ワークシェアリング導入で働き方はどう変わる?|メリットや問題点を解説

ワークシェアリング導入で働き方はどう変わる?|メリットや問題点を解説

記事更新日: 2020/04/03

執筆: 編集部

ワークシェアリングは世界的に注目されている働き方です。皆さんの中にも耳にしたことがある人がいるのではないでしょうか。

日本でも働き方改革が進んでいますので、新しい働き方としてワークシェアリングに興味を持っている人もいるはずです。ただ、ワークシェアリングがどのような働き方であるのか理解できていない人も多いようです。

今回は日本でも注目されているワークシェアリングとは、どのような働き方であるのか、ワークシェアリングの基礎知識やメリットやデメリット、日本での導入事例などをご説明します。

ワークシェアリングの概要と普及の背景

ワークシェアリングとはどのようなものなのでしょうか。その概要と普及の背景についてご説明します。

ワークシェアリングの概要

ワークシェアリングとはその名の通り、ワークをシェアするものです。つまり仕事を共有する働き方のことを指します。 

本来であれば一人で担当していた仕事を複数人で対応し、一人ひとりの負荷を減らす働き方です。

負荷を減らすことで時間あたりの生産性を高めることも目的としています。

日本ではここ10年ほど注目されている働き方ですが、世界的には30年以上前から取り入れられている働き方です。ただ、日本ではなかなか注目されていないものでした。

しかし、働き方改革が多くの企業で掲げられている現在、ワークシェアリングも改めて注目されるようになっています。

普及の背景

ワークシェアリングが生まれた背景には1970年から80年代にヨーロッパの労働条件が悪化したことがあります。失業者が急激に増加したことで、多くの雇用を創出するために仕事を共有する働き方が生まれました。

国単位でワークシェアリングが導入された例は1980年代のオランダで起きたオランダ病が有名です。オランダは天然ガスの有名な産出国でありこれを利用して貿易は黒字となっていました。その結果賃金は上昇したのですが、生産コストも上昇してしまい国際的な価格競争に勝てなくなってしまいました。

価格競争に勝てなくなると貿易収支は悪化してしまいます。企業としては人件費の削減をせざるを得なくなり、どんどんと人を解雇して失業率が高まるという問題を生み出してしまいました。また、解雇された人が自殺するなどの問題も起こり社会問題に発展してしまいました。

この問題を解決するために労働者側と雇用者側で労働時間を短縮する代わりに賃金を下げるワッセナー合意が取り入れられました。これがワークシェアリングの導入を指しています。

また、オランダとしてもこの働き方を推奨し、法律で労働者をサポートするようにしました。この政策が実り最終的には失業率は低下し、経済成長も遂げられるようになりました。

日本におけるワークシェアリングの種類

日本におけるワークシェアリングは厚生労働省から以下の4種類に分類されています。

  • 雇用維持型(緊急避難型)
  • 雇用維持型(中高年対策型)
  • 雇用創出型
  • 多様就業対応型

 

雇用維持型(緊急避難型)

一時的な景気の悪化により雇用の維持が難しくなった場合の緊急避難措置として、従業員1人あたりの就業時間を短縮させることで、社内の雇用を維持します。

雇用維持型(中高年対策型)

目的は中高年層の雇用を確保することです。中高年層の従業員1人あたりの就業時間を短縮させることで、社内の雇用を維持します。

雇用創出型

目的は国の失業者を減らすことです。国や企業といった単位で労働時間を短縮することで、ひとりでも多くの人に雇用の機会を与えます。

多様就業対応型

対象は正社員です。正社員に短時間勤務などを導入することで、女性や高齢者などに雇用の機会を与えることが目的です。

現在の日本で特に注目されているのは、多様就業対応型です。

時短勤務などを利用して一人当たりの勤務時間を短くし、会社全体でバランスよく働こうとする考え方です。様々な働き方を用意することで、ライフワークバランスを取りやすくしています。

