厚生年金保険と国民年金の違いとは | 厚生年金保険加入は得なのか

厚生年金保険と国民年金の違いとは | 厚生年金保険加入は得なのか

記事更新日: 2019/01/14

執筆: 編集部

厚生年金保険と国民年金といえば、日本国民にとってとても身近な存在ですが、両者の違いについてちゃんと理解している人はどのくらいいるでしょうか。

年金制度は、日本国民である限り、非常に身近で重要な役割を果たすことになるため、とても重要です。

しかし、厚生年金保険や国民年金など年金制度については、よく知らないという人が多いというのが現状です。

そこで、この記事では厚生年金保険と国民年金の違いを解説するとともに、厚生年金保険へ加入することは得なのかどうかについて解説します。

厚生年金保険と国民年金の違い

「厚生年金加入がお得か」という話の前に、そもそも厚生年金保険と国民年金にはどのような違いがあるのかを、よく知らないという人は多いはず。

そこで、まず厚生年金保険と国民年金の違いについて解説します。

1. 国民年金

国民年金とは、日本の公的年金のことで「基礎年金」とも呼ばれています。

日本では、すべての国民が公的年金に加入する国民皆年金制度が導入されており、20歳以上60歳未満の国民は国民年金に加入して、被保険者にならなければなりません。

その一方で、国民年金の加入者は次の3つの種類に分類されています。

国民年金加入者の分類

第1号被保険者 … 自営業者等とその家族、学生、無職

第2号被保険者 … 従業員、公務員(厚生年金加入者)

第3号被保険者 … 第2号被保険者の被扶養配偶者


国民年金の保険料は、1ヶ月当たり16,340円(平成30年度)と定額になっています。

国民年金の支給額は、実際に加入していた期間によって決まりますが、加入可能年数は20~60歳までの最高40年になります。

40年間国民年金の保険料を支払った場合、老齢基礎年金の支給額は1ヶ月当たり約6.5万円になります。

支給開始年齢は、原則として65歳からとなっていますが、繰上げ支給や繰下げ支給を請求することも可能です。

国民年金を受給するためには、平成29年7月までは保険料納付済期間(保険料を支払った期間)等が25年以上であることが必要でした。しかし、法改正が行われ、平成29年8月から保険料納付済期間等は「25年」から「10年」に短縮されています。

2. 厚生年金保険

厚生年金保険とは、会社員や公務員などの第2号被保険者が加入する公的年金で、「被用者年金」とも呼ばれています。

厚生年金保険の加入者は、国民年金の加入者でもあるため、国民年金を受給すると共に厚生年金を受給することができます。

厚生年金保険料は、月額の給与と賞与を元に計算され、この数字に厚生年金保険料率18.3%を掛けることによって、求められます。

ちなみに、平成28年度の厚生年金の平均支給額は約14.6万円(1ヶ月当たり)となっています。

国民年金の平均支給額が約5.5万円(1ヶ月当たり)ですから、厚生年金平均支給額は国民年金の平均支給額の2.6倍も多くなっています。

また、厚生年金保険の大きな特徴として、保険料を事業主と被保険者である従業員が半分ずつ負担することが挙げられます。

厚生年金保険と企業年金は別物

国民年金と厚生年金保険について解説しましたが、他にも企業年金という仕組みがあります。

企業年金と聞くと、厚生年金保険をイメージしてしまう人もいるかもしれませんが、まったくの別物です。

というのは、厚生年金保険は国が運営する公的年金であるのに対し、企業年金は主に企業が運営する私的年金だからです。

企業年金は、公的年金である国民年金、厚生年金保険に上乗せして給付する制度であるため、第2号被保険者である従業員にとっては、老後の暮らしを豊かにするための選択肢のひとつとなります。

