労災とは?労災保険が適用されるケースと給付の受け方を徹底解説!

労災とは?労災保険が適用されるケースと給付の受け方を徹底解説!

記事更新日: 2021/04/02

執筆: 編集部

「仕事が原因で病気や怪我をしてしまった」業務が原因で心身ともに療養が必要なとき一定の条件を満たせば国から給付金を受け取ることができる労災。

しかし実際に労災保険とは何なのか、保険が適用されるケースはどういったものか知らない人も多いです。

今回は、労災の概要や労災保険が適用されるケース・給付の受け方などを徹底解説していきます。

そもそも労災とは何か?

労災の正式名称は「労働災害補償保険」と呼ばれるものです。

簡単に言えば、仕事で怪我や病気・もしくは死亡してしまった時に保障してくれる保険のことを指します。

一定の条件を満たす必要はありますが、事前に入っておけば万が一怪我や病気になった時に国から一時的に給付金を受け取ることができます。

「仕事が原因で働けなくなった時に役立つ保険」と認識しておくといいでしょう。

ちなみに、労災は雇用形態を問わず適用されます。

正社員だけじゃなく、契約社員やアルバイト・パート、日雇いなどでも申請可能です。

(ただし業務委託契約を結んでいる場合は原則適用されませんので注意してください)

労災の加入条件

基本的に、会社に雇われている労働者ならば加入することができます。

会社側(経営者側)が人を雇った場合は

・「保険関係成立届」

・「労働保険概算保険料申告書」

・「履歴事項全部証明書」

という3つの書類を所轄の労働基準監督署に提出しなければなりません。

労災の種類・補償内容はどんなのもの?

一口に労災といっても、実は様々な種類があります。

ここでは、労災の種類や補償内容を表でご紹介していきます。

どのような内容なのか、補償内容はどういったものなのか知りたい方はぜひ参考にしてみてくださいね。

種類 補償内容
療養補償給付

怪我や病気で病院にかかったときに
その代金を負担してくれるもの

休業補償給付 怪我や病気で休んだ時に給付が支給されること
障害補償給付

労災認定された怪我、もしくは病気で後遺症が
残ってしまった場合に受け取れる給付のこと

遺族補償給付

労災で死亡してしまった遺族への給付
※ただし細かい条件あり

葬祭料 労災で死亡してしまった労働者の葬祭料が支払われる
傷病補償年金

労災による怪我・病気が1年以上治らなかった
場合に受け取れる給付金

介護保障給付

障害補償年金を受け取れる資格のある人で
障害を患い介護されているときに申請できる

参考:厚労省 労災保険給付等一覧より

代表的なものは以上の7種類です。

療養補償給付の場合は、「労災保険指定医療機関に受診したかどうか」によって若干補償内容が異なってきます。

労災保険指定医療機関を受診した場合は、「療養補償給付たる療養の給付請求書」というものを病院に提出すれば療養費を払う必要はありません。

逆に、労災保険指定医療機関以外の病院を受診した場合は、一旦自腹で療養費を払った後に自分で上記の書類を所轄の労働基準監督署に直接提出すれば後ほど療養費が支払われるようになります。

※労災関係で必要な書類は、近くの労働基準監督署か厚労省の公式HPからダウンロード・印刷して手に入れることができます。

※書類は注意事項を読まないとダウンロードできない仕様になっているので注意してくださいね。

自分の状況に合わせて、どの労災を申請すればいいのか確認してみてくださいね。

労災の給付金の受け取り手順

それでは、労災の給付金の受け取り方を大まかにご紹介していきます。

  • 病院から診断書をもらう
  • 会社側に労災の給付申請を行ってもらいたい旨を伝える
  • 休業3日目までは会社から賃金を、休業4日目からは労災の給付を受け取る

基本的に労災の手続きに関しては会社が代行してくれるので、労働者側は特にやることはありません。

(強いて言うなら、診断書をもらうだけです)