現在は育児や介護をしながら働ける環境が求められています。そのような環境を生み出すために、多様就業対応型のワークシェアリングが広がっています。

ワークシェアリングは導入できる!?導入した場合のメリットとデメリット

ワークシェアリングの導入方法と導入した場合のメリットやデメリットについてもご説明します。

ワークシェアリングの導入方法

ワークシェアリングの導入にはいくつかのステップがあります。明確にステップ分けされているわけではありませんが、例えば以下のようなステップで導入を進められます。

ワークシェアリング導入の手順

1:現状の業務内容を整理する

2:整理された業務内容を最適化する

3:最適化した結果、ワークシェアリングが可能か検討する

4:可能であればワークシェアリング向けの体制へと切り替える

ワークシェアリングを導入する前に現状の業務内容を整理し最適化しなければなりません。

無駄のある状態でワークシェアリングを検討しても、無駄な作業を大人数で対応してしまうことになりえます。

最適化した結果、ワークシェアリングが可能なのであればワークシェアリング向けの体制へと切り替えを進めます。

必要であればワークシェアリング用のマニュアルなども用意しなければなりません。

また、マニュアルを設けるのであれば仕事に対して目標を記述することが必須です。この目標がなければ働き方に差が生まれてしまいます。

最低限やるべきことを数値化して記述しなければなりません。

導入のメリット

ワークシェアリングを導入するメリットには以下のものが考えられます。

  • 長時間労働を避けやすくなる
  • 雇用の創出ができる
  • ワークライフバランスを取りやすくなる
  • 生産性が上がりやすくなる

ワークシェアリングを導入する大きなメリットは長時間労働の削減ができることです。

現在は働き方改革も注目されていて、長時間労働をいかにして減らすかが重要な課題となっています。法律も改正され残業時間は今まで以上に意識しなければならない時代です。

ワークシェアリングを導入すると一人当たりの勤務時間は短くなり長時間労働を避けられます。残業時間が短くなるかは所定労働時間によって左右されますが、長時間労働を避けやすくなるというメリットは間違いなくあるでしょう。

また、本来の目的である雇用の創出のメリットもあります。

本来は一人で対応する仕事を複数人で共有するだけですので、通常よりも多くの雇用が創出できます。これによって雇用できるアルバイトの人数が増えるなど、社会的にメリットを生み出せます。

導入のデメリット

ワークシェアリングを導入するデメリットには以下のものが考えられます。

  • 雇用形態ごとの格差が生まれやすくなる
  • 責任の所在が不明確になる

最初に懸念されるデメリットは、正規雇用の人材が増加した際にパートやアルバイトとの格差が生まれやすくなることが挙げられます。

特に賃金面での格差が発生しやすいのです。また、労働時間が短くなることによって、正規雇用の人材も含めて賃金の相場が下がりやすくなることもデメリットです。

仕事を共有することで雇用人数が増えることはメリットであると考えられます。ただ、賃金面での格差が生まれてしまったり、そもそもの給与額が下がってしまう点はデメリットです。

他にもワークシェアリングを導入することで多くの人が同じ仕事に従事します。その結果、一つの仕事を完成させるために関わる人数が増えてしまい、責任の所在が分かりにくくなるデメリットがあります。

ワークシェアリングを導入するのであれば、何かしらトラブルが発生した際に責任の所在が明確になるように考えなければなりません。

日本でのワークシェアリング普及状況

ワークシェアリングは普及しているのか

残念ながら日本ではワークシェアリングが浸透しているとは言えません。実際にワークシェアリングを導入している企業はあるものの、絶対数としては少ないのが現状です。

その理由は様々考えられますがデメリットでもご紹介したような賃金格差が背景にあると考えられます。

なかなか日本ではワークシェアリングに伴う賃金格差が受け入れられる状況ではありません。収入が下がってしまう可能性がありますので、正規雇用側からの同意が得られにくいのです。

ワークシェアリングの導入は現在働く人に大きな影響を与えますので、これが普及を阻害する原因だと考えられます。

ただ、ワークシェアリングの定義を拡大して考えてみると、日本で普及していないわけではありません。例えば時短勤務やフレックス制は導入している企業が多数あります。そのように考えてみると日本でも普及しつつあるのです。

ワークシェアリングの導入事例

日本におけるワークシェアリングの導入例を厚生労働省の事例からご紹介します。

ある会社ではITバブルの崩壊という緊急事態に対し「工場週3休制」を導入しました。

雇用維持型(緊急避難型)に該当するワークシェアリングであり、一人あたりの賃金を下げながら雇用を維持したものです。短期的なワークシェアリングを前提としたものでもあります。

他の会社では雇用を維持しながら人件費を削減する方法として、時短勤務の推奨を進めました。すでに存在していた時短勤務制度の枠内での取り組みではありますが、ワークシェアリングを拡大する取り組みであると考えられます。

まとめ

ワークシェアリングを導入することで、一人当たりの労働負荷を下げることが可能です。その結果、ワークライフバランスが取りやすくなるなどのメリットが生まれます。また、雇用を創出しやすくなるなどのメリットもあります。

その反面で一人あたりの賃金が下がりやすくなるなどのデメリットもあります。企業目線で考えると、雇用人数の増加による福利厚生費などの増加もデメリットとして考えられます。

とはいえ、働き方改革が進む現在、注目されている働き方であることは間違いありません。ワークシェアリングを正しく理解し今後導入できるように検討を進めてみるべきです。

画像出典元:Burst

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