円 |
(税込)
※お得な年契約あり
画像出典元:「Appium」公式HP
「Appium」は、ネイティブアプリ、モバイルWebアプリ、ハイブリッドアプリのテストを自動化するツールです。
GitHubに公開されているオープンソースプロジェクトで、誰でも無料で利用できます。
主要なプログラミング言語にはほぼすべて対応していて、いろいろな使い方ができるのもメリットです。
特徴的なのはコミュニティ活動をする場所があることで、他のユーザーに質問したりディスカッションできます。
日本だけでなく、英語圏や中国語圏など世界各地でたくさんの人に利用されているサービスですが、コーディングスキルが必要です。
▶初期費用:無料
▶月額利用料:無料
画像出典元:「BrowserStack」公式HP
「BrowserStack」は、50,000以上の企業で利用されているサービスで、3,000以上のデバイスやブラウザでテストを実施できるのが強みです。
何百ものテストを同時進行でき、テスト中のビデオ録画機能やエラーした時の自動スクリーンショット機能もあります。
コードを変更する必要はなく、既存のスクリプトですぐに利用が開始できる便利なサービスです。
正確な座標を設定してテストが行えるGPSジオロケーションもあるので、グローバル展開している企業に向いています。
豊富な機能展開ですが、各サービスごとに料金がかかる仕組みです。
Live:
複数のデスクトップブラウザとモバイルブラウザの組み合わせでテスト
Desktop | Desktop&Mobile | Team | Enterpris | |
月額利用料 | 39$ | 49$ | 175$ | 要問合せ |
Automate:
複数のデスクトップブラウザの組み合わせでのテストを自動化
Desktop | Desktop&Mobile | Enterprise | |
月額利用料 | 169$ | 249$ | 要問合せ |
App Automate:
ネイティブおよびハイブリッドモバイル アプリのテストを自動化
App Automate | Enterprise | |
月額利用料 | 249$ | 要問合せ |
テスト自動化ツールを選ぶ時は、シナリオの作成方法とメンテナンス方法を必ず確認しましょう。
専門的なスキルのない人がテストを自動化したい場合は、ローコード・ノーコード系ツールが向いています。
また、UIの変更は頻繁に行われることが多いものですが、AIがテストシナリオを自動的にアップデートしてくれるツールならスキルがない人でも管理できます。
特定のアプリしかテストできないツール(料金プラン)もあるので、テスト対象となるアプリの種類に注意しましょう。
その他にも、対応しているプログラミング言語はツールごとに様々です。
「テストしたいアプリの種類」と「担当者が扱えるプログラミング言語」に対応しているツールを選びましょう。
テストの実行のみを自動化するツール、シナリオ作成からテストの実行や分析まですべて自動化するツールまでカバーしている機能には差があります。
自動化したい範囲も明確にしておきましょう。
テスト自動化ツールは、利用する人のコーディングスキルに合わせて選ぶのがオススメです。
専門的なスキルが必要ですが「オープンソース系」なら、コストを抑えつつ自由にカスタマイズできます。
「ローコード系」は最低限のスキルがあれば利用できて、様々な用途に使用できるのがメリットです。
非エンジニアでも使えるツールを希望する場合は、「ノーコード系」を選びましょう。
無料トライアルで使い勝手を確認して、自社に最適なツールを見つけてくださいね。
画像出典元:O-dan