エクイティファイナンスとは?知っておくべき借入以外の資金調達方法

エクイティファイナンスとは?知っておくべき借入以外の資金調達方法

記事更新日: 2019/04/05

執筆: 編集部

資金調達の方法と言えば一般的には借入です。

借入をした場合、借入の元本と利息の支払いが発生しますが、エクイティファイナンスを利用した資金調達は返済の義務、利息の支払いが発生しません。

借入の返済が資金繰りを圧迫しているので、返済の義務がないエクイティファイナンスは魅力的に感じますが、エクイティファイナンスにはメリットだけでなく、デメリット・注意点があります。

よく理解をして検討するために今回は「エクイティファイナンス」についてご紹介します。

エクイティファイナンスとは増資によって資金調達をすること

エクイティファイナンスとは、増資によって資金調達をする手段の総称のことです。

エクイティファイナンスのエクイティ(equity)には株式資本、自己資本という意味があり、資本の増加、つまり増資させることで資金調達をする手段です。

企業が資本を増加するには一般的に新株を発行し、その発行した新株を買い取ってもらいます。

エクイティファイナンスによる資金調達は主に4つあります。4つの資金調達方法をみてみましょう。

1. 公募増資(時価発行増資)

公募とは時価に近い新株を発行する方法で「時価発行増資」とも呼ばれています。新株を公募する時には、50人以上の不特定多数の投資家に対して新株取得の勧誘をします。

2. 株主割当増資

株主割当とは、すでに株式を取得している既存の株主に対して新株を発行する方法です。

株主割当では、株主それぞれの保有株式数に応じて新株が割り当てられます。

株主割当がされても既存の株主には申し込みや払い込みの義務はなく、新株を取得するかは株主が自由に選択することができます。

仮に株主の払い込みがない場合は、権利が失効することになります。

株主割当は既存の株主に対して新株を発行するため、増資によって株主の持分割合が大きく変化しないメリットがあります。

株主の持分に大きな変化がなければ、企業は経営権に大きな変化を生じることがなく増資できます

3. 第三者割当増資

第三者割当とは、株式発行企業と特定の者に対して新株を発行する方法です。

ここでいう特定の者は株主であるかに関係なく、株式発行企業の従業員や親会社、業務提携先、取引先、金融機関などのことです。

第三者割当による新株は、時価よりも低い価格で発行されることが一般的です。

 

4. 転換社債型新株予約権付社債

転換社債型新株予約権付社債とは、社債の1つで普通社債に一定の条件で株式に転換することができる社債のことです。

一般的には転換社債、CBと呼ばれており投資家は好きなタイミングで株式に転換することができます。

 

このように増資にはいくつか種類がありますが、新株(あるいは新株の取得権)と引き換えに資金を調達するという点は変わりません。

なお増資全般について、より詳しくは以下の記事でまとめています。

 

エクイティファイナンスとデットファイナンスの5つの違い

資金調達の方法にはエクイティファイナンスとは別に、デットファイナンスと呼ばれる資金調達があります。

2つの方法は資金調達という意味では同じですが違います。違いについて確認してみましょう。

1. エクイティファイナンスは返済の義務なし

エクイティファイナンスは返済が不要ですが、デットファイナンスは返済が必要になります。

資金調達をする時に気になるのが、調達した資金の返済の有無ではないでしょうか。

デットファイナンスは借入金融のため調達した資金は借入のため返済が必要になりますが、エクイティファイナンスは株式を利用して資金調達をするため返済の義務はありません。

返済の有無は資金調達をする上で大きな判断材料になります。

2. エクイティファイナンスは経営権に影響あり

エクイティファイナンスは経営権に影響がありますが、デットファイナンスは経営権に影響がありません

エクイティファイナンスは株式を利用して資金調達をするため、株主構成に影響がでる可能性があります。

新たに発行する株式数によっては新たな株主の影響が強くなり、自由に経営ができなくなることが考えれらます。

3. 貸借対照表上の表示

エクイティファイナンスは株式を利用して資金調達をするため、貸借対照表上では自己資本である「純資産の部」に表示されます。

一方デットファイナンスによる資金調達は借入のため、貸借対照表上では他人資本である「負債の部」に表示されます。

貸借対照表は企業の経営状態を表すため重要な意味を持ちます。例えば借入が極端に増えると金融機関、投資家などからは借入に依存をしている企業と判断されます。

エクイティファイナンスを利用して資金調達をしても貸借対照表上は純資産の部に表示されるため、借入が増えることはありません。

逆に純資産の部が増えると、自己資本比率が改善されます。

4. 投資家に支払う内容

投資家に対してエクイティファイナンスは配当金の支払い、デットファイナンスは利息の支払いをします。

デットファイナンスの場合、借入をした資金は返済する義務があります。借入を返済する時は、ただ借りた資金を返すだけでなく利息と一緒に投資家に支払います。

デットファイナンスにおいて、投資家は利息収入を目当てに投資をしているということです。

一方エクイティファイナンスの場合、株主には配当金を支払います。ただし配当金の支払いは義務ではありません。むしろベンチャー企業の場合、配当金がゼロであることは珍しくありません。