ただし、先述したとおり労災指定の病院以外で受診してしまうと必要書類をもう1種類自分で用意しなければなりません。

あらかじめ、労災指定の病院かどうか調べておきましょう。

厚労省の公式HPで指定の病院を検索することができますので、こちらも活用してみるといいでしょう。

もし会社側が労災を認めてくれない場合は、自分で書類を作成して労働基準監督署に直接持っていけば審査してもらうことができますので安心してくださいね。

また、労災で給付金がもらえるのは基本的に休業4日目からとなります。

休業して3日間ほどは、会社から賃金をもらうことができます。

療養費や休業費用の6割が支払われるので、きちんと確認をしておきましょう。

認定されるまでの期間はだいたい1~3ヶ月ほどかかりますが、場合によっては半年以上かかってしまうこともあります。

(うつ病などの精神疾患、仕事が原因で怪我・病気になったかが分かりにくいなど)

その他、認定条件に満たしていないと判断されると給付金を受け取ることができませんので、事前に確認しておきましょう。

労災と認められるのはどんなケース?

では、労災と認められるのはどんなときなのでしょうか?

大きく分けて2つのケースになりますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 業務が原因で負傷・疾病・死亡した時

一つは、業務が原因で負傷・疾病・死亡・障害になってしまった時です。

後ほどご紹介する通勤途中での怪我や病気などと異なり、発生場所は問われないのが特徴的です。

・「仕事中に機械で指を切断してしまった」

・「他の人の機械操作のミスで体を負傷してしまった」

など、仕事が原因で負傷・疾病してしまったケースは認められやすいのが特徴的です。

2. 通勤中に負傷・疾病・死亡した時

もう一つは、通勤途中で負傷・疾病・死亡などになってしまった場合です。

こちらの場合は「通勤中に交通事故にあってしまった」などのケースが当たりますね。

ただし、移動の経路が逸脱している・移動を中断してしまっている場合は「通勤ではない」とみなされてしまい、労災認定されないこともあるので注意が必要です。

(やむを得ない事情で逸脱・中断した場合は、通勤として認められる可能性もあります)

番外編:仕事が原因で精神疾患になってしまった場合はどうなる?

では、仕事が原因でうつ病など精神疾患になってしまった場合は労災はおりるのでしょうか?

結論から言うと…労災認定されるケースもあります。

ただ、単純な怪我や病気よりも仕事が原因なのかどうかが判断しにくいため、労災認定されるためには以下の条件を満たさなければなりません。

  • 認定基準の精神疾患かどうか
  • 病気になる6ヶ月前から仕事が原因でなったか認められるかどうか
  • 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

参照 厚労省:精神障害の労災認定 

うつ病や急性ストレス反応以外の精神疾患(アルコール依存症、薬物障害など)は業務が原因とは認められないので要注意です。

また、精神疾患になってしまい労災を申請する場合は物的証拠も用意するといいでしょう。

(職場のパワハラやセクハラに関するメモや日記、録音した音声などは有力な証拠となるのでおすすめです。)

より詳細な条件等は、厚労省の「精神障害の労災認定」に記載されているので、興味のある方はぜひこちらも参考にしてみてくださいね。

労災と認められなかった場合の対処法

では、万が一労災と認められなかった場合は一体どのようにして対処していけばいいのでしょうか?

詳しく解説していきます。

もし労災と認められず、その事に対して異議申し立てがある場合は労働者災害補償保険審査官に対して審査請求・再審査請求することもできます。

3ヶ月以内に審査請求を要求すれば、労災かどうかもう一度調べさせることができます。

審査請求の結果は半年~1年ほどとかなり長いですが、「結果を待てない!」という場合はもう一度再審査を要求することができます。

再審査請求をする場合は、先述の労働者災害補償保険審査官ではなく労働保険審査会と呼ばれるところに請求する必要があるので間違えないよう注意してくださいね。

審査請求をする=確実に労災認定になるというわけではありませんが、どうしても納得ができない場合は利用してみるといいでしょう。

※審査請求自体は文書・口頭で行うことができますが、再審査請求は文書で請求手続きを行わなければならないので注意してくださいね。

まとめ

今回は、労災とは何なのかについて解説していきました。

労災は労働者が働けなくなった時にとても助かる保険です。

一口に労災といっても種類や補償内容は大幅に異なり、なおかつ認定されるケースもかなり細かく分かれているので事前に確認しておきましょう。

正社員だけではなく、アルバイトやパート・日雇い労働者でも労災の申請は可能ですのでぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。

画像出典元:Burst、O-DAN

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