中小企業がテレワークを導入する!課題・準備・メリット・補助金を解説

中小企業がテレワークを導入する!課題・準備・メリット・補助金を解説

記事更新日: 2021/08/06

執筆: 編集部

この記事では、中小企業がテレワークを導入するときの課題と導入準備について解説していきます。

中小企業のテレワーク導入率は増えていますが、未だに「未導入・未検討」の企業も多いです。

テレワーク未導入・未検討の中小企業が感じる課題は、経営陣が先導して従業員とテレワークの目的を共有・理解して準備をすれば大丈夫です。

中小企業のテレワーク導入は経営のリスクマネジメントにも大きなメリットがあります。

中小企業が導入するべきテレワークの概要は、この記事で理解できます。

中小企業のテレワークの現状

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方です。

デル テクノロジーズが2020年3月と7月に行った中小企業のテレワーク状況調査では、中小企業のテレワーク導入の割合が13%から36%に増加しました。

「導入していないし、検討もしていない」との回答も、2020年3月の調査では73%でしたが7月には47.2%となり、テレワーク導入に前向きな中小企業が増えています。

一方で、「導入していないし、検討もしていない」47%の中小企業が理由として上げているのは「業種として難しい」です。

テレワークを導入していない理由の例

  • セキュリティの不安
  • コミュニケーション不足の課題
  • 導入コストの課題
  • 生産性低下の不安


中小企業のテレワーク導入では、業務自体がテレワーク向きでない場合や限られた人材で業務を行っており属人化によって切り離しが難しい場合なども原因になっています。

  • 製造業や営業などは現場優先の傾向が根強い
  • 経営陣・管理者たちのテレワークに関する認識不足
  • 従業員のテレワーク実施への不公平感


中小企業のテレワーク導入の課題の多くは、調整や準備、変化に対するわずらわしさが関係しています。

ですが、コストや時間をかけなくても、SaaSツールの活用やテレワーク対する知識があれば課題を解決できます。

次の章では、中小企業のテレワーク導入に必要な準備を解説します

中小企業のテレワーク導入準備

働き方の選択肢の一つとしてテレワークを理解する

中小企業がテレワークを導入には、経営者も従業員もテレワークについての理解が必要です。

テレワークのメリットと導入目的、導入までの手順などを会社全体で共有します。

特に経営陣は、多様性のある働き方への理解や従業員に生産性や労務管理の負担がかからないテレワークを構築する義務を理解しましょう。

会社全体でテレワークに対するポジティブな考え方を持てるよう意識改革していきます。

業務プロセスを見直す

中小企業の場合は、現場主義の製造業や業務が属人化しているケースが多くあります。

中小企業がテレワークを導入する時は、業務の工程を見直しと標準化を行いましょう。

業務単位で整理して「業務本体」「付属の業務」に振り分けて業務の標準化をしていくとテレワーク化出来る業務が見えてきます。

例:営業

業務本体 商談、データ分析
付属の業務 契約書作成、経費精算


バックオフィス業務全般はSaaSツールを活用すればテレワークを導入しやすい業務です。

営業は、オンライン商談やWeb会議システム、マーケティングオートメーション(MA)などを活用すればテレワークが可能です。

カオナビHRテクノロジー総研の調査でも、事務業務(23%)と営業(28%)のテレワーク導入率が高い結果出ています。

業務のテレワーク化には、ペーパーレス化と脱・ハンコを重視してみましょう。

ペーパーレス化と脱・ハンコの例

契約業務、承認業務 電子契約やワークフローシステムを導入する
経費精算 経費精算システムで完全電子化へ移行する
タイムカードの廃止 勤怠管理システムを導入する
給与明細の発行 Web給与明細へ移行する

 

セキュリティ対策を徹底する

テレワークにより従業員は会社以外の場所から会社情報へアクセスし・利用することになります。

中小企業のテレワークで、個人の判断に任せる事がないように細かいセキュリティ・ルールを策定します。

検討するセキュリティ対策

  • 社内システムへのアクセスに関するルールの徹底
  • セキュリティソフトの導入と更新の徹底
  • パスワード・アクセス権限の設定と管理
  • 不審なメールへの対応ルール
  • USBメモリ等の取り扱いルール
  • VPNサービス
  • セキュリティ対策の担当者・窓口を決める


一度ルールを決めても定期的にセキュリティーに対する意識の向上に対する教育と管理を徹底を行うようにしましょう。

セキュリティ対策の詳細は総務省の「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き」が参考になります。