企業年金には厚生年金基金、確定給付企業年金(基金型・規約型)、確定拠出年金(企業型)などの種類があります。

厚生年金保険は国民年金に上乗せされている

日本の年金制度は、公的年金、私的年金を含めて「3階建て」と言われています。

基礎年金と呼ばれる国民年金が1階部分、厚生年金保険が2階部分、企業年金等が3階部分を構成しています。

つまり、公的年金の基礎年金として国民年金があり、厚生年金保険が国民年金に上乗せされています。

更に公的年金である厚生年金保険に企業年金等が上乗せされています。

このように年金制度が3階建てになっていることから、第2号被保険者である従業員の選択肢は多くなっており、老後の生活保障がより手厚いものになっています。

厚生年金保険への加入は得なのか

ここまで厚生年金保険と国民年金の違いについて解説してきました。

では、厚生年金保険の被保険者である従業員や事業主にとって、厚生年金保険に加入することは得なのでしょうか。

そもそも、厚生年金保険は事業所単位で適用され、一定の基準に該当する事業所は厚生年金保険に加入しなければなりません。このような事業所を強制適用事業所と言います。

常時従業員を雇用している株式会社などの法人や5人以上の従業員を雇用している事業所は、農林水産業、サービス業等を除き、強制適用事業所になります。

ただし、これらの基準にあてはまらない事業所(「任意適用事業所」と言います)であっても、従業員の半数以上が同意すれば、厚生年金保険へ加入することができます。

したがって、強制適用事業所は厚生年金保険に加入しなければいけませんが、任意適用事業所は一定の基準を満たせば、厚生年金保険に加入することもできますし、加入しないという選択をすることもできます。

そこで、厚生年金保険の被保険者である従業員や事業主にとって、厚生年金保険に加入することは得なのかどうかを解説します。

1. 被保険者(従業員)

厚生年金保険の被保険者である従業員にとって、厚生年金保険に加入することは得なのかを検討するためには、加入することによるメリット、デメリットを解説する必要があります。

厚生年金保険へ加入した場合、被保険者には主に3つのメリットがあります。

厚生年金加入のメリット

  • 厚生年金保険の保険料は、事業主と被保険者である従業員が半分ずつ負担することから、被保険者の保険料負担が軽減される
  • 国民年金に加えて厚生年金保険に加入することで、その分年金支給額が増える
  • 国民年金には障害基礎年金と遺族基礎年金があり、厚生年金保険には障害厚生年金と遺族厚生年金があるが、国民年金よりも厚生年金保険のほうが手厚い


障害年金の支給については、国民年金では障害等級1、2級が対象であるのに対し、厚生年金保険では障害等級1、2級に加えて、3級も対象になります。

遺族年金の支給については、国民年金では18歳までの子供がいる配偶者が対象であるのに対し、厚生年金保険では配偶者に加えて、子供、父母、祖父母も対象になります。

一方、厚生年金保険に加入することによるデメリットとしては、パート労働者が厚生年金保険に加入した場合、保険料を天引きされることから手取り収入が減ってしまうことが挙げられます。

この場合、厚生年金保険に加入するか、しないかを判断するため、今後の働き方をよく考える必要があります。

とはいえ、保険料の負担を企業側が負担してくれていることを考えると、保険料支払いが半分ですむ厚生年金保険は従業員にとってお得だといえます。

2. 事業主

厚生年金保険に加入することによって、事業主には次のようなメリット・デメリットがあります。

まず、メリットですが、厚生年金保険に加入すると従業員は年金をもらえるという保障が得られるため、安心して働くことができます。

その結果、事業所の生産性は上がり、利益にも繋がります。

つまり、厚生年金保険に加入することによって、職場環境が整備されることになり、事業所の利益にも繋がっていく可能性が高いということです。

次にデメリットですが、事業主は従業員全員の保険料の半分を負担しなければなりません

しかし、厚生年金保険の保険料を納付することによって、いざというときに従業員に対して年金が支給されることを考えると、保険料の負担は必要経費と考えたほうがいいのかもしれません。

結論としては、事業主からすると厚生年金保険加入のメリットは少ないです。得られるメリットよりかかる費用のほうが大きいと感じることでしょう。

しかし、厚生年金保険加入の義務を守らないことは会社の信頼に関わることなので、きちんと加入すべきです。

厚生年金保険への加入手続き

厚生年金保険への加入手続きは、事業所が必要書類を揃えて、事業所の所在地を管轄する年金事務所(以下「年金事務所」という)に提出することによって行います。

事業所が厚生年金保険に加入する場合、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を年金事務所に提出します。

また、従業員を新たに採用したときは「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出し、その従業員に被扶養者がいる場合、併せて「被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を年金事務所に提出します。

これらの書類は、上記のような事実が発生してから5日以内に提出しなければなりません。

提出書類のフォーマット、提出方法の詳細については、日本年金機構の公式サイトに掲載されていますので、ご確認ください。

まとめ

この記事では、厚生年金保険と国民年金の違いを解説するとともに、厚生年金保険へ加入することは得なのかどうかについて解説してきました。

以上のように、厚生年金保険と国民年金の違いは、株式会社などの事業所で働いている人は、国民年金に加えて厚生年金保険に加入するため、その分年金の支給額が増えて、手厚い保障を受けることができます。

そのため、第2号被保険者である従業員は、国民保険のみに加入している自営業者等よりも恵まれていると言えるのではないでしょうか。

画像出典元:Pexels

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