エクイティファイナンスの場合、投資家は株の売却益を期待しているので、配当金の分配より企業の成長に伴う株価の上昇を重視します。

5. 配当金の支払いは経費にならないが、利息の支払いは経費になる

投資家に対して企業が配当金を支払っても経費になりませんが、投資家に利息を支払った場合は経費になります

投資家への支払いは、配当と利息では支払った企業も受け取った投資家も税務上の取り扱いが違います。

 

デットファイナンスについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

 

エクイティファイナンスの3つのメリット

エクイティファイナンスについて確認ができたので、今からエクイティファイナンスのメリットとデメリットについてみてみましょう。

まずはメリットからです。

1. 返済の義務なし

エクイティファイナンスの最大のメリットは資金調達した資金に、原則として返済の義務がないことです。

企業にとって資金繰りは経営に大きな影響を及ぼします。

デットファイナンスによる資金調達であれば、借入元本と利息の支払いが資金繰りに影響を及ぼしますが、エクイティファイナンスによる資金調達であれば原則返済の義務がないため、経営者は経営により力を注ぐことができます。

2. 財務体質の改善

エクイティファイナンスによる資金調達をした場合、貸借対照表上では通常、純資産の部の「資本金」に表示されます。

資本金は企業にとっては返済の必要がない運転資金のことです。資本金が増えるということは、それだけ会社に体力が増えることになります。

企業の安全性を示す指標に自己資本率があり、純資産の部が自己資本比率が改善されます。一般的に自己資本比率が40%以上で優良企業、70%以上が理想の企業と言われています。

3. 多額の資金調達ができる

デットファイナンスによる資金調達にはその企業の返済能力、余力、担保などが加味されるため資金調達には限界があります。

しかし、エクイティファイナンスによる資金調達は、新株を発行する企業の時価が高かったり投資家目線で考えて魅力があれば、デットファイナンスによる資金調達よりも多額の資金調達ができます

エクイティファイナンスの2つのデメリット

エクイティファイナンスのメリットについて確認ができたので、次はデメリットについてみてみます。

1. 経営権が握られ会社の支配関係が変化する可能性がある

エクイティファイナンスの最大のデメリットは、経営権が握られる可能性があることです。

エクイティファイナンスは何度もお伝えしていますが、株式を利用して資金調達をする方法です。

新株を発行した結果、株主構成が大幅に変わってくると、経営権が握られ会社の組織や支配関係が変化する可能性があります。

今まで株主でなかった方が株主になり経営に口を出してくると、内部分裂が発生し現経営者は自由に経営ができなくなる可能性があります。

2. 配当金の支払いが経費にならない

配当金の支払いは経費になりません。株主に対して利益の還元として配当金を支払いますが、その配当金の支払いは税務上経費とはなりません。

エクイティファイナンスの2つの注意点

エクイティファイナンスを利用して資金調達をする前に2つの注意点があります。この2つの注意点を検討してしっかりとした計画を立てましょう。

1. 株価に影響がある

エクイティファイナンスを利用して資金調達をする場合、株価に影響があります。

上場企業の場合、エクイティファイナンスによる資金調達の発表を受けて「株価の上昇」「株価の下落」を招きます。

また未上場企業の場合でも、増資の際に決定する株価が株主構成に大きく影響するため注意が必要です。

たとえば、割安な株価で第三者割当増資をすることは既存の株主の利益を毀損する可能性があるため、既存株主からとの調整が欠かせません。

2. 手続きに時間がかかる

エクイティファイナンスを実施するためには、会社法で定められている所定の手続きが必要になります。

例えば新株を発行する場合、発行可能株式数が登記されている発行可能株式数を超える場合は変更登記が必要になります。

そのため、近日中に至急必要になる時にはエクイティファイナンスによる資金調達をすると必要な時までに間に合わなくなる可能性があります

エクイティファイナンスを利用する時は十分な時間を確保しておきましょう。

 

まとめ

エクイティファイナンスとは何か、またエクイティファイナンスのメリット・デメリットについては解説しました。

エクイティファイナンスは原則、返済の義務がないため魅力的な資金調達方法ですが、株主構成が変化する可能性があるため対策が必要です。

エクイティファイナンスを利用す流には手続きなどに時間がかかるため、緊急性を要する時にはその他の資金調達方法に切り替えることを視野に入れておきましょう

その他の資金調達方法については以下の記事で紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてください。

画像出典元:写真AC

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