ICT(情報通信技術)とSaaSを整備する

外部から社内システムにリモートアクセスできる環境整備します。

テレワークに必要なツールを過不足なく導入していきましょう。

テレワーク向け労務管理を導入する

中小企業がテレワークを導入する時には、労務管理の整備を忘れずに行います。

テレワークは出社のように「目で見て勤務を確認」する事は出来ません。

中小企業のテレワークでは、労働時間の可視化や入退社の手続き、電子申請や従業員の個人情報の管理など労務に関しては遠隔管理できるSaaSツール(労務管理システムや勤怠管理システム)は必須です。

 

就業規定の変更

元の就業規定の中に「テレワーク・在宅勤務」に関する規定がない場合は、新規策定が必要です。

就業規則の改定は「会社だけ」では行えず「労働組合や従業員の代表」との話し合いを行い決定します。

就業規定を作成もしくは変更した場合は、所定の手続きを踏み、所轄の労働基準監督署に届出を行います。

変更例

  • 在宅勤務を命じることに関する規程
  • 在宅勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規程
  • 通信費などの負担に関する規程

 

中小企業のテレワーク導入のメリット

テレワークは元々「働き改革」や「リスクマネジメント」の観点から国が推奨してきた働き方です。

中小企業のテレワークは、経営課題の解決策としてメリットがあります。

事業継続計画(BCP)

中小企業がテレワークを導入するメリットは、事業継続計画(BCP)対策として有効な点です。

事業継続計画とは、災害やパンデミックなどの緊急事態が発生したときに、会社が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画のことです。

2011年の東日本大震災をきっかけに注目されるようになりました。

会社機能の全てが一か所に集中すると、その一か所が機能しなくなれば会社の存続が難しくなります。

中小企業は、支店などの複数拠点がない事も多いため、テレワークを活用して業務の機能やデータ管理を分散させるリスクマネジメントが必要です。

日常的にテレワークを行うことは、事業継続計画の予行練習にもなります。

人材不足の解消

テレワークは、慢性的な人手不足に悩まされる事がある中小企業にとっては、人材確保の面でもメリットがあります。

特定の場所への通勤がなくなるため、東京であっても地方であっても、場所を問わず雇用できます。

また、時間や場所に縛られないため、テレワークによって各従業員の事情に合わせた働き方に対応で可能です。

育児や介護、障害者などを離職させずに人材損失の回避に繋がります。

人材損失の回避が結果的に「多様な働き方に対応できる企業」として企業価値が向上するのです。

企業ブランドやイメージが向上すれば、多様な人材募集を出来るため人材不足の解消が見込めます。

オフィスコストの削減

中小企業にとって、オフィスコストの削減は大きなメリットです。

削減されるオフィスコストの例

  • オフィスの家賃
  • 交通費
  • オフィスの光熱費
  • オフィスの雑費(紙などの備品代、郵送費など)


SaaSの導入や社内システムの改修などの費用対効果を考えてもコストの適正化に繋がります。

生産性の向上

テレワークの導入は、業務の効率化を見直すチャンスです。

デルテクノロジーズの調査結果でも従業員側からは「移動時間など時間の短縮になる」「自分のペースで仕事ができる」「余計な会議がなくなる」など生産性の向上のメリットを上げています。

中小企業にとっては、長年の慣例で行っていた業務の洗い出しや属人化の解消のきっかけに生産性や効率化もなります。

テレワークは、従業員のワークライフバランスの向上や通勤のストレスからの解放、SaaS活用による業務効率アップなどメリットがあります。

 

段階的にスタートすることが重要

会社のすべての職種・業務で一斉にテレワークをスタートさせる必要はありません。

テレハーフという言葉あるように、段階的にテレワークを実施していきます。

実施頻度を段階的に増やす

従業員がテレワークに慣れるためにたとえば、最初の段階では週1日ないし2日だけをテレワークの日とし、慣れてくれば段階的に日数を増やしていきます。

実施範囲を段階的に広げる

最初のうちは経理だけテレワークを実施しする。

そこで導入方法や効果をしばらく観察して検証し、改善すべき点があれば改善策を講じてから次の職種にもテレワークを導入していくという方法もあります。

実施と改善をしながら自社にあったテレワーク方法を模索していきましょう。

 

まとめ

中小企業でテレワークを導入するためのポイントを紹介しました。

中小企業が初めてテレワークの導入には多少の不安が伴いますが、導入した企業の多くメリットを実感しています。

SaaSツールの活用を積極的に行い、冷静に費用対効果を分析して導入していきましょう。

働きやすい環境作りと人材確保のためにもこの機会にテレワーク導入を前向きに検討してください。

画像出典元:O-DAN